映画「あに・いもうと」


京マチ子                      久我美子

今回は成瀬巳喜男監督1953年製作「あに・いもうと」をピックアップする。
本作は、成瀬監督が大映で撮った2作品(本作と「稲妻」)で当時、映画監督を志していた女優の田中絹代さんが監督見習いとして参加し、成瀬監督から映画作法、演出術を学んでいたそうだ。

【追記。訃報】
女優の京マチ子(本名・矢野元子=やの・もとこ)さんが、2019年5月12日に心不全のため都内の病院で亡くなったと、14日、東宝が発表した。享年95。京さんの生前の遺志により、この日、石井ふく子さん(92)ら数名の友人の立ち会いのもと、密葬が営まれた。石井さんによると、数年前、京さんがハワイへ赴き、自ら手配したお墓に入るという。京さんは49年に映画会社の大映に入社し、女優デビュー。映画「羅生門(1950年)」「雨月物語(1953年)」など数々の名作に出演した。遺作は2006年の舞台「女たちの忠臣蔵(石井ふく子演出)」。
スポーツ報知5/14(火) 17:25配信


森雅之、久我美子

【ストリー】
昔は川師の親方として名を売った赤座(山本礼三郎)も、堤防の工事を県にとられて以来落ち目である。それに娘のもん(京マチ子)が奉公先で学生の小畑(船越英二)と関係し、妊娠して家に戻って来たので、近頃特に機嫌が悪い。末娘のさん(久我美子)は姉の送金で看護婦の学校へ行っており、うどん屋の養子鯛一(堀雄二)と一緒になりたい気持があるが、もんの不始末が知れた以上望みはない。兄の伊之吉(森雅之)はもんを可愛がっていただげに余計腹が立ち、身重のもんへ悪態を浴びせ、居たたまれなくなったもんは居所も知らさず家を出て行く。或る日、小畑がお詑びに訪ねて来たが、伊之吉はその帰り途小畑を殴ってしまった。鯛一は他の女との縁組を迫られ、さんと駈け落ちしようと決心するが、さんは二人が勇気さえ持っていれば駈け落ちまでしなくてもとたしなめて学校へ帰ってゆく。--それから暫く赤座の家は、もんもさんも戻って来ず淋しげだった。翌年のお盆、久し振り二人が帰って来た。鯛一は結婚してうどん屋の若主人に納っており、さんも今はその話をひとごとに聞ける様になっていた。伊之吉はもんの顔を見ると相変らず悪態をつき、小畑を殴ったことまで言ってしまう。もんは今ではいかがわしい暮しで毎日を送っている女であり、伊之吉の悪態をも聞き流していたが、小畑が殴られたと聞いては黙っていられなかった。別に今更小畑とどうのこうのと考えはしないが。--翌日、もんとさんは又家を後にする。兄妹喧嘩はしてもやはり二人は家が懐しかった。


山本禮三郎、浦辺粂子                  船越英二

題名:あに・いもうと
監督:成瀬巳喜男
企画:三浦信夫
原作:室生犀星
脚本:水木洋子
撮影:峰重義
照明:安藤真之助
録音:西井憲一
音効:花岡勝次郎
美術:仲美喜雄
装置:小宮清
装飾:尾上芳夫
小道具:永川勇吉
衣裳:堀口照孝
結髪:篠崎卯女賀
記録:堀本日出
編集:鈴木東陽
音楽:齋藤一郎
製作主任:西沢康正
助監督:西條文喜
撮影助手:中尾利太郎
製作進行:坂根慶一
監督見習い:田中絹代
スチール:椎名勇
出演:京マチ子、久我美子、森雅之、山本禮三郎、浦辺粂子、船越英二、潮万太郎、堀雄二、宮島健一、本間文子、高品格
1953年日本・大映/スタンダードサイズ・モノクロ86分35mmフィルム
あに・いもうと -DVD-
2019年7月現在、DVDレンタルはありません。


浦辺粂子、森雅之

京マチ子

映画「稲妻」


高峰秀子

今回は成瀬巳喜男監督1952年製作「稲妻」をピックアップする。
本作は黒澤明、小津安二郎、溝口健二と並び称される名匠、成瀬巳喜男監督が「おかあさん」に次いで高峰秀子さんを主演に迎えて女の弱さ、醜さ、美しさを描いたものだ。昭和27年の東京の知る由もない風景に感動する。


浦辺粂子、高峰秀子              小沢栄太郎、三浦光子

【ストリー】
清子(高峰秀子)は観光バスの案内嬢をしているが、次姉の光子(三浦光子)も長姉の縫子(村田知栄子)も結婚している。この三人と兄の嘉助(丸山修)とは、母おせい(浦辺粂子)が腹をいため子であったが、四人とも父がちがっていた。縫子が清子に両国のパン屋の綱吉(小沢栄太郎)との縁談を持って来たが、清子には縫子夫婦が、それを種に金儲けのうまい綱吉を利用しようとしている腹が見えていやだった。次姉の夫呂平が急死するが、その後に妾のリツ(中北千枝子)と子供が残されていたことがわかった。光子は泣くに泣けないような気持で、綱吉の新しくはじめた渋谷の温泉旅館へ手伝いに行くが、そこへ縫子は女房気取りでいりびたってしまい、無能な夫の龍三(植村謙二郎)は仕方なくおせいの許へころげ込んで来るのだった。それでも綱吉は図々しく清子を追いかけていたが、彼女がおせいの許を出て、杉山とめの家に下宿して一人の生活をはじめると、自分の望みに見込みのないことを悟り、嘉助の就職の件をご破算にしてしまうような男だった。光子は呂平の保険金がはいると喫茶店をはじめるが、綱吉はその光子の許へも旦那然とはいり込んでしまうのだった。しかし清子はとめの家の隣家国宗周三(根上淳)とその妹のつぼみ(香川京子)と知り合いになり、清らかな生活雰囲気にほっとした気持になるのだった。ある日おぬいが清子の下宿へたずねて来た。縫子と綱吉を間にしてもつれた光子が行方不明になったという。清子になぐさめられ、彼女の虎の子の貯金をもらったおぬいは、折からの稲妻に、稲妻のきらいだった光子はきっと帰ってくるよと、家路へ急ぐのだった。


村田知栄子                    香川京子、根上淳

題名:稲妻
監督:成瀬巳喜男
企画:根岸省三
原作:林芙美子
脚本:田中澄江
撮影:峰重義
照明:安藤慎之助
録音:西井憲一
美術:仲美喜雄
音楽:齋藤一郎
出演:高峰秀子、三浦光子、村田知英子、小沢栄、丸山修、浦辺粂子、植村謙二郎、中北千枝子、根上淳、香川京子
1952年日本・大映東京撮影所/スタンダードサイズ・モノクロ87分35mmフィルム
稲妻 -DVD-
2019年6月現在、DVDレンタルはありません。

映画「銀座化粧」

銀座化粧銀座化粧
田中絹代                      香川京子

今回は成瀬巳喜男監督1951年製作「銀座化粧」をピックアップする。
本作は東宝争議の影響で成瀬監督が初めて新東宝で監督した作品だ。映画評論家から新東宝のプロデューサー兼脚本家に転じた岸松雄氏による脚本は、雑誌”近代映画”に井上友一郎氏が連載した原作を大きく改変したそうだ。戦後からそうたっていない銀座4丁目、築地付近、新富町の実景が貴重なものとなっている。

銀座化粧銀座化粧
田中絹代                    花井蘭子、田中絹代

【ストリー】
雪子(田中絹代)は、十何年銀座で女給をしている女である。焼け残った新富町界隈の長唄の師匠杵屋佐久(清川玉枝)の二階を借りて、昔の情人藤村(三島雅夫)との間の子供春雄(西久保好汎)と暮らしている。その藤村は、戦後落ちぶれて、相変わらず雪子に小使銭をせびりにくる有りさまだった。昔の朋輩静江(花井蘭子)は、葛西(小杉義男)という関西商人の世話になってのんきに暮らしているが、いつも雪子に旦那を持てとすすめるのだった。雪子の勤め先の酒場のマダム幸子(津路清子)が、二十五万円金策出来なければ店を手放さなければならないと相談をもちかけて来たとき、雪子はその金策のため、静江のすすめる男の世話になろうとしたが結局はそんなことも出来得ない彼女だった。路上の疎開していた村の素封家の息子石川京助(堀雄二)が上京したとき、静江は旦那が上京中のこととて、案内役を雪子にたのんだ。村の観測所に勤める京助から、朴訥な調子で星の話など語られると雪子はふと忘れていた少女時代を思い出して、ロマンチックな気持ちになり、この京助と結婚して田舎へ住むことを考えたりするのだった。しかし、春雄が見えなくなったという知らせに、おどろいて家に帰り、芝居見物の案内は、妹分の京子にたのんだ。幸い春雄は帰って来た。が、京助と京子は一晩のつき合いで愛し合うようになり婚約をして、いずれ京助が京子を迎えに来ることを約束して帰って行った。雪子はふと抱いた仄かな希望を忘れて、また夕方になると相変わらず銀座へ通うのだった。

銀座化粧銀座化粧

題名:銀座化粧
監督:成瀬巳喜男
製作:伊藤基彦
原作:井上友一郎
脚本:岸松雄
撮影:三村明
照明:大沼正嘉
録音:神谷正和
美術:河野鷹思
編集:笠間秀敏
音楽:鈴木静一
製作主任:服部仙太郎
助監督:石井輝男
スチール:橋山愈
出演:田中絹代、花井蘭子、堀雄二、香川京子、柳永二郎、東野英治郎、田中春男、小杉義男、三島雅夫、清川玉枝、春山葉子、津路清子、小倉繁、西久保好汎
1951年日本・新東宝+伊藤プロ/スタンダードサイズ・モノクロ87分35mmフィルム
新東宝映画傑作選 銀座化粧 [DVD販売]
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銀座化粧銀座化粧
田中絹代、花井蘭子                 三島雅夫

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