映画「白昼堂々」

白昼堂々白昼堂々
渥美清                        藤岡琢也

今回は野村芳太郎監督1968年製作「白昼堂々」をピックアップする。
本作はコメディと言うより人情劇になっているのは、名俳優達の心に残る演技が深みを持たせ、多くの登場人物が見事に描き分けられた演出が冴える作品だ。群像劇は散漫になりがちな作品が多いが、本作は例外である。

白昼堂々白昼堂々
倍賞千恵子                      生田悦子

【ストリー】
ワタ勝こと渡辺勝次(渥美清)は、名の通ったスリだった。しかし、敏腕なスリ係の刑事森沢(有島一郎)の説得もあり、堅気になって九州の炭坑で働いていた。ワタ勝は間もなくヤマがつぶれたのを機会に、仲間を集めてスリの集団組織をつくり上げたのだ。ワタ勝は東京のデパートに狙いをつけ、大仕掛けな万引きをやる計画を立てた。東京に向ったワタ勝は、盗品をさばくために昔のスリ仲間銀三(藤岡琢也)を口説いた。銀三は更生してデパートの警備員となり、女房の春子(三原葉子)は小さいながら洋品店を営んでいた。銀三は一人娘桃子(大貫泰子)のためにも、ワタ勝の誘いを断るべきだと思いながら、ついに自分の洋品店で盗品を捌くことになった。知恵者の銀三が仲間に加わったことで、万引集団の成果はうなぎ上りに上昇した。それも高級洋品の布地を一巻ごと万引きするという大掛りなものだった。東京、大阪、京都、北海道と、ワタ勝たちは全国を仕事場にしていたが、危なくなると九州のボタ山集落へ帰るという具合に、機動的である。デパート側が警備を強化しても、結局はワタ勝たちの素早さにかなわなかった。仲間が捕まると、専門の弁護士坂下(フランキー堺)に処理させるという具合。ある日、絶世の美人スリよし子(倍賞千恵子)が仲間に加わった。スリの鬼ワタ勝も彼女にはぞっこんまいり、見かねた銀三のとりもちでめでたく結婚した。一方、銀三やワタ勝がすっかり足を洗っていたものとばかり思っていた森沢は、万引集団が二人の手になるものと知って烈火の如く憤り、着々と捜査の輪をせばめていた。そんな時、ワタ勝は仲間があちこちで捕まり、しかも、よし子が仲間四人と名古屋で捕まったと知ってガックリした。盗品の捌きもストックがふえ出し、坂下が弁護料を大幅に値上げしてきている時でもあった。思いあまったワタ勝はデパートの売り上げ金二億円を奪うという、途方もない作戦を立てたのだ。デパートの警備員をやめた銀三は、その手助けは断ったがやはりなにかと援助するのだった。しかし、この計画は九分九厘まで成功しながら、森沢の炯眼の前に、あえなく潰えてしまった。銀三とワタ勝は逮捕された。しかし、二人ともくよくよしなかった。ワタ勝はよし子の手紙を読みながら、刑期の終るのを待っている。

白昼堂々白昼堂々
有島一郎                     フランキー堺

題名:白昼堂々
監督:野村芳太郎
製作:杉崎重美
原作:結城昌治
脚本:野村芳太郎、吉田剛
撮影:川又昂
照明:三浦礼
録音:栗田周十郎
調音:松本隆司
美術:梅田千代夫
編集:浜村義康
音楽:林光
現像:東洋現像所
製作主任:吉岡博史
助監督:吉田剛
スチール:長谷川宗平
出演:渥美清、倍賞千恵子、藤岡琢也、有島一郎、生田悦子、田中邦衛、新克利、フランキー堺、穂積隆信、高橋とよ、三遊亭歌奴、コント55号、大貫泰子、桜京美
1968年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー81分35mmフィルム
あの頃映画 「白昼堂々」 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

白昼堂々白昼堂々
コント55号                    渥美清、藤岡琢也

映画「おさな妻」


関根恵子(高橋惠子)

関根恵子                      新克利

今回は臼坂礼次郎監督1970年製作「おさな妻」をピックアップする。
本作は女優、関根恵子(現:高橋惠子)さんのデビュー作品として決定していたが、「高校生ブルース」の主演予定だった女優が怪我をしたことから、代役に抜擢され1970年8月封切の「高校生ブルース」がデビュー作となった。

【ストリー】
黛玲子(関根恵子)は数カ月前、母(坪内ミキ子)を病気でなくし、みなし子になってしまった。親族会議の結果、伯母静江の家に引き取られることになった。母をなくした悲しみを、静江(近江輝子)は優しくいたわり、今まで通り高校に通わせてくれたが、静江の息子淳一(炎三四郎)だけは、いかがわしい眼つきで玲子を見ていた。ある日、淳一が静江の留守中、学校から帰った玲子に乱暴しようとしたため、玲子はこの家を出る決心をする。行くあてもなく町をブラブラしている玲子に声をかけたのは由紀子(渡辺美佐子)というあまり売れない、小劇場の舞台女優だった。由紀子に事情を説明すると、こころよく、彼女のアパートにとめてくれ、翌日、安いアパートを紹介してくれた。静江の反対を押し切ってアパートでの一人暮しを始めた玲子は、再会した幼稚園時代の先生の紹介で通学のかたわら保育園で子供たちの面倒をみるアルバイトを始めた。生活のためとはいえ、学校を抱えてのアルバイトは苦しかったが、やがてそれもなれた。園児たちはすぐ玲子になつき、ことに母のないまゆみ(佐藤久里子)は、玲子を母のようにしたうようになった。やがてまゆみを間にはさみ、父親の吉川(新克利)と玲子は食事をしたり、買い物をしたりする、楽しい時間を持つようになった。玲子は、吉川をまゆみの父親としてよりも、男性として愛情を感じ始めていた。吉川の強引な求婚に、玲子は高校生という自分の立場と吉川との年齢の開きに躊躇しながらも結婚に合意する。幸せな結婚生活が続いた。しかし、ふとしたきっかけで吉川の昔の恋人(真山知子)を知り、いまもなおその恋人が吉川を愛していることを知った玲子は、大人の愛憎の複雑さが理解できず自暴自棄になって結婚を後悔し、家庭を棄てようとするが、吉川の強い愛情を感じ、やがてまゆみと吉川との静かで平和な生活にもどっていった。


真山知子

題名:おさな妻
監督:臼坂礼次郎
企画:藤井浩明、川崎治直
原作:富島健夫
脚本:白坂依志夫、安本莞二
撮影:上原明
照明:久保江平八
録音:飛田喜美雄
美術:間野重雄
編集:糸井敬男
音楽:八木正生 主題歌:関根恵子「はじめての愛」
現像:東京現像所
製作主任:川村清
助監督:山本洋
スチール:大葉博一
出演:関根恵子(高橋惠子)、新克利、渡辺美佐子、近江輝子、坪内ミキ子、真山知子、福田豊土、八代順子、炎三四郎、佐藤久里子
1970年日本・大映/シネスコサイズ・カラー86分35mmフィルム
おさな妻 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


京王井の頭線神泉駅前3000系(1970年)

映画「陽はまた昇る」

陽はまた昇る陽はまた昇る
渡辺謙、西田敏行                 西田敏行、真野響子

今回は佐々部清監督2002年製作「陽はまた昇る」をピックアップする。
本作は、家庭用ビデオテープ規格競争の最中、VHSの開発プロジェクトの実話を描いたものだが、日本ビクター、ソニー、松下電器産業(現:パナソニック)など実名会社が出て来る。特に松下電器産の松下幸之助氏のエピソードは興味深い。

陽はまた昇る陽はまた昇る
西田敏行、緒形直人                   渡辺謙

当時ソニーが開発したベータマックス(BETAMAX)と多数が占めるVHSがあったが、家庭用ビデオテープの規格はVHSが主流となり、ベータマックスの規格 は、ベーカム(BETACAM)として3~6倍の速度に上げてハイビジョン(HD)が登場するまで、放送用ENGカメラの主流となった。今は家庭用ビデオテープは姿を消し、DVDまたはBlu-rayが主流となり、日本発の映像規格は無くなった。

※DVDはVHSと同等の画質で133分の録画が可能となる4.7GB(片面一層)の容量が収まる。
※Blu-ray(ブルーレイ)は25GB(片面一層)の容量が収まり、DVDより画質は向上した。

陽はまた昇る陽はまた昇る
西田敏行、仲代達矢、渡辺謙

【ストリー】
1970年代前半、それまで右肩上がりだった日本経済が初めてマイナス成長に陥った。そんな中、家電メーカー業界8位の日本ビクター本社開発部門に勤める開発技師・加賀谷に、事業部長として赤字続きの非採算部門である横浜工場ビデオ事業部への異動と大幅な人員整理の厳命が下る。だが、人材こそ何よりの財産と考える加賀谷は、ひとりの解雇も出さないために極秘のプロジェクト・チームを結成。本社に悟られぬようにしながら、家庭用VTRVHSの開発に着手する。ところが数年後、家電メイカーの雄・ソニーがベータマックスを発表。足踏み状態の続くビデオ事業部は崖っぷちに立たされるが、それでも彼らはVHSに夢と希望を託し開発を続けた。そして、遂にベーターマックスを超える録画が可能な試作機が完成する。しかし、その時既にベータマックスは国内規格として採用されようとしていた。このままでは、自分たちの努力が水泡に帰してしまう。そこで加賀谷は大阪へ向かい、親会社である松下電器相談役・松下幸之助にVHS方式の採用を直訴。果たして、加賀谷の願いは聞き入れられ、その結果、ひとりの解雇者も出さずにVHS方式のプレイヤーの販売にこぎ着けることに成功するのだった。その後、加賀谷は脳梗塞で倒れた妻の世話のために、定年を前に退職を決めた。最後に彼が工場を訪れた時、従業員たちはVHSの人文字で彼を送った。

陽はまた昇る陽はまた昇る
緒形直人、篠原涼子                   夏八木勲

題名:陽はまた昇る
監督:佐々部清
企画:坂上順、西村元男
製作:高岩淡
原作:佐藤正明「映像メディアの世紀」
脚本:佐々部清、西岡琢也
撮影:木村大作
照明:礒野雅宏
録音:高野泰雄
音効:佐々木英世、西村洋一
美術:福澤勝広、新田隆之
装飾:若松孝市
衣裳:山田夏子
記録:石山久美子
編集:大畑英亮
音楽:大島ミチル 挿入歌:「わたしの彼は左きき」麻丘めぐみ
フィルム:イーストマンコダック
現像:東映化学
製作担当:林周治
助監督:瀧本智行
撮影効果:南好哲、渡辺孝
撮影応援:加藤雄大、佐々木原保志、林淳一郎
プロデューサー:厨子稔雄、小松茂明
ラインプロデューサー:菊池淳夫
音楽プロデューサー:北神行雄 、 津島玄一
スチール:阿部昌弘
出演:西田敏行、渡辺謙、緒形直人、真野響子、倍賞美津子、田山涼成、國村隼、津嘉山正種、仲代達矢、中村育二、石田法嗣、石丸謙二郎、石橋蓮司、新克利、樹音、篠原涼子、江守徹、蟹江一平、夏八木勲、加藤満、永倉大輔、井川比佐志、崔哲浩
2002年日本・東映/ビスタサイズ・イーストマンカラー108分35mmフィルム
陽はまた昇る [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

陽はまた昇る陽はまた昇る
倍賞美津子

陽はまた昇る陽はまた昇る
VHS第四次試作機                 撮影:木村大作氏