映画「花の中の娘たち」

花の中の娘たち花の中の娘たち
岡田茉莉子                       杉葉子

今回は山本嘉次郎監督1953年製作「花の中の娘たち」をピックアップする。
岡田茉莉子さん20歳時の作品だが、ベテラン俳優達との共演でも演技が秀逸であるのは凄い。
舞台の梨園は、JR南武線「登戸」駅~「稲田堤」駅間あたりのロケセットと思われる。

本作は東宝初のカラー作品である。フィルムは本作の2年前に制作された松竹映画「カルメン故郷に帰る」と同じ富士フィルムを使用している。このリバーサルフィルムの色彩計測は厳格なもので、感度は低く、照明光量が白黒作品の数倍必要になり、カラーネガの様なタイミング補正は出来ないが、微粒子である。本作もピーカン(晴天)のオープンが多く、セット撮影が少ないのは、相当な光量が必要だったからであろう。

1939年からカラーフィルムの開発を進めていた富士フイルムは、1947年に学術映画で3色多層式リバーサルフィルム(外式)の使用を皮切りに、1951年「カルメン故郷に帰る」1953年「夏子の冒険(中村登監督)」と本作の3本編で採用された。その後、リバーサルフィルムから通常のネガ・ポジ方式のカラーフィルム開発へと方針転換して1958年「楢山節考(木下恵介監督)」で確立したそうだ。

花の中の娘たち花の中の娘たち
小林桂樹                        小泉博

【ストリー】
東京の中心から電車で一時間、多摩川を渡ると全く田舎になる。左平(小堀誠)の家は代々、梨で知られた果樹園である。長男清太郎(鴨田清)が自動車に轢かれて死んだ後、左平は勝造(小林桂樹)を養子にしてよし子(杉葉子)に家をつかせようと思ったが、東京のホテルに勤めている彼女には電気技師の三村(小泉博)という恋人がある。妹もも子(岡田茉莉子)は庄六(東野英治郎)の家に引越して来た音楽学校の学生北小路(平田昭彦)に仄かな恋心をよせている。三村は沖縄に有望な仕事口が見つかり、よし子と結婚して一緒に行こうというが、彼女は家を見すてる決心がつかない。勝造はよし子に恋人があることを知って悩むが、左平は三村が養子に来て果樹園の仕事をするのでなければ絶対によし子との結婚は許さないという。三村の出発する日は近づいたが、まだよし子の心は決らなかった。その時ホテルの常客ユリ(立花満枝)がドル買犯人の情婦として逮捕されたが、よし子は三村をはじめ都会の人々のユリに対する態度の冷たさをみて、はっきり三村との結婚を断った。間もなく勝造を養子に楽しく梨畑で働くよし子の姿が見られ、今度はもも子が東京に勤めることになった。

花の中の娘たち花の中の娘たち
平田昭彦                     岡田茉莉子、東野英治部

題名:花の中の娘たち
監督:山本嘉次郎
製作:山本嘉次郎
脚本:山本嘉次郎、西島大
撮影:完倉泰一
照明:石川緑郎
録音:藤好昌生
美術:河東安英
特技:東宝技術部
音楽:レイモン・ガロワ・モンブラン
編集:坂東良治
製作補佐:馬場和夫
製作担当:板谷良一
監督助手:筧正典
出演:岡田茉莉子、小林桂樹、杉葉子、小泉博、平田昭彦、東野英治部、立花満江、小堀誠、本間文子、村上冬樹、中村是好、鴨田清、堺佐千夫、蘭かず子、島秋子
1953年日本・東宝/スタンダードサイズ・フジカラー95分35mmフィルム

花の中の娘たち花の中の娘たち
杉葉子、岡田茉莉子                  小林桂樹、杉葉子
花の中の娘たち花の中の娘たち
建設中の多摩水道橋           多摩川を走る小田急線(デハ1100形・3両編成)
※多摩水道橋は、世田谷通り・津久井街道の多摩川に架かる橋。現在は拡張されている。
※現在の小田急線多摩川鉄橋は、複々線に建て替えられ快速急行(10両編成)で新宿~登戸間は、17分で行ける。

映画「悪名一代」


勝新太郎                        田宮二郎

今回は安田公義監督1967年製作「悪名一代」をピックアップする。
本作は、勝新太郎さんと 田宮二郎さんのコンビが冴える”悪名シリーズ”の第13作になる。素手で相手を倒す事をモットーとする朝吉が、遂にドスを使ってしまったという”悪名シリーズ”の異色作になる。

悪名シリーズ


長門勇                              森光子


森光子、上田吉二郎、勝山まゆみ              浜田ゆう子

【ストリー】
行先も定めずふらりと山陰線の汽車に乗った朝吉(勝新太郎)は、渡り仲居のお澄(森光子)に初恋の男と間違われた。朝吉は人の善いお澄に勧められるままに、彼女の勤める旅館に泊った。ところがそこには、近くアメリカから帰国する伯母から三億円の遺産を相続することになっているという蔦江(浜田ゆう子)が軟禁されていた。見張りは女高校生環(勝山まゆみ)で、彼女の父はかつて朝吉に悪事をあばかれた沖縄の源八(上田吉二郎)だった。源八は朝吉に、3億円に目をつけた二代目シルクハット(長門勇)が蔦江を無理に妾にしたので助け出したのだと語ったが、朝吉は蔦江を奪って、シルクハットの家へ乗り込んだ。意外にも、そこには清次(田宮二郎)がシルクハットの妹お美津(坪内ミキ子)を女房にして住んでいた。朝吉はシルクハットを詰問したが、とても一筋縄でいく男ではなく、様子を見るため、当分の間居候することにした。一方、1年前、刃物を使って親分の朝吉に怒鳴られ、姿を消した清次は、朝吉の怒りを解こうと懸命だった。その頃、源八は3億を山分けすることにして新興やくざのお十夜一家にこの話を持ち込んだ。やがて、盆踊りの太鼓が鳴り出した日、蔦江の伯母お菊(本間文子)が帰ってきた。蔦江を押さえているシルクハット、お菊を抱き込もうする源八とお十夜一家。小さな町にやくざの策略と陰謀が入乱れた。その有様を静観していた朝吉だったが、清次がだまし討ちにあって重傷を負い、しかもお美津までが斬り殺されるに及んで立ち上った。お十夜一家に、乗り込み、初めてドスを手にして暴れ回った。その朝吉にお十夜(小池朝雄)は倒され、助け出されたお菊は蔦江と涙ながらの対面をするのだった。一方、シルクハットは妹のお美津の死にショックを受け、3億円を諦めた。朝吉はこうしてすべてが終った後、ひとり自首するために出ていくのだった。


坪内ミキ子                      勝新太郎

題名:悪名一代
監督:安田公義
企画:奥田久司
原作:今東光
脚本:依田義賢
撮影:牧浦地志
照明:古谷賢次
録音:大角正夫
美術:加藤茂
擬斗:楠本栄一
編集:谷口登司夫
音楽:鏑木創
現像:東洋現像所
製作主任:村井昭彦
助監督:宮嶋八蔵
スチール:大谷栄一
出演:勝新太郎、田宮二郎、森光子、長門勇、浜田ゆう子、坪内ミキ子、勝山まゆみ、上田吉二郎、小池朝雄、本間文子、早川雄三、北城寿太郎、毛利郁子
1967年日本・大映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー89分35mmフィルム
悪名一代 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


山陰本線C57蒸機

映画「あに・いもうと」


京マチ子                      久我美子

今回は成瀬巳喜男監督1953年製作「あに・いもうと」をピックアップする。
本作は、成瀬監督が大映で撮った2作品(本作と「稲妻」)で当時、映画監督を志していた女優の田中絹代さんが監督見習いとして参加し、成瀬監督から映画作法、演出術を学んでいたそうだ。

【追記。訃報】
女優の京マチ子(本名・矢野元子=やの・もとこ)さんが、2019年5月12日に心不全のため都内の病院で亡くなったと、14日、東宝が発表した。享年95。京さんの生前の遺志により、この日、石井ふく子さん(92)ら数名の友人の立ち会いのもと、密葬が営まれた。石井さんによると、数年前、京さんがハワイへ赴き、自ら手配したお墓に入るという。京さんは49年に映画会社の大映に入社し、女優デビュー。映画「羅生門(1950年)」「雨月物語(1953年)」など数々の名作に出演した。遺作は2006年の舞台「女たちの忠臣蔵(石井ふく子演出)」。
スポーツ報知5/14(火) 17:25配信


森雅之、久我美子

【ストリー】
昔は川師の親方として名を売った赤座(山本礼三郎)も、堤防の工事を県にとられて以来落ち目である。それに娘のもん(京マチ子)が奉公先で学生の小畑(船越英二)と関係し、妊娠して家に戻って来たので、近頃特に機嫌が悪い。末娘のさん(久我美子)は姉の送金で看護婦の学校へ行っており、うどん屋の養子鯛一(堀雄二)と一緒になりたい気持があるが、もんの不始末が知れた以上望みはない。兄の伊之吉(森雅之)はもんを可愛がっていただげに余計腹が立ち、身重のもんへ悪態を浴びせ、居たたまれなくなったもんは居所も知らさず家を出て行く。或る日、小畑がお詑びに訪ねて来たが、伊之吉はその帰り途小畑を殴ってしまった。鯛一は他の女との縁組を迫られ、さんと駈け落ちしようと決心するが、さんは二人が勇気さえ持っていれば駈け落ちまでしなくてもとたしなめて学校へ帰ってゆく。--それから暫く赤座の家は、もんもさんも戻って来ず淋しげだった。翌年のお盆、久し振り二人が帰って来た。鯛一は結婚してうどん屋の若主人に納っており、さんも今はその話をひとごとに聞ける様になっていた。伊之吉はもんの顔を見ると相変らず悪態をつき、小畑を殴ったことまで言ってしまう。もんは今ではいかがわしい暮しで毎日を送っている女であり、伊之吉の悪態をも聞き流していたが、小畑が殴られたと聞いては黙っていられなかった。別に今更小畑とどうのこうのと考えはしないが。--翌日、もんとさんは又家を後にする。兄妹喧嘩はしてもやはり二人は家が懐しかった。


山本禮三郎、浦辺粂子                  船越英二

題名:あに・いもうと
監督:成瀬巳喜男
企画:三浦信夫
原作:室生犀星
脚本:水木洋子
撮影:峰重義
照明:安藤真之助
録音:西井憲一
音効:花岡勝次郎
美術:仲美喜雄
装置:小宮清
装飾:尾上芳夫
小道具:永川勇吉
衣裳:堀口照孝
結髪:篠崎卯女賀
記録:堀本日出
編集:鈴木東陽
音楽:齋藤一郎
製作主任:西沢康正
助監督:西條文喜
撮影助手:中尾利太郎
製作進行:坂根慶一
監督見習い:田中絹代
スチール:椎名勇
出演:京マチ子、久我美子、森雅之、山本禮三郎、浦辺粂子、船越英二、潮万太郎、堀雄二、宮島健一、本間文子、高品格
1953年日本・大映/スタンダードサイズ・モノクロ86分35mmフィルム
あに・いもうと -DVD-
2019年7月現在、DVDレンタルはありません。


浦辺粂子、森雅之

京マチ子

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