映画「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」



高倉健                        三田佳子

今回は佐伯清監督1966年製作「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」をピックアップする。
“昭和残侠伝”シリーズ第2弾の本作は、高倉健さんと池辺良さんの道行きシーンに同シリーズ最高の美学を見た気がする。昔々、文芸坐のオールナイトで歓声が沸き上がったのを思い出す。映画にはこのカタルシスが必要なのだと思う。


高倉健、池部良                    芦田伸介

【ストリー】
大谷石の特産地として名高い宇都宮の石切場は、榊組をはじめとする、幾つかの組の者が仕切るならわしだったが、新興勢力左右田組の組長寅松は榊組をつぶし、縄張りを拡張しようともくろんでいた。この寅松(河津清三郎)には弥市(山本麟一)、宗二(関山耕司)、徳三(今井健二)の三人の息子がいたが、いずれも暴れ者揃いで町中の鼻つまみものになっていた。そうしたなかで花田秀次郎(高倉健)の弟分清川周平(津川雅彦)の許婚者くみ(清水まゆみ)に、弥市(山本麟一)が横恋慕した。周平を思う秀次郎の弱味につけこんだ寅松は、周平、くみの縁結びを条件に榊組三代目秋山幸太郎(菅原謙二)を秀次郎に斬らせた。それから7年の歳月が流れ、秀次郎は刑務所を出た。今では石切場は、左右田組がはばをきかせ、幸太郎を失った榊組は、未亡人八重(三田佳子)の必死の努力もむなしく斜陽の一途を辿るばかりであった。秀次郎は出所するとすぐ、心ならずも斬ってしまった幸太郎の墓参に寄った。そこには八重と幸太郎の忘れ形見和夫(保積ペペ)の姿があった。何も知らない和夫は秀次郎に甘え、八重も心よく秀次郎を家に招いた。そのころ榊組には、この山の持主田代栄蔵(芦田伸介)の口ききで陸軍省から石千トンの注文が舞いこんでいた。榊組は今までの不況をこれで一気にもり返そうと張切つた。だが一方の左右田組は御用達の注文から外され面白いはずはなく、手段を選ばぬ非道ぶりで、榊組の仕事を妨害した。またそのころ、影に陽なたに八重を助けて罪のつぐないをしようとしていた秀次郎も、八重をだまし続けることが出来ず、幸太郎殺しを八重に告白した。ちょうどその時、幸太郎と八重を結ばせるため自から身を引いて満州に渡っていた榊組の元幹部畑中圭吾(池部良)が帰ってきた。事情を知った圭吾は秀次郎と対決した。しかし八重が必死に二人を止め、二人はその場を去った。が、目指すところは二人とも同じだった。寅松のいる左右田組に向う途中二人はばったり顔を合せた。志を一つにする二人は、互いの非をわび、ガッチリと手をにぎり合った。まず圭吾が、単身左右田組に殴り込み、宗二と相討ちで倒れた。そして次は秀次郎--凄絶な死闘の末秀次郎は寅松、弥市、徳三を斬った。よろめきながら一人山を降りる秀次郎の背中の唐獅子牡丹が鮮かであった。


津川雅彦、高倉健                  高倉健、保積ペペ

題名:昭和残侠伝 唐獅子牡丹
監督:佐伯清
企画:俊藤浩滋、吉田達
脚本:山本英明、松本功
撮影:林七郎
照明:川崎保之丞
録音:加瀬寿士
美術:藤田博
技斗:日尾孝司
編集:長沢嘉樹
音楽:菊池俊輔 主題歌:高倉健「昭和残侠伝」
製作主任:武田英治
助監督:野田幸男
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学工業
スチール:遠藤努
出演:高倉健、三田佳子、保積ペペ、池部良、津川雅彦、菅原謙二、赤木春恵、松方弘樹、芦田伸介、田中春男、河津清三郎、山本麟一、関山耕司、今井健二
1966年日本・東映東京/シネスコサイズ・カラー89分35mmフィルム
昭和残侠伝 唐獅子牡丹 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


菅原謙二、高倉健                  高倉健、池部良

映画「仁義なき戦い」


菅原文太

菅原文太                       松方弘樹

今回は深作欣二監督1973年製作「仁義なき戦い」をピックアップする。
原作は日本暴力団抗争史上で最も多くの血を流した“広島ヤクザ抗争”を、獄中手記をもとに書き綴った飯干晃一氏の同名小説で、ドキュメンタリー・タッチで描いた大ヒット実録ヤクザシリーズの記念すべき第1作目だ。


松方弘樹

【追記・訃報】
東映の時代劇、やくざ映画を中心に活躍した俳優の松方弘樹さんが、2017年1月21日に死去した。享年74歳だった。また「仁義なき戦い」シリーズなど数多くの映画・テレビドラマで活躍した渡瀬恒彦さんが、が2017年3月14日に死去した。享年72歳だった。


松方弘樹、菅原文太                  金子信雄

【ストリー】
終戦直後の呉。復員後遊び人の群れに身を投じていた広能昌三は、その度胸と気っぷの良さが山守組々長・山守義雄の目にとまり、山守組の身内となった。当時の呉には土居組、上田組など四つの主要な組があったが、山守組はまだ微々たる勢力にしかすぎなかった。そこで山守は上田組と手を結ぶことに成功し、当面の敵、土居組との抗争に全力を注ぐ。その土居組では組長の土居清と若頭・若杉が仲が悪く、事あるごとに対立し、とうとう若杉は破門されてしまった。そして、若杉は以前からの知り合いである広能を通じて山守組へと接近していった。若杉の山守組加入で、土居殺害の計画は一気に運ばれた。広能は土居殺害を名乗り出た若杉を押し止どめ、自ら土居を襲撃し、暗殺に成功。ところがそれ以来、山守の広能に対する態度が一変し、組の邪魔者扱いにするようになり、広能は結局自主して出るのだった。その態度に怒った若杉が、山守の若い衆を殺害したことから、警察に追われ、激しい銃撃戦の後、殺された。その間にも、土居組の崩壊と反比例して、山守組は増々勢力を伸ばしていった。しかし、その組の中でも、主流派の坂井鉄也と、反主流派の有田俊雄という二つの派閥が生まれ、山守を無視しての内戦が始まっていた。まず、市会議員・金丸と、土居組の残党を味方に引き入れ勢いづいた有田は、坂井の舎弟山方、兄弟分上田を殺害した。激怒した坂井は有田を破門するとともに、報復に出た。次々と射殺される有田一派、ついに血で血を流す凄惨な抗争車件に発展してしまった。そして、警察の出動により有田は逮捕、兄貴分の新開は殺された……。勝ち残った坂井は、広島の海渡組と手を組み、山守に替って呉を支配するかのように振るまうようになった。やがて今ままでの内戦を黙視していた山守の巻き返しが始まった。山守は、丁度その時仮釈放で出所した広能に坂井暗殺を捉した。冷酷な山守の魂胆を見抜いている広能は、微妙な立場に立たされた。山守に従う気はないが、そうかと言って坂井に手を貸す気もなかった。そんな時、矢野組々長・矢野修司が坂井と海渡組の手を切るぺく画策中に殺された。山守の恐るぺき執念がついに実行される。殺気立っていた矢野組々員をけしかけ坂井を襲撃させたのである。坂井は血だるまになるまで銃弾を受けた。翌日、坂井の葬儀が盛大に行われた。広能はかつて憧れたやくざ社会に虚しさと怒りを抱きながら無傷の喪主山守の前を去っていった。


梅宮辰夫                       渡瀬恒彦

題名:仁義なき戦い
監督:深作欣二
企画:俊藤浩滋、日下部五朗
原作:飯干晃一
脚本:笠原和夫
撮影:吉田貞次
照明:中山治雄
録音:溝口正義
美術:鈴木孝俊
装置:近藤幸一
装飾:山田久司
衣装:山崎武
技斗:上野隆三
記録:田中美佐江
編集:宮本信太郎
音楽:津島利章
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
助監督:清水彰
製作進行:渡辺操
出演:菅原文太、松方弘樹、梅宮辰夫、川地民夫、金子信雄、木村俊恵、中村英子、渡瀬恒彦、三上真一郎、田中邦衛、川谷拓三、伊吹吾郎
1973年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー99分35mmフィルム
仁義なき戦い [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


川地民夫                     田中邦衛

【追記・訃報】
日活のアクション映画や、故菅原文太さんと共演した東映「まむしの兄弟」シリーズなどで活躍した俳優の川地民夫(かわち・たみお、本名河地猛=かわち・たけし)さんが2018年2月10日に神奈川県横須賀市の病院で死去した。逗子の家の隣に住んでいた石原裕次郎さんの勧めもあって大学1年生の時に日活に入社。1958年に映画「陽のあたる坂道」で裕次郎さんの弟役でデビューした。その後、小林旭、沢本忠雄との「三悪トリオ」として売り出した。当時の日活では裕次郎さんの“タフガイ”、二谷英明さんの“ダンプガイ”など“ガイ”が付くとスターの証となったため、「“僕たちは何ガイ?と聞きに行ったら“問題ガイ”だって」とテリー伊藤との雑誌の対談で明かしていた。日活退社後は文太さんとのコンビで「まむしの兄弟」シリーズ9作に出演。他にも時代劇や2時間ドラマにも数多く出演し、昨年もフジテレビ「トクチョウの女~国税局特別調査部~」で元気な姿を見せていた。
(スポニチアネックス2018年2月12日配信)

映画「昭和残侠伝」

昭和残侠伝
高倉健
昭和残侠伝昭和残侠伝
池部良                        高倉健

今回は佐伯清監督1965年製作「昭和残侠伝」をピックアップする。
本作は東映東京大泉撮影所で “網走番外地シリーズ” より少し遅れてスタートした”昭和残侠伝シリーズ“の第一作だ。本シリーズは全9作が製作された。

昭和残侠伝昭和残侠伝

60年代の任侠映画は様式美があり、特に本作は、道を外れた非道な振る舞いをするヤクザたちに渡世の義理から抑えた怒りを、最後に殴り込みで爆発させる高倉健さんと抑えた演技で男っぽく演ずる池部良さんとで成立している。

昭和残侠伝昭和残侠伝
高倉健                     江原真二郎、三田佳子

【ストリー】
敗戦直後の浅草―露天商を営む人々は新興やくざ新誠会によって、上納金に苦しめられていた。昔ながらの神津組四代目源之助は、新誠会のやり方に成す術がな かった。そんな中、反目していた源之助が新誠会の手によって射殺された。それから数日後、戦争に行っていた寺島清次(高倉健)が復員。様子の変わった浅草 の街と親分の死に直面した清次だったが、今は亡き源之助の遺言―五代目を継ぐ決意を固めるのだった。清次は組の仲間たちの協力を得て、露天商の商品集めに 奔走する。そんな清次たちを卑劣な手段で妨害する新誠会に、遂に単身新誠会に殴り込んだ組員の五郎(梅宮辰夫)は、恋人の娼婦美代をかばい殴殺されてしま う。客分として神津組に草蛙を脱いでいた風間(池部良)は美代が実の妹であったことを知るのだった。神津組は、浅草の復興を願う親分衆の力によってマー ケットを完成させたのもつかの間、新誠会によって放火されてしまう。遂に、清次は風間と共に短刀を握りしめ新誠会に殴り込みをかける

昭和残侠伝昭和残侠伝
三田佳子                     松方弘樹

題名:昭和残侠伝
監督:佐伯清
企画:俊藤浩滋、吉田達
脚本:村尾昭、山本英明、松本功
撮影:星島一郎
照明:川崎保之丞
録音:加瀬寿士
美術:藤田博
編集:長沢嘉樹
音楽:菊池俊輔 主題歌:高倉健「昭和残侠伝」
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学工業現像所
助監督:降旗康男
出演:高倉健、池部良、三田佳子、梓英子、菅原謙二、水上竜子、松方弘樹、梅宮辰夫、江原真二郎、室田日出男、八名信夫、三遊亭円生
1965年日本・東映/シネスコサイズ・フジカラー90分35mmフィルム
昭和残侠伝 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

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昭和残侠伝

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