映画「第三の悪名」

第三の悪名第三の悪名
勝新太郎                       田宮二郎

今回は田中徳三監督1962年製作「第三の悪名」をピックアップする。
全15作が製作された勝新太郎さんと田宮二郎さんのコンビが冴える”悪名シリーズ”の第5作になる。
1963年1月3日に正月映画として封切りされた。シリーズ第2作「続・悪名」で死んだモートルの貞(田宮二郎=上画像右)の事件から10年が経過し、貞の仇であるカポネ(南道郎)との対決を軸に描いている。

悪名シリーズ

第三の悪名第三の悪名
月丘夢路                       長門裕之
第三の悪名
藤原礼子                          西村晃

【ストリー】
朝吉(勝新太郎)は死んだ弟分、貞の女房お照(藤原礼子)の家に、貞の弟清次(田宮二郎)と居候になっていた。或る日、朝吉は松島で、戦友粟津修(長門裕之)に出あった。修は天王寺の粟津一家の二代目だったが、わけあって朝吉も緑の深い松島組に身を預けていた。松島組の元締も、今は故人となっていたが、その法要の日、粟津一家の女親分お妻(月丘夢路)は、居合わせた朝吉の気っぷに惚れこみ、家に連れ帰った。お妻は、粟津一家の先代の親分の後妻で修にかたぎになってもらいたいばっかりに後目を相続したのだった。朝吉の口から修の居場所を聞いたお妻は、数日後彼に会ってかたぎになってくれるよう頼んだが、修はかえってお妻への恋心を明かした。修は白粉会社の登録商標をかたり取って新しい会社を作ろうというカポネ一味の企みを明かし、朝吉に手を貸せと申しでるが、朝吉はことわり二人は独自の行動をとることにした。朝吉はカポネ(南道郎)の経営するキャバレーにのりこんだが、代表名義人である小杉の息子の承諾を得たのだからとつっぱねられた。しかし、小杉の息子(矢島陽太郎)は、実は父親(菅井一郎)の信用している番頭垣内(天王寺虎之助)の二号の家に軟禁されていた。垣内こそ、カポネの黒幕だったのだ。憤然として帰ってきた朝吉は、カポネのキャバレーの支配人になったと報告する清次におどろいた。清次の兄は、カポネの子分によって殺されたからだ。怒った朝吉は、清次との縁を切った。だが朝吉と関係深い清次を邪推したカポネは、子分に清次の命を狙わせた。しかし、それをいち早く知った清次は、逆に小杉の息子を連れだし朝吉にわびを入れに帰ってきた。小杉の息子の一件を修の仕業と思いこんだカポネは修の不意をつき捕えて拷問した。だがこの時朝吉と清次が応援にかけつけた。証書を返すという証文を垣内に書かせた朝吉は、お妻に修の身を預け、お照の家に居候に戻るのだった。

第三の悪名第三の悪名
長門裕之、喜味こいし、夢路いとし         月丘夢路、勝新太郎
第三の悪名第三の悪名
勝新太郎、田宮二郎                第三の悪名

題名:第三の悪名
監督:田中徳三
企画:財前定生
原作:今東光
脚本:依田義賢
撮影:宮川一夫
照明:中岡源権
録音:海原幸夫
音効:倉島暢
美術:内藤昭
装置:高地繁
擬斗:宮内昌平
衣裳考証:上野芳生
編集:菅沼完二
音楽:鏑木創
現像:東洋現像所
製作主任:橋本正嗣
助監督:土井茂
スチール:三浦康寛
出演:勝新太郎、田宮二郎、長門裕之、月丘夢路、藤原礼子、西岡慶子、西村晃、南道郎、天王寺虎之助、矢島陽太郎、菅井一郎、若杉曜子、夢路いとし、喜味こいし
1962年大映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー89分35mmフィルム
第三の悪名 -DVD-
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映画「二代目はクリスチャン」


志穂美悦子

月丘夢路、志穂美悦子              志穂美悦子、蟹江敬三

今回は井筒和幸監督1985年製作「二代目はクリスチャン」をピックアップする。
原作・脚本はつかこうへい氏が担当した角川映画だ。内容は教会に仕える清純なシスターが、ひょんな事からヤクザの二代目を襲名、抗争事件に巻き込まれるというものだが、クライマックスで「てめえら!!十字を切って悔い改めやがれ。でねぇと一人残らず叩っ斬るぜ! 」と啖呵を吐く志穂美悦子さんが美しい。


松本竜介、岩城滉一               志穂美悦子、かたせ梨乃

【ストリー】
神戸は六甲山の中腹にある聖サフラン教会では、天竜組組長・故天竜源一郎の告別式が行なわれていた。オルガンで讃美歌の伴奏をしているのはシスター今日子(志穂美悦子)。その瞳は神のみを見つめ、端正な横顔はこの世のものとは思えないほど美しく、やさしい。この今日子に惚れているのが、天竜晴彦(岩城滉一)。本来ならば天竜組の二代目を継ぐべきところなのだが、恋は盲目、晴彦にとっては天竜組の代紋より今日子の存在の方が大きいのだ。彼女の気をひくために、毎日、教会のブタ小屋の掃除に余念がない。それどころか、子分の意見を無視して、全員、洗礼を受けさせてしまった。腹巻きの中にはドス、首には十字架というナサケない姿で、ヤクザ仲間からはバカにされる始末。一方、今日子に想いを寄せている男がもう一人。晴彦の幼馴染みで、神戸署の刑事・神代(柄本明)だが、神代の実家が天台宗の寺だけに、二人の間には宗教の厚い壁が立ちはだかっている。しかし、肝心の今日子は、数年前、ある嵐の夜に宿命的な出会いをした英二(北大路欣也)という男に、秘かな恋心を抱き続けていたのだ。天竜会と対立する黒岩会会長の黒岩(室田日出男)は、自分の情婦・百合(かたせ梨乃)をつかって晴彦を罠にかけようとしていた。そして二人が抱き合っている現場をおさえた黒岩は、晴彦を袋叩きにしてしまう。晴彦を救出に行った今日子は、黒岩のところに身を寄せている英二と再会。だが、英二に寄りそう女の姿を見て、その場に立ちつくすのだった。今日子は、ついに晴彦と結婚することにした。式の後で晴彦の二代目襲名披露も行なわれることになった。結婚式当日、今では晴彦に想いを寄せるようになっていた百合が、嫉妬に狂ってナイフで今日子に襲いかかり、彼女をかばった晴彦が刺され死んだ。今日子は、涙の渇く間もなく、神代に連れられて二代目襲名披露会場へ。居並ぶ親分衆の前で亡き晴彦に替って二代目を襲名するのだった。一方、黒岩会は一気に天竜組を潰すべく無差別攻撃に出た。次々と倒れていく子分たち。しかも今日子が世話する子供たちまでも標的にされた。爆破され破壊された教会で呆然と立ちつくす今日子。その時、崩れ落ちたキリスト像の後ろから、油紙で包まれた今日子の亡き父、“狂犬病鬼頭”と呼ばれた父の長ドスが現われた。そのドスを手に、黒岩会に殴り込みに行く今日子。途中、あの英二が行く手をさえぎった。だが英二は、今日子に人の斬り方を教えると、自分から彼女の手にかかって死んだ。神代と子分の次郎(松本竜介)を従えた今日子は、黒岩会の事務所へ殴り込み、凄絶な死闘の末に、黒岩をはじめ、子分たちを倒すのだった。


柄本明、志穂美悦子、松本竜介             北大路欣也

題名:二代目はクリスチャン
監督:井筒和幸
製作総指揮:角川春樹
製作:佐藤雅夫、斎藤一重、豊島泉、菅原比呂志
原作:つかこうへい
脚本:つかこうへい
撮影:北坂清
照明:安藤清人
録音:平井清重
美術:佐野義和
技斗:菅原俊夫
記録:中野保子
編集:玉木濬夫
音楽:甲斐正人 主題歌:BIRDS
現像:東洋現像所
スチール:遠藤功成
出演:志穂美悦子、岩城滉一、柄本明、北大路欣也、室田日出男、かたせ梨乃、蟹江敬三、月丘夢路、山本亨、藤岡重慶、山村聡、松本竜介
1985年日本・角川春樹事務所/ビスタサイズ・カラー101分35mmフィルム
二代目はクリスチャン -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


志穂美悦子                    室田日出男

志穂美悦子

志穂美悦子

映画「告白的女優論」

告白的女優論告白的女優論
有馬稲子、浅丘ルリ子、岡田茉莉子        三國連太郎、岡田茉莉子

今回は吉田喜重監督1971年製作「告白的女優論」をピックアップする。
本作は普通のアングルは一切なく、凝ったフレームとカメラポジションに大変な苦労をされたであろうと思う。セット撮影だけ見ても画コンテを元に入念な打ち合わせとテストなしには撮れなかったと思われるシーンが実に多い。撮影は吉田組でスチールを永年担当し、後にCF撮影で著名な長谷川元吉氏だ。凄い!

作品リスト

告白的女優論告白的女優論
岡田茉莉子、太地喜和子               浅丘ルリ子

【ストリー】
映画「告白的女優論」に出演する三女優、海堂あき(浅丘ルリ子)、一森笙子子(岡田茉莉)、伊作万紀子(有馬稲子)は二日後の土曜日にクランク・インをひかえていた。海堂あきは、まだ前作の最後の撮影のため伊豆でロケーションをしていた。その作品を監督する能勢(木村功)と海堂あきの間にはスキャンダルの噂があった。その日の撮影を終え、ホテルに帰ったあきを待っていたのは能勢の夫人桐子(稲野和子)だった。口にこそださないが、せめるような桐子。しかし、あきと能勢の間には噂されるような事実は何もなかったのだ。その夜、付人の京子(赤座美代子)と自宅に帰ったあきは、深夜、男が京子の部屋に忍び込むのを目撃した。男は能勢だった。翌朝、そっと出ていこうとする能勢と彼女は顔を合わせた。怒りにふるえる彼女が知ったものは京子の復讐。高校のクラスメートだったあきと京子は、夏休みの一日、教師(川津祐介)の下宿に遊びにいき、京子はクロロホルムをかがされ犯されたのだ。教師と京子のことをあきは学校に密告した。それ以来、京子はあきに復讐する事を狙っていたという。あきは哄笑した。眠らされていた京子に何がわかる。あの時、教師に犯されたのは自分であり、教師は私を愛していた……。遠い過去の話だった。そこに残されたものは事の真実ではなく、女のすさまじい戦いだった。京子と能勢は去った。一森笙子は突然「告白的女優論」には出演しないといいだし、マネジャーの南川(三國連太郎)を慌てさせた。笙子は、その理由を「夢の中で喉にプラスチックの球がひっかかり声が出なくなりそうだから」と説明した。彼女が、クリニックに戸山博士を訪ねて睡眠療法を受けた結果は、彼女の別居中の夫・亘理隼人が、女優志願の付人リエと抱き合っていたからだという。南川は、彼女をデビューさせた頃遊んだプールサイドに誘った。偶然プールに浮いていたプラスチックの球を見た彼女は、夢に出てきた球と同じものであることに気づき、戸山博士(早野寿郎)に知らせると、その夜若い医師波多(菅貫太郎)が彼女を訪ねてきた。笙子は夢の中に現われた夫の役を波多にふりあて、リエ、南川も交えて夢の再現を行った。それは深夜にくりひろげられた奇妙な夢の芝居だった。夫とリエ、それに笙子を抱いた男たちが次々に登場したが、南川だけは最後まで登場しなかった。笙子を育てあげたのは自分だと自負する南川の中で何かが崩れた。日曜日の午後、笙子は波多のアパートを訪ねた。自分の知らない秘密を持っていた笙子の姿を見たとき、南川は彼女がもはや遠い存在のように感じられた。車をスタートさせる笙子を追おうとした南川はトラックに轢かれた。S市は伊作万紀子の故郷だった。この町で女優になる以前の彼女は、心中事件を起こしていた。相手は母の再婚者である若い父親、この時、男を死なせ自分だけ生き残るという過去を持っていた。残雪の高原に立った彼女は、東京から同行した女友達のノブに総てを語り、本当の自分を理解してもらった上で、恋人の唐沢をノブに譲る決心をした。その夕方帰京したが、すでに母は、彼女が内緒で旅行したことを知っていた。S市から正体不明の男の声で電話があったという。その深夜、S市から再度電話がかかってきた。万紀子は受話機をとるが、相手は何も喋らず切った。それは死んだはずの父からだと万紀子は思った。翌朝、ノブが訪ねてきた。ノブは万紀子のいくつかの自殺事件--若いスターとの心中未遂、亘理隼人をめぐって一森笙子と争い、その失恋による自殺未遂--をあげ、最後に唐沢の言葉を伝えた。「自殺狂であることを承知で結婚する。それすらも伊作万紀子の魅力だ」。ノブは自らの敗北を認め去っていく。その後には裁断バサミが残されたいた。彼女はそのハサミで自らの手首を切ろうとしていたが、その時、唐沢が訪ねてきた。「君が、もし女優であるならば死ぬことはできない。死ぬことすら、君にとっては演技なのだから」。彼女の手から裁断バサミがすべり落ちた。月曜日の朝、三人の女優はロケ現場に美しい粧いをみせて登場した。そして「あなたにとって女優とは?」とインタビューされて、彼女たちはその飾られた仮面の裏に総てを隠し、答えた。いま映画「告白的女優論」の撮影が行われようとしている。三人の女優はキャメラの前に向って歩き始めた。あくまでも華麗に--。

告白的女優論告白的女優論
川津祐介、浅丘ルリ子                有馬稲子

題名:告白的女優論
監督:吉田喜重
製作:吉田喜重、岡村精、勝亦純也、磯田啓二
脚本:吉田喜重、山田正弘
撮影:長谷川元吉
照明:小林哲也
録音:瀬川徹夫
音効:福島幸雄
美術:朝倉摂
衣装:森英恵
編集:渡辺士郎
音楽:一柳慧
現像:東洋現像所
助監督:岡村精
スチール:勝又純也
出演:浅丘ルリ子、有馬稲子、岡田茉莉子、三國連太郎、木村功、原田芳雄、赤座美代子、稲野和子、月丘夢路、川津祐介、細川俊之、峰岸隆之介、太地喜和子、菅貫太郎、早野寿郎
1971年日本・現代映画社/スタンダードサイズ・カラー124分35mmフィルム
告白的女優論 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

告白的女優論告白的女優論
三國連太郎、岡田茉莉子

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