映画「竜馬暗殺」


中川梨絵、原田芳雄                   石橋蓮司

今回は黒木和雄監督1974年製作「竜馬暗殺」をピックアップする。
本作は、16mmフィルムで撮影され35mmにブローアップして上映された作品である。
白黒フィルムは、EKプラスエックス、ダブルエックスを使用したと思われるが、狙いで増感現像し粗粒子にしている。オリジナルネガから新たに作られたニュープリントをHDVテレシネしたD5テープを基に、DVD用オーサリングでNTSC方式に変換したデジタルぺーカムを使用したそうだ。それをキャプチャーしてデータ化(MPEG圧縮)したのがDVDである。ブローアップにこの工程で、暗部は潰れハイライトは飛んでいる。幕末青春群像の雰囲気は出ているが、35mm上映プリントで観たかった。


桃井かおり                        松田優作

【ストリー】
慶応3年11月13日。氷雨の下、京の街並を走り抜けていく男がいた。海援隊の常宿“酢屋”から“近江屋”の土蔵へ身を移す、坂本竜馬である。新しい時代を求めて、抗争と内紛の絶えなかったこの頃、身の危険を感じての竜馬の逃亡だったが、佐幕派の密偵がこれを見逃すはずがなかった。佐幕派はもちろん、大政奉還後の権力のせめぎあいから、勤皇派からもさえ竜馬は“危険な思想家”として狙われていた。しかし近江屋へ移った竜馬は意外なほど悠然とかまえていた。竜馬はすぐ隣の質屋に囲われている幡と知り合い、急速に接近した。だが、幡の許に通っている男が、新撰組隊士・富田三郎であることは知る由もなかった。そんな竜馬を狙わざるを得ない立場に追い込まれたのは、かつての同志、陸援隊々長・中岡慎太郎である。竜馬への友情を棄てきれない慎太郎は、竜馬を自分以外の男の手にはかけさせない、と決心していた。その慎太郎には近江屋の娘・妙という恋人がいた。妙は竜馬のかつての恋人である。一方、竜馬を狙う薩摩藩士・中村半次郎配下のテロリストで右太という瀬戸内の漁村から出奔した少年がいた。右太は幡の弟であった。十一月十四日。集団舞踏“ええじゃないか”を待つ町人や百姓たちをよそに、竜馬を狙う右太、慎太郎、そして幕府の密偵たち。狙われていることを知りながら慎太郎への友情を棄てきれない竜馬は、慎太郎に会うために女装して“ええじゃないか”の群にまぎれ込んだ。一方、幡は痴話喧嘩のはずみで、富田を殺害していた。その頃、“権力”は慎太郎をも抹殺することを決意していた。十一月十五日。この日、土蔵から近江屋の二階に移った竜馬と慎太郎は、何者かの手にかかって暗殺された。竜馬と慎太郎を殺し、右太をも葬り去ったのは、一体何者だったのか。“竜馬暗殺”を目撃した唯一の証人、幡は、折から叶屋になだれこんだ“ええじゃないか”にまぎれ込んで、二度と姿を現わすことがなかった……。


田村亮                         中川梨絵

題名:竜馬暗殺
監督:黒木和雄
企画:葛井欣士郎、黒田征太郎、富田幹雄
製作:葛井欣士郎、黒田征太郎、富田幹雄、宮川孝至
脚本:清水邦夫、田辺泰志
撮影:田村正毅
照明:上村栄喜
録音:加藤一郎
音効:中村幸雄
美術:山下宏
装飾:金杉正弥
衣裳:福富英治 (京都衣裳)
抜髪:福山善也
結髪:大沢菊枝
殺陣:久世竜
記録:安藤豊子
編集:浅井弘
音楽:松村禎三
撮影機材:三和映材社、記録映材社、青林舎
照明機材:東洋照明、加藤澄弘、C.T.C
現像:東京現像所
助監督:後藤幸一
監督助手:中田新一、李学仁
撮影助手:川上皓市、小林達比古、篠田昇
照明助手:栗田泰冶、淡路俊之、小原輝明
録音助手:矢野勝久
編集助手:鶴淵允寿、松永恒男
製作助手:岩城信行、山口秀矢
美術協力:阿部三郎、新富浩之、村山義博
抜髪助手:山崎邦夫
製作デスク:小松幸子
録音スタジオ:セントラル録音
題字:野坂昭如
協力:映像京都、東放制作、久世七曜会、人力舎
スチール:浅井慎平、佐々木美智子
出演:原田芳雄、松田優作、桃井かおり、石橋蓮司、中川梨絵、山谷初男、外波山文明、平泉征、田中筆子、田村亮、田中春男、粟津號、野呂圭介、川村真樹、天坊準、石井宣一、伴勇太郎、秋元健、西村克己、赤石武生
1974年日本・映画同人社+日本ATG/スタンダードサイズ・モノクロ118分16mmフィルム
竜馬暗殺 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


中川梨絵、原田芳雄、松田優作、石橋蓮司         竜馬暗殺

映画「日本侠客伝 花と龍」


高倉健                        星由里子

今回はマキノ雅弘監督1969年製作「日本侠客伝 花と龍」をピックアップする。
前作「絶縁状」編において任侠道の終焉を描いていたが、日本侠客シリーズ第9作は、物語の時間軸を明治時代の九州に戻して原点回帰した様だ。星由里子さんの九州女は瑞々しく、博徒の藤純子さんは痺れる。本作がマキノ雅弘監督最後のシリーズ作となった。

【追記・訃報】
映画「若大将」シリーズのヒロイン役などで人気を博した女優の星由里子(ほし・ゆりこ 本名清水由里子=しみず・ゆりこ)さんが2018年5月16日に京都市の病院で死去した。享年74歳。東京都出身。葬儀・告別式は親族のみで営まれる。後日お別れの会を開く予定。1958年、東宝が募集した「ミス・シンデレラ娘」に選ばれて芸能界入りし、映画「すずかけの散歩道」で女優デビュー。加山雄三さん主演の映画「若大将」シリーズに加山さんの恋人役として出演し、人気となった。NHK連続テレビ小説「あぐり」やミステリードラマ「科捜研の女」など、テレビドラマでも活躍した。
(2018年5月18日東京新聞 TOKYO WEBより)


藤純子                        津川雅彦

【ストリー】
玉井金五郎(高倉健)が、親友大田新之助(二谷英明)のもとで沖仲仕を始めたのは、日露戦争が終った頃。金五郎は、生来の度胸と腕で、新之助や組長の山尾(内田朝雄)を喜ばせた。金五郎が大村組との喧嘩で怪我をした時、林助(山本麟一)の妹マン(星由里子)が見舞いに来た。その時、金五郎はマンにライターを贈った。ところが、それが縁で、九州一の大親分吉田(若山富三郎)と対面することになった。吉田が、彦島を視察した日、吉田に付添っていた芸者がライターを珍しがり、吉田の子分がそれを力づくで取りあげようとしたのだ。その時、金五郎は毅然たる態度で「子分の非は親分の罪」と、吉田に頭を下げさせた。だが、この一件は同席した伊崎(天津敏)を怒らせ、仕返しを恐れる山尾は金五郎を追出した。それから2年、マンと世帯を持った金五郎は、永田組の助役になっていた。その頃、戸畑では、若松の伊崎組を筆頭とする共働組合と永田・大庭組が牛耳る連合組合が対立していた。金五郎がお京(藤純子)と、会ったのはそんな折だった。お京は伊崎のさし回しでこの地に乗込んできたのだ。一方、伊崎は、パナマ船への積荷作業から手を引くよう永田に迫った。新之助らが伊崎に身を売り、永田組を荷役から引かせるため契約書を作ったのだ。昔仲間の裏切りに怒り、金五郎は決闘を申入れた。だが、その場は島村の仲裁でおさまった。やがて永田が、金五郎に玉井一家をおこさせた。伊崎らは、その歓迎会の帰途を襲い、林助を殺した。そればかりか、共働組合は荷主を脅し、すべての仕事を連合組合から奪いさった。金五郎は新之助の加勢を得て悪徳伊崎を倒した。


若山富三郎                    小松方正、天津敏

南風夕子、上田吉二郎               高倉健、小松方正

題名:日本侠客伝 花と龍
監督:マキノ雅弘
企画:俊藤浩滋、矢部恒
原作:火野葦平
脚本:棚田吾郎
撮影:飯村雅彦
照明:川崎保之丞
録音:広上益弘
美術:藤田博
装置:吉田喜義
装飾:佐藤善昭
殺陣:日尾孝司
刺青絵師:毛利清二
記録:高津省子
編集:田中修
音楽:木下忠司
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学工業
製作主任:武田英治
助監督:沢井信治
スチール:遠藤努
出演:高倉健、星由里子、二谷英明、津川雅彦、水島道太郎、山本麟一、小松方正、川村真樹、高橋とよ、三島ゆり子、上田吉二郎、天津敏、藤純子、若山富三郎
1969年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー112分35mmフィルム
日本侠客伝 花と龍 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


「日本侠客伝 花と龍」星由里子

「日本侠客伝 花と龍」藤純子

映画「エロスは甘き香り」

エロスは甘き香りエロスは甘き香り

今回は藤田敏八監督1973年製作「エロスは甘き香り」をピックアップする。
本作は日活ロマンポルノのカテゴリで製作されたものだが、脚本が大和屋竺氏との共同である。空気感が1981年製作「スローなブギにしてくれ」に似ている。また助監督にタイトルされた長谷川和彦氏は、当時日活契約の助監督だった。その後1975年よりフリーとなり、1982年にディレクターズ・カンパニーを大森一樹、相米慎二、高橋伴明、根岸吉太郎、池田敏春、井筒和幸、黒沢清、石井聰亙、各氏と共に設立した事は有名だ。主演の桃井かおりさんは、「愛ふたたび(1971年)」「あらかじめ失われた恋人たちよ」「赤い鳥逃げた?(1973年/藤田敏八監督)」に続いて本作出演となり、「青春の蹉跌(1974年)」「竜馬暗殺(1974年)」と続くが、ロマンポルノは本作のみである。撮影は「八月の濡れた砂/藤田敏八監督」の萩原憲治氏。

※長谷川和彦氏は、1976年ATG「青春の殺人者」で監督デビューをした。

エロスは甘き香りエロスは甘き香り
伊佐山ひろ子

【ストリー】
カメラマン浩一、服飾デザイナー悦子、漫画家志望の昭、バーのホステス雪絵の四人が同棲生活を始めたのには深い理由があったわけではない。浩一は仕事がな く、悦子のところにころがり込み、半ばヒモのような暮しをしていた。売れない劇画を描いて、行くところのなくなった昭は、愛人の雪絵を連れて浩一たちのと ころに居候をきめこんでしまった。共同同棲生活が始まったのはそれからである。ある日、酔った雪絵を、浩一は衝動的に抱い てしまった。雪絵はそれを待っていたかのように彼を迎え入れた。昭は仕事をしない浩一に意見するかのように、売れない劇画を描き始めた。今度こそはと、描 き上った作品を出版社に持ち込んだが、やはり不採用だった。失望にやけっぱちで飲んだ酒のいきおいで彼は悦子を抱いてしまった。そんな彼を悦子はやさし く、つつみこむのだった。

エロスは甘き香りエロスは甘き香り
桃井かおり                                                                        高橋長英

その頃、浩一は行きつけの居酒屋の主人・久生からワイ写真のモデルを依頼されていた。相手は久生の女・雀である。浩一はヒモの自 分から刹那的にも逃れるためにモデルを承知し、雀と幾多の交じわりをするのだった。ファインダーからそれをのぞく久生の目はぎらぎらと輝いていた。数日後 雪絵は共同生活に嫌気がさして、部屋から出て行った。誰も止めようとはしなかったし、止める権利のないことも知っていた。そして、ワイ写真のモデルとなっ た浩一と、劇画を諦らめた昭と、二人のヒモを持った悦子の三人の奇妙な生活が、あてどもなくつづいていった……。

エロスは甘き香りエロスは甘き香り
高橋長英                                                                           桃井かおり

題名:エロスは甘き香り
監督:藤田敏八
脚本:大和屋竺、藤田敏八
撮影:萩原憲治
照明:高島利隆
美術:徳田博
編集:井上治
音楽:樋口康雄
助監督:長谷川和彦
出演:桃井かおり、高橋長英、伊佐山ひろ子、川村真樹、山谷初男
1973年日本・日活/シネスコサイズ・カラー75分35mmフィルム
エロスは甘き香り [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。