映画「黒い傷あとのブルース」


「黒い傷あとのブルース」吉永小百合

小林旭                          吉永小百合

今回は野村孝監督1961年製作「黒い傷あとのブルース」をピックアップする。
本作は吉永小百合さんと小林旭さんが共演した唯一の作品であり、日活独特の緩いハードボイルド・サスペンスになっている。ロケーションは、神奈川県横浜市曙町、神奈川県立音楽堂、チャペルセンター、野毛山動物園、兵庫県神戸市で行われている。


大坂志郎、吉永小百合                   郷鍈治

大坂志郎、近藤宏、神山繁                 稲葉義男

【ストリー】
霧笛流れる横浜の波止場に、白いトレンチ・コートの男渡三郎(小林旭)が姿を現わした。5年前、落ち目の勢力を挽回しようとあせって堤組の組長(松本染升)が、小牧(大坂志郎)のもってきた密輸の取り引きに手を出し、その取り引き現場を何者かに襲われて死に、渡は警察に捕えられたのだった。いま彼は小牧を探そうとしている。あの事件は小牧の仕組んだ芝居とにらんだからだ。昔なじみの場所をあたったが、小牧の行方はつかめない。ただ、この間にふとしたことで知り合った清純なバレリーナ洋子(吉永小百合)と再会したことが、渡の心を慰めた。渡は小牧がモダンなスーパー・マーケットを経営しているのを知った。彼は小牧に500万円を要求した。むろん、堤の遺族のためである。ところが、あの洋子が意外にも小牧の一人娘だった。洋子に結婚を申し込んでいるクラブ“ブルー・ムーン”の社長茂原(神山繁)の名がマーケットの登記書にあることを洋子に聞いた渡は、黒幕が茂原であり、堤組をつぶした小牧と共謀して事件をたくらんだことを知った。このころ、洋子と渡の胸に、たがいに慕情が芽生えてきたのだった。洋子は、かつて堤組のチンピラだった丈二(郷鍈治)から父の秘密を聞かされ、父に無断で500万円を渡に届けた。彼はこの金を堤の未亡人たか(東恵美子)に渡そうとしたが、小さな幸福を求めて子供をかたぎに育てようとしているたかは受け取らない。渡は5年間の報復の念が空しいものになったことを知った。茂原は渡を消そうと小牧をそそのかし、夜更けの倉庫裏に二人を対決させた。相討ちに見せかけようとする茂原の銃弾--。渡の応戦に茂原は肩を射抜かれたが、小牧もまた息絶えた。洋子は一人ぼっちになった。渡への恋心だけが生きる糧であった。渡への手紙を丈二に託した洋子は、喫茶店で渡を待った。が、遠くから彼女の姿をじっと見ただけで、渡の白いトレンチ・コートは霧の中に消えていった。


東恵美子                        吉永小百合、小林旭

題名:黒い傷あとのブルース
監督:野村孝
企画:児井英生
原作:山野良夫
脚本:山崎巌、吉田憲二
撮影:岩佐一泉
照明:岩木保夫
録音:福島信雅
美術:木村威夫
擬斗:渡井喜久雄
記録:服部佳子
編集:鈴木晄
音楽:大森盛太郎 主題歌:小林旭「黒い傷あとのブルース」挿入歌:牧村旬子「女の素肌」
現像:東洋現像所
製作主任:武藤良夫
助監督:吉田憲二
色彩計測:小栗準之助
スチール:荻野昇
出演:小林旭、吉永小百合、大坂志郎、神山繁、郷鍈治、稲葉義男、金井克子、東恵美子、近藤宏、深江章喜、木島一郎、松本染升
1961年日本・日活/シネスコサイズ・カラー86分35mmフィルム
黒い傷あとのブルース -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


吉永小百合                      黒い傷あとのブルース

映画「やくざの詩」



小林旭                          芦川いづみ

今回は舛田利雄監督1959年製作「やくざの詩」をピックアップする。
本作は1960年1月31日に公開された日活ヤクザ映画だが、東映のそれとは全く違うものだ。それまでの日活の芸風を残しながら細かい設定を曖昧にして展開する内容だ。これは脚本の賛否を問うものではなく、会社の意向に従い作ったものだと言わざる得ない。本作から13年後、俳優の小林旭さんや金子信雄さんは、”仁義なき戦いシリーズ“に多数出演し真価を魅せている。


「やくざの詩」南田洋子

南田洋子                         二谷英明

【ストリー】
佐伯組のやくざ安田(木島一郎)が何者かに射たれた夜、滝口哲也(小林旭)と名乗る男がピアノ弾きと称して佐伯組にもぐり込んだ。哲也は安田をすばやく治療した。かつて若く、将来を嘱望された医師哲也は、或日何の遺恨もないやくざに恋人を殺された。その日から哲也は狂ったようにそのやくざを追った。佐伯組に入ったのもその為だった。安田が倒れたのは黒沢組との不和が原因だった。佐伯組に出入りするアル中の老医水町(金子信雄)にはインターンに通う清純な娘道子(芦川いづみ)がいた。佐伯組と黒沢組との不和に乗じた相川一郎(二谷英明)という拳銃ブローカーが出入りを始めた。昔、哲也に命を助けられた相川は、今もなお哲也が恋人を撃ったスペイン製のゲルニカの弾丸を求めていることを知り愕然とした。日本に三つしかないというゲルニカを弟の次郎(垂水悟郎)は持っている。しかし次郎は兄の忠告を嘲い、翌日哲也を狙った。哲也は腕をかすったゲルニカの弾丸にこおどりした。次の夜、ゲルニカの弾丸は哲也をそれて水町医師を倒した。その夜次郎を客人とした黒沢組が佐伯組を襲った。哲也は宿敵ゲルニカと対決した。一瞬、次郎の拳銃が飛び、一郎が次郎の助命を乞うた。次の夜の決闘を哲也に約した次郎は、情婦由美(南田洋子)を訪ねた。高飛びの同行を拒まれ、カッとした次郎が襲いかかろうとした瞬間、次郎の腕は不気味な音をたてて折れた。しかもそれは醜い義手だった。次郎は由美を倒すと、哲也を求めて決闘場に足を運んだ。暗闇の中、勝ち誇った次郎は死体を見てがく然とした。それは哲也へ昔の借りを返した兄の姿だった。次郎と哲也は対峙した。次郎の一発が哲也の首にかかったゲルニカの弾丸をはねた。復讐の呪いは解けた。銃を捨てた哲也に次郎が迫った。しかし、由美を慕うチンピラの透(和田浩治)に次郎は撃たれた。次郎を救おうと哲也は必死に手術した。医者としても必死の再起だった。道子が歓びの声をあげた。夜明けの太陽が赤く輝き、次郎がうっすらと眼を開いた。


和田浩治                         垂水悟郎

題名:やくざの詩
監督:舛田利雄
企画:坂上静翁
脚本:山田信夫
撮影:藤岡粂信
照明:藤林甲
録音:中村敏夫
美術:佐谷晃能
擬斗:峰三平
記録:新関良子 (ノンクレジット)
編集:辻井正則
音楽:黛敏郎、中村八大 主題歌:小林旭「やくざの詩」トミー藤山:「なんにも言えず」
現像:東洋現像所
製作主任:栗橋正敏
製作進行:岡田康房 (ノンクレジット)
助監督:河辺和夫
監督助手:江崎実生、奥山長春 (ノンクレジット)
色彩計測:安藤庄平
出演:小林旭、芦川いづみ、南田洋子、二谷英明、和田浩治、金子信雄、垂水悟郎、内藤武敏、木島一郎、宮崎準、深江章喜、木島一郎
1959年日本・日活/シネスコサイズ・カラー87分35mmフィルム
やくざの詩 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


金子信雄                         芦川いづみ、小林旭

映画「紅の流れ星」

紅の流れ星
藤竜也、渡哲也
紅の流れ星
浅丘ルリ子
藤竜也、渡哲也紅の流れ星
浅丘ルリ子                      浅丘ルリ子、藤竜也

今回は舛田利雄監督1967年製作「紅の流れ星」をピックアップする。
日活の無国籍アクションティストの本作は、兵庫県神戸市の元町、神戸港・麻耶埠頭・桟橋、諏訪山、三ノ宮駅、三ノ宮ガード下、南京街、福原、六甲山ホテルなどでロケーションが行われた。私は神戸で生まれ年少期を過ごしたので懐かしい風景だった。
舛田利雄監督は、フランス映画「望郷(PEPE LE MOKO/監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ/主演:ジャン・ギャバン/1937年)」をオマージュした「「赤い波止場(出演:石原裕次郎、北原三枝)」を1958年に製作しているが、本作は、日活アクションが消えゆく寸前にそのリメイクとして作られたそうだ。

紅の流れ星紅の流れ星
藤竜也、渡哲也                   奥村チヨ、杉良太郎

【ストリー】
1年前、加島組の親分を射殺して東京を逃げ出した五郎(渡哲也)は神戸の関興業の用心棒に納っていた。酒、女に不自由のない気ままな生活の中で、五郎はしかし、宇須刑事(藤竜也)や、加島の仇と五郎を狙う沢井(宍戸錠)の目を警戒せねばならなかった。ある日、関と取引きしていた宝石商の小島(山田真二)が行方不明になり、小島の婚約者と名乗る啓子(浅丘ルリ子)が五郎を訪ねてきた。一風変ったところのある啓子に興味を覚えた五郎は共に小島探しに駆け回ったが、いつか彼女を愛するようになった。そんな時、沢井が五郎をつけ狙って後を追っていたのだが、五郎の弟分の竹越(杉良太郎)がそれを知り、ひとりで沢井を倒すべく、モーターボートで沖へ連れだした。だが、竹越は、逆に沢井に殺されてしまった。一方、五郎は六甲山麓で発見された死体が小島であること、犯人が関と、幹部の田辺であることを知り、啓子に知らせた。当の啓子はその知らせに何の反応も示さず、一緒に寝てもいい、と言い出して五郎を驚かせるのだった。たまたま宇須刑事と会った五郎は、竹越が沢井に殺されたことを知って憤った。その足で沢井と対決した五郎は、あっ気なく相手を倒した。その頃、関は小島殺しの秘密が五郎に知られたことから、彼を邪魔に思い、消そうとしていた。その情報を秘かに探り出したバー「海猫」のマダムは、五郎を海外に逃がす手筈を整えたが、五郎はそれに応じなかった。五郎の心を占めているのは啓子のことだけだった。だが、啓子は五郎の求愛に頷きながら、沢井殺しの犯人として五郎を宇須刑事に密告していたのだった。朝モヤの立ち込める波止場で拳銃を乱射しながら警官隊に向って行った五郎は、一発の銃弾に崩れ落ちていった。

紅の流れ星紅の流れ星
松尾嘉代                          宍戸錠

題名:紅の流れ星
監督:舛田利雄
企画:園田郁毅
脚本:池上金男、舛田利雄
撮影:高村倉太郎
照明:熊谷秀夫
録音:福島信雅
美術:木村威夫
記録:熊野煕子
編集:井上親弥
音楽:鏑木創
現像:東洋現像所
製作主任:岡田康房
助監督:小沢啓一
色彩計測:舟生幸
特殊撮影:日活特殊撮影部
スチール:浅石靖
出演:渡哲也、浅丘ルリ子、藤竜也、宍戸錠、杉良太郎、奥村チヨ、松尾嘉代、谷村昌彦、山田真二、木島一郎、久里千春
1967年日本・日活/シネスコサイズ・カラー97分35mmフィルム
紅の流れ星 -DVD-
2017年6月現在、DVDレンタルはありません。

紅の流れ星紅の流れ星
藤竜也

紅の流れ星紅の流れ星