映画「極道VSまむし」

極道VSまむし極道VSまむし
若山富三郎                      川地民夫、菅原文太

今回は中島貞夫監督1974年製作「極道VSまむし」をピックアップする。
“まむしの兄弟シリース”は、東映京都撮影所で1971年から1975年にかけて9作品が作られたが、本作は、”まむしの兄弟シリース”第8作、”極道シリーズ”全11作中第10作のコラボ作品になっている。苦肉の策としての企画だった様だが、二つの東映看板キャラクターを美貌の西宮恭子(瞳順子)に一目惚れするというモチーフだけで、展開するのは無理がある様に思う。

【まむしの兄弟シリース】
1971年「懲役太郎 まむしの兄弟」監督:中島貞夫
1971年「まむしの兄弟 お礼参り」監督:本田達男
1972年「まむしの兄弟 懲役十三回」監督:中島貞夫
1972年「まむしの兄弟 傷害恐喝十八犯」監督:中島貞夫
1973年「まむしの兄弟 刑務所暮し四年半」監督:山下耕作
1973年「まむしの兄弟 恐喝三億円」監督:鈴木則文
1974年「まむしの兄弟 二人合わせて30犯」監督:工藤栄一
1974年「極道VSまむし」監督:中島貞夫 主演:若山富三郎 ※コラボ作品
1975年「まむしと青大将」監督:中島貞夫
※各作品のリンクは、予約投稿で表示しないページがありますが、後日表示されます。

極道VSまむし極道VSまむし
若山富三郎、瞳順子                若山富三郎、志賀勝

【ストリー】
前科9犯、島村組々長の島村清吉(若山富三郎)は、獄中にて組の解散を宣言、5年の刑期を終えて出所した。清吉は電車の中でスリにあった美貌の女性、西宮恭子(瞳順子)に一目惚れ。スリ団の一人を捕えた清吉は、その男がかつての自分の子分・カメこと林亀五郎(志賀勝)と知って呆然とする。女房のみね子(清川虹子)が経営するホルモン焼屋に居侯を決めこんだ清吉は、四散した子分たちの消息が気になり、神戸栄町で運送会社を営む元幹部の高村角三(成瀬正孝)を訪ねるが、角三は急死していた。角三の死に不審を抱いた清吉は、角三が出入りしていた北斗海運が組織暴力団、北斗会の系列に属する事から北斗海運に出向くが、会長の重光(遠藤太津朗)、顔見知りの坂垣組長(小松方正)らに堅気呼ばわりされ追い返されてしまう。神戸に腰を据えた清吉は、愚連隊の才八(川谷拓三)、サブ(町田政則)らを使って北斗会の縄張り荒らしを始め、角三の家を改造して“大日本ホルモン焼KK・神戸支店”の看板をかかげた。一方、41回目の出所をしたまむしのゴロ政(菅原文太)と不死身の勝(川地民夫)は無一文で古巣の新開地へ舞戻って来た。政は昼間出逢った養護施設、日の丸学園の美しい保母、恭子の事が脳裏にこびりつき離れない。偶然にも清吉の店で無銭飲食を決めこんだ政と勝は、清吉と一戦交えるが勝負は互格、いつしか両者は意気投合した。数日後、店の金を持ち出したサブをはじめ、勇、才八をこらしめようとした清吉だったが、恭子が現われ、サブたちが半年前に焼けた、日の丸学園の再建資金のために盗みを働いている事を聞かされて、清吉も協力を申し出た。だが、恭子が角三の許婚者だったと知って清吉はガックリ。やがて、北斗会が日の丸学園に、立ち退きをするか、2,000万円を払うか、と要求して来た。清吉は北斗会が覚醒剤を扱っていたため、それで北斗会を恐喝した。一方、政と勝は北斗会から清吉殺しを2,000万円で引き受けた。清吉とまむしの兄弟の凄まじい死闘……が、勝は傷つき、政もあっさり負けを認めた。政は名誉挽回とばかり、北斗海運の密輸品の横取りを計画するが失敗する。清吉は恭子から、角三が元やくざだった事から、北斗会に無理矢理麻薬の運送を強いられていたことを知らされた。やがて、恭子が北斗会の子分に殺された……。それぞれの怒りと復讐を胸に、清吉、政、勝は北斗会本部へと殴り込んだ……。

極道VSまむし極道VSまむし
石山律雄、若山富三郎、桜木健一、瞳順子          小松方正
極道VSまむし極道VSまむし
清川虹子                           川谷拓三

題名:極道VSまむし
監督:中島貞夫
企画:橋本慶一、松平乗道
脚本:松本功、山本英明、中島貞夫
撮影:鷲尾元也
照明:中山治雄
録音:野津裕男
美術:富田治郎
装置:米沢勝
装飾:松原邦四郎
背景:宮内省吾
美粧・結髪:東和美粧
衣装:杉本俊和
擬斗:三好郁夫
記録:森村幸子
編集:神田忠男
音楽:広瀬健次郎
進行主任:上田正直
演技事務:伊駒実麿
助監督:依田智臣
協力:A級京都・ミュージック劇場
スチール:諸角義雄
出演:若山富三郎、菅原文太、川地民夫、瞳順子、桜木健一、清川虹子、志賀勝、遠藤太津郎、戸浦六宏、睦五郎、小松方正、三島ゆり子、女屋実和子、石山律雄、初音礼子、川谷拓三、成瀬正孝、遠藤太津朗、町田政則
1974年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー89分35mmフィルム
極道VSまむし -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

極道VSまむし極道VSまむし
三島ゆり子、菅原文太、川地民夫、女屋実和子    若山富三郎、志賀勝、石山律雄

映画「動乱」


「動乱 第1部海峡を渡る愛」高倉健、吉永小百合      吉永小百合

永島敏行、小林稔侍                   田村高廣

今回は森谷司郎監督1980年製作「動乱」をピックアップする。
二部構成の本作は、第一部「海峡を渡る愛(48分)」と第二部「雪降り止まず(102分)」でインターバルはない。内容は昭和史の起点となった515事件から226事件までを背景に、寡黙な青年将校とその妻の愛を中心に描いている大作だ。


佐藤慶                      米倉斉加年、高倉健

桜田淳子、にしきのあきら               志村喬

【ストリー】
第一部「海峡を渡る愛」(48分)
昭和7年4月、仙台連隊。宮城啓介大尉(高倉健)が隊長をつとめる中隊の初年兵、溝口(永島敏行)が脱走した。姉の薫(吉永小百合)が貧しさから千円で芸者に売られようとしていたからだ。溝口は捜索隊の上司を殺してしまい、宮城は弁護を申し出るが聞き入れられず、溝口は銃殺刑に処せられた。宮城は父に用立ててもらった千円を香典として渡す。当時、日本は厳しい経済恐慌に包まれ、これを改革すべく、一部の海軍将校と陸軍士官候補生らが決起した。5・15事件である。クーデターは失敗に終り、陸軍内部の皇道派と統制派の対立を激化させた。この影響は仙台にいる宮城にまで及び、部下から脱走兵を出した責任で朝鮮の国境守備隊へ転任を命じられる。そこは、朝鮮ゲリラへ軍需物資の横流しが平然と行なわれる腐敗したところだ。官城は将校をねぎらう宴に招待され、そこで芸者になった薫と再会する。薫を責める宮城。数日後、薫が自殺を図った。宮城は軍の不正を不問にすることで、薬を入手し薫の命を救う。その頃、国内では統制派によって戦争準備が押し進められていた。

第二部「雪降り止まず」(102分)
昭和10年10月、東京。宮城は第一連隊に配属になり、薫と共に居をかまえた。
しかし、二人の間にはまだ男と女の関係はなかった。官城の家には多くの青年将校が訪れ、“建設か破壊か”と熱っぽく語り合っていく。憲兵隊の島謙太郎(米倉斉加年)はそんな宮城家の向いに往みこんで、四六時中、見張りを続けていた。ある日、宮城は恩師であり皇道派の長老格でもある神崎中佐(田村高廣)を薫と伴に訪れた。神崎の家庭の幸せを見て、薫は「私の体は汚れているから抱けないんですか」と宮城につめよる。数日後、宮城が決行を決意していた軍務局長暗殺を神崎が単身で陸軍省におもむき果してしまった。この事件は青年将校たちに“時、来る”の感を持たせ、昭和維新への機運いっきに高まった。官城たちの行動に、心情的には同調しながらも、憲兵という職務から事を事前にふせごうと島は苦悩する。決行の日が決まり、宮城は実家に帰り父に薫のことを頼むと、はじめて彼女を抱くのだった。決行の日が来た。時に昭和11年2月25日。夜半から降りはじめた雪は、男たちの熱い思いと、女たちの哀しい宿命をつつみこんで、止むことなく降り続いていた……。


米倉斉加年                       吉永小百合

題名:動乱
副題:第1部海峡を渡る愛 第2部雪降り止まず
監督:森谷司郎
企画:池田静雄、坂上順、岡田裕介
脚本:山田信夫
撮影:仲沢半次郎
照明:川崎保之丞
録音:広上益弘
音効:原尚
美術:中村州志、今村力
装置:中村文栄
装飾:田島俊英
衣装:河合啓一
美粧:入江荘二
美容:宮島孝子
記録:高津省子
編集:戸田健夫
音楽:多賀英典 主題歌:小椋佳「流れるなら」
現像:東映化学
進行主任:小島吉弘
製作担当:東一盛
助監督:沢井信一郎
演技事務:和田徹
スチール:遠藤努
出演:高倉健、吉永小百合、米倉斉加年、田村高廣、桜田淳子、志村喬、佐藤慶、田中邦衛、にしきのあきら、川津祐介、戸浦六宏、小林稔侍、田中邦衛、小池朝雄、岸田森、日色ともゑ、永島敏行、相馬剛三
1980年日本・東映+シナノ企画/シネスコサイズ・カラー150分35mmフィルム
動乱 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


「動乱 第2部雪降り止まず」

高倉健、吉永小百合

映画「この子の七つのお祝いに」


岩下志麻                       根津甚八

今回は増村保造監督1982年製作「この子の七つのお祝いに」をピックアップする。
本作はミステリー小説を映画化したものだが、早い段階で犯人が分かってしまうという構成だ。そう思いつつも、岸田今日子さんの怪演と岩下志麻さんの感情を殺した熱演に見入ってしまう作品である。


杉浦直樹、岩下志麻               室田日出男、小林稔侍

美しく、狂おしく 岩下志麻の女優道」 (春日太一著・文藝春秋刊)より
A:岩下志麻 Q:春日太一
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Q:次にうかがいたいのは「この子の七つのお祝いに」です。
A:この映画のことは、今回見直すまでほとんど忘れていました。というのも、増村監督の演出と私が全く合わなかったんです。それでも最終的には監督に従ってやりましたけど。増村さんは独自の演出のされ方でした。例えばレンズから覗いていて「この1メートルの横幅の中で動いて下さい」とか、そういう要求をなさるんですよ。そうすると、こちらはとても不自然な動きになります。それが私は耐えられなくて。自然にやれないので。それがまずできなかったのと、それと声の出し方です。私が演じたのは怨念を持った女でしたが、表向きは自然にやっていて、実は裏に怨念を持っていた女という役作りをしていたら、監督が「低い声で、しゃがれた声で、恨みを持った声で」と言って、ちょっとでも高い声を出すとNGが出るんです。「もっともっと」って。監督としては岸田今日子さんが演じられたような、ああいうおどろおどろしさが狙いでした。
Q:たしかに、増村監督は芝居にある種の分かりやすさを求める傾向があります。
A:ですから、杉浦直樹さんに「愛してるわ」と言うセリフでも、普通に「愛してるわ」というとNGで、くっきりはっきり低い声で「愛してるわ!」と言うとOKでした。怨念を持って、低い声で、芝居がかって言うとOKなんです。その辺が、私が持っていた麻矢という女の人のイメージと異なっていました。でも、今見直すと監督の狙いもよく分かります。たしかに、私が考えたように普通にやっちゃうと怨念劇にならなかったかもしれません。自分の父親への復讐だけのために気が狂ったように。怨念だけで一生を生きているわけですから。
でも、当時は自然にできないのがどうも耐えられなくて。根津甚八さんも抵抗していらっしゃいました。根津さんはアングラ系劇団のご出身の方ですから、芝居が自然体なんですよ。根津さん、「ヨーイ、スタート」と言われても芝居を始めなかったこともありましたし。最終的に根津さんし自分の自然体をかなり生かしておやりになったんじゃないかと思います。Q:たしかにあの作品では根津さんだけがいつもの「根津流」で通しているといいますか、増村さんの芝居のスタイルと違いますね。声もあまり張っていませんし。
A:根津さんは違っていました。でも杉浦さんは、「増村さんの狙いがあるから。僕はこの演出方法はとてもよく分かる」とおっしゃっていました。私が「分からない」と言ったら、「それでも増村監督に従ってやらないとこの作品は失敗作に終わるから、従ったほうがいい」って。
Q:杉浦さんは大映テレビのドラマで増村さん脚本の作品に出ていますので、流儀が分かっていたのかもしれませんね。
A:それから、これは今思うと私でも信じられないことなのですが、「この子の七つのお祝いに」は「疑惑」後半の一部が掛け持ちだったんです。私としては「疑惑」に神経が行っていたんだと思います。それもあって「この子の七つのお祝いに」は疑問を持ちながら演じたのでわりと記憶から飛んでいたんですよ。

※1982年野村芳太郎監督「疑惑

【ストリー】
次期総理の座を狙う大蔵大臣磯部の私設秘書・秦一毅(村井国夫)の元お手伝い・池畑良子(畑中葉子)が殺された。ルポライター、母田耕一(杉浦直樹)は政界の謎をあばこうと秦の身辺をさぐっていた矢先の事件で秦の内妻、青蛾(辺見マリ)が奇妙な手型占いをするという噂をきく。しかもその的中率を頼んで大物政治家、財界人等が己れの手型を持って続々と詰めかけており、秦自身もこの占いのお陰で現在の地位を築いたというのだ。母田は青蛾の影を追い始める。そんなある日、後輩の事件記者須藤(根津甚八)に、ゆき子(岩下志麻)という変り者の美人ママがいるというバーに連れて行かれる。母田は彼女に強くひかれ、彼のマンションで密会するようになった。だが母田は何者かによって殺害され、須藤は危険を承知で母田の仕事を引き継ぎ、彼の残した足跡を探る。昔、ある麻布のバーに占いのよく当たる娘がいたという事、ママの名前は麗子。そして秦の内妻、つまり青蛾の正体が麗子である事をつきとめる。やがて彼は謎の占いの娘の写真を見せられるが、それは青蛾ではなく倉田ゆき子だった。追いうちをかけるように、須藤のもとに青蛾惨殺の報が届いた。さらに、ホテル王高橋佳哉(芦田伸介)にゆき子から呼び出しがかかった。高橋に同行した須藤の前にゆき子が姿を現わした。ゆき子の告白によれば高橋は母の仇だという。敗戦の混乱の中、妻と生き別れて満州から引き揚げてきた高橋は真弓(岸田今日子)と結ばれ、赤ん坊が生まれた。だがその赤ん坊はすぐに病死し真弓はショックのあまり精神に異常をきたした。高橋はふとした偶然で生き別れていた妻と再会し、真弓の前から姿を消して別に家庭を持った。二人の間に生まれた赤ん坊は、復讐鬼となった真弓に盗まれ、30数年が経過した。その間、真弓に育てられたのが盗まれた赤ん坊のゆき子で、高橋に復讐する事だけを徹底的に教え込まれ、占いという特殊能力を生かし、青蛾を使って高橋が目の前に現われる日を待っていたのだが、途中、おじ気づいた青蛾を殺害した。高橋に、真弓の本当の娘でない事を教えられたゆき子はあまりの残酷さに発狂寸前だった。


村井国夫、辺見マリ                中原ひとみ、根津甚八

題名:この子の七つのお祝いに
監督:増村保造
製作:角川春樹
原作:斉藤澪
脚本:松木ひろし、増村保造
撮影:小林節雄
照明:川崎保之丞
録音:井家眞紀夫
音効:佐々木英世
美術:間野重雄
装置:荒井新一
装飾:神田明良
衣装:相沢登記雄 (松竹衣裳)
美粧:入江壮ニ
結髪:馬場利弘、沢辺満代
記録:山之内康代
編集:中静達治 ネガ編集:南とめ
音楽:大野雄二
現像:東洋現像所
プロデューサー:岡田裕介、中川完治
製作主任:高橋文雄
製作担当:生田篤
製作進行:宮本恵司、大崎裕伸、八鍬敏正
助監督:近藤明男
監督助手:藤由紀夫、加藤仁
撮影助手:竹沢信行、岩本道夫、笠間公夫
特機:塚本貞重
照明助手:国本正義、本田純一、大坂章夫、清野俊博、岡秀雄
美術助手:和田洋 セット付:藤田雄幸
録音助手:舛森強、小川健司
編集助手:大橋富代
スチール:清水紀雄
出演:岩下志麻、根津甚八、杉浦直樹、室田日出男、小林稔侍、辺見マリ、芦田伸介、岸田今日子、中原ひとみ、村井国夫、神山繁、畑中葉子、坂上二郎、名古屋章、戸浦六宏
1982年日本・角川春樹事務所+松竹/ビスタサイズ・カラー111分35mmフィルム
この子の七つのお祝いに -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


岸田今日子                   芦田伸介、根津甚八

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