映画「駅前旅館」


森繁久彌                         淡島千景、伴淳三郎

今回は豊田四郎監督1958年製作「駅前旅館」をピックアップする。
“駅前シリーズ”は、1958年から1969年まで東京映画で制作された喜劇である。
レギュラー陣はほぼ変わらず25作品が作られた。

【東京映画・駅前シリーズ】
1958年「駅前旅館」
1961年「喜劇 駅前団地」「喜劇 駅前弁当」
1962年「喜劇 駅前温泉」「喜劇 駅前飯店」
1963年「喜劇 駅前茶釜」
1964年「喜劇 駅前女将」「喜劇 駅前怪談」「喜劇 駅前音頭」「喜劇 駅前天神」
1965年「喜劇 駅前医院」「喜劇 駅前金融」「喜劇 駅前大学」
1966年「喜劇 駅前弁天」「喜劇 駅前漫画」「喜劇 駅前番頭」「喜劇 駅前競馬」
1967年「喜劇 駅前満貫」「喜劇 駅前学園」「喜劇 駅前探検」「喜劇 駅前百年」
1968年「喜劇 駅前開運」「喜劇 駅前火山」
1969年「喜劇 駅前桟橋」


フランキー堺                              淡島千景

【ストリー】
“私、駅前の柊元(くきもと)旅館の番頭でございます”生野次平(森繁久彌)は30年の経験をもつ「お帳場様」である。上野界隈も昔とはずい分変ったものだ。柊元旅館は今日も修学旅行の団体客でごったがえしている。馴染みの旅行社の添乗員・小山(フランキー堺)が忙しく中学生をさばく。次平は山田紡績の社長一行のなかの女客に二の腕をつねられた。その女客は女中のお京(三井美奈)に伝言を残すと発っていった。次平には気の合った番頭仲間が四人いた。そのうちの高沢(伴淳三郎)に尻尾をつかまれ、今度の慰安旅行の幹事にされた。その役は艶聞を立てた者に振りあてられることになっていたのだ。馴染みの飲み屋・辰巳屋のお辰(淡島千景)のところで行先を江の島と決めた。夏の江の島には全国から番頭たちが客引の腕をみがきにくる。昔、ここで次平や高沢は芸を張り合ったものだ。次平は彼をつねった女のことをやっと思い出した。於菊(淡路恵子)--江の島時代の旅館の豆女中だった。間もなく、例の山田紡績の女工たちの団体がやってきた。於菊が保健係の先生と共に引卒していた。次平は席を設けて於菊と会ったが、“旅の恥はかきすてというような気持……”といった於菊の言葉が彼のカンにさわった。社長の妾で工場の寮長に納って満足気な女の手前勝手だ。“お前、宿へ帰んなよ”彼には昔流の意地があった。--下級旅館の強引な客引・カッパの連中が格元に泊った女学生三人を怪我させた。次平は主人から怒鳴られ、小山は自分の客から怪我人が出てクサった。次平は一計を案じ、上野駅前浄化運動を始め、カッパ連中を締め出す看板を一帯にめぐらした。本部は辰巳屋に置いた。カッパ連は次平を出せと柊元に押しかけた。因っているお内儀を助けようと、次平は暇乞いの口上を述べたが、主人(森川信)がそれを利用し、本当に彼をクビにした。彼はさっと最後の客引きの手際を見せるとそのままを消した。その夜、小山もお京を連れて柊元を出、大阪を目指した。次平は追ってきたお辰と一緒に日光行の二等車に収っていた。住み慣れた上野の火がのろのろと二人の目前を動いていった。


森繁久彌、三井美奈                         淡島千景、森繁久彌

題名:駅前旅館
監督:豊田四郎
製作:佐藤一郎
原作:井伏鱒二
脚本:八住利雄
撮影:安本淳
照明:石川緑郎
美術:松山崇
録音:渡会伸
編集:岩下廣一
音楽:団伊玖磨
現像:東洋現像所
製作主任:大久保欣四郎
製作補:金原文雄
助監督:廣沢栄
スチール:山崎淳
出演:森繁久彌、伴淳三郎、フランキー堺、淡島千景、淡路恵子、三井美奈、草笛光子、山茶花究、森川信、藤木悠、都家かつ江、若水ヤエ子、左卜全、多々良純、藤村有弘
1958年日本・東京映画/東宝スコープ(シネスコサイズ)・カラー109分35mmフィルム
喜劇 駅前旅館 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


駅前旅館                            淡島千景、森繁久彌

映画「喜劇 初詣列車」


渥美清                                 佐久間良子

今回は瀬川昌治監督1967年製作「喜劇 初詣列車」をピックアップする。
本作は、東映が1967年に東宝や松竹の喜劇映画に対抗し、国鉄の全面協力で製作した喜劇列車シリーズの第3作(最終作)だ。翌年からスタートする松竹の「男はつらいよシリーズ」の渥美清さんが、寅さんを演じる前に撮られたシリーズである。尚、前作は「喜劇 急行列車」「喜劇 団体列車」である。


城野ゆき                             楠トシエ、中村玉緒

川崎敬三                              小松政夫、渥美清

【ストリー】
国鉄の車掌の新作(渥美清)は、妻幸江(中村玉緒)と、平凡だが幸せな毎日を送っていた。ある日、列車の中で幼な馴染みの美和子(佐久間良子)と会った新作は、何故か沈みがちな彼女を元気づけた。幼い頃から新作の憧れの的だった美和子は、新潟地震で父母を失い、芸者になりながら、行方不明になった弟の研吉(小松政夫)を探しているということだった。新作はそんな美和子のために、何かと相談相手になってやるのだった。ところが、事情を知らない幸江は、そんな新作を見て、浮気をしているのではないかと疑い出したのである。新作はそれに構わず、研吉を探すために四方八方を駆けずり回った。彼は、研吉とは恋仲で、行方知れずになった研吉を探している房子(城野ゆき)と会った。房子の言葉から、研吉が平凡な生活に愛想をつかしてフーテンになったらしいと知った新作は、前衛芸術家の溜り場、ソープランド、深夜スナックなどを探し歩いた。ある日、彼はついにフーテン姿の研吉を探しあてた。根の正直な新作は、フーテンの心理は理解出来なかったが、ともかくも普通の平凡な生活にこそ、本当の幸せがあるのだと熱心に説き、はては自らフーテン姿になって、研吉の心を理解しようと努めるのだった。一方、幸江は新作が女にもてるはずはない、と思いながらも、やはり心おだやかではなく、新作の弟夏男(川崎敬三)に頼んで、夫の行状を調べてもらったりした。そんな時、研吉を連れた新作が、フーテンの飲むクスリを飲み、フラフラになって家に帰ってきた。新作の姿に驚いた幸江は、気が狂ったのではないかと泣いたり、医者を呼んだり、大騒ぎを演じた。そこへ新作から、研吉発見の知らせを受け取った美和子がやってきた。美和子から事情を聞いた幸江は、すっかり今までの誤解をといた。研吉も、新作の尽力で鉄道弘済会に勤めることが決った。やがて正月が来た。春に式を挙げることに決った研吉と房子を伴ない、新作夫婦はお伊勢参りに出発した。ちょうど彼らの乗った新幹線の列車の窓からは、二見ケ浦から昇る新年の太陽が望まれた。


若水ヤエ子、西村晃                     左卜全、渥美清

題名:喜劇 初詣列車
監督:瀬川昌治
企画:秋田亨、加茂秀男
製作:大川博
脚本:舟橋和郎
撮影:西川庄衛
照明:元持秀雄
録音:井上賢三
美術:北川弘
編集:祖田富美夫
音楽:河辺公一
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
進行主任:伊藤源郎
助監督:高桑信
スチール:丸川忠士
出演:渥美清、中村玉緒、佐久間良子、川崎敬三、小松政夫、城野ゆき、楠トシエ、西村晃、財津一郎、若水ヤエ子、財津一郎、左卜全
1967年日本・東映/シネスコサイズ・カラー91分35mmフィルム
喜劇 初詣列車 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


城野ゆき、小松政夫                          国鉄165系電車

映画「俺の空だぜ!若大将」


加山雄三                        酒井和歌子

今回は小谷承靖監督1970年製作「俺の空だぜ!若大将」をピックアップする。
若大将シリーズの第16作は、小谷承靖第一回監督作品、制作会社は東京映画である。スカイダイビングのシーンは、アメリカで降下経験があったという加山雄三さんが行う予定であったが、藤本真澄プロデューサーの厳命で降下場面はすべてスタントを立てたそうだ。ロケーションは、伊豆、箱根、伊豆大島で行われている。また飯田蝶子さんと左卜全さんは、本作が最後のシリーズ出演となり、1952年から東宝の専属契約だった久慈あさみさんは、最後の映画出演(以降はフリーでテレビや舞台での活躍)となった。


田中邦衛                      大矢茂、加山雄三

【ストリー】
若大将、田沼雄一(加山雄三)は東海建設の計画部員。雄一とクラスメートだった青大将、石山新次郎(田中邦衛)は社長の父、剛三(北竜二)の庇護で専務の椅子に坐っているが雄一の家“田能久”の近くにマンションの建設を計画し、着々と土地の買収をはじめている。近所の“梅の湯”の常吉(伴淳三郎)も立ちのきの交渉を受けているが、なかなか首をたてにふらない。住民と会社の板ばさみになり苦況に立つ雄一を見て、常吉の世話になっている塚本節子(酒井和歌子)、敏子(松村幸子)の姉妹は彼に好意を持つようになる。そんな時、雄一は大学の後輩太田茂夫(大矢茂)と綿貫の懇請で母校に新設されたスポーツ・パラシュート・クラブのコーチに就任、発足パーティで大林英子(應蘭芳)と知りあう。一方青大将は節子に一目惚れしてしまった。いよいよ東海建設は“梅の湯”の隣りにマンションの工事を着手する。足場から女湯をのぞきこんでいた青大将は足をすべらせて落下し、常吉の額にケガをさせてしまう。久太郎(有島一郎)は常吉への詫びのしるしに、雄吉を勘当してしまうのだが、雄一はケガをした常吉に対し会社側に誠意ある態度を望むが受けいれられず、怒った雄一は辞表を叩きつけ、会社をとび出した。英子は節子というライバルを除外するため青大将と手を組み青大将と節子を結ばせることによって、自分が雄一と結婚する策略をたて、そして伊豆でゴルフをしている父(上田吉二郎)にあわせるために、雄一を伊豆にさそう。そんな時、青大将は節子を伊豆沖の離れ島に旅行にさそい強引に結婚をせまったが、その最中マムシに噛まれ仰天。急報をうけた青大将の父、剛三は若大将に救助を求めてきた。血清を持ち小型飛行機で島へ飛ぶ雄一と茂夫。茂夫の見事なスカイ・ダイビングで青大将は救われる。すべて誤解もとけた雄一と節子は明るい笑顔で見つめあった。


應蘭芳                      有島一郎、飯田蝶子

久慈あさみ                  菱見百合子(ひし美ゆり子) 

伴淳三郎、田中邦衛、加山雄三              上田吉二郎

題名:俺の空だぜ!若大将
監督:小谷承靖
製作:藤本真澄、安武龍
脚本:田波靖男
撮影:逢沢譲
照明:比留川大助
録音:原島俊男
整音:西尾舞
美術:薩谷和夫
編集:諏訪三千男
音楽:広瀬健次郎 主題歌:加山雄三「美しいビーナス」
現像:東京現像所
製作担当:大久保欣四郎
監督助手:奥村正彦
協力:ジャパン スカイダイビング クラブ
スチール:中山章
出演:加山雄三、酒井和歌子、田中邦衛、大矢茂、江原達怡、有島一郎、飯田蝶子、久慈あさみ、應蘭芳、中真千子、菱見百合子(ひし美ゆり子)、松村幸子、藤木悠、上田吉二郎、左卜全、伴淳三郎、北竜二
1970年日本・東京映画/東宝スコープ(シネスコサイズ)・カラー105分35mmフィルム
俺の空だぜ!若大将 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


左卜全                      加山雄三、酒井和歌子

「俺の空だぜ!若大将」酒井和歌子

舞台になったレストランOAKは、成城通りのバス停「ゴルフ練習場前」にあった。
次回作「若大将対青大将」でも登場する。

現在の成城通りのバス停「ゴルフ練習場前」にOAKはない。世田谷区成城7丁目 Google Mapより

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