映画「無警察」


「無警察」小畑絹子

天知茂                        丹波哲郎

今回は小森白監督1959年製作「無警察」をピックアップする。“無警察地帯”というある地方都市は、静岡県駿東郡小山町あたりのロケーションである様だ。冒頭に「駿河駅(現:駿河小山)」が登場する。この時代のハードボイルド日本映画は、舞台が架空の設定が多く、登場人物が無国籍なものもある。今では見られないこのティストは、逆に新鮮に見える。


「無警察」小畑絹子、丹波哲郎

小畑絹子                        朝倉彩子

【ストリー】
人呼んで“無警察地帯”というある地方都市の出来事である。市会議長・今泉(九重京司)は、市会議員の山口(岬洋二)の口ききで、ボスの松崎(丹波哲郎)とキャバレー「カンパネラ」で会った。茶畑をつぶしてゴルフ場にしようとする松崎は、強引に今泉をくどいた。が、彼は農地法に違反するばかりでなく、市民の生活権を脅やかすと拒否した。松崎に送られ、自分の車と思って乗ったその車の運転台に坐っていたのは松崎の子分だった。パンチをくらって意識不明になった今泉は、陸橋から上り列車の前に車もろとも突き落された。新聞には事故死と報道された。松崎は今泉のポケットにあった印鑑によって、すでに土地売買契約書には捺印ずみで測量にかかった。今泉の娘・玲子(朝倉彩子)の恋人である新聞記者の浩一(天知茂)は、この事件の究明を思い立った。彼は事故現場を訪れ、事故死に疑問を抱く原田刑事(大原譲二)と知り合い協力を約束した。浩一は、「カンパネラ」に行き、女給から事件当日今泉がここで松崎に会っていたことを知った。さらに張り込みを続け、裏口によく立ち現われるキャバレーのホステス・はるみ(小畑絹子)の父(石川冷)と知り合った。はるみは松崎の情婦なのだ。はるみのアパートには、麻薬密売の噂がある××商会の男が監禁されていた。その男が松崎の命令で殺し屋の手に落ちた。ちょうどはるみの部屋に無心に現われた父がその包を見た。松崎はこの老人もバラさねばと思った。翌朝、水死体が上った。そのポケットからはるみの写真が出た。浩一は松崎の仕業と直感した。浩一に説得され、はるみは自首を決意した。その前に、部屋にテープレコーダーを仕掛け、松崎をベッドに誘いながらこれまでの悪事をしゃべらせた。深夜の桟橋で、テープを浩一は受け取った。が一味に発覚、二人は「カンパネラ」の地下室に閉じこめられた。一方玲子からの電話で警官隊が駈けつけた。うち合いの後、松崎ら一味は逮捕されたのだった。


大原譲二                   丹波哲郎

題名:無警察
監督:小森白
企画:岡本良介
製作:大蔵貢
脚本:金田光夫
撮影:岡戸嘉外
照明:傍士延雄
録音:村山絢二
美術:小汲明
編集:金子半三郎
音楽:小沢秀夫
製作主任:高橋松雄
助監督:勝俣眞喜治
出演:天知茂、小畑絹子、丹波哲郎、朝倉彩子、大原譲二、沢井三郎、岬洋二、倉橋宏明、九重京司、岬洋二、石川冷
1959年日本・新東宝/シネスコサイズ・モノクロ85分35mmフィルム
新東宝映画傑作選 無警察 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


「無警察」小畑絹子、天知茂

映画「海女の化物屋敷」



瀬戸麗子、三原葉子                  万里昌代

今回は曲谷守平監督1959年製作「海女の化物屋敷」をピックアップする。
本作は「女真珠王の復讐(1956年)」「海女の戦慄(1957年)」など新東宝セクシー路線の功労者である前田通子さんが、出演辞退し新東宝を退社した経緯があり、菅原文太さんの映画初出演作品でもある。


菅原文太

【ストリー】
恭子(三原葉子)は青磯海岸の海女集落へ行った。親友の青山由美(瀬戸麗子)が亡霊に呪い殺されそうだから助けてくれといってきたのだ。青山家は青磯きっての資産家だった。父が自殺したあと、母親の狂死、姉の家出、兄の遭難、兄嫁の変死と不幸が続いた。由美は荒れた屋敷に婆やなどと住んでいた。ある夜、兄嫁ワカ(山村邦子)の亡霊から襲われ、それ以来、悩まされ続けた。それで、婦警になった恭子の助力を求めた。行方の知れぬ姉も探してもらいたかった。恭子は恋人の野々宮刑事(菅原文太)に調査をたのんだ。--加代(万里昌代)は青山家の漁場で働く海女だ。彼女が禁漁区にもぐり、新興ボス伊丹(岬洋二)の海女ヒデ(浜野桂子)と乱闘になった。海洋大学の教授という水木博士(沼田曜一)と助手の日比野(国方伝)が、近海の漁場調査のためと称して、青山家に身を寄せていた。加代は水木の研究のために禁漁区に潜ったという。--江戸川で殺人事件があり、被害者の胃中から黒真珠が出てきた。野々宮は青磯へ来、その真珠が青山家のものと同一なことを確認した。被害者はキャバレーの女給で、その部屋から木村の名刺が出てきた。木村とは水木教授と同一人ではなかろうか。亡霊事件とも関係がありそうだ。恭子は水木と加代の深い関係を知った。加代は変死したワカの妹で、青山家に怨をもっているらしい。二年前、迷宮入りになった墨田の殺人事件の被害者が家出した由美の姉だったことがわかった。--大昔、地震で海底に埋れた青山家の墓地に、財宝がかくされてあり、そのありかは由美だけが知っているのだ。水木は加代をつかってそれを探していたのだ。由美の姉は彼の手にかかった。由美をおどし、泥をはかせよう。亡霊は彼の命で、婆やが扮していたという。彼らは伊丹たちも手なずけていた。--バレたと知った水木一味は由美と恭子を捕えた。由美を海底にもぐらせ、財宝のありかへ案内させた。引上げた黒真珠を水木と伊丹がうばい合いを始めたスキに、恭子が銃をギした日比野に体当りした。弾丸は伊丹にあたった。そのとき、野々宮の誘導する警備艇が近づいてきた。--由美は恭子と野々宮の結婚の前祝にと、黒真珠をくれた。

題名:海女の化物屋敷
監督:曲谷守平
企画:小野沢寛
製作:大蔵貢
原作:葭原幸造
脚本:杉本彰、赤司直
撮影:岡戸嘉外
照明:関川次郎
録音:村山絢二
美術:宇寿山武夫
編集:神島帰美
音楽:長瀬貞夫
製作主任:川口倫二
助監督:橋本寿久年
出演:三原葉子、万里昌代、瀬戸麗子、菅原文太、浜野桂子、沼田曜一、国方伝、岬洋二、山村邦子
1959年日本・新東宝/シネスコサイズ・モノクロ82分35mmフィルム
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


瀬戸麗子、万里昌代

映画「明治天皇と日露大戦争」


嵐寛寿郎

今回は渡辺邦男監督1957年製作「明治天皇と日露大戦争」をピックアップする。
本作は、2001年にアニメ映画「千と千尋の神隠し」が2,300万人の記録を打ち立てるまで 約44年間 日本映画の最大のヒット(動員数2,200万人)だった。製作に2億円を掛け、明治天皇を登場人物にするタブーに初めて踏み込み、日露戦争をテーマにした巨編で興行収入8億円を得た。
撮影はシネスコレンズを付けたキャメラと標準レンズを付けたキャメラの2台を並べて同時撮影が行われ、「シネスコ版」と「スタンダード版」の二種類が作られ、劇場に映写用シネスコレンズがない状況に対応した。またシネマスコープサイズ(1:2.35)は、フランスの”シネパノラミック方式を大シネスコ”=新東宝スコープと称した。1957年は、東映が”東映スコープ”、日活が”日活スコープ”、東宝が”東宝スコープ”、松竹が”松竹グランドスコープ”、大映が”大映スコープ”と称し、日本の映画撮影所で採用されたのである。

【ストリー】
明治37年、ロシヤの極東侵略政策に脅威を感じた日本は、日露交渉によって事態を収めようとしたが、ロシヤ側の誠意のない態度に国内は、自衛のためロシヤを討つべしとの声が高まり、それまで開戦の国民生活に与える影響を考え慎重だった明治天皇もついに開戦のご英断を下された。かくて連合艦隊に護送されたわが陸軍は仁川に上陸を敢行し、一路満洲へと進撃を開始した。一方海軍は、旅順港にある敵艦隊を封鎖し日本海の制海権を握らんとして決死隊を編成、第一次、第二次と相次ぐ閉塞決行に遂に成功したが広瀬少佐、杉野兵曹長はじめ多くの勇士が壮烈な戦死をとげた。次いで黄海大海戦での勝利。この海軍の目覚しい活躍と同様、陸軍数10万の将兵は大陸の奥深く敵を蹴散らしていたが、敵将ステッセルの守る旅順要塞は、攻撃司令官乃木将軍以下必死の攻撃にもかかわらず噂通り難攻不落を誇っていた。乃木将軍の長男もここで戦死した。第一回の総攻撃は、新兵器機関銃の出現に15,000人の犠牲者を出して失敗に終った。一方、大山元帥が率いる他の軍団は遼陽総攻撃を行い、関谷連隊長、橘少佐を失うが、これを占領した。この間旅順要塞への攻撃は休みなく続けられ、ことに11月3日天長節を迎えて乃木第三軍は要衝203高地攻撃を決行、一時は奪取したが後続部隊が続かず、遂に乃木将軍の二男保典をはじめ全員戦死した。だが激闘幾度、38年1月遂に203高地は陥落し、ステッセルは旅順を開け渡した。続く奉天の大会戦に露軍も30万の兵を動員したが、我軍必死の猛攻に、3月10日遂に奉天入城は達成された。一方、バルチック艦隊と、東郷司令官率いる連合艦隊は対馬海峡で接触、海戦史上初の180度転回作戦によって敵艦隊を全滅した。--勝利を祝う提灯行列と万歳の声を陛下は何時までも飽かずに見守っておられた。


田崎潤

題名:明治天皇と日露大戦争
監督:渡辺邦男
企画:野坂和馬
製作総指揮:大蔵貢
原作:渡辺邦男
脚本:館岡謙之助
撮影:渡邊孝(シネマスコープ版)、西本正(スタンダード版)
特殊撮影:上村貞夫、黒田武一郎
応援監督:毛利正樹
照明:佐藤快哉
録音:鈴木勇
音響:宮原是二郎
音効:橋村義雄
美術:梶由造、黒沢治安
大道具:山野由蔵
小道具:吉岡長一郎
装飾:吉岡弘司
電飾:笠原一隆
背景:村上練三郎
化粧:佐藤末雄
衣装:新井喜一
記録:菱田和子
編集:永田紳
音楽:鈴木静一
フィルム:イーストマンコダック
現像:東洋現像所
製作主任:川口倫二
演技事務:兵藤健二
撮影助手:森田守
色温度測定:小林寛
シネスコ技術:宇田五十六
照明助手:岡庭正隆
録音助手:竹口一雄
美術助手:向坂不蓋夫
スチール:西崎新
出演:嵐寛寿郎、阿部九洲男、高田稔、田崎潤、丹波哲郎、天城竜太郎、宇津井健、高島忠夫、中山昭二、小笠原竜三郎、武村新、藤田進、岬洋二、江川宇禮雄、廣瀬恒美、原文雄、信夫英一、芝田新
1957年日本・新東宝/新東宝スコープ(シネスコサイズ)・カラー113分35mmフィルム
明治天皇と日露大戦争 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


明治天皇と日露大戦争


【出演者】

明治天皇:嵐寛寿郎
伊藤博文(元老・枢府議長):阿部九洲男
山県有朋(元老・元帥後に参謀総長):高田稔
松山正義(元老):武村新
井上馨(元老):藤田進
桂首相(陸軍大将):岬洋二
山本海相(海軍大将):江川宇禮雄
寺内陸相(陸軍大将):広瀬恒美
小村外相:原文雄
曾禰蔵相:倉橋宏明
大山元帥(参謀総長、後に満州軍総司令官):信夫英一
児玉大将(参謀次長、後に満州軍総参謀長):芝田新
伊東大将(軍令部長):中村彰
伊集院中将(軍令部次長):沼田曜一
長岡少将(後に参謀次長):広瀬康治
東郷中将(連合艦隊司令長官後に大将):田崎潤
上村中将(第二艦隊司令長官):鳥羽陽之助
片岡中将(第三艦隊司令長官):小森敏
島村少将(連合艦隊参謀長後に司令官):丹波哲郎
秋山大佐(連合艦隊参謀):明智十三郎
加藤少将(後に連合艦隊参謀長):天城竜太郎
藤井大佐(第二艦隊参謀長):小笠原竜三郎
瓜生少将(第二艦隊司令官):浪野幹雄
広瀬少佐(旅順閉塞隊指揮官):宇津井健
有馬中佐(旅順閉塞総指揮官):岡竜弘
杉野一等兵(旅順閉塞隊員):有馬新二
成川大佐(信濃丸艦長):加藤章
三笠の参謀A:若月輝夫
三笠の参謀B:沢井三郎
三笠の測定員:千葉徹
三笠の観測員:国方伝
三笠の砲手:高村洋三
三笠の分隊長:菊地双三郎
乃木大将(第三軍司令官):林寛
乃木保典(乃木大将次男):高島忠夫
伊知地少将(第三軍参謀長):中山昭二
山岡少佐(第三軍参謀、軍使):江見渉
橘少佐(静岡連隊):若山富三郎
内田軍曹(静岡連隊):鮎川浩
関谷連隊長(静岡連隊):大谷友彦
中山少尉(静岡連隊):明日香実
吉岡少佐(第三軍高級副官):泉田洋志
大島中将(第三軍師団長):国創典
白井参謀(第三軍師団長):村山京司
砲兵隊長:白川晶雄
砲兵古兵:西一樹
砲兵大砲:舟橋元
伝令:池月正
近衛兵A:和田孝
近衛兵B:小高まさる
近衛兵C:御木本伸介
出征兵士:松本朝夫
戸水博士:龍崎一郎
小野塚博士:高松政雄
青年:杉山弘太郎
老紳士:横山運平
代議士:天知茂
岡沢侍従長:細川俊夫
日野侍従:三原純
ステッセル(旅順要塞司令官):サベル・ジャミール
ロゼストウェンスキー(バルチック艦隊提督):ジャック・アルテンバイ
川上俊彦(外務省書記官、通訳)

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