映画「蜘蛛巣城」


三船敏郎                         山田五十鈴

今回は黒澤明監督1956年製作「蜘蛛巣城」をピックアップする。
シェイクスピアの戯曲『マクベス』を日本の戦国時代に置き換えた内容の本作は、製作日数・製作費共に破格のスケールで作られ、1957年1月15日に劇場公開された。富士山の2合目・太郎坊の火山灰地に、蜘蛛巣城の巨大なセットを建設し、城の内側は東宝撮影所近くの農場にオープンセットを組み、室内は所内でスタジオ撮影をしたそうだ。


三船敏郎、千秋実                     志村喬

【ストリー】
戦国時代、難攻不落を誇る蜘蛛巣城の城内では城主都築国春(佐々木孝丸)を中に軍師小田倉則保(志村喬)ら諸将が北の館藤巻の謀叛に遭い籠城の覚悟を決めていた。その時、使者が駆込み、一の砦の鷲津武時(三船敏郎)と二の砦の三木義明(千秋実)が敵を破ったと報じた。主家の危急を救った武時と義明は主君に召され蜘蛛巣城に帰るべく城の前にある蜘蛛手の森に入った。ところが道に迷い雷鳴の中を森を抜け出そうと進むうち二人は一軒の小屋を見つけた。小屋の中から老婆(浪花千栄子)が現れた。驚く二人に老婆は「武時は北の館の主に、やがて蜘蛛巣城の城主になり、義明は一の砦の大将に、また義明の子はやがて蜘蛛巣城の城主になる」と不思議な予言をした。その夜、武時は北の館の主に、義明は一の砦の大将に任ぜられた。武時の妻浅茅(山田五十鈴)は冷い女。義明が森の予言を国春に洩らしたら一大事と、夫に国春を殺し城主になれと唆かす。悪魔のような囁きに武時は動揺するが、遂に国春を刺し蜘蛛巣城の城主となる。子のない武時は、予言に従いやがて義明の子義照を世継ぎにしようと考えた。ところが栄華の欲望にとりつかれた浅茅に反対され更に彼女が懐妊を告げて再び唆かすと武時は義明を討った。主君と親友を殺した武時は良心の呵責に半狂乱となり城中にも不安が漲った。大嵐の夜、浅茅は死産し重態に陥った。と、その時、一の砦から使者が来て、武時の手を逃れた国春の一子国丸(太刀川洋一)を奉じて小田倉則保と義明の子義照(久保明)が大将となって城に押寄せたと告げた。凶報相次ぐ蜘蛛巣城内の部将たちは戦意も喪失したが武時は、ふと森の老婆を思い出し武運を占わせようと蜘蛛手の森に駈け入った。老婆が現われ、「蜘蛛手の森が動き城へ押寄せぬ限り武時は敗れぬ」と再び予言した。狂喜した武時は城に帰った。が将兵は依然不安に戦き浅茅は遂に発狂した。時も時、城内に叫びが起った。蜘蛛手の森が城に押寄せたというのだ。軍兵たちは武時に裏切者の声を浴びせ、恐怖のうち矢を射られ城から転落した。蜘蛛巣城に朝日が輝いた。動く森と見えたのは全軍木の枝で擬装した則保の軍勢であった。


浪花千栄子                        三船敏郎

題名:蜘蛛巣城
監督:黒澤明
製作:黒澤明、本木荘二郎
原作:ウィリアム・シェイクスピア「マクベス」
脚本:小国英雄、橋本忍、菊島隆三、黒澤明
撮影:中井朝一
照明:岸田九一郎
録音:矢野口文雄
音効:三縄一郎
特殊技術:円谷英二、東宝特殊技術部
美術:村木与四郎 美術考証:江崎孝坪
小道具:浜村幸一
衣裳:森太樹
結髪:松本好子
美髪:山田順二郎
記録:野上照代
編集:黒澤明
音楽:佐藤勝
現像:東宝現像所
製作担当:根津博
チーフ助監督:野長瀬三摩地
監督助手:清水勝弥、田実泰良、金子敏治、佐野健、坂野義光
撮影助手:斎藤孝雄、梁井潤
照明助手:羽田昭三
録音助手:上原正直
美術助手:本多好文
経理担当:橋本活道
スチール:副田正男
流鏑馬指導:金子家教(大日本弓馬会藩士)
出演:三船敏郎、山田五十鈴、志村喬、千秋実、久保明、太刀川洋一、浪花千栄子、佐々木孝丸、上田吉二郎、藤木悠、土屋嘉男、稲葉義男、井上昭文、小池朝雄、木村功、宮口精二、中村伸郎
1956年日本・東宝/スタンダートサイズ・モノクロ110分35mmフィルム
蜘蛛巣城 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


三船敏郎                         蜘蛛巣城

映画「人間魚雷回天」


木村功                                岡田英次

今回は松林宗恵監督1955年製作「人間魚雷回天」をピックアップする。
本作は、人間魚雷という非人道的な兵器の実情が分かり、自ら海軍で出兵経験のある松林宗恵監督と須崎勝弥脚本にしか成し得ない作品になっている。特撮はズッコケルが、脚本と芝居で内容をカバーしている。


宇津井健                              沼田曜一

【ストリー】
戦争末期、大津島の日本海軍基地では戦局挽回のために、水中時攻艇回天の猛訓練が行われていた。隊員の大半は学校出身の予備士官だった。多くの犠牲者を出し、また同期生岡田(和田孝)が命を失ったことから、彼等はこの作戦に対し、懐疑的になっていた。学校士官関屋中尉(沼田曜一)は彼等を理解し、大野上水(殿山泰司)、田辺一水(加藤嘉)等は彼等に同情したが、隊長陣之内大尉(原保美)は軍人精神で押切っていた。出撃した村瀬少尉(宇津井健)と、北村兵曹(佃田博)が生還した。玉井少尉(木村功)等は喜んだが、同輩に罵倒された北村は一人悩んでいた。出撃を前に訓練は激しくなり、北村は疲労と、母親恋しさから精神錯乱を起し、自殺した。出撃命令が下りた。川村少尉(高原駿雄)は自分の回天に珠数をかけて祈り、ある者は碇荘で酒と女に我を志れた。玉井は碇荘の一室で、恋人早智子(津島恵子)と最後の逢瀬を楽しんだ。朝倉少尉(岡田英次)は一人宿舎に残り、田辺一水と語り明かした。関屋、朝倉、村瀬、玉井等を乗せた潜水艦が出発した後、早智子はひかれるように海に身を投じた。潜氷艦が赤道直下に至る頃、敵の駆逐艦に会い危くなった。関屋は回天に乗り、駆逐艦に体当りをした。艦隊司令から帰投命令をうけた時、敵艦隊の出港をキャッチした。朝倉、玉井、村瀬等は最後の別れを告げ回天に乗った。故障して海底に横たわる朝倉、早智子の写真を見つめて突っ込む玉井、必死に目標を追い突撃する村瀬。潜水艦は成功の喜こびに湧いたが、爆撃を受け浮上不能となり、回天に続いて自爆した。


加藤嘉、殿山泰司                        人間魚雷回天

津島恵子

題名:人間魚雷回天
監督:松林宗恵
企画:廣川聰
原作:津村敏行、齋藤寛
脚本:須崎勝彌
撮影:西垣六郎
照明:傍土延雄
録音:中井喜八郎
美術:進藤誠吾
特殊技術:新東宝特殊技術
編集:後藤敏男
音楽:飯田信夫
製作主任:前田晃利
助監督:瀬川昌治
出演:木村功、岡田英次、津島恵子、宇津井健 和田孝、國方傳、沼田曜一、加藤嘉、西村晃、高原駿雄、神田隆、横山運平、殿山泰司、丹波哲郎、原保美、佃田博
1955年日本・新東宝/スタンダードサイズ・モノクロ87分35mmフィルム
人間魚雷回天 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


人間魚雷回天

人間魚雷回天

映画「情炎」

情炎
岡田茉莉子
情炎情炎
岡田茉莉子                     木村功

今回は吉田喜重監督1967年製作「情炎」をピックアップした。
本作は直木賞を受賞した立原正秋氏の原作「白い罌粟」を吉田喜重監督が脚色し映画化したものだ。切り返しカットがなく、主人公二人の会話またはモノローグで構成されている。吉田監督は、毎作必ず表現を探求する姿勢を崩さない。
撮影は、羽仁進監督「不良少年」の金宇満司氏が担当されている。

情炎情炎

【ストリー】
織子(岡田茉莉子)と隆志(菅野忠彦)の結婚生活は初めから破綻していた。というのも、証券会社社長の隆志が織子の美貌を対外的に利用するため妻に迎えただけだからである。隆志は愛人を持ち、週に一度、鎌倉の自宅に戻ってくるにすぎなかった。夫の妹悠子(しめぎしがこ)と二人暮しの織子は、五月のある日、円光寺の歌会で彫刻家能登に会った。能登(木村功)は今は亡き織子の母繁子(南美江)の情人だった男である。以前は憎んでいた能登にあっても、織子はなぜか懐かしさを感じただけだった。ある日、悠子の開いたパーティの終りに、海辺にドライブした織子は、小屋で土工と情事を楽しむ悠子の姿を見て、激しい性への衝動を感じた。数日後、再び海辺の小屋を訪ねた織子は、その土工に身を任せた。だが性の満足とは逆に、母と同じ自堕落な女になるのではないかという不安が織子を苦しめた。織子は能登を訪ねた。織子の告白に対して能登は、織子は隆志と別れた方が身のためだと忠告した。その後、度々能登と織子は会ったが、二人は決して肉体関係に入ろうとはしなかった。それは、純粋な愛を芽ばえさせ、育てようとする二人の祈りのようなものだった。しかし二人の間に気づいた隆志は、織子に離婚はしないと告げた。二人を苦しめようというのである。その隆志も、織子が身を任せたのは能登ではなく、名も如らない土工だと知ると、誇りを傷つけられ、離婚を承諾した。その頃、能登は自作の巨大な彫刻の下敷になって重傷を負った。下半身麻痺で不能になるかも知れないという。織子はしかし、たとえ不能になっても、愛のない結婚よりは、たとえ不能でも能登との生活が、自分には幸せなのだと堅く信じていた。

情炎情炎
高橋悦史

題名:情炎
監督:吉田喜重
製作:久保圭之介、茨常則
原作:立原正秋
脚本:吉田喜重
撮影:金宇満司
照明:海野義雄
録音:加藤一郎
音効:芳野治
美術:梅田千代夫
編集:太田和夫
音楽:池野成
現像:東洋現像所
助監督:山田良美
スチール:長谷川元吉
出演:岡田茉莉子、木村功、高橋悦史、しめぎしがこ、菅野忠彦、南美江、太地喜和子、江守徹
1967年日本・現代映画社/シネスコサイズ・モノクロ98分35mmフィルム
情炎 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

情炎情炎

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