映画「玄海つれづれ節」

玄海つれづれ節玄海つれづれ節
吉永小百合                        八代亜紀

今回は出目昌伸監督1985年製作「玄海つれづれ節」をピックアップする。
1986年1月に全国公開された本作は、北九州市若松区を舞台に夫に蒸発された女性が仲間に助けられながら自立していく姿を描いたものだ。内容的には、豪華俳優陣の顔ぶれなのだが、整合性が薄いプロットと展開が冗長なのが面白味をなくしている。
吉永小百合さんのトルコ嬢のシーンは、無理失理入れた感じでサマになってない。小百合様にトルコ嬢役をさせてはいけないのである。一方、八代亜紀さんは軽い濡れ場をこなしながら存在感を醸し出していた。これは大物歌手としての貫禄から出たものであろう。

玄海つれづれ節玄海つれづれ節
風間杜夫                      吉永小百合、樹木希林

【ストリー】
横浜、山岡家の女主人ゆき(吉永小百合)は、旅行鞄一つで邸から追い出されようとしていた。外国商品を扱う商社の三代目社長である夫・駿介(岡田裕介)が事業に失敗。数億円の負債を残して蒸発してしまったのだ。ゆきの前に、ケースワーカーが駿介が外で産ませた子・マサル(岩渕健)を連れて来た。母親が急性の心臓病で亡くなり、駿介を頼って来たという。また、借金取り立て人、緑川月代(八代亜紀)がゆきに近づいてきた。月代の言葉で駿介が九州に行ったことを知ったゆきは、マサルと共に向かった。彼女は生まれ故郷の北九州市若松区バタバタ横丁(神田のれん街)を訪れ、ハナエ(樹木希林)の家に身をよせることになった。テキヤのおもちゃ職人で同級生の竹田一平(風間杜夫)は、未だにゆきを慕い続けており、駿介探しを手伝うことになる。ある日、ゆきの前にサラ金の取り立て人が現われ、彼女をソープランドに売りとばしてしまう。だが、竹田の助けを借りて逃亡に成功。マサルの預金通帳を見つけたゆきは、それで借金の一部を返済した。ゆきの耳に、近くの銀映館という映画館の話が入ってくる。士地の顔役、松藤(三船敏郎)が、古い建物を壊し近代的なスーパーマーケットを建てるために、子会社のサラ金を使って立ち退き工作をやっているが、往年の夢をもう一度と願う銀映館の経営者、南條京太郎(伏見扇太郎)が応じないというのだ。ゆきは月代を映画プロデューサーに仕立て上げ、念願の時代劇を製作するということで南條から銀映館の権利書をだまし取る。そして、その権利書を持って松藤のもとに向かう。そのことを知った竹田は激怒。半分やけっぱちで月代と同棲を始める。そんな時、ゆきは夫の駿介と出会う。駿介は借金で蒸発したのではなく、人に頼られて働きバチのように働くことに嫌気がさして、逃げ出したのだと告白した。そして、今は福岡の大峯病院の理事長である俊江(草笛光子)の庇護を受けているという。ショックを受けたゆきが得たものは、バタバタ横丁の人々の人情と、竹田と月代の友情であった。ゆきは松藤と南條に全てを打ち明け、銀映館の権利書は無事、南條のもとへ戻った。しかし、映画づくりに夢破れた南條は、町の人々に映画の前売券を買ってもらい、一日だけの満員の映画館でかつて自分が主演した時代劇を上映する。翌日、南條は銀映館の土地を大峯に売り渡し、姿を消した。ゆきは大峯俊江に会いに行く。俊江は駿介と正式に離婚することと、マサルを引き渡すことを条件に土地の権利書を渡すという。マサルと別れることはつらかったが、ゆきは離婚届けに判を押した。土地は暫く何もしないという約束で、松藤のものとなった。だが、翌日から工事が始まる。騙されたと知ったゆきは、松藤に掛け合うが出張とかで会わせてもらえない。ゆきを心配した竹田は、松藤のしきる賭場へ乗り込むが、八百長がばれ、腕を切られるか、家の権利書を渡すかと迫られる。月代と共に駆けつけたゆきは、自分の体を張って、バタバタ横丁を守った。

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三船敏郎                        岡田裕介 

題名:玄海つれづれ節
監督:出目昌伸
企画:岡田裕介、坂上順、和田徹
原作:吉田兼好「徒然草 第38段」
脚本:笠原和夫、下飯坂菊馬、兵頭剛(岡田裕介)
撮影:飯村雅彦
照明:川崎保之丞
記録:久保田民子
録音:林鉱一
音効:原尚
美術:中村州志
装置:開米慶四郎
装飾:若松孝市
背景:植田義明
美粧:井上守
美容:宮島孝子
衣裳:福崎精吾
擬斗:清水照夫
振付:一の宮はじめ
編集:西東清明
音楽:星勝 主題曲:マーク・ゴールデンバーグ
現像:東映化学
進行主任:高井義典
助監督:吉崎元、長谷川計二
演技事務:宮下博
製作事務:山田光男
音楽事務:新井明美
方言指導:竜まさと
九州ロケコーディネーター:前田秀一郎
製作協力:柳弥寿子 衣装協力:加藤悦子、宇野喜子
ヘアーデザイン:佐藤満
スチール:渋谷典子
出演:吉永小百合、八代亜紀、風間杜夫、樹木希林、草笛光子、三船敏郎、伏見扇太郎、今福将雄、野村昭子、山谷初男、深江章喜、山田吾一、南利明、岡本信人、仲谷昇、木内みどり、岡田裕介、岩渕健
1985年日本・東映東京撮影所/ビスタサイズ・カラー135分35mmフィルム
玄海つれづれ節 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

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草笛光子                        木内みどり
玄海つれづれ節
「玄海つれづれ節」風間杜夫、吉永小百合
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八代亜紀、風間杜夫                   八代亜紀、風間杜夫
玄海つれづれ節玄海つれづれ節
玄海つれづれ節                   若戸大橋

映画「大病人」


三國連太郎                       宮本信子

今回は伊丹十三監督1993年製作「大病人」をピックアップする。
本作は、今までの伊丹監督作品と違い、死をテーマにしている。ガンを宣告された俳優が、死を前にしてそれまでを如何に生きていくかを描いている。コメディ要素を入れる事で、死への緊張感に緩急をつけて病名告知や延命治療といった現代医療に疑問を呈しているが、当時の最新CGで臨死体験を描いたシーンは、頂けないと思ったが、冒頭を始めとする映画撮影の現場シーンは、長年映画業界にいらした伊丹監督だけあって、描き方は的確であり無駄がない。

【伊丹十三監督作品】
1984年「お葬式
1985年「タンポポ
1987年「マルサの女
1988年「マルサの女2
1990年「あげまん
1992年「ミンボーの女
1993年「大病人」
1995年「静かな生活
1996年「スーパーの女
1997年「マルタイの女
※各作品のリンクは、予約投稿で表示しないページがありますが、後日表示されます。


津川雅彦                  三國連太郎、宮本信子、津川雅彦、木内みどり

【ストリー】
俳優兼映画監督の向井武平(三國連太郎)は、癌で余命いくばくもないオーケストラの指揮者が最後のコンサートに挑むという映画を自ら監督・主演していたが、撮影中に倒れて病院に運ばれる。妻・万里子(宮本信子)の大学時代の友人でもある医師の緒方洪一郎(津川雅彦)が担当医となるが、向井の体はあともって1年という癌に冒されていた。緒方は向井に病名を偽り手術を施すが、暫くすると向井はまた倒れてしまう。映画の共演者であり愛人である神島彩(高瀬春奈)を病室に密かに呼び出し情事を行うなど、何かと問題患者の向井に怒った緒方はつい軽率な発言をしてしまい、向井はショックのあまり自殺を図る。一命を取りとめた向井は緒方に真実を告げてくれと訴え、いがみあっていた二人は協力して死を迎えることになった。向井の映画の最後のクライマックス、彼の指揮するカンタータ『般若心経』のシーンも無事撮り終えた。向井は万里子や緒方、映画のスタッフたちが見守る中、最後の日々を満足して生き、死を迎えられたことを喜びつつ息をひきとるのだった。


高瀬春奈                          左時枝

題名:大病人
監督:伊丹十三
製作:玉置泰
脚本:伊丹十三
撮影:前田米造
照明:矢部一男
特機:落合保雄
録音:小野寺修
音効:渡部健一 (東洋音響カモメ) リーレコ:中村洋
美術:中村州志
装飾:山崎輝、豊島隆、小林聖樹
背景:島倉二千六
小道具:山浦克己、荒井雄樹、松本周子
衣裳:小合恵美子、岩崎文雄、鈴木智子、三浦みち子、石涼啓子
化粧:吉野節子、石川雅代(アートメイク・トキ)
特殊メイク:江川悦子、宗理起也、寺田まゆみ、神田文裕
デジタル合成:島村達雄(白組)、山崎貴(白組)
水中撮影:中村宏治 (日本水中映像)
技斗:高瀬将嗣、森聖二
配役:田中忠雄
記録:石山久美子
編集:鈴木晄 ネガ編集:高橋孝一
音楽:本多俊之 音楽監督:立川直樹
現像:イマジカ タイミング:小椋俊一
撮影機材:パナビジョン(三和映材社)
フィルム:富士フィルム
製作担当:鎌田賢一
製作進行:森太郎、尾崎友康、後藤弘樹
演技事務:城戸史郎
助監督:中嶋竹彦
監督助手:蝶野博、中村隆彦、遠藤秀一郎
撮影助手:栗山修司、石山稔、斎藤圭祐、神村志宏
特機助手:松田弘志
照明助手:赤井淳一、関野高弘、関根謙一、中村和也、加藤耕史、森川知
美術助手:山崎秀満、金勝浩一、深川絵美、新田隆之
録音助手:桜井敬悟、白取真、石井ますみ、大塚学
編集助手:米山幹一
医療指導:三崎晴嘉 医療コーディネーター:竹内廣徳
看護婦指導:長島美和子
指揮指導:鈴木行一 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱:東京混声合唱団 お経:真言宗冨山派不二会
記憶合金の花:渡辺裕子
フード・スタイリスト:石森いずみ
湯気効果:谷口承
ヴイック制作:アデランス
エクゼクティブ・プロデューサー:竹中行雄
コ・エクゼクティブ・プロデューサー:NIDEL SINCLAIR
プロデューサー:細越省吾 製作協力:細越省吾事務所
プロデューサー補:川崎隆
カンタータ般若心経作曲・指揮:黛敏郎
スタジオ:にっかつ撮影所
ロケ協力:東十条病院、倉本記念病院(現:セコメディック病院)、横浜総合病院、東京都立松沢病院
グラフテック・デザイン:佐村憲一
製作デスク:吉川次郎
製作宣伝:早乙女明子、モーションプロ
スチール:瀬古正二、岩崎輝義
出演:三國連太郎、津川雅彦、宮本信子、木内みどり、高瀬春奈、熊谷真実、田中明夫、三谷昇、高橋長英、左時枝、南美希子、清水よし子、渡辺哲、田中明夫、村田雄浩
1993年日本・伊丹フィルムズ/ビスタサイズ・カラー116分35mmフィルム
大病人 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


三國連太郎                  田中明夫、宮本信子、熊谷真実

映画「ゴンドラ」


界健太                        上村佳子

今日は、撮影を瓜生敏彦さんが担当している作品 – 伊藤智生監督1986年製作「ゴンドラ」がキネカ大森でリバイバル35mmフィルム上映されているので観に行った。本作はSNSでの口コミなどから、常識では考えられないロングヒットとなっている。
劇場は渋谷ユーロスペース、ポレポレ東中野、そしてキネカ大森、今後は名古屋シネマスコーレ、大阪シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、神戸元町映画館などが確定しているそうだ。詳しくはこちら

内容は、少女の“心の対話の物語”を描いた或る種のロードムービーであるが、特に心象風景がスタンダードサイズのフレームに収まり、美しい光、技術的にも巧く、美味しい画になっている。撮影は1985年8月から東京、下北半島などを廻り10月にクランク・アップしたそうだ。

話題性に頼ることなく、映画でしか成し得ない本当の独創性に拘って、当時20代の若者たちが独立プロを立ち上げて製作し、1988年に劇場公開された本作は、とても素晴らしかった。日本映画に於いて、今、この様にフィルム・パトスがある作品は皆無である。だから本作がロングヒットとなっているのだろう。


木内みどり                      上村佳子

【ストリー】
良(界健太)は青森県下北半島の寂れた漁村の出身で、いまは東京でビルの窓清掃の仕事をしており毎日ゴンドラに乗っている。かがり(上村佳子)は小学校の5年生。両親は別れ、母・れい子(木内みどり)と一緒にマンションで暮らしている。ある日かがりは学校で水泳の時間中に初潮を迎えた。教師に付き添われて保健室に行き家に帰ったが、母には何も言わなかった。それ以後同級生にからかわれるようになり、ある時かがりは水泳が終わって更衣室へ行くと下着がなく、仕方なく濡れた水着の上にブラウスやスカートをつけた。マンションに帰ると飼っていた2羽の白文鳥が篭の中で喧嘩しており、1羽が傷ついていた。その頃、良はちょうどかがりのマンンョンの窓拭きをしており、一緒に動物病院へ付き添い、治療代を立て替えてやった。しかし、翌日かがりが病院へ行くと文鳥のチーコは死んでいた。良がかがりの後を追うと彼女は児童公園へ行きチーコを土に埋めようとするが、それをやめて家に持ち帰り古いブリキの弁当箱に死骸を入れ冷蔵庫へしまい込んだ。翌朝、れい子はその死骸を発見して驚き、ゴミと一緒に捨ててしまった。悲しんだかがりはチーコの死骸を探し出し、家を出た。良が仕事の帰り駅の改札口を出るとびしょ濡れのかがりが立っていたのでアパートへ連れて行った。そして「もう帰るところがない」というかがりを数日、自分の故郷へ連れて行くことにした。青森の実家には母(佐々木すみ江)と体の不自由になった父(佐藤英夫)がいるが、かがりを歓迎してくれた。とくに母はかがりに家庭料理を食べさせ、風呂にも入れてやった。都心の警察ではれい子と別れた父(出門英)がかがりを捜していた。ある夜、良とかがりは海岸近くの洞窟で夜を過ごし、翌朝小舟を出してチーコの死骸を小さな木の棺を作って海へと沈めるのだった。


佐藤英夫

題名:ゴンドラ
監督:伊藤智生
脚本:伊藤智生、棗耶子
撮影:瓜生敏彦
照明:渡辺 生
特機:秋山薫
録音:大塚晴寿
音響:松浦典良
美術:張ケ谷実
化粧:立川須美子
衣装:藤井 操
効果:今野康之
アニメーション制作:スタジオぎゃろっぷ
記録:佐々木 薫、加藤琢実
編集:掛須秀一 ネガ編集:小野寺桂子
音楽:吉田 智
現像:イマジカ
撮影機材:シネオカメラ
フィルム:イーストマン・コダック(日本コダック)
プロデューサー:貞末麻哉子
製作進行:四海 満、小宮真
監督助手:長村雅文、飯田譲治
撮影助手:佐藤文男、菅野幸悦
照明助手:上林栄樹、森本幸雄
スチール:林久平、福田栄夫
出演:上村佳子、界健太、木内みどり、佐々木すみ江、佐藤英夫、出門英、鈴木正幸、長谷川初範、奥西純子、木村吉邦
公式サイト
1986年日本・OMプロダクション/スタンダードサイズ・カラー/112分35mmフィルム
2017年3月現在、DVD販売・レンタルはありません。


ゴンドラ

ゴンドラ

撮影:瓜生敏彦氏(1975年頃)       西友大森店5階・キネカ大森(2017年3月27日)

※上左写真は1975年頃に私と撮影現場で撮ったスナップ。今はフィリピン在住なのでしばらく会ってないが、SNSやメールなどで情報交換などをさせて戴いている。

瓜生敏彦氏
「ゴンドラ」の撮影を担当した瓜生敏彦氏は、現在はフィリピン在住。マニラのスモーキーマウンテンを記録した映画制作をきっかけに、フィリピン国内に拠点を置く。『神の子たち』の撮影中に銃撃を受けて負傷したが、一命を取りとめ、フィリピン国内で撮影技師としての仕事を続ける傍ら、NPO法人Creative Image Foundationを立ち上げ、マニラに住む最貧困層の子どもたちのために教育の場、表現の場と環境をつくるために奔走し、マカティに 「TIU Theater 瓜生劇場」を設立した。(公式サイトより)

本作で使用した撮影機材
フィルム:EK5247 ・EK5294 現像:イマジカ
キャメラ:ARRIFLEX 35ⅡCBV BNC (シネオカメラ)
レンズ:Cineovition Set Lens ,Angeniuex X10 ZOOM (シネオカメラ)

【追記】
本ブログ公開後に瓜生さんからSNSで撮影時の貴重なコメントを戴いた。

「とにかく低予算で1カ月近くの撮影でしたのでジェネレーターも5Kw。確か未だ高感度フィルム(EK5294)の粒子も荒く苦労しました。川村さんが開発した手製スタディーカムを改良して車椅子に乗せたり、全部手ずくりの特機で大変な撮影でした。」
瓜生敏彦(2017年3月28日)


※上の画はクリックすると別画面で拡大されます。

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