映画「あげまん」


宮本信子                         津川雅彦

今回は伊丹十三監督1990年製作「あげまん」をピックアップする。
伊丹監督は、リクルート事件のあった1989年5月から脚本を執筆し、舞台を料亭と財政界から採ったそうだ。それはまず芸者さんを描いてみたかったからだそうで、あげまんと関りを持つ「政治家や財界人といった人々は、彼らほどモラルを求められていながらモラルを持たない人たちはいない。モラルを持たないことに自分自身が気付いていない人たち」と言い切っている。
本作で登場するお座敷は、取り壊されてビルになる前の港区赤坂の料亭たん熊が使用され、政界の大物である大倉善武の屋敷は、護国寺の月光殿(重要文化財)が使われた。ほかに日枝神社(千代田区)境内、ホテル虎ノ門パストラル、飯田橋エドモントホテル、原宿パレフランセ、綱町三井倶楽部(映子の家)、森稲荷神社(中央区佃)、渋谷EX、日本橋北陸銀行、日比谷東宝本社屋上などが使われたそうだ。

【伊丹十三監督作品】
1984年「お葬式
1985年「タンポポ
1987年「マルサの女
1988年「マルサの女2
1990年「あげまん
1992年「ミンボーの女
1993年「大病人
1995年「静かな生活
1996年「スーパーの女
1997年「マルタイの女
※各作品のリンクは、予約投稿で表示しないページがありますが、後日表示されます。


大滝秀治、石井苗子                          宝田明、島田正吾

【ストリー】
捨て子だったナヨコ(宮本信子)は老夫婦に育てられるが、中学を出てナヨコは芸者の道を歩むことを決心する。そして芸者の置屋に預けられたナヨコはそこで一人前の芸者に成長してゆくがそんなある日、僧呂多聞院(金田龍之介)のもとに水揚げされ、彼女の人生は一変するのだった。ナヨコと暮らすようになって多聞院の位はめきめきと高くなっていったのだ。だが、間もなく多聞院は病死してしまうのだった。何年かたち銀行のOLになったナヨコは、ふとしたことからうだつのあがらない銀行員鈴木主水(津川雅彦)と知り合い、お互い愛し合うようになる、だが同時に政界の黒幕である大倉善武(島田正吾)もナヨコの“あげまん”に目をつけていた。結局主水と結ばれるナヨコだったが、出世街道を走り始めた主水は、出世のために瑛子(石井苗子 )という女と婚約してしまいナヨコと別れてしまうのだった。主水に捨てられたナヨコは大倉のもとへいき、再び芸者となった。そんな時、総理の椅子をめぐって鶴丸幹事長(北村和夫)と争う犬飼政調会長(宝田明)もまたナヨコに目をつける。その頃主水は上役の千々岩(大滝秀治)が鶴丸に政治資金を横流ししていた不正をきせられてピンチにおちいっていた。その事を知ったナヨコは、やはり主水のことが気がかりになっていた。だがその時犬飼から鶴丸が癌で先長くない命であることを知らされたナヨコは、それをネタに主水の危機を救うのだった。そしていつしか二人は永遠の愛で結ばれるのだった。


宮本信子                         橋爪功

題名:あげまん
監督:伊丹十三
製作:玉置泰
脚本:伊丹十三
撮影:山崎善弘
照明:加藤松作
特機:落合保雄
録音:小野寺修
音効:斎藤昌利 (東洋音響カモメ) リーレコ:中村洋 アドバイザー:中山義弘
美術:中村州志
装置:新井義行
装飾:山崎輝、富沢幸男、長谷川圭一、栗原牧子、山浦克己
衣装:小合恵美子、岩崎文男、宮越久美子 衣装考証:山田玲子
美粧:小沼みどり SFXメイク:江川悦子
床山:西松忠 (銀座岡米かつら)
配役:笹岡幸三郎
殺陣:中瀬博文
記録:堀北晶子
編集:鈴木晄 ネガ編集:西原昇
音楽:本多俊之
フィルム:富士フィルム (報映産業)
撮影機材:三和映材社
現像:イマジカ
撮影スタジオ:にっかつ撮影所
製作担当:川崎隆
製作進行:岩下真司、森太郎
助監督:久保田延廣
演技事務:前島良行
デスク:吉川次郎
監督助手:当摩寿史、永田智春、尾山宏伸
撮影助手:高橋聡、村石直人、福田泉、真塩隆英
特機助手:度会誠司
照明助手:沖田秀則、須賀一夫、鈴木達也、小原法行、泉田聖
美術助手:山崎秀満、近藤成之、樋田浩子
録音助手:桜井敬悟、田中靖志、石井ますみ
編集助手:普嶋信一
スタイリスト助手:石原啓子
フードスタイリスト:石森いずみ
料理コーディネイト:松本庄平
メイク助手:横瀬由美
SFXメイク助手:橋本和典
製作協力:細越省吾事務所
振付:猿若清三郎
指導:猿若清方、赤坂・育子
舞踏監修:猿若清三郎
清元三味線指導:述千八寿
プロデューサー:細越省吾
音楽プロデューサー:立川直樹
グラフィックデザイン:佐村憲一
スチール:藤沢俊夫
出演:宮本信子、津川雅彦、大滝秀治、石井苗子、島田正吾、宝田明、北村和夫、金田龍之介、一の宮あつ子、菅井きん、橋爪功、洞口依子、杉山とく子、黒田福美、横山道代
1990年日本・伊丹プロダクション+東宝/ビスタサイズ・カラー118分35mmフィルム
あげまん -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


宮本信子、津川雅彦

映画「櫂」


緒形拳                        十朱幸代

今回は五社英雄監督1985年製作「櫂」をピックアップする。
鬼龍院花子の生涯」「陽暉楼」に続き「高知三部作」の完結編である本作は、原作の宮尾登美子氏、脚色の高田宏治氏と五社英雄監督が組んだ文芸巨編で、大正初期から昭和10年代までの高知を舞台に、女衒の一家とそれに関わる様々な人間の波瀾にとんだ事件の数々を描いたものだ。

※女衒(ぜげん)は主に若い女性を買い付け、遊郭などで性風俗関係の仕事を強制的にさせる人身売買の仲介業であり、人買の一種である。


名取裕子                     真行寺君枝

緒形拳、十朱幸代                 真行寺君枝

名取裕子                     真行寺君枝

【ストリー】
大正3年、初夏の高知。縁町界隈で芸妓・娼妓紹介業を商う富田岩伍(緒形拳)は商用で大阪・神戸をまわって、旅の途中で拾った少女・菊(石原真理子)を連れて帰ってきた。富田の家には岩伍と喜和(十朱幸代)の間に病弱な長男・竜太郎(井上純一)、きかん坊の次男・健太郎(田中隆三)の息子があり、それに番頭格の庄(左とん平)、女中の鶴、若い衆の米と亀がいる。金使いの荒い岩伍のせいで、人知れず貧乏所帯をきりまわす喜和に、またひとつ菊の養育という苦労が重なった。ある日、喜和は岩伍に命じられるまま、赤貧にあえぐ裏長屋の巻に米を届けた。折悪しくそこは赤痢騒ぎ、しかも巻の無残な死骸を見た喜和は不覚にも気を失って倒れた。死んだ巻の娘・豊美を芸事修業のため、岩伍が大貞楼にあずけたのは、それから間もなくのことだった。そして大正15年5月。菊は19歳の美しい娘に成長していた。大貞楼にあずけられた豊美は名も染勇と改め、高知一の芸者になっていた。健太郎、竜太郎も19歳、17歳とそれぞれ成長していたが、喜和の心痛は竜太郎の病弱、健太郎の放蕩だった。この頃、岩伍は40歳中ばの男ざかり、豊栄座に招いた娘義太夫の巴吉と肉体関係をもっていた。かねてより女衒という恥かき稼業を嫌っていた喜和はそのことが原因で実家である小笠原家に戻っていたがそこに大貞楼の女将、大貞が訪れ、とりなしを計った。巴吉と岩伍は別れさせるが二人の間にできた子供は喜和が育てるべきだ、と。喜和はあまりの理不尽さに身体がふるえた。喜和が緑町の家に帰ってから間もなく、岩伍と対立する谷川一家の賭場で刃傷沙汰を起こし、弟をかばった竜太郎が多量の血を吐いて息を引き取った。そして一方、岩伍の子を産み落とした巴吉は高知を去り、綾子と名付けられた赤ん坊の育事は喜和の仕事となった。昭和11年5月。綾子は11歳の愛くるしい少女に成長したが、喜和は病いに倒れた。手術の末、奇跡的に命はとりとめたものの、髪を次第に失っていく悲運に見まわれた。岩伍は今では大成し、朝倉町に移っていたがそこに照という女を住まわせていた。ある日、今は父親の仕事を手伝っている健太郎は岩伍の意向で喜和に隠居を命じた。喜和は綾子を連れて実家に身を寄せたが、追い打つように岩伍からの離縁話、そして綾子を返せという達し。今では綾子だけが生きがいとなっている喜和はこれを拒否、岩伍の殴打が容赦なく飛ぶ。そのとき綾子が出刃包丁で岩伍に斬りかかった。こんな骨肉の争いがあって間もなく、喜和は大貞の意見を入れ、身を切られるような気持ちで綾子を岩伍のもとに返す決心をした。別れの日、橋のたもとで喜和は綾子が岩伍の家に入るまで見送った。喜和はひとり、岩伍の家に背を向けた。


石原真理子、井上純一             左とん平、成田三樹夫

題名:櫂
監督:五社英雄
企画:日下部五朗、奈村協、遠藤武志
原作:宮尾登美子
脚本:高田宏治
撮影:森田富士郎
照明:増田悦章
録音:荒川輝彦
美術:西岡善信
装置:野尻裕
装飾:西田忠男
背景:西村三郎
衣裳:森護
美粧・結髪:東和美粧
擬斗:土井淳之祐
刺青:毛利清二
記録:田中美佐江
編集:市田勇
音楽:佐藤勝 主題歌:小椋佳
現像:東映化学
進行主任:山本吉應
監督補佐:清水彰
助監督:長岡鉦司
スチール:渋谷典子
出演:緒形拳、十朱幸代、名取裕子、石原真理子、井上純一、真行寺君枝、白都真理、草笛光子、藤山直美、島田紳助、高橋かおり、島田正吾、成田三樹夫、左とん平、ハナ肇、園佳也子、片桐竜次、田中隆三
1985年日本・東映/ビスタサイズ・カラー134分35mmフィルム
櫂 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


十朱幸代、ハナ肇、、園佳也子

映画「女渡世人 おたの申します」



藤純子、菅原文太                  島田正吾、藤純子

今回は山下耕作監督1971年製作「女渡世人 おたの申します」をピックアップする。
本作は、藤純子さん主演の任侠シリーズ「女渡世人」の第2作だ。私は藤純子さん主演の任侠映画で最高傑作であると思う。良く練られた優秀な脚本、手抜きのない華麗な殺陣、色香を漂わせ、人情の華を咲かせる表情豊かな藤純子さんの演技、どれをとっても素晴らしい。本シリーズは残念ながら、藤純子さんの結婚引退により本作で打ち切られていた。


藤純子、三益愛子                    金子信雄

【ストリー】
ひと昔前、上州で名を売った柔政の娘、太田まさ子(藤純子)は渡世修業のため各地を点々と旅していた。大阪に立ち寄ったまさ子は、博徒南田一家の賭場で宇野の船宿浜幸の息子良吉(林彰太郎)を徹底的に負かしてしまう。博奕で負け、その上、三百円の借金まで背負った良吉は、この博奕はいかさまだといってまさ子に刃を向けたが、その時、この前田一家の客人としてワラジをぬいでいた梅田の銀三(待田京介)が飛び出し、良吉を殺してしまう。賭博の胴師をつとめたまさ子は、やくざの掟に従い、賭けの借金取立てを引受けるとともに、良吉に対する多少の憐れみもあって、良吉の故郷宇野へと旅立つのだった。その旅の途中、元やくざで今は渡り床職人として旅をする音羽清次郎(菅原文太)と出逢ったまさ子は清次郎の人柄に魅かれるようになった。宇野へとやってきたまさ子は、幸作(島田正吾)と盲目の妻おしの(三益愛子)に歓迎されるうちに、二人の暖かい心に打たれた。幸作は、良吉が背負った、三百円の借金を作るために、船宿の権利証を担保に金融業者の小西(中村錦司)に金を貸り受けるが、小西が暴力団滝島組とつながっていたため、権利証は滝島(金子信雄)の手に渡ってしまう。この街に遊廓を作ろうと前々から幸作の土地を狙っていた滝島は、権利証を手に入れると、これをタテに幸作や、それに続く長屋の住人に圧力を加え始めた。金を受取ったものの、こういった事情を知ったまさ子は滝島組に乗り込み、権利証を返すように頼むが、滝島は受けつけなかった。その頃、まさ子に横恋慕する銀三は、滝島組の助勢のため南田とともに、宇野に到着した。数日後、まさ子と共に宇野にきていた清次郎は、銀三と会った。清次郎は、銀三に弟の勘次郎を殺されたことから床職人となって銀三を捜し続けていたのだった。幸作に恩義のある清次郎は、船宿の権利証と引きかえに助命をこう銀三を見逃した。無事権利証が幸作のもとに戻ったのも束の間、滝島組の作業員として働いていた三蔵が幸作に助けを求めてきたため、これをかくまったことから、幸作は銀三に殺されてしまう。おしのの閉された瞳から流れる涙を見たまさ子は、この知らせを聞いて駈けつけた清次郎と共に滝島組へと殴り込んでいった。まさ子は傷付きながらも滝島を討つが、清次郎は銀三たちと相打ちとなり倒れる。まさ子に抱きかかえられながら清次郎は「姐さん。お前さんだけは日向に咲かしてあげたかった。」と言い残し事切れる。警察に連行されるまさ子を人々は冷たい目で見送るが、おしのは必死でまさ子の名を叫ぶのだった…。


待田京介、菅原文太                 藤純子、南利明

題名:女渡世人 おたの申します
監督:山下耕作
企画:俊藤浩滋、日下部五朗
脚本:笠原和夫
撮影:山岸長樹
照明:中山治雄
録音:中山茂二
美術:鈴木孝俊
装置:近藤幸一
装飾:山田久司
美粧・結髪:東和美粧
衣装:松田孝
技斗:谷明憲
記録:田中美佐江
編集:宮本信太郎
音楽:渡辺岳夫 主題歌:藤純子「女渡世人」
進行主任:上田正直
助監督:篠塚正秀
スチール:木村武司
出演:藤純子(富司純子)、菅原文太、島田正吾、待田京介、金子信雄、三益愛子、南利明、遠藤辰雄、三原葉子、阿井美千子、林彰太郎、中村錦司、志賀勝
1971年日本・東映/シネスコサイズ・カラー103分35mmフィルム
女渡世人 おたの申します -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


女渡世人 おたの申します

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