映画「大人と子供のあいのこだい」

大人と子供のあいのこだい大人と子供のあいのこだい
浜田光夫                       松原智恵子

今回は若杉光夫監督1961年製作「大人と子供のあいのこだい」をピックアップする。
本作は松原智恵子さんのデビュー作だが、驚くほど出番とカラミが少ない。「キューポラのある街」と比べると見劣りする内容とテーマの追求である。プロダクションノートに書いてある教配スタジオ(目黒区柿の木坂・旧目黒スタジオ)を使用しているそうだが、どのシーンだかは分からなかった。70年代後半~90年代前半までCF撮影で、特に徹夜の仕事で通ったのを思い出す。2002年に教配スタジオは売却され、跡地にはUR都市機構シティコート目黒が建った。余談になるが、それから6年経た2008年10月に東宝ビルド(東京美術センター)も閉鎖、解体され、跡地は集合住宅として再開発された。

大人と子供のあいのこだい大人と子供のあいのこだい
鈴木瑞穂、浜田光夫                 佐々木すみ江、宇野重吉

【ストリー】
平井明夫(浜田光夫)は下町の中学三年生だ。父親の国造(松下達夫)は小さな工場の工員、母親のマサ(小夜福子)は内職、姉の加代(高田敏江)も工員をして貧しい家計を助けている。国造は、工場の不況で月給も遅れがちになのに、毎日酒を飲み、競輪や競馬にうつつをぬかしていた。明夫は、そんな父親に憤りを感じるとともに、“専門学校までいった父ちゃんに日雇い仕事までさせたくない”と文句も言わず、苦しい家計をやりくりしている母親にも不満だった。学校で生徒会役員の選挙があった。成績優秀な彼は友人たちに推されて立候補し、役員に選ばれた。喜んだ親友の杉下京一(鈴木寿雄)は明夫を自分の家へ誘い、家族に明夫の演説ぶりを話した。その晩、楽しい夕飯をご馳走になった明夫は、食後に京一から「坂口智佐子(松原智恵子)が好きなんだろう」と言われた。国造の働いている工場が潰れた。次の仕事は中々見つかりそうもない。そのうえ加代も無理がたたって病気になり、療養所へ入ってしまった。しかし明夫はいじけなかった。学校では役員として活躍し、高校入試模擬テストでは全国でも優秀な成績をとった。明夫は毎日日記をつけている。「貧乏なのはしかたがない。俺は俺の力で争うだけだ」と書いた明夫は、昼間働き、夜間の高校へ行くつもりで勉強していた。明夫を高校へ進学させたい担任教師・田口先生(鈴木瑞穂)と京一の父親・洋介(宇野重吉)が相談し、明夫を自分の家に預った。明夫と京一は励まし合って勉強し、二人と見事に合格した。合格の当日、明夫は療養所へ駆けつけた。姉の佳代も合格を喜んでくれるものと思っていた明夫だったが…。

大人と子供のあいのこだい大人と子供のあいのこだい
高田敏江                        松下達夫

題名:大人と子供のあいのこだい
監督:若杉光夫
企画:大塚和
原作:渡辺照男
脚本:岩田重利、米山彊
撮影:井上莞
照明:鈴木貞雄
録音:丸山国衛
美術:岡田戸夢
編集:青山一郎
音楽:林光
製作主任:小林吉男
助監督:佐川功
スチール:寺本正一
出演:浜田光夫、松原智恵子、宇野重吉、高田敏江、梅野泰靖、松下達夫、武智豊子、小夜福子、鶴丸睦彦、鈴木瑞穂、佐々木すみ江、大滝秀治、鈴木寿雄
1961年日本・日活/シネスコサイズ・モノクロ70分35mmフィルム

大人と子供のあいのこだい大人と子供のあいのこだい
大人と子供のあいのこだい

映画「地獄の曲り角」

地獄の曲り角
「地獄の曲り角」稲垣美穂子
地獄の曲り角地獄の曲り角
葉山良二                         稲垣美穂子

今回は藏原惟繕監督1959年製作「地獄の曲り角」をピックアップする。
本作は、藤原審爾氏の原作を日本版フィルム・ノワールとして映画化したものだ。内容は、仕掛けれた謎と裏の世界で伸し上がった男の物語である。男が殺し屋にロックオンされるラストの終わり方は、私は好きだ。南田洋子さんが美しく印象に残った。

地獄の曲り角
葉山良二、稲垣美穂子
地獄の曲り角地獄の曲り角
南田洋子                      葉山良二、大泉滉

【ストリー】
さくらホテルのボーイ牧(葉山良二)は殺人事件のあった部屋で「3分の1の鍵」と書かれた紙片と鍵の一部をひろった。翌日の朝刊で、彼は昨夜の殺人はある公団の収賄事件にまつわるもので、殺されたのは出所直後の某省課長補佐であり、共犯の課長松永(二本柳寛)はなお服役しており、1億5千万円の金が行方不明になっているのを知った。思わぬ運命の微笑に彼は狂喜した。ホテルの花屋につとめながら、10万円でその店を買い、彼と暮すことを夢見ている恋人章子(稲垣美穂子)の心配をよそに、彼は生活態度をきりかえた。事件のあった隣りの部屋に宿をとった謎の女貴子(南田洋子)は、色じかけで彼の鍵を狙ってきた。彼女を手にいれた牧は、ホテルの部屋にテープレコーダーをしかけ、密会するアベックから金をおどしとることをはじめ、やくざの上月組とはり合うようになった。麻薬事件を密告して上月組の組織を自分のものにした牧は、今やいっぱしの顔の利く男となった。しかし、花屋を買いとってもらって経営にあたっていた章子は、そんな牧をいやがった。だが牧の目は覚めなかった。貴子の持っていた鍵を手に入れ、出所した松永の手から殺し屋を使って鍵を奪った牧は、3つを合せて中央郵便局私書函からメモをとり出し、それをコピーしてメモにある3人の人物をホテルに集めた。代議士吉満(嵯峨善兵)、局長鈴木(山田禅二)、某会社専務宮岡(松下達夫)の三人は、牧殺害を計ったが、計画はかつて牧のしかけておいたテープにとられていた。こうして5千円札のぎっしり詰ったパッグを手中におさめた牧は、それを自動車に投げ入れて乗ろうとした時、章子の電話でフロントに呼ばれた。そのスキに貴子が車にとびのり、逃走した。だが車には牧を仇と狙うサブの細工がしてあった。追う牧の目前で貴子の車と札束は炎上した。衣服は破れ、うちのめされた牧は、一人章子の部屋に倒れ込んだ。

地獄の曲り角地獄の曲り角
南田洋子、二本柳寛                    高品格

題名:地獄の曲り角
監督:藏原惟繕
企画:大塚和
原作:藤原審爾 「命と女と花」
脚本:馬場当、山田信夫、今村昌平(ノンクレジット)
撮影:間宮義雄
照明:高島正博
美術:千葉一彦
録音:沼倉範夫
技斗:峰三平
編集:鈴木晄
音楽:真鍋理一郎
製作主任:武藤良夫
助監督:野村孝、木下喜源
出演:葉山良二、稲垣美穂子、南田洋子、二本柳寛、近藤宏、高品格、大泉滉、土方弘、大町文夫、松下達夫、山田禅二、河上信夫、嵯峨善兵
1959年日本・日活/シネスコサイズ・モノクロ93分35mmフィルム

地獄の曲り角地獄の曲り角
地獄の曲り角

映画「座頭市 牢破り」


勝新太郎                       三國連太郎

今回は山本薩夫監督1967年製作「座頭市 牢破り」をピックアップする。
本作は、勝プロダクション第一回作品で、“座頭市”シリーズ第16作目になる。俳優陣はベテランが勢揃いして山本薩夫監督が演出された事もあり、勧善懲悪の座頭市にならずに、刀による闘いでの人の生死を、観客に問いかける作りが良かった。

座頭市シリーズ


西村晃                        浜田ゆう子

【ストリー】
一宿一飯の恩義から富蔵親分(遠藤辰雄)の使いに立った座頭市(勝新太郎)は、相手の朝五郎親分(三國連太郎)の気っぷのいい態度に難題をまとめることができたのだが、朝五郎を追い落す機会だと、もめごとが起るのを待っていた富蔵の反感を買った。おまけに市が、百姓を大切にする朝五郎に惚れて頼まれもしないのにインチキ賭博の人質にとられていた百姓を富蔵の手から助け出したことから、頭にきた富蔵は子分の貞松(酒井修)や仁三郎(細川俊之)らに市を襲わせた。彼らが市の居合にかなうはずもなかった。市はその夜、千葉周作直伝の腕を持ちながら、国の大本は農にありと剣を捨てて土地の百姓たちと農業に励む大原秋穂(鈴木瑞穂)を知った。大原は剣の道は虚しいと、暗に市をさとした。しかし翌日、再び市を狙う富蔵たちに、市は手向わずにはおれなかった。富蔵を斬った市は再び旅に出た。アンマ仲間に入って安らかな日々を得たいと願った市だったが、成金にへつらう盲人の世界もいやらしいものだった。そんなある日、市の前に仁三郎が現われ、関八州出役の須賀(西村晃)から十手を預った朝五郎が百姓を痛めつけ、仁三郎の恋人志乃(浜田ゆう子)を須賀の妾にされたと語った。朝五郎の人柄を知る市は耳をかさなかった。ところが数カ月後、市は女郎屋で会った志乃から彼の言葉が正しかったことを知った。百姓をたぶらかし一揆を企てたとの理由で大原が縛についているとも知った市は、急ぎ村に戻った。村は荒れはて、須賀や新興商人の山源(松下達夫)と結託した朝五郎一家に、百姓たちは惨めな生活をしていた。朝五郎を信頼していた市にとって、これは意外なことだった。そんな市を朝五郎はせせら笑っていた。市は大原を助けようと朝五郎一家に殴り込んだが、一足ちがいに大原は江戸に送られた。その後を追った市は峠で一行に追いつき、須賀や朝五郎らと悽惨な闘いをまじえ、彼らを倒して峠を一面の血の海に染めた。市は大原を助けることができたものの、朝五郎に裏切られた。彼の心は、何か虚しく、またひとり、何処ともなく旅だっていくのだった。


鈴木瑞穂                        細川俊之

題名:座頭市 牢破り
監督:山本薩夫
企画:伊藤武郎、宮古とく子
製作:永田雅一
原作:子母沢寛
脚本:中島丈博、松本孝二、 猿若清方
撮影:宮川一夫
照明:中岡源権
録音:林土太郎
美術:西岡善信
擬斗:土井茂
記録:藤岡輝夫
編集:菅沼完二
音楽:池野成
現像:東洋現像所
製作主任:西沢鋭治
助監督:土井茂
スチール:藤岡輝夫
出演:勝新太郎、三國連太郎、西村晃、浜田ゆう子、鈴木瑞穂、細川俊之、石山健二郎、遠藤辰雄、藤岡琢也、松下達夫、玉川良一、京唄子、鳳啓助、古川緑九、伊達三郎、酒井修
1967年日本・勝プロダクション+大映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー95分35mmフィルム
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勝新太郎「座頭市 牢破り」