映画「夜の診察室」


「夜の診察室」松坂慶子

松坂慶子                      峰岸隆之介(峰岸徹)

今回は帯盛迪彦監督1971年製作「夜の診察室」をピックアップする。
1942年から1971年まで存在した大映(大日本映画製作株式会社)末期の作品である。大映倒産後、徳間書店が2003年まで映画事業を引き継いだ。その後事業は角川映画に譲渡され、角川大映映画と称して現在に至っている。本作は、撮影所が映画を制作したプログラム・ピクチャー終焉を象徴する様な作品で、裸体描写はない。一方、日活は1971年からロマン・ポルノ制作で路線変更し、1988年まで作り続けた。

※ 日活ロマン・ポルノは、1971年11月にスタートし「団地妻 昼下りの情事(白川和子主演)」と「色暦大奥秘話(小川節子主演)」が第1作であった。


「夜の診察室」松坂慶子

真山知子                            高橋昌也、長谷川待子

【ストリー】
商品化されたセックスが氾濫する今日、人々は楽しみよりも苦しみを、喜びよりも悩みをもたらされる。この様な人人のために、あるマンションの一室に医学博士麻生周造(高橋昌也)が経営する性相談室がある。梢(松坂慶子)は大学で心理学を専攻している一方、その父の手伝いをしている女の子である。今日もまた、柳田民代(真山知子)が訪ねてきた。父が留守なため、梢は民代の話を聞いた。民代は夫の浩司(早川雄三)が性不能者であることをぶちまけ、その原因は、以前は住んでいた狭い家に妹と同居していたのに比べ、新しい広い家に移った今、二人では刺激が無さすぎるためと考え、浩司の従弟である自称ポルノ作家榊達郎(峰岸隆之介)に代役を頼んだり、いろいろ手段を用いるが矢張り駄目であったことなどを語った。翌日、麻生は気落ちした民代を慰めながら話を聞いている内、新しい家が原因だとわかり、今の寝室を元通りにするように薦めた。その夜は、柳田夫婦にとって素晴らしい夜であった。民代の電話を受けている間、中沢ルミコ(後藤ルミ)が入ってきた。ルミコの夫和彦(富川徹夫)は非常に嫉妬深く、眠る前には夫婦を手錠でつなぎ、昼間は二時間おきに電話するという非常識極まる男である。和彦の上司である殿村(藤村有弘)は、梢から中沢夫婦の問題を知らされ、和彦を麻生の所へ連れてきた。和彦は麻生に短小の悩みを話すが、それは和彦の思い違いであることがわかる。かくして、中沢夫婦にも素晴らしい二度目の新婚一夜がやってくる。数日後、梢は民代を観察している時知り合った榊と合い、性相談をしにくるいろいろな患者のことを自分自身のことの様に話したが、未経険者の耳学問とからかわれ、腹を立てた。そして榊を心理試験にかけるが、意外にも彼が選んだ写真は清潔なものばかりだった。梢は、真の愛情にうえている榊の心を知った。翌日、榊は、麻生が梢の父親だとも知らずに診察室にやってきて、死んだ妹を愛し、理想化していたため他の女性を愛せなかったが、初めて妹に似た人を愛したと告白し、それについてアドバイスを受けて帰っていった。その話を父から聞いた梢は、榊の後を追い、彼の胸に飛び込んでいった。


夜の診察室」松坂慶子

早川雄三                         藤村有弘

題名:夜の診察室
監督:帯盛迪彦
企画:林万夫
脚本:長谷川公之
撮影:中川芳久
照明:上原正一
録音:高橋温生
美術:山口煕
編集:中静達治
音楽:伊部晴美
現像:東京現像所
製作主任:井上信彦
助監督:伊藤昌洋
スチール:柳沢英雄
出演:松坂慶子、峰岸隆之介(峰岸徹)、高橋昌也、真山知子、藤村有弘、長谷川待子、小野川公三郎、早川雄三、小峯美栄子、富川徹夫、後藤ルミ
1971年日本・大映東京撮影所/シネスコサイズ・カラー88分35mmフィルム
夜の診察室 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


松坂慶子、高橋昌也            松坂慶子、峰岸隆之介(峰岸徹)

夜の診察室

映画「不良番長 のら犬機動隊」


梅宮辰夫、藤竜也                 八並映子、山城新伍

今回は野田幸男監督1972年製作「不良番長 のら犬機動隊」をピックアップする。
本作は、梅宮辰夫さん主演の不良番長シリーズ第14弾になる。共演者は、日活から藤竜也さんと深江章喜さん、大映からは 峰岸隆之介(峰岸徹)さんと八並映子さん、さらに東映ポルノ路線で人気絶頂だった池玲子さんが華を添えている。物語は、シリアスなハードボイルド色が強いという原点回帰になっている。



池玲子                       峰岸隆之介(峰岸徹)

【ストリー】
新宿を根城にした、不良番長グループ・カポネ団、番長・神坂(梅宮辰夫)を筆頭に、サブ(藤竜也)、ゼニ(峰岸隆之介)、ゴーカン(岡崎徹)、ギター(久保浩)、バクダン(誠直也)、コーラ(安岡力也)、三回戦(植田峻)、ガリ(八並映子)たちは、相変らず傍若無人に暴れまわっている。ある日、神坂は、ネリカン時代に知りあった西城(山城新伍)に再会した。西城は東京進出を企てていた。一方、カポネ団の横暴に暴力団、加納組の圧力がかかり始める。博奕場を開いていた空ビルは追立てをくい、麻薬をやると、風俗嬢圭子(池玲子)に横取りされるなど、やる事すべて裏目になってしまう。折りも折、神坂とサブは風俗嬢幹施の容疑で警察に逮捕される。ようやく出所した神坂は、この逆境にも圭子をくどき、豊満な肉体をむさぼりうそぶく。「俺たちゃ野良犬よ、暴力団相手だろうが、餌の匂いにゃ喰いつくのが身上だぜ」。はからずも藤村製薬が新型覚せい剤を製造している情報をキャッチした神坂は、カポネ団をあげてこの勝負に賭ける。先ずブツを横取し、藤村製薬をおどし、首尾よく3,000万円を獲得した。ところが、藤村(永井秀明)は、裏で加納組と結託して麻薬で莫大な利益を上げているのだ。当然の事ながら、加納組のカポネ団に対する執拗な復讐が始まる。加納(内田良平)は西城の女を押さえて、西条に神坂殺しを強制すると共に、サブを人質にする。対決する西条と神坂。その時分けて入って来たガリ。ガリは西城の妹だったのだ。サブと3,000万円の交換を要求する加納組。神坂は札束から一枚づつ札を抜き、150万円せしめ、交換に応じる。これで五分と五分、加納組の痛烈なカポネ団狩りが始まった。ゴーカン、ギター、ガリと次々と殺されていく。妹を殺され敢然と立ち上がった西条も銃弾に倒れる。「バラバラじゃいけねえ。相手のラウンドだろうが、ここは一発勝負してやるぜ」残ったカポネ団残党は、ナチのシュマイザーを主力武器に最後の殴り込みをかけるのだった。戦いは終った。生き残ったのは神坂と圭子のたった二人。虚脱した二人は狂ったようにオートバイを飛ばす。神坂の手にした現金のつまったスーツケースの蓋が開いている、宙に舞い散る札。それとも知らぬ二人は、オートバイを走らせつづける。


今井健二                     内田良平、八名信夫

題名:不良番長 のら犬機動隊
監督:野田幸男
企画:吉田達
脚本:松本功、山本英明
撮影:稲田喜一
照明:川崎保之丞
録音:内田陽造
美術:藤田博
装置:吉田喜義
装飾:神谷好孝
美粧:入江荘ニ
美容:宮島孝子
衣裳:内山三七子
擬斗:日尾孝司
記録:山内康代
編集:長沢嘉樹
音楽:八木正生 挿入歌:久保浩「海にかえろう」
現像:東映化学
進行主任:坂上順
演技事務:山田光男
助監督:三堀篤
スチール:藤井善男
出演:梅宮辰夫、藤竜也、池玲子、八並映子、渡辺やよい、山城新伍、峰岸隆之介(峰岸徹)、深江章喜、安岡力也、久保浩、内田良平、今井健二、安部徹、八名信夫、植田峻、誠直也、岡崎徹、中田博久、久保浩、植田峻、永井秀明
1972年日本・東映東京撮影所/シネスコサイズ・カラー88分35mmフィルム
不良番長 のら犬機動隊 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


八並映子、藤竜也                     不良番長 のら犬機動隊

映画「告白的女優論」

告白的女優論告白的女優論
有馬稲子、浅丘ルリ子、岡田茉莉子        三國連太郎、岡田茉莉子

今回は吉田喜重監督1971年製作「告白的女優論」をピックアップする。
本作は普通のアングルは一切なく、凝ったフレームとカメラポジションに大変な苦労をされたであろうと思う。セット撮影だけ見ても画コンテを元に入念な打ち合わせとテストなしには撮れなかったと思われるシーンが実に多い。撮影は吉田組でスチールを永年担当し、後にCF撮影で著名な長谷川元吉氏だ。凄い!

作品リスト

告白的女優論告白的女優論
岡田茉莉子、太地喜和子               浅丘ルリ子

【ストリー】
映画「告白的女優論」に出演する三女優、海堂あき(浅丘ルリ子)、一森笙子子(岡田茉莉)、伊作万紀子(有馬稲子)は二日後の土曜日にクランク・インをひかえていた。海堂あきは、まだ前作の最後の撮影のため伊豆でロケーションをしていた。その作品を監督する能勢(木村功)と海堂あきの間にはスキャンダルの噂があった。その日の撮影を終え、ホテルに帰ったあきを待っていたのは能勢の夫人桐子(稲野和子)だった。口にこそださないが、せめるような桐子。しかし、あきと能勢の間には噂されるような事実は何もなかったのだ。その夜、付人の京子(赤座美代子)と自宅に帰ったあきは、深夜、男が京子の部屋に忍び込むのを目撃した。男は能勢だった。翌朝、そっと出ていこうとする能勢と彼女は顔を合わせた。怒りにふるえる彼女が知ったものは京子の復讐。高校のクラスメートだったあきと京子は、夏休みの一日、教師(川津祐介)の下宿に遊びにいき、京子はクロロホルムをかがされ犯されたのだ。教師と京子のことをあきは学校に密告した。それ以来、京子はあきに復讐する事を狙っていたという。あきは哄笑した。眠らされていた京子に何がわかる。あの時、教師に犯されたのは自分であり、教師は私を愛していた……。遠い過去の話だった。そこに残されたものは事の真実ではなく、女のすさまじい戦いだった。京子と能勢は去った。一森笙子は突然「告白的女優論」には出演しないといいだし、マネジャーの南川(三國連太郎)を慌てさせた。笙子は、その理由を「夢の中で喉にプラスチックの球がひっかかり声が出なくなりそうだから」と説明した。彼女が、クリニックに戸山博士を訪ねて睡眠療法を受けた結果は、彼女の別居中の夫・亘理隼人が、女優志願の付人リエと抱き合っていたからだという。南川は、彼女をデビューさせた頃遊んだプールサイドに誘った。偶然プールに浮いていたプラスチックの球を見た彼女は、夢に出てきた球と同じものであることに気づき、戸山博士(早野寿郎)に知らせると、その夜若い医師波多(菅貫太郎)が彼女を訪ねてきた。笙子は夢の中に現われた夫の役を波多にふりあて、リエ、南川も交えて夢の再現を行った。それは深夜にくりひろげられた奇妙な夢の芝居だった。夫とリエ、それに笙子を抱いた男たちが次々に登場したが、南川だけは最後まで登場しなかった。笙子を育てあげたのは自分だと自負する南川の中で何かが崩れた。日曜日の午後、笙子は波多のアパートを訪ねた。自分の知らない秘密を持っていた笙子の姿を見たとき、南川は彼女がもはや遠い存在のように感じられた。車をスタートさせる笙子を追おうとした南川はトラックに轢かれた。S市は伊作万紀子の故郷だった。この町で女優になる以前の彼女は、心中事件を起こしていた。相手は母の再婚者である若い父親、この時、男を死なせ自分だけ生き残るという過去を持っていた。残雪の高原に立った彼女は、東京から同行した女友達のノブに総てを語り、本当の自分を理解してもらった上で、恋人の唐沢をノブに譲る決心をした。その夕方帰京したが、すでに母は、彼女が内緒で旅行したことを知っていた。S市から正体不明の男の声で電話があったという。その深夜、S市から再度電話がかかってきた。万紀子は受話機をとるが、相手は何も喋らず切った。それは死んだはずの父からだと万紀子は思った。翌朝、ノブが訪ねてきた。ノブは万紀子のいくつかの自殺事件--若いスターとの心中未遂、亘理隼人をめぐって一森笙子と争い、その失恋による自殺未遂--をあげ、最後に唐沢の言葉を伝えた。「自殺狂であることを承知で結婚する。それすらも伊作万紀子の魅力だ」。ノブは自らの敗北を認め去っていく。その後には裁断バサミが残されたいた。彼女はそのハサミで自らの手首を切ろうとしていたが、その時、唐沢が訪ねてきた。「君が、もし女優であるならば死ぬことはできない。死ぬことすら、君にとっては演技なのだから」。彼女の手から裁断バサミがすべり落ちた。月曜日の朝、三人の女優はロケ現場に美しい粧いをみせて登場した。そして「あなたにとって女優とは?」とインタビューされて、彼女たちはその飾られた仮面の裏に総てを隠し、答えた。いま映画「告白的女優論」の撮影が行われようとしている。三人の女優はキャメラの前に向って歩き始めた。あくまでも華麗に--。

告白的女優論告白的女優論
川津祐介、浅丘ルリ子                有馬稲子

題名:告白的女優論
監督:吉田喜重
製作:吉田喜重、岡村精、勝亦純也、磯田啓二
脚本:吉田喜重、山田正弘
撮影:長谷川元吉
照明:小林哲也
録音:瀬川徹夫
音効:福島幸雄
美術:朝倉摂
衣装:森英恵
編集:渡辺士郎
音楽:一柳慧
現像:東洋現像所
助監督:岡村精
スチール:勝又純也
出演:浅丘ルリ子、有馬稲子、岡田茉莉子、三國連太郎、木村功、原田芳雄、赤座美代子、稲野和子、月丘夢路、川津祐介、細川俊之、峰岸隆之介、太地喜和子、菅貫太郎、早野寿郎
1971年日本・現代映画社/スタンダードサイズ・カラー124分35mmフィルム
告白的女優論 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

告白的女優論告白的女優論
三國連太郎、岡田茉莉子