映画「実録三億円事件 時効成立」


小川真由美                        岡田裕介

今回は石井輝男監督1975年製作「実録三億円事件 時効成立」をピックアップする。
1968年12月10日、昭和を揺るがした三億円事件は、東京都府中市で発生し、未だに真相は闇の中である。
本作は “三億円事件”をヒントに架空の犯人像を想定して制作されたが、東映は警察とは別の ”捜査隊” を組織、莫大な資料を集め事件に関わる多くの人物を緻密に描いた意欲作である。犯行現場である府中刑務所裏での撮影は、1975年11月に第六監視塔前で行われたそうだ。主演の岡田裕介さんは、1970年代には俳優をしていたが、父が岡田茂元東映社長である事もあり、プロデューサーに転向し、2002年に東映社長を経て東映代表取締役グループ会長になっている。


金子信雄                         絵沢萠子

【ストリー】
博奕好きで、女にだらしない西原房夫(岡田裕介)は証券会社の運転手をしていたが、会社の金400万円を横領し、競馬につぎ込んでしまった。だが、横領が会社にバレて警察に突き出されるところを、情婦の向田孝子(小川真由美)がダイヤの指輪と土地を売り、金を返済してくれたので、刑務所行きはまぬがれた。その後、二人は同棲生活を送るが、借金に追われる苦しい状態が続いた。1968年7月、多摩農協に再三の脅迫状が舞い込んでいた。送り主は西原である。この脅迫状は警察をあざむくためのカモフラージュで、彼は1968年12月から三億円強奪の準備を始めていた。そんなある日、西原の態度に不審を覚えた孝子は、彼から日本信託銀行国分寺支店から東芝工場に輸送される3億円の強奪計画を聞かされた。月賦屋に追われる生活に嫌気がさしていた孝子は、西原と行動を共にする決心をした。西原は準備資金にするために、金持ちの未亡人・久住みどり(絵沢萠子)を誘惑し、100万円騙し取った。8月12日、西原はトランジスターメガホンを盗んで以来、白バイ警官衣装等の獲得準備をすすめ、ヤマハスポーツ350RI、1966年型カローラ、1968年型カローラ等を、次々に盗み、12月9日、全ての準備を完了した。1968年12月10日。午前6時に、西原と孝子は日野の自宅を出発。9時21分、府中刑務所裏にさしかかった現金輸送車である黒のセドリックを停止させた西原は、車内に爆弾が仕掛けられていると偽りセドリックに乗って逃亡。そして、国分寺・七重の塔跡で待つ、第2のカローラにジュラルミンのトランクを移し、孝子の運転で山梨県大月市にある西原家の墓地へと向った。途中、ラジオで500円札には通しナンバーがひかえてある、との報道で、500円札は全て処分、残金を墓の下に隠した。その後、西原と孝子は金には手をつけず、以前と全く変りない生活を送っていった。一方、警察の捜査網は拡大していくばかりだったが、葛木刑事(金子信雄)は、その経験とカンで不良退職者のリストを地道に洗っていた。その中に、西原の名も上っていた。1975年9月、西原は府中駅前広場で、久住みどりと会い、100万円を返さなければ警察に訴えると脅される。時効成立間近になって動揺した西原は、金を引き出すべく山梨の墓地に向った。そこには西原の態度に気づいた孝子がいた。西原から事情を聞いた孝子は100万円使うなら全部使うのも同じ、と金を掘り出した。時効まであと40日。葛木刑事は、府中競馬場で、西原がイギリスの名馬ペガサスを2億1,000万円を出資して輸入する、という話を耳にした。葛木は西原に目をつけた。400万円横領事件、住居が日野にある……。時効10日前。西原が他人名儀で所有するマンションがガス爆発を起こした。西原を犯人と断定した葛木は、ガス事故の件を利用して、西原を別件逮捕した。取調べ室で、葛木に訊問される西原だが、黙杏権で何も答えない。時効を数日後にひかえている葛木は、西原の家で500円札を焼いた残りが発見されたとか、ペガサスが死んだとか執拗な訊問を行ない、ついに西原は精神的に衰弱し倒れてしまった。しかし、彼は医務室のベッドの中で「黙否権でいけば絶対に助かる」と言った孝子の言葉を反芻していた。そして、12月10日、西原は証拠不充分でついに釈放された……。


田中邦衛                     実録三億円事件 時効成立

題名:実録三億円事件 時効成立
監督:石井輝男
企画:太田浩児、坂上順
原作:清水一行「時効成立」
脚本:小野竜之助、石井輝男
撮影:出先哲也
照明:川崎保之丞
録音:広上益弘
美術:藤田博
装置:小早川一
装飾:田島俊英
美粧:住吉久良蔵
美容:石川靖江
衣装:河合啓一
記録:勝原繁子
編集:祖田富美夫
音楽:鏑木創
現像:東映化学
進行主任:東一盛
助監督:福湯通夫
演技事務:山田光男
スチール:遠藤努
出演:小川真由美、岡田裕介、金子信雄、田中邦衛、絵沢萠子、浜田ゆう子、田中筆子、松平純子、中田博久、相馬剛三、滝沢双、、田島義文、近藤宏、河合絃司、山田光一、山下則夫、木村修、土山登士幸、横山繁、亀山達也、岡本八郎、山本緑、宗田千枝子、岡久子、松井紀美江、津森正夫、南廣、沢田浩二、清水照夫
1975年日本・東映東京撮影所/シネスコサイズ・カラー89分35mmフィルム
実録三億円事件 時効成立 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


実録三億円事件 時効成立              小川真由美、岡田裕介

映画「まむしの兄弟 二人合わせて30犯」


菅原文太、川地民夫                    東三千

今回は工藤栄一監督1974年製作「まむしの兄弟 二人合わせて30犯」をピックアップする。
まむしの兄弟シリース”は、東映京都撮影所で1971年から1975年にかけて9作品が、菅原文太さんと川地民夫さん主演で制作された。本作は第7作になる。今回は不良少女ジュン(東三千)というキャラクターが異彩を放っている。シリーズ中で最も良かった作品ではないかと思う。

【まむしの兄弟シリース】
1971年「懲役太郎 まむしの兄弟」監督:中島貞夫
1971年「まむしの兄弟 お礼参り」監督:本田達男
1972年「まむしの兄弟 懲役十三回」監督:中島貞夫
1972年「まむしの兄弟 傷害恐喝十八犯」監督:中島貞夫
1973年「まむしの兄弟 刑務所暮し四年半」監督:山下耕作
1973年「まむしの兄弟 恐喝三億円」監督:鈴木則文
1974年「まむしの兄弟 二人合わせて30犯」監督:工藤栄一
1974年「極道VSまむし」監督:中島貞夫 主演:若山富三郎 ※コラボ作品
1975年「まむしと青大将」監督:中島貞夫
※各作品のリンクは、予約投稿で表示しないページがありますが、後日表示されます。


「まむしの兄弟 二人合わせて30犯」東三千

菅原文太、女屋実和子                 川地民夫、三島ゆり子

【ストリー】
久し振りに出所した政太郎ことゴロ政(菅原文太)と、ゴロ政を迎えに来た舎弟分の勝(川地民夫)の二人は、神戸・新開地に舞い戻った。新開地は、新興やくざの加賀組が勢力を誇っており、見むきもされないゴロ政と勝は、腹いせに組長加賀の経営する高級クラブで大暴れした末に、チンピラたちに掴まってしまった。だが二人は、不良少女ジュン(東三千)に救出された。一人ぼっちのジュンは、男になりたいばかりに、まむしの兄弟を救い、その代りに五分の兄弟分としてまむしの仲間に加えてもらおう、という魂胆だった。翌日、ジュンを仲間に入れたまむしの兄弟が、加賀組への復讐戦の作戦を練っているところへ、加賀組の本家・神童会幹部・塚本(渡辺文雄)が現われた。その塚本は以外にも勝を捜しに来たのだった。というのは、勝の本名は尾沢勝彦といい、3歳の時、両親と離れ離れになったのだが、現在、彼の父は死亡してはいるが母の弥生(三宅くにこ)が大へんな資産家で、病弱な彼女は是非我が子に会いたがっているとのことだった。勝はゴロ政に引率してもらい恐る恐る弥生に会った。親子の対面に感激したのは勝よりもむしろゴロ政だった。ゴロ政は勝のたっての頼みでしばらく居候することにした。だが、この話には裏があった。弥生の財産に目をつけた塚本は、勝に遺産を継がせてから、騙し取ろうとしていたのだ。ところが、弥生の体力か徐々に回復してきたのに慌てた塚本は、邪魔なゴロ政を尾沢家から追い出し、弥生を注射で殺そうとした。塚本の不穏な動きを察知した勝は、弥生を車椅子に乗せて逃げ出し、新開地へまぎれ込んだ。ここでもジュンが大活躍して追手をまいた。しかし、翌日ゴロ政、勝、弥生、ジュンが隠れている家を、加賀組が包囲した。ゴロ政と勝はジュンが弥生を連れ出している間に、大暴れをしてカモフラージュしたが、執拗な加賀組の追跡で、ゴロ政が駈けつけた時にはジュンは倒れていた。美しい少女のように笑みを浮べて息絶えるジュンを残して、ゴロ政と勝はショット・ガンを握りしめ、日本刀を振りかざして、加賀組の事務所へ突入していった。


成田三樹夫                        菅貫太郎

題名:まむしの兄弟 二人合わせて30犯
監督:工藤栄一
企画:橋本慶一
脚本:鴨井達比古
撮影:わし尾元也
照明:中山治雄
録音:荒川輝彦
美術:井川徳道
装置:近藤幸一
装飾:西田忠男
美粧・結髪:東和美粧
衣裳:山崎武
擬斗:上野隆三
記録:田中美佐江
編集:宮本信太郎
音楽:広瀬健次郎
進行主任:大岸誠
助監督:牧口雄二
演技事務:西秋節生
スチール:諸角義雄
出演:菅原文太、川地民夫、東三千、三島ゆり子、女屋実和子、三宅くにこ、松平純子、渡辺文雄、菅貫太郎、成田三樹夫、汐路章、成瀬正孝、片桐竜次
1974年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー93分35mmフィルム
まむしの兄弟 二人合わせて30犯 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


「まむしの兄弟 二人合わせて30犯」東三千

三宅くにこ                        菅原文太

映画「昭和おんな博徒」


「昭和おんな博徒」江波杏子

江波杏子                       松方弘樹

今回は加藤泰監督1972年製作「昭和おんな博徒」をピックアップする。
本作は大映で女賭博師シリーズ(1966~1971)昇り竜のお銀を演じた江波杏子さんが初めて東映で主演した作品であり、加藤泰監督最後の東映作品となる任侠映画だ。彼女がその柔肌に火炎竜の刺青を魅せて、鉄火場に殺陣にと見事な演技を魅せている。

【追記・訃報】
映画「女賭博師」シリーズの「昇り竜のお銀」などで知られる女優の江波杏子さんが、2018年10月27日に肺気腫(慢性閉塞性肺疾患)の急性増悪のため亡くなったことが11月2日、分かった。76歳だった。所属事務所が公式サイトで明かした。また報道各社にFAXで発表した。
スポーツ報知 2018年11月2日(金) 14:14配信


天知茂                        渡辺文雄

【ストリー】
雪の降る日、呉服商加納屋の娘お藤(江波杏子)は、悪徳高利貸の為自殺に追いやられた父の仇を討とうと堀川一家代貸巽新二郎を襲ったが人違いと知る。病弱の堀川一家貸元伊之助(水島道太郎)は、渡世から身を引くべく二代目を選出する。誰の眼にも、兄貴格の森戸(渡辺文雄)が継ぐと思っていたが、伊之助は巽(松方弘樹)を選んだ。森戸の腕力・度胸よりも巽の先を読む頭脳を買ったのだ。森戸は子分達のたきつけと堀川一家の縄張りを狙う向島の大田原組長(山本麟一)の叱責に巽殺しを決意する。愚連隊に金をやり、巽を襲わせるが失敗。巽の子分サブ(遠藤辰雄)が森戸のさし金と知り、巽に知らせるが、巽は一家の為森戸の為に口外を禁じる。その頃、巽に身をあずけていたお藤は、共に生きると心に決め巽の飛竜の刺青に対し、火炎竜の刺青を彫る。巽襲撃を知った伊之助は森戸を破門しようとするが「兄貴と話し合いを……」と必死に頼みこむ巽の一家を思う心にうたれるのだった。すでに喧嘩仕度でごった返す森戸を尋ねた巽は、森戸の罵声にも必死に耐えた。話はこれまでとドスをつきつけ、森戸を連れ出す巽の前に大田原一家にワラジを脱ぐ島崎勇三(天知茂)が勝負を挑んで来た。一宿一飯の義理から対峙する島崎と巽。ところが卑怯にも森戸と大田原の子分が巽の背後より襲いドスでめった斬りにしてしまう。あまりの汚さに眉をしかめる島崎は巽の亡骸を送りとどけ、お藤に「一宿一飯の義理から自分が殺した」と伝えて去った。折も折、巽の死を知り怒り狂った伊之助も発作を起し他界してしまった。一方、森戸が邪魔になった大田原はほとぼりのさめるまでと森戸を外国に飛ばせた。巽の墓前で復讐を誓ったお藤は、島崎、森戸らを追って旅に出る。そして1年後。ある地方都市の雑踏の中で巽をめった斬りにした般若松を殺す。そして、また1年。お藤は九州加倉井一家にワラジを脱いでいる島崎を見つける。対立するお藤と島崎。だが島崎はお藤の前に身体を投げ出す。「俺を殺してくれ」。お藤の執念のドスが島崎を斬ろうとした時、島崎の女房絹枝(松平純子)が必死に止めた。絹枝の姿に昔の自分の姿を思いうかべたお藤は目をつむって二人を逃がしてやるのだった。その頃東京では大田原を初代会長とする“関東侠友会”が結成されようとしていた。あせり出した森戸の帰国を知った大田原は、森戸、島崎を抹殺すべく殺し屋を送る。島崎は襲われ、絹枝が殺される。一方、お藤は神戸の赤沢組にいる森戸を見つけた。女の武器を利用し森戸に近づいたお藤は見事に巽の仇を討つ。しかし、巽殺しの張本人が大田原だと知ったお藤は「関東侠友会・発会式」の会場へと迫った。お藤の横には絹枝を殺され、お藤に荷担する島崎の姿もあった。殴り込むお藤と島崎。お藤の口から、発会式にかけつけた加倉井の口から次々と大田原の悪事が暴露されていく。怒り狂う大田原。子分達はいっせいにお藤を襲う。「雑魚は任せな」と島崎、大田原を追うお藤のドスが暴れまくった。


「昭和おんな博徒」江波杏子

昭和おんな博徒

水島道太郎                      松平純子

題名:昭和おんな博徒
監督:加藤泰
企画:俊藤浩滋、日下部五朗
原作:藤原審爾
脚本:鳥居元宏、本田達男
撮影:古谷伸
照明:井上孝二
録音:野津裕男
美術:石原昭
装置:近藤幸一
装飾:柴田澄臣
美粧・結髪:東和美粧
衣装:岩逧保
擬斗:上野隆三
記録:牧野淑子
編集:堀池幸三
音楽:木下忠司
進行主任:長岡功
助監督:俵坂昭康
演技事務:伊駒実麿
スチール:杉本昭三
出演:江波杏子、松方弘樹、天知茂、渡辺文雄、松平純子、嵐寛寿郎、水島道太郎、遠藤辰雄、山本麟一、汐路章
1972年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー91分35mmフィルム
昭和おんな博徒 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


「昭和おんな博徒」江波杏子

「昭和おんな博徒」松方弘樹、江波杏子