映画「座頭市逆手斬り」

座頭市逆手斬り座頭市逆手斬り
勝新太郎                         藤山寛美

今回は森一生監督1965年製作「座頭市逆手斬り」をピックアップする。
本作は、“座頭市”シリーズ”第11作目になる。今作は松竹喜劇の名優藤山寛美さんが、ニセ座頭市として登場するが、脚本がその魅力を減衰させる内容にしているのが残念だ。だいたいニセ・ヒーローが出てくる様な内容になるとアイディアの枯渇が露呈される事が多い。この当時、勝新太郎さんは「兵隊やくざ」シリーズが始まり「座頭市」「悪名」と合わせて3本の人気シリーズを抱え、名実共に大映のドル箱スターになっている。

座頭市シリーズ

座頭市逆手斬り座頭市逆手斬り
滝瑛子                         石山健二郎

【ストリー】
もぐりバクチの罪で捕った座頭市(勝新太郎)は、牢内で無実の罪で死刑を宣せられたやくざ島蔵(水原浩一)から、彼の無実を証明する兄弟分・黒馬の仙八(原田玄)か荒磯の重兵衛親分(石山健二郎)をたずねてくれるようにと頼まれた。翌朝牢を出た市は、若いやくざ百太郎(藤山寛美)と一緒になったが、市とは縁の深い青田の鎌十(玉置一恵)の許へわらじを脱いだ市が、下にもおかぬもてなしをうけるのに腹をたてて市と別れた。数日後、大洗の宿で黒馬の仙八を訪ねあてた市は、島蔵の身の上を話して協力を頼んだ。一度はこれをひきうけた仙八だったが、その夜市は黒馬一家に寝込みを襲われた。得意の居合斬りで刺客を蹴散らした市は仙八をしめあげ、役人を買収し島蔵をおとしいれたのは、荒磯の重兵衛であることを聞きだし、さらに黒馬一家に監禁されていた妖艶な女お米(滝瑛子)を救けた。その後お米は市を慕って、どこまでも後を離れようとはしなかった。それからまた数日、市は百太郎の扮するニセ座頭市に悩まされながらも、島蔵の身を案じて、荒磯の重兵衛の許に急いだ。そのころ島蔵の娘お千代(明星雅子)は、何とか島蔵を救おうと、必死の思いで重兵衛に嘆願した。しかし重兵衛は、そんなお千代の弱身につけこんでお千代の身体を奪おうとした。が、危機一髪かけつけた市は、必殺の逆手斬りで重兵衛の仔分をなぎたおし、重兵衛に島蔵の無罪を証明させる書付を書かせた。そこで市は、お千代から百太郎が島蔵の息子であることを聞かされた。市は早速重兵衛の書状を、刑場にはこばれる島蔵の許に届けた。無罪を証明されて涙を流してよろこぶ島蔵をあとに、市の孤影は鹿島灘の砂丘に消えていった。必死に後を追うお米をしたがえて……。

座頭市逆手斬り座頭市逆手斬り
藤山寛美、勝新太郎

題名:座頭市逆手斬り
監督:森一生
企画:財前定生
原作:子母沢寛
脚本:浅井昭三郎
撮影:今井ひろし
照明:伊藤貞一
録音:林土太郎
音効:倉島暢
美術:太田誠一
装置:吉見光男
擬斗:楠本栄一
編集:谷口登司夫
音楽:大森盛太郎
現像:東洋現像所
製作主任:小沢宏
助監督: 大洲斉
スチール:藤岡輝夫
出演:勝新太郎、藤山寛美、滝瑛子、明星雅子、村瀬幸子、石山健二郎、島田竜三、水原浩一、南部彰三、守田学、原田玄、玉置一恵、伴勇太郎
1965年日本・大映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー77分35mmフィルム
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座頭市逆手斬り

映画「女医の診察室」


原節子                          原節子

今回は吉村廉監督1950年製作「女医の診察室」をピックアップする。
原節子さんは、1935年に日活撮影所の専属俳優になり、1936年に来日したドイツのアーノルド・ファンク監督が、日独合作映画「新しき土」のヒロインに抜擢される。そして1938年に日活からJ.Oへ移籍する。J.OはP.C.Lと吸収合併され、東宝映画株式会社となる。戦後1946年に黒澤明監督「わが青春に悔なし」に出演後、第2次東宝争議で、大河内伝次郎、長谷川一夫、黒川弥太郎、藤田進、高峰秀子、山田五十鈴、入江たか子、山根寿子、花井蘭子と共に「十人の旗の会」を結成し東宝労働組合を脱退する。
1947年に新東宝で「かけ出し時代(監督: 佐伯清)」を主演した後にフリーとなり、松竹大船、大映東京、東横映画、東宝、新東宝などの作品に出演した後に、1950年大映東京「白雪先生と子供たち(監督: 吉村廉)」に続いて新東宝で本作に主演した。

※東横映画は1951年まで存在し、東映の前身の1社。


上原謙                      原節子、上原謙

【ストリー】
国際港Y市、ここにはその設備施設を誇る“聖ペテロ施療病院”がある。ここの産婦人科部長は若く美しい田島文子医博(原節子)であった。彼女は毎日の激務の間にも前々からとりかかっている心臓病の研究だけはおろそかにしなかった。というのは心臓病が彼女の宿痾になっていたのだ。ある日、二人の新任の医博が赴任して来た。内科部長の野間亀太郎(河津清三郎)と、顧問の川村信吉(上原謙)。信吉こそは文子とかつて言い交わした仲であった。ところが信吉は成績甚だ香しからず、それ故に文子はいたく失望して、わざと彼のところから離れ、自分自身が専心医学に突入し、遂に博士号まで得て今日に至ったのである。それは結局愛する人信吉を発憤させる為だった。が、信吉は簡単に曲解し、栄子(三宅邦子)と結婚して一子信夫まで設けている今日であった。文子の考えは全くの誤算というべく、しかもそれは余りに大きな痛手であった。計らずもその信吉と顔を合わした文子の胸中は怪しくふるえるのだった。お互いに、顔を合わせる事は苦しかった。ことに信吉は文子の真意を今でも解していなかったから。文子の仕事は激しかった。次から次へと送り込まれる施療患者、手術を要する様な重患は総て文子が手掛けねばならなかったし、又彼女とすれば自己の仕事に没入する事が、胸の奥底の苦しみから一時的にでも逃れ得る僅かな機会でもあった。テキパキと片付ける彼女の鮮やかな腕の程は、助手や看護婦達の尊敬を一身に集めていた。院内一同が一泊二日のピクニックに出かけた。文子と信吉は知らず知らずの間に道を踏み迷い二人だけになってしまった。初めてお互いは総てを話合った。そして二人共、その時期の余りに遅かったのを嘆くばかりだった。次の日から又文子は部長としての仕事に没入していった。その頃彼女の病気はもはや取り返しのつかないところまで進行していた。彼女は自分の名を秘し、ひそかに北里博士を訪れて打診して貰った。後、一二ヶ月の命脈しか保ていことが明かにされた。しかし飽くまで患者に対する責任を遂行した。重なる無理は彼女自身を遂に神の手に委ねばならなかった。枕頭に立つ信吉の眼から滂沱として涙が落ちる。


河津清三郎                        千石規子

題名:女医の診察室
監督:吉村廉
製作:滝村和男
原作:常安田鶴子
脚本:小國英雄
撮影:三村明
照明:大沼正喜
合成撮影:天羽四郎
録音:村山絢二
美術:安倍輝明
編集:笠間秀敏
音楽:斎藤一郎
製作主任:服部仙太郎
助監督:小森白
出演:原節子、上原謙、津山路子、河津清三郎、風見子章、中北千枝子、村瀬幸子、三宅邦子、千石規子、生駒次信、杉寛
1950年日本・滝村プロ+新東宝/スタンダードサイズ・モノクロ86分35mmフィルム
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三宅邦子                       女医の診察室

映画「座頭市兇状旅 」


「座頭市兇状旅 」勝新太郎

万里昌代、勝新太郎                     高田美和

今回は田中徳三監督1963年製作「座頭市兇状旅 」をピックアップする。
シリーズ第4作となる本作は、勝新太郎さんの居合いと殺陣が絶品である。しかしながら、脚本が、蛾十郎(北城寿太郎)とおたね(万里昌代)、そして市(勝新太郎)の関係が浅い設定なので物足りないものとなっている。ラストで蛾十郎に斬られたおたねを想う市の感情も浅くなっている。

座頭市シリーズ


「座頭市兇状旅 」万里昌代

北城寿太郎                                                              安部徹

【ストリー】
上州下仁田。市(勝新太郎)が投宿した旅篭の主人島蔵(松居茂美)を訪ねて来た佐吉(成田純一郎)と東九郎(安部徹)の話から、土地の二代目親分佐吉と、旅篭の親切な娘のぶ(高田美和)は恋仲だが、のぶの養父島蔵は佐吉の先代に遂われた元貸元で、未だに縄張りの夢が捨てきれずにいることを知った。彼らは二代目披露を兼ねた今夜の花会をぶちこわして佐吉を窮地に陥れ、同時に佐吉を消すこと考えていた。そのために蛾十郎(北城寿太郎)という浪人まで傭っていた。娘のぶも養父と佐吉の仲の悪いことを感づいていた。翌日、佐吉が蛾十郎と東九郎の罠にはまりかけたとき、佐吉の立場を考えた市が自分一人の喧嘩として買って出た。逃げ帰った東九郎は自分が殺した佐吉の乾分も市の所為だと親分衆に報告佐吉の不可斐なさを責め、彼に市を斬ることを迫った。祭りも最後の三日目、名残惜しげなのぶの手伝いで旅仕度をしている市の許に、佐吉が飛び込んで来た。おたね(万里昌代)が東九郎に拐わかされたというのだ。廃屋に駈け込んで、これが佐吉の裏切りと知った。佐吉が五百両で蛾十郎を買収したのだ。後を追って来たのぶの声も耳に入らぬ佐吉。東九郎らやくざの連合軍はその包囲をちじめて、市に迫った。幾度かの絶望的な危機を斬り抜け河原の中州へ出た。が、そこには蛾十郎が待っていた。蛾十郎は必死に制止するおたねを刺した。市の憤りは炸裂、蛾十郎に迫った。必死の市の剣はさえ、蛾十郎はその剣の前にたおれた。やがて、旅姿の市のひょろひょろとした姿が見られ、見送るのぶの目に光るものが宿っていた。


「座頭市兇状旅 」勝新太郎

成田純一郎                           高田美和、勝新太郎

題名:座頭市兇状旅 (ざとういちきょうじょうたび)
監督:田中徳三
企画:久保寺生郎
原作:子母沢寛
脚本:犬塚稔、星川清司
撮影:牧浦地志
照明:中岡源権
録音:長岡栄
音効:倉島暢
美術:太田誠一
装置:林米松
擬斗:宮内昌平
編集:山田弘
音楽:伊福部昭
現像:東洋現像所
製作主任:田辺満
助監督:土井茂
色彩計測:小池清茂
スチール:浅田延之助
出演:勝新太郎、万里昌代、高田美和、名和宏、北城寿太郎、成田純一郎、安部徹、小林勝彦、松居茂美、村瀬幸子
1963年日本・大映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー86分35mmフィルム
座頭市兇状旅 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


「座頭市兇状旅 」万里昌代

勝新太郎                       村瀬幸子、成田純一郎、高田美和

1963年「座頭市兇状旅 」撮影風景

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