映画「羅生門」

羅生門羅生門
三船敏郎                      京マチ子

今回は黒澤明監督1950年製作「羅生門」をピックアップする。
本作の撮影は、大映京都撮影所で行われた。撮影所前の広場に原寸大の”羅生門”」のオープンセットを建設の門以外に作られたセットは検非違使の白洲のみで、森のシーンは奈良奥山の原生林と光明寺の森でロケーション撮影したそうだ。トップシーンの”雨”は、モノクロフィルムで迫力のある雨の画を撮る為に水に墨をまぜてホースで降らせたという。この手法は「七人の侍」の豪雨の中の合戦シーンでも用いられている。

【追記。訃報】
女優の京マチ子(本名・矢野元子=やの・もとこ)さんが、2019年5月12日に心不全のため都内の病院で亡くなったと、14日、東宝が発表した。享年95。京さんの生前の遺志により、この日、石井ふく子さん(92)ら数名の友人の立ち会いのもと、密葬が営まれた。石井さんによると、数年前、京さんがハワイへ赴き、自ら手配したお墓に入るという。京さんは49年に映画会社の大映に入社し、女優デビュー。映画「羅生門(1950年)」「雨月物語(1953年)」など数々の名作に出演した。遺作は2006年の舞台「女たちの忠臣蔵(石井ふく子演出)」。
スポーツ報知5/14(火) 17:25配信

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森雅之                       志村喬

【ストリー】
平安時代のとある薮の中。盗賊、多襄丸が昼寝をしていると、侍夫婦が通りかかった。妻に目を付けた多襄丸は、夫をだまして縛り上げ、夫の目の前で妻を強姦する。しばらく後、現場には夫の死体が残され、妻と盗賊の姿はなかった。
--物語は、この殺人事件をめぐり、目撃者の杣売(志村喬)と旅法師(千秋実)、捕らえられた盗賊(三船敏郎)と侍の妻(京マチ子)、それに巫女により呼び出された、死んだ侍の霊の証言により構成される。ところが事件の顛末は、証言者によってくい違い、結局どれが真実なのかわからない。盗賊によると、女がどちらか生き残った方に付いていくと言うので夫と対決し、彼を倒したが女は消えていたと言い、妻は妻で、盗賊に身を任せた自分に対する夫の蔑みの目に絶えられず、錯乱して自分を殺してくれと短刀を夫に差し出したが、気が付いたら短刀は夫の胸に突き刺さっていたと告白。そして夫の霊は、妻が盗賊に、彼に付いていく代わりに夫を殺してくれと頼むのを聞いて絶望し、自分で自分の胸に短刀を刺したが、意識が薄れていく中で誰かが胸から短刀を引き抜くのを感じながら、息絶えたと語った。 役所での審問の後、羅生門の下で雨宿りをしている杣売と旅法師は、同じく雨宿りをしていた下人(上田吉二郎)に事件について語る。下人は、短刀を盗んだのは杣売だろうとなじり、羅生門に捨てられていた赤ん坊の衣服を剥ぎ取ると行ってしまった。呆然とたたずむ杣売と法師。杣売は、赤ん坊を引き取って育てるという。法師が彼の行為に一縷の希望を見出し、映画は終わる。

羅生門羅生門
上田吉二郎、千秋実               三船敏郎、京マチ子

題名:羅生門
監督:黒澤明
企画:本木荘二郎、箕浦甚吾
原作:芥川龍之介「薮の中」
脚本:黒澤明、橋本忍
撮影:宮川一夫
照明:岡本健一
録音:大谷巌
美術:松山崇
記録:野上照代
編集:西田重勇
音楽:早坂文雄
助監督:加藤泰
デジタル復元共同統括:マイケル・ポゴゼルスキー
出演:三船敏郎、森雅之、京マチ子、志村喬、千秋実、上田吉二郎、加東大介、本間文子
1951年第12回ヴェネチア映画祭グランプリ賞、第24回アカデミー外国語映画賞受賞
1950年日本・大映/スタンダードサイズ・モノクロ88分35mmフィルム
羅生門 -DVD-
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羅生門羅生門
1950年「羅生門」

映画「野良犬」

野良犬野良犬
三船敏郎、志村喬

今回は黒澤明監督1949年製作「野良犬」をピックアップした。
本作は東宝争議の影響で東宝での製作を断念した山本嘉次郎氏、本木荘二郎氏らの映画芸術協会に参加した黒澤明監督が、大映で製作した「静かなる決闘」に次ぎ、新東宝で製作した作品だ。戦後の街並みや風俗が生き生きと描写されている。闇市を歩く村上のシークエンスでは、助監督の本多猪四郎氏がカメラマンと2人で本物の闇市を隠し撮りしたそうだ。闇市を知らない世代の私だが、緊張感は画から伝わって来た。

野良犬野良犬

【ストリー】
射撃練習を終えた村上刑事はコルト式けん銃に弾を装てんして無雑作に私腹の上着のポケットにねぢこんだ。彼は連日の活躍に大分疲労を感じながらバスに乗り帰途についたが、途中のバスの中で一大事が起った。それは彼のピストルが盗まれたのである。ポケットに手をやった時はすでに遅く、周囲の怪しい奴が降りたのですかさず後を追ったが残念ながら姿を見失ってしまった。真夏の午下がりの出来事であった。彼は早速警視庁捜査第一課の中島警部に事情を訴え出たが、そのピストルの中には七発の実弾が入っており、事の重大さに今更ながら若い村上刑事は当惑するのであった。何分の処分がきまるまででも、じっとしているわけにもいかないので、中島係長の暗示でスリ係の老刑事市川に相談する。すると鑑識課の手口カードを調べて当時の様子を分析したところ、市川刑事の知っているスリのお銀が捜査線にあがった。気のはやる村上刑事は、市川刑事とお銀の巣へ乗り込んだ。お銀は最初しらばくれていたが、強引な村上刑事の食い下がりにしびれを切らして、場末の盛り場の貸ピストル屋をばく然としらせてくれた。それからというものは村上刑事はボロボロ服に変相して毎日探し歩いた。その甲斐あってか村上刑事は遂につきとめたが責任を感ずる余り失策してしまった。それから村上刑事は淀橋の事件担当刑事の佐藤と一緒に仕事をすることになった。佐藤は熟練者だけあって仲々手際よく事件にあたった、そして貸ピストル屋から端緒を得た彼等は、本多という男に目星をつけた、すぐ手配して本多の逮捕にとりかかったが、彼は後楽園の球場にいるという聞き込みに、五万人という数の中から彼をおびき出し、ピストルに対する警戒をしながら、彼の写真を内外に配布して難なく捕いた。しかしそれで解決したわけではなかった。村上のピストルは本多の背後にいる遊佐新二郎の手もとにあって彼が主役を演じていることがわかってきたからである。村上と佐藤両刑事は次々と捜査網を縮めて行った。そして遊佐の情婦のハルミをつきとめているうちにピストル強盗事件は、村上刑事がピストルを紛失してから三件あったが、彼等は遊佐の所在をつきとめることにすでに成功していた。佐藤刑事は単身遊佐の後を追った、村上刑事はハルミの白状を彼女のアパートで待っていたが、不覚にも佐藤は村上に電話する時に遊佐の弾に倒れてしまった、驚いた村上は急拠かけつけて自分の血によって、佐藤の一命を食い止めた、純情な村上はざんきに耐えなかったが、遊佐が高とびしようとする一瞬ハルミの必死の密告によって、遊佐を引きとめることが出来た。遊佐の手には村上のコルトが握られていた、村上はピストルを佐藤に貸したため持っていなかったが、一発は村上の腕に、あと二発は樹木に流れた。これで七つの弾は全部弾かれた。数日後村上と佐藤は警察病院から街の屋根々々をうれしそうにながめていた。

野良犬野良犬

題名:野良犬
監督:黒澤明
製作:本木莊二郎
原作:黒澤明
脚本:菊島隆三
撮影:中井朝一
照明:石井長四郎
録音:矢野口文雄
美術:松山崇
振付:縣洋二(S.K.D)
編集:後藤敏男
音楽:早坂文雄
現像:新東宝現像所
製作主任:平木政之助
B班撮影:山田一夫
助監督:本多猪四郎
監督助手:今泉善珠
出演:三船敏郎、志村喬、千石規子、淡路恵子、本間文子、木村功、河村黎吉、三好栄子、飯田蝶子
1949年日本・新東宝/スタンダードサイズ・モノクロ122分35mmフィルム
野良犬 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

野良犬野良犬

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