映画「温泉こんにゃく芸者」


温泉こんにゃく芸者

女屋実和子                                  荒木一郎

今回は中島貞夫監督1970年製作「温泉こんにゃく芸者」をピックアップする。
本作は、東映ニューフェイス第13期の女屋実和子さんのデビュー作であり、温泉芸者シリーズ第3弾である。
芸妓400人、置屋30余り、北陸の花街片山津温泉の絶頂期に撮られたものだそうだ。


殿山泰司、小池朝雄、松井康子               上田吉二郎、女屋実和子

【ストリー】
珠枝(女屋実和子)はこんにゃく屋の徳助(殿山泰司)に育てられた孤児であった。不能者の徳助は、同じ悩みに苦しむ男たちを救済するためと称して、性具の研究に余念がなかった。珠枝はそんな徳助の面倒をみていたが、勤めていた避妊具工場が倒産、一時しのぎの金をつくるため、片山津温泉へやってきた。その日、珠枝は退職金代りに貰った避妊具を売りに入った、ヌード・スタジオで店主の荒川(荒木一郎)にあっさり体を与えた。置屋の女将満子(武智豊子)は、そんな珠枝をインスタント芸者に仕立て上げた。最初の客は水源寺の了賢和尚(田中小実昌)であった。そしてミミズ千匹にめぐり会ったという了賢の感激話はパッと広まった。徳助が珠枝と一緒に生活を始めたのもその頃だった。やがて珠枝は製薬会社々長の田中作兵衛(上田吉二郎)という男に身請けされた。だが、まもなく作兵衛は徳助が生涯の夢をかけて瀟洒な妾宅に作った、こんにゃく風呂の中で転倒し、あっけなく世を去った。一方、どうしたことか徳助の男が25年ぶりによみがえった。そして、徳助は隣室のツタ子(松井康子)と恋におちた。結婚話まで決めこんだ二人にとっての障害は、ツタ子のヒモ、池永(小池朝雄)への慰謝料と所帯資金であった。その頃、名器の持ち主としての珠枝の評判は、日本中に広まっていた。日本各地から芸者スカウトが殺到し、札束をつんだ。なかでも、大きく出たのが500万円もの移籍料をつんだ関西の西川(小松方正)だった。徳助は珠枝に、最後の頼みと頭を下げた。珠枝は西川に蒲団の上での勝負を挑んだ。精力くらべである。一対一の三本目、やがて、「勝負ありました」と立会人満子の声と共に、西川が口笛を吹きながら、姿をあらわした。だが次の一瞬、その体は音をたてて崩れ落ちた。身を案じて部屋に馳けこんだ徳助とツタ子に珠枝は、ニッコリと微笑んだ。


小松方正                                菅井きん

題名:温泉こんにゃく芸者
監督:中島貞夫
企画:岡田茂、天尾完次
脚本:掛札昌裕、金子武郎、中島貞夫
撮影:鈴木重平
照明:金子凱美
録音:溝口正義
美術:石原昭
装置:矢守好弘
装飾:清水悦男
美粧:中野進明
衣装:豊中健
擬斗:三好郁夫
振付:藤間勘眞次
記録:牧野叔子
編集:神田忠男
音楽:広瀬健次郎
現像:東映化学 フィルム:富士フィルム(ノンクレジット)
製作主任:西村哲勇
助監督:篠塚正秀
スチール:藤本武
出演:女屋実和子、荒木一郎、小松方正、松井康子、安城由貴、桜京美、榊浩子、武智豊子、片山由美子、常田富士男、大泉滉、小池朝雄、殿山泰司、上田吉二郎、菅井きん、田中小実昌
1970年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー86分35mmフィルム
温泉こんにゃく芸者 -DVD-
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温泉こんにゃく芸者

映画「白昼堂々」

白昼堂々白昼堂々
渥美清                        藤岡琢也

今回は野村芳太郎監督1968年製作「白昼堂々」をピックアップする。
本作はコメディと言うより人情劇になっているのは、名俳優達の心に残る演技が深みを持たせ、多くの登場人物が見事に描き分けられた演出が冴える作品だ。群像劇は散漫になりがちな作品が多いが、本作は例外である。

白昼堂々白昼堂々
倍賞千恵子                      生田悦子

【ストリー】
ワタ勝こと渡辺勝次(渥美清)は、名の通ったスリだった。しかし、敏腕なスリ係の刑事森沢(有島一郎)の説得もあり、堅気になって九州の炭坑で働いていた。ワタ勝は間もなくヤマがつぶれたのを機会に、仲間を集めてスリの集団組織をつくり上げたのだ。ワタ勝は東京のデパートに狙いをつけ、大仕掛けな万引きをやる計画を立てた。東京に向ったワタ勝は、盗品をさばくために昔のスリ仲間銀三(藤岡琢也)を口説いた。銀三は更生してデパートの警備員となり、女房の春子(三原葉子)は小さいながら洋品店を営んでいた。銀三は一人娘桃子(大貫泰子)のためにも、ワタ勝の誘いを断るべきだと思いながら、ついに自分の洋品店で盗品を捌くことになった。知恵者の銀三が仲間に加わったことで、万引集団の成果はうなぎ上りに上昇した。それも高級洋品の布地を一巻ごと万引きするという大掛りなものだった。東京、大阪、京都、北海道と、ワタ勝たちは全国を仕事場にしていたが、危なくなると九州のボタ山集落へ帰るという具合に、機動的である。デパート側が警備を強化しても、結局はワタ勝たちの素早さにかなわなかった。仲間が捕まると、専門の弁護士坂下(フランキー堺)に処理させるという具合。ある日、絶世の美人スリよし子(倍賞千恵子)が仲間に加わった。スリの鬼ワタ勝も彼女にはぞっこんまいり、見かねた銀三のとりもちでめでたく結婚した。一方、銀三やワタ勝がすっかり足を洗っていたものとばかり思っていた森沢は、万引集団が二人の手になるものと知って烈火の如く憤り、着々と捜査の輪をせばめていた。そんな時、ワタ勝は仲間があちこちで捕まり、しかも、よし子が仲間四人と名古屋で捕まったと知ってガックリした。盗品の捌きもストックがふえ出し、坂下が弁護料を大幅に値上げしてきている時でもあった。思いあまったワタ勝はデパートの売り上げ金二億円を奪うという、途方もない作戦を立てたのだ。デパートの警備員をやめた銀三は、その手助けは断ったがやはりなにかと援助するのだった。しかし、この計画は九分九厘まで成功しながら、森沢の炯眼の前に、あえなく潰えてしまった。銀三とワタ勝は逮捕された。しかし、二人ともくよくよしなかった。ワタ勝はよし子の手紙を読みながら、刑期の終るのを待っている。

白昼堂々白昼堂々
有島一郎                     フランキー堺

題名:白昼堂々
監督:野村芳太郎
製作:杉崎重美
原作:結城昌治
脚本:野村芳太郎、吉田剛
撮影:川又昂
照明:三浦礼
録音:栗田周十郎
調音:松本隆司
美術:梅田千代夫
編集:浜村義康
音楽:林光
現像:東洋現像所
製作主任:吉岡博史
助監督:吉田剛
スチール:長谷川宗平
出演:渥美清、倍賞千恵子、藤岡琢也、有島一郎、生田悦子、田中邦衛、新克利、フランキー堺、穂積隆信、高橋とよ、三遊亭歌奴、コント55号、大貫泰子、桜京美
1968年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー81分35mmフィルム
あの頃映画 「白昼堂々」 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

白昼堂々白昼堂々
コント55号                    渥美清、藤岡琢也

映画「成熟」

成熟
関根恵子(高橋惠子)
成熟成熟
関根恵子、篠田三郎

今回は湯浅憲明監督1971年製作「成熟」をピックアップする。
本作の撮影前から大映は倒産寸前という状況で、撮影実行予算は山形県議会の商業映画製作委員会が出資し、鶴岡市、庄内観光協議会、酒田市庄内観光協会、庄内交通などがタイアップしている。内容は景勝地にスーパーインポーズタイトルが入る観光映画にドラマを挿入した無難な形になっており「高校生ブルース」でデビューした関根恵子さんの大映最後の作品でもある。そして大映株式会社は、本作公開後に倒産した。その後1974年から2002年まで徳間書店が経営再建で映画事業を引き継いだ。この時点で”大映”という名前は残っていたが2004年からは経営権を角川書店が取得して角川映画に合併し、映画会社”大映“という名前は60年の歴史に幕を下ろし消滅した。

角川映画多摩川撮影所
現在の角川大映スタジオ(Googl Mapより)
成熟成熟
関根恵子、早川保                  伴淳三郎

【ストリー】
山形県庄内平野の鼠ケ関は、古くからみこし流しという行事が行われており、その日は近隣から老若男女が集まり大変なにぎわいを見せる。みこし流しには、一つのいい伝えがあった。それは、みこしを担いで海に入る男たちの濡れた体は将来を誓い合った娘以外は拭いてはならない。万一、体を拭いた娘と拭かれた若者が結婚しないと竜神の崇りで二人とも必ず不幸になるというものだった。農業高校の写真部員加納ゆう子(関根恵子)はこれらの被写体を求めて夢中だった。そして、みこし流しの伝説を信じないゆう子が、気軽に見知らぬ青年笹尾隆二(篠田三郎)の体を拭いたことから騒動が持ち上ってしまった。隆二が、農業高校のライバルである水産高校生であり、しかも同じ写真部員であったため、両校写真部員はいきりたってしまったのである。又、昔気質の隆二の父吾助(伴淳三郎)は、今だに竜神伝説を信じる頑固もので隆二のとめるのを振り切ってゆう子の家を訪れ、ゆう子を嫁にくれと頼むが、農業を営むゆう子の両親に竜神伝説を一笑され、ゆう子には坂井正夫(菅野直行)という婚約者がいると断わられてしまった。数日後、学生写真コンクールの審査員である宣伝課長木内(青空はるお)が、市内の写真屋で見かけた隆二の写真を激賞したという噂がたった。それは、ゆう子の水着姿を撮ったものだという。やがて、鶴岡市の天神祭り、別名お化け祭りの日がきた。お化け祭りとは男女の区別なく独特の女装をして、顔を布で隠し、徳利と盃を持って見物人に酒を飲ませるという祭りである。昼間から酒を飲まされたゆう子の婚約者正夫は、夜、公園でお化けに扮した若い娘をゆう子と感違いして抱いてしまう。しばらくして町中に、ゆう子が隆二の子を妊娠したという噂がたった。両校生徒は勿論、ゆう子の両親や吾助までその噂を信じる有様だった。追いつめられた二人は、自分たちの愛を確認し合い誤解する周囲に嫌気がさして、東京へ出ていく決心をする。翌朝、駅に急ぐゆう子は、田んぼに秋うんかが発生しているのを知り愕然とする。稲作に大被害をもたらす秋うんかの発生を放置することはゆう子にはできなかった。駅に待っていた隆二にそのことを伝え、駆落は中止された。やがて写真コンクールの一次審査が始まりゆう子と隆二の作品が優勝候補に挙げられた。ところが、ゆう子は応募作品を取り下げると申し出、これを聞いた隆二も辞退してしまった。つもりにつもった両校の対抗意識は爆発し、大混乱となった。その時、両校生徒に意外な告白をしたのはゆう子のクラスメイト小谷ミキ(八並映子)であった。祭りの夜、正夫に抱かれたのも、ゆう子と隆二の噂を流したのも正夫を愛していたミキだった。正夫とミキ、ゆう子と隆二という二組のカップルが生まれ、両校生徒の祝福を受けるのを見た写真部長の桂教師(早川保)は乱闘の責任をとって東京に発っていった。

成熟成熟
赤座美代子

題名:成熟
監督:湯浅憲明
企画:斎藤米二郎
脚本:高橋二三
撮影:喜多崎晃
照明:久保江平八
録音:奥山秀夫
美術:矢野友久
編集:宮崎善行
音楽:菊池俊輔
現像:東京現像所
製作主任:真鍋義彦
助監督:小林正夫
スチル:塩見敏彦
出演:関根恵子(高橋惠子)、篠田三郎、早川保、伴淳三郎、八並映子、赤座美代子、菅野直行、小野川公三郎、高橋由美子、桜京美
1971年日本・大映/シネスコサイズ・カラー86分35mmフィルム
成熟-DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

成熟成熟
菅野直行、八並映子

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