映画「でっかいでっかい野郎」

でっかいでっかい野郎でっかいでっかい野郎
渥美清                          岩下志麻

今回は野村芳太郎監督1969年製作「でっかいでっかい野郎」をピックアップする。
北九州市若松市を舞台にした作品は「玄海つれづれ節」などあるが、本作は野村芳太郎監督による渥美清さん主演の第5作目になる。これは名優を起用はしても脚本が練られていないと消化不良になる思いの凡庸な作品になっている。

でっかいでっかい野郎でっかいでっかい野郎
中川加奈                        長門裕之

【ストリー】
南田松次郎(渥美清)は、どこへ行っても厄介もの。三池地区の保護司から紹介状を持たされ、父親の故郷若松で保護司をしている山口医院の院長山口(長門裕之)を訪れた。山口は夫人の静子(岩下志麻)や看護婦の友江(中川加奈)らを説得して、松次郎を家に置き、さらにダルマ船の清掃夫の就職まで斡旋した。だが、酒に目のない松次郎は、ベテラン船長原田(伴淳三郎)と大喧嘩。そのうえ、腐ったフグを仲間たちに喰わせ、またしても風来坊になってしまった。ところが、思わぬ事件のお蔭で一躍話題の人となった。それは、FBIから手配中の金塊の運び屋を叩きのめしたからだった。マスコミに騒がれ、無法松気どりの松次郎を優しくたしなめたのは辰吉の孫娘友江だった。そして、友江から初代無法松一代記を聞かされた松次郎は、すっかり感動。心の人を友江と定め、二代目無法松たらんとこれ勤めた。ところが、友江が夜になるとバーに勤め、さらに明(大野しげひさ)という恋人がいることを知って落胆、いずこへともなく姿を消してしまった。一方、友江は明との結婚を祖父辰吉に承諾してもらえず悩んでいた。そんなある日、松次郎は友江からその一件の相談を受けた。お人好しの松次郎は二人に同情、友江のために辰吉の退職金を盗み御用となってしまった。松次郎を取下げたのは、事の一部始終を知った辰吉だった。そして松次郎は霊験アラタカな白山神社に禁酒を誓った。しかし、効果は皆無、心の人友江の名を呟きながらやけ酒をあおるのだった。

でっかいでっかい野郎でっかいでっかい野郎
伴淳三郎                        香山美子
でっかいでっかい野郎でっかいでっかい野郎
長門裕之、渥美清                  中川加奈、渥美清

題名:でっかいでっかい野郎
監督:野村芳太郎
製作:杉崎重美
脚本:野村芳太郎、永井素夫
撮影:川又昂
照明:三浦礼
録音:栗田周十郎
調音:松本隆司
美術:重田重盛
装置:玉生久宗
編集:浜村義康
音楽:林光
現像:東洋現像所
製作主任:吉岡博史
監督助手:吉田剛
スチール:小尾健彦
出演:渥美清、岩下志麻、香山美子、中川加奈、大野しげひさ、長門裕之、伴淳三郎、財津一郎、加藤嘉、坊屋三郎、野村昭子、大橋壮多、関敬六、谷幹一、佐藤蛾次郎、石井均
1969年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー90分35mmフィルム
でっかいでっかい野郎 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

でっかいでっかい野郎でっかいでっかい野郎
野村昭子                        加藤嘉
でっかいでっかい野郎でっかいでっかい野郎
関敬六、中川加奈                   坊屋三郎、渥美清
でっかいでっかい野郎でっかいでっかい野郎
谷幹一                      中川加奈、渥美清、大野しげひさ
でっかいでっかい野郎でっかいでっかい野郎
伴淳三郎、渥美清、岩下志麻、長門裕之        でっかいでっかい野郎

映画「大根と人参」

大根と人参大根と人参
笠智衆                         乙羽信子

今回は澁谷実監督1964年製作「大根と人参」をピックアップする。
本作は小津安二郎監督が「秋刀魚の味」の次回作として企画・立案していた脚本を監督の逝去(1963年12月12日)により澁谷実監督が映画化した経緯がある。小津監督作品と決定的に違う点は、スタンダードサイズからシネスコサイズへ、50mmレンズ1本撮りから普通のレンズ選択、ローアングルの固守から標準的なポジションでのキャメラの使い方をしている。小津安二郎監督は1923年~25年に松竹蒲田撮影所で撮影助手としてスタートした。その経験と知識からアンリ・カルティエ=ブレッソンのごとく50mmレンズとスタンダートサイズに最後まで拘った。その意味で本作は澁谷実監督作品であり、小津監督とは作風が違うので”小津安二郎記念映画”と銘打つには疑問が残る。

大根と人参大根と人参
長門裕之                        加賀まりこ

【ストリー】
山樹東吉(笠智衆)は内外商事の総務次長だ。長女の京子(岡田茉莉子)、次女の夏子(有馬稲子)、三女の晴子(司葉子)はすでに嫁いで、現在は妻の信代(乙羽信子)と末娘の恵子(加賀まりこ)との3人暮しの毎日だ。その恵子も、東吉の同窓鈴鹿剛平の息子三郎(三上真一郎)と婚約して、やがて巣立とうとしている。或る夜、山樹は同窓会の席上、ガンで療養中の秋山(信欣三)にその病名を知らせる可きか否かで鈴鹿(山形勲)と口論となり、ついに恵子、三郎の縁組もあぶなくなった。だが若い二人の心は、幸せでふくらんでいた。こんな山樹に、小さな事件が訪れた。東吉の世話で、内外商事に入社した弟の康介(長門裕之)が、会社の公金を100万使い込んだのだ。後始末を頼まれた東吉は、30年かけて築きあげた地位を守らんため、預金70万を康介に手渡した。そして残りの30万を証券会社から受け取ったまま、山樹は謎の失踪をした。急拠集まった娘夫婦や、康介は、今はやりの人間蒸発ではないかと、各人各様な推理を働かせては、信代を不安に陥し入れた。河野美枝(岩下志麻)が山樹家を訪れたのは、そんな時であった。美しい娘の登場に“事件の陰に女ありと”思わせたが、実は、美枝は戦争中山樹の愛人だった美枝の母との間に生れた娘であったのだ。そして、結婚の仲人を頼みに来たのだった。山樹が家出して10日たった。こちらは大阪のジャンジャン横丁。ポン引き、コールガールのたむろするホルモン焼き屋で、快気焔をあげる山樹東吉のうれしそうな顔がある。一方山樹家では、半ばあきらめて二週間目をむかえた。そんなある日、玄関の戸を開けて“帰ったよ”と平凡な声をかけて入って来た東吉の姿に、信代をはじめ、娘たちは呆然とした。恵子と三郎の結婚も決り、山樹家に静けさが訪れた頃、秋山は遂に死亡した。数日後、山樹は、鈴鹿に失踪の理由を「動機も理由もなく、美しい空を見ていたら、いつの間にか汽車にのっていた」と語った。

大根と人参大根と人参
岩下志麻                        有馬稲子

題名:大根と人参
監督:澁谷実
製作:城戸四郎
原案:野田高梧、小津安二郎
脚本:白坂依志夫、渋谷実
撮影:長岡博之
照明:小泉喜代司
録音:大村三郎
美術:芳野尹孝
編集:杉原よ志
音楽:黛敏郎
スチール:長谷川宗平
出演:笠智衆、乙羽信子、岩下志麻、加賀まりこ、長門裕之、山形勲、岡田茉莉子、司葉子、森光子、三宅邦子、有馬稲子、加東大介、三上真一郎、信欣三、池部良、桑野みゆき、加藤芳郎
1964年日本・松竹大船撮影所/シネスコサイズ・カラー105分35mmフィルム

大根と人参大根と人参
岡田茉莉子                       加東大介 
大根と人参大根と人参
笠智衆、乙羽信子                  笠智衆、山形勲

映画「影の車」


「影の車」岩下志麻

岩下志麻                         加藤剛

今回は野村芳太郎監督1970年製作「影の車」をピックアップする。
松本清張氏原作の映画化で定評ある橋本忍さんと野村芳太郎さんのコンビが、日常性の奥に潜む恐怖を描いた作品である。主な舞台を東急田園都市線・藤が丘駅周辺の”ささおやま団地”として浜島の勤務先を旅行代理店、妻・啓子の職業をフラワー教室とするなど、時代背景を高度経済成長の進行を踏まえた設定にしている。また浜島の幼年期の回想シーン(潜在意識による被害妄想)は、多層分解処理を用いた映像効果で表現している。


「影の車」多層分解カット

【多層分解】
撮影を担当された川又昂氏と光学技術担当の石川智弘氏は、大船撮影所内に現存していた旧式のオプチカルプリンターを駆使して撮影した後のポジ・フィルムから3原色分に分解したネガを3本作り、それぞれを8~4コマ分ずらしてポジに焼く事で、全体の色がズレた画面を創り上げ、この色ずれしたフィルムの最初のネガからカラーポジと白黒ポジ2本焼いて、さらに撮影風景の明るい部分だけの素粒子を強調するハイコンポジをもう1本焼いた上で、この3本のポジを重ね焼きした。この3色分解とレリーフ効果を合わせた映像効果を多層分解と言う。


小川真由美                   岩崎加根子、滝田裕介

【ストリー】
浜島幸雄(加藤剛)はある日、幼馴染の小磯泰子(岩下志麻)の呼びかけにふりかえった。この偶然こそ、平凡な男の生涯を根底からゆさぶる運命の声であった。浜島は旅行案内所に勤続12年の係長で妻の啓子(小川真由美)は万事に社交好きで陽気である。毎日が会社と団地の往復、生活も仕事も単調で味気ない浜島は、泰子に会って同じバスに乗っただけで軽い興奮があった。二度目に泰子に会った時、すすめられるままに泰子の家を訪ねた。4年前に夫に死なれた泰子は6歳の健一(岡本久人)と二人暮し。保険の集金と勧誘でつつましい生活だ。健一は父親がないためか、孤独癖のある無口な子供だった。夢多き思春期の共通の追憶に話がはずみ、浜島の泰子への傾斜は急ピッチであった。やがて、狭い泰子の家では、健一の眼が浜島には苦手な存在になった。だが、自然の成り行きで二人は結ばれた。初夜のように白無垢の長襦袢で浜島を迎えた泰子がいじらしかった。浜島は健一を手なづけようと、心をくだいたが、その都度失敗した。浜島にも幼い日に夫を失った母と伯父との間に立たされた忘れ得ぬ記憶があったから健一の反感が必要以上に応えた。そして、健一が自分を殺そうとしている突飛な幻想に悩まされはじめた。一度は妻と別れて泰子と結婚しようと決心しながら、健一のことを考えるとまた泰子を諦らめようかと思い迷った。空閨を癒やされた泰子は啓子への後ろめたさも、浜島を見る健一の白い目にも心を向けず、ひたすら愛欲の歓びに溺れた。紅葉のころ、浜島苦心のドライブ旅行も小さな健一の本能的な男性にはね返されてしまった。浜島は再び幻影の虜になった。宿命というには、余りにも似かよった浜島自身の幼年期の体験。あの時のように俺は健一に殺される。泰子は浜島のノイローゼを満ちたりた笑いで一蹴した。しかし、おそるべき運命の符合は、悪魔のいたずらか、結末が逆になった。浜島が健一の首をしめてしまったのだ。浜島は6歳の子供である健一が鉈をふりかざして、浜島に迫った殺意を信じている。たとえ世間のすべての人が否定しようとも、かつて6歳の浜島が自覚した殺意の衝動、憎悪の瞬間を事実として告白し、一生叫びつづけなければならないのだ。


「影の車」岩下志麻

岩下志麻、加藤剛                  加藤剛

題名:影の車
監督:野村芳太郎
製作:三嶋与四治、杉崎重美
原作:松本清張「潜在光景」
脚本:橋本忍
撮影:川又昂
照明:三浦礼
録音:栗田周十郎
整音:松本隆司
美術:重田重盛
装置:中村良三
装飾:印南昇
衣裳:東京衣装
編集:浜村義康
音楽:芥川也寸志
現像:東洋現像所 光学合成:石川智弘
製作主任:吉岡博史
製作進行:玉生久宗
監督助手:山根成之
スチール:赤井博且
出演:岩下志麻、加藤剛、小川真由美、岩崎加根子、滝田裕介、芦田伸介、近藤洋介、岡本久人、永井智雄、小山梓
1970年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー98分35mmフィルム
影の車 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


「影の車」岩下志麻

芦田伸介                       岩下志麻

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