映画「秋刀魚の味」

秋刀魚の味秋刀魚の味
笠智衆                                                            岩下志麻

今回は巨匠小津安二郎監督1962年製作「秋刀魚の味」をピックアップする。
本作は小津安二郎監督の遺作となる作品だが、2013年に、松竹と東京国立近代美術館フィルムセンターが、4Kフィルムスキャニングによるのデジタル修復を行い、カンヌ国際映画祭クラシック部門で上映され、国内では神田の神保町シアターにて開催された「生誕110年・没後50年記念 映画監督小津安二郎」にて上映された。”妻に先立たれた夫、娘を嫁に出す父親”という小津監督の定番テーマをベテラン俳優陣で綴った名作だ。

作品リスト

※よくデジタル修復と称される作品を見受けるが、テレシネしてキャプチャーしたものとフィルムスキャニングしたものでは画質が全く違う。フィルムスキャニングは、1コマ毎にデジタイズ非圧縮ビットマップファイルになるのに対し、キャプチャーは、24コマを流して圧縮フォーマットで収録する。また上映プリントを作るには、フィルムレコーディングをする必要がある。これは専用レコーダーでデジタル原版を1フレームづつ1コマ撮りをネガフィルムで行う。サウンドトラックは別の工程で画と同時にポジフィルムに焼き付け完成する。(筆者解説)

秋刀魚の味秋刀魚の味
岡田茉莉子                      佐田啓二

【ストリー】
長男の幸一夫婦は共稼ぎながら団地に住んで無事に暮しているし、家には娘の路子と次男の和夫がいて、今のところ平山にはこれという不平も不満もない。細君と死別して以来、今が一番幸せな時だといえるかもしれない。わけても中学時代から仲のよかった河合や堀江と時折呑む酒の味は文字どおりに天の美禄だった。その席でも二十四になる路子を嫁にやれと急がされるが、平山としてはまだ手放す気になれなかった。中学時代のヒョータンこと佐久間老先生を迎えてのクラス会の席上、話は老先生の娘伴子のことに移っていったが、昔は可愛かったその人が早く母親を亡くしたために今以って独身で、先生の面倒を見ながら場末の中華ソバ屋をやっているという。平山はその店に行ってみたがまさか路子が伴子のようになろうとは思えなかったし、それよりも偶然連れていかれた酒場“かおる”のマダムが亡妻に似ていたことの方が心をひかれるのだった。馴染の小料理屋へ老先生を誘って呑んだ夜、先生の述懐を聞かされて帰った平山は路子に結婚の話を切り出した。路子は父が真剣だとわかると、妙に腹が立ってきた。今日まで放っといて急に言いだすなんて勝手すぎる--。しかし和夫の話だと路子は幸一の後輩の三浦を好きらしい。平山の相談を受けた幸一がそれとなく探ってみると、三浦はつい先頃婚約したばかりだという。口では強がりを言っていても、路子の心がどんなにみじめなものかは平山にも幸一にもよくわかった。秋も深まった日、路子は河合の細君がすすめる相手のところへ静かに嫁いでいった。やっとの思いで重荷をおろしはしたものの平山の心は何か寂しかった。酒も口に苦く路子のいない家はどこかにポッカリ穴があいたように虚しかった。

秋刀魚の味秋刀魚の味
東野英治郎                      杉村春子

題名:秋刀魚の味
監督:小津安二郎
製作:山内静夫
脚本:野田高梧、小津安二郎
撮影:厚田雄春
照明:石渡健蔵
録音:妹尾芳三郎
美術:浜田辰雄、萩原重夫
装置:高橋利男
装飾:石井勇
衣裳:長島勇治
編集:浜村義康
音楽:斎藤高順
現像 : 東京現像所
フィルム:アグフア・ゲバルト
監督助手:田代幸三
色彩計測:渡辺旦
撮影助手:老川元薫
デジタル修復監修:川又昂
スチール:小尾健彦
出演:出演:笠智衆、岩下志麻、佐田啓二、岡田茉莉子、三上真一郎、吉田輝雄、牧紀子、中村伸郎、三宅邦子、東野英治郎、杉村春子、加藤大介、岸田今日子
1962年日本・松竹/スタンダードサイズ・カラー112分35mmフィルム
秋刀魚の味 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

秋刀魚の味秋刀魚の味
※小津調ローアングル 50mmレンズ[スタンダードサイズ(1:1.33)]
秋刀魚の味秋刀魚の味
岸田今日子                   笠智衆、加藤大介
秋刀魚の味秋刀魚の味
岩下志麻                    笠智衆

映画「馬鹿が戦車でやって来る」

馬鹿が戦車でやって来る馬鹿が戦車でやって来る
ハナ肇                       岩下志麻

今回は山田洋次監督1964年松竹製作「馬鹿が戦車でやって来る」をピックアップした。
撮影は寅さんシリーズを長年担当された名匠高羽哲夫氏である。出演はクレージーキャッツのハナ肇、犬塚弘、谷啓、ヒロインに岩下志麻が良いティストを醸し出し喜劇を成立させている。本作にに登場した旧陸軍(愛國87号)の戦車は、新潟県の大原鉄工所が1951年に開発した「吹雪号雪上車」の試作型をベースに、300万円(映画製作当時)の費用をかけて改造したそうだ。

馬鹿が戦車でやって来る馬鹿が戦車でやって来る
犬塚弘

【ストリー】
海釣りに来た中年の男と若い男は、船頭から海辺にある“タンク根”のいわれを聞かされた。その昔日永村は変った人間ばかりが住んでいた。この村はずれに貧しい一家が住んでいた。家族は、少年戦車兵あがりで農器具の修理をしているサブと、オシで頭のよわい兵六、それにツンボの母親とみの三人暮しだ。この“汚れの一家々”といわれているサブたちは村中からのけものにされていた。村には、業つくばりの長者仁右衛門をはじめ、村会議員の市之進、セックスに明けくれる赤八、たねの夫婦。それに最近村に赴任したばかりの百田巡査などだ。なかでも仁右衛門とサブは、寄るとさわると喧嘩ばかりしていた。というのも、戦後農地解放で小作人のサブに分けてやった農地を、欲のつっぱった仁右衛門が取返そうとしているからだ。だが仁右衛門の娘紀子だけはサブ一家の味方だった。紀子は長い間病床にあったが、秋祭りが近づくころには、若い医者新吾の看病で起きあがれるようになった。やがて秋祭り。紀子は二年ぶりで村を歩いた。そんな紀子の姿を何よりも喜んだのはサブであった。紀子に誘われて全快祝いにかけつけたサブだったが、仁右衛門はにべなくサブを追い出した。腹のおさまらないサブは村中を暴れまわり、警察送りとなった。その弱みにつけこんだ市之進は、親切めかしにとみに金を貸しつけ盲判でサブの土地を抵当としてまきあげてしまった。それから数日サブの家から突然旧陸軍のタンクがとび出し、仁右衛門、市之進をはじめとして村中を踏みつぶしていった。が、その時兵六が火の見櫓で鳥の真似をして、櫓から落ちて死んだ。暴れまわったサブは、兵六の死体をタンクに乗せると、いずこともなく去っていったというのだ。--船頭の話はここで終った。

馬鹿が戦車でやって来る馬鹿が戦車でやって来る

題名:馬鹿が戦車でやって来る
監督:山田洋次
製作:脇田茂
原作:団伊玖磨
脚本:山田洋次
撮影:高羽哲夫
照明:戸井田康国
録音:小尾幸魚
美術:佐藤公信
編集:浦岡敬一
音楽:團伊玖磨
出演:ハナ肇、犬塚弘、岩下志麻、松村達雄、谷啓、花沢徳衛、東野英治郎、飯田蝶子、小桜京子、常田富士男、小沢昭一、渡辺篤
1964年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー93分35mmフィルム
馬鹿が戦車でやってくる [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

馬鹿が戦車でやって来る馬鹿が戦車でやって来る

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