映画「山口組三代目」


高倉健                      高倉健、菅原文太

今回は山下耕作監督1973年製作「山口組三代目」をピックアップする。
映画化に向けての準備は本作の方が「仁義なき戦い」より3年越しの企画として早かった。当時の東映社長である岡田茂氏は、フランシス・フォード・コッポラ監督1972年製作「ゴッドファーザー」を見て大変気に入り、「日本で当て嵌めるなら山口組だ。これをやるのは自分しかない」と思い立ち、直接山口組の田岡一雄組長と交渉し、映画化の約束を取りつけて製作したのが本作品である。実在の暴力団最高幹部をモデルにして、その自伝を美談調に脚色した内容に全国防犯協会連合会は、「暴力団の最高幹部を礼賛する映画の製作、上映することに断固反対し、撤回してほしい」と映倫に申し入れたが、東映は製作を強行したのだった。本作は東映の歴史を知る上で、外す事が出来ない記念碑的な作品である。


松尾嘉代                     田中邦衛、高倉健

【ストリー】
大正3年、徳島の寒村に生まれた田岡一雄は、幼くして両親と死に別れ、神戸の叔父・河内和四郎にひきとられて育った。高等小学校を卒業した後、川崎造船に勤めたものの、上役と喧嘩して飛び出した。そんなある日、同級生だった山口組二代目山口登の弟秀雄と再会、山口組のゴンゾウとなった。喧嘩の強い一雄は、仲間から“クマ”の異名をとるようになった。そんな無鉄砲な一雄に目をつけた二代目は、一雄の身柄を舎弟頭の古川松太郎に預けた。当時の山口組には、灘波為之助、渡辺藤吉、森川盛之肋、中本虎一、小田久一、大長三兄弟と呼ばれる一男、政吉、八郎等屈強な若衆がいた。古川の家で若衆として修業して二年が経ち、一雄は一人前になった、ということで彼を兄貴と慕う岡精義と共にアパートへ移った。ある日、二代目が後援会長をしている大関玉錦が宝川に喧嘩を売られたが、二代目から喧嘩を禁じられている玉錦は、思いあまって二代目に相談に来た。丁度居合わせた一雄と久一は、玉錦に変って宝川に決着をつけるのだった。昭和八年、海員争議の調停を行っていた二代目が、組合側に負傷させられた。怒った一雄は、組合争議本部に乗り込み、組合会長めざして斬り込んだ。この事件は、裁判では単に個人的な喧嘩ということでけりがつき、一雄は懲役一年の刑を受けた。そして一年後、出所した一雄は正式に山口組の本家の若衆として迎えられ、二代目と親子の盃を交わした。そして、八郎の粋な計いで、かねてから好意を寄せていたふみ子と世帯を持った。やがて、広沢虎造の興行を成功させたことから、一雄は二代目の信用と人望を集めていった。ある日、酒乱でどう猛な八郎の兄、政吉が菊水座の売り上げ金を持ち逃げしたことから、二代目に破門された。一雄は何とか穏便に治めようとしたが、逆に一雄に斬ってかかってきた政吉に心ならずも傷を負わせてしまった。兄思いの八郎は、逆上して本家に乗り込もうとした。一雄と八郎は心の通じ合った仲間、だが、説得を聞こうとしない八郎のドスをさけた一雄は、自らのドスを八郎に……。仲間を手にかけた一雄は、自首し懲役八年の刑を受けることになった。昭和十五年の夏、広沢虎造の映画出演問題をめぐって、九州石政組と二代目が対立し、九州へ出向いた二代目が石政組の手にかかって、全身十八ヶ所の傷を負わされた。
このことを獄中で知った一雄は、凄じい形相で歯を喰しいばるのだった……。


丹波哲郎                     「山口組三代目」

題名:山口組三代目
監督:山下耕作
企画:田岡満、日下部五朗、武久芳三
原作:田岡一雄「実録山口組三代目」
脚本:村尾昭
撮影:山岸長樹
照明:増田悦章
録音:溝口正義
美術:井川徳道
装置:吉岡茂一
装飾:柴田澄臣
美粧・結髪:東和美粧
衣装:松田孝
技斗:上野隆三
編集:宮本信太郎
記録:梅津泰子
音楽:木下忠司 主題歌:五城影二「男のさだめ」
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
製作主任:俵坂孝宏
助監督:清水彰
スチール:木村武司
出演:高倉健、丹波哲郎、松尾嘉代、待田京介、桜町弘子、菅原文太、田中邦衛、嵐寛寿郎、内田朝雄、岡八郎、田中春男
1973年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー92分35mmフィルム
山口組三代目 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


「山口組三代目」

映画「日本女侠伝 侠客芸者」


「日本女侠伝 侠客芸者」藤純子

藤純子                        高倉健

今回は山下耕作監督1969年製作「日本女侠伝 侠客芸者」をピックアップする。
本作は日本女侠伝シリーズ第一作で、1972年まで5作品が東映東京撮影所で製作された。主演の藤純子(富司純子)さんは、1969年に「緋牡丹博徒 花札勝負」「緋牡丹博徒 二代目襲名」「緋牡丹博徒 鉄火場列伝」にも主演し「日本侠客伝 花と龍」「昭和残侠伝 唐獅子仁義」で高倉健さんと共演ている。当時のヘビーローテーションと人気ぶりに驚くばかりだ。


金子信雄                      若山富三郎

【ストリー】
明治末期の九州博多は、石炭ブームに沸いていた。馬賊芸者と評判が高い信次(藤純子)は、その美しさと、男勝りの気風と度胸が人気であった。そんな信次に惚れる、大須賀鉱業社長の大須賀善蔵(金子信雄)は土地のやくざの親分・万安こと万場安二郎(遠藤辰雄)と手を組み、九州一の炭坑主にのし上がろうとしていた。そんなある日、わずかな金で料亭「常磐」にやってきた花田炭坑の人夫たちの相手を勤めた信次は、人夫を連れ戻しに来た納屋頭の清吉(高倉健)と口論になるが、清吉の男気に信次は好意を抱いた。良質の石炭層を持つ花田炭坑を狙う大須賀は執拗に清吉を功徳が、自分を育ててくれた先代に報い日本一の炭坑にすると誓った清吉はそれを断った。ある日、お座敷帰りの信次はやくざから幸太(大木晤郎)と鈴江(伊藤栄子)の二人を救う。人夫の幸太を清吉に預けた信次は、二人を自由にするために大須賀炭坑に向かい、話をつけてきた。だが、大須賀炭坑で働く人々の地獄のような生活を見たのち、花田炭坑の小さいながらも明るく活気に満ちた現場を見た信次は感激し、仕事で疲れた人夫たちのために三味線に合わせて舞い踊る。だが大須賀の悪辣な策略は益々ひどくなっていく。坂田陸軍大臣(若山富三郎)の歓迎の宴のなかで、酒の飲めぬ清吉に恥をかかそうとする大須賀だったが、信次が代わりに大盃を空け見事な黒田節を舞う。恥をかかされた大須賀は、その報復に花田炭坑の石炭積出しをストップさせてしまう。


小松方正                      藤山寛美

藤純子、高倉健

題名:日本女侠伝 侠客芸者
監督:山下耕作
企画:俊藤浩滋、日下部五朗
脚本:野上龍雄
撮影:鈴木重平
照明:井上耕二
録音:渡部芳丈
美術:雨森義允
装置:梶谷信夫
装飾:松原邦四郎
美粧:久斗敏厚
結髪:妹尾茂子
衣装:松田孝
技斗:谷明憲
振付:藤間勘五郎
記録:矢部はつ子
編集:宮本信太郎
音楽:木下忠司
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
製作主任:上田正直
助監督:篠塚正秀
スチール:諸角義雄
出演:藤純子(富司純子)、高倉健、金子信雄、若山富三郎、小松方正、三島ゆり子、遠藤辰雄、土田早苗、桜町弘子、正司花江、利根はる恵、藤山寛美、大木晤郎、伊藤栄子
1969年日本・東映/シネスコサイズ・カラー99分35mmフィルム
日本女侠伝 侠客芸者 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


日本女侠伝 侠客芸者

日本女侠伝 侠客芸者

日本女侠伝 侠客芸者

映画「網走番外地 望郷編」


網走番外地 北海篇」高倉健

高倉健                           桜町弘子

今回は石井輝男監督1965年製作「網走番外地 望郷編」をピックアップする。
本作は網走番外地シリーズ第3作である。毎作ガラリと趣向が変わる本シリーズの舞台は、北海道網走と正反対の九州の長崎で、第一作目のムショ入りの原因を展開するという内容だ。
人斬り譲次役の杉浦直樹さんはラストまでサングラスを取らなかった。


嵐寛寿郎                    待田京介、砂塚秀夫、高倉健

【ストリー】
橘真一(高倉健)は、彼が服役中に死去した父の墓参も兼ねて久方ぶりに長崎に帰郷した。橘がまだ17、8のころ、旭組の若い衆の一人であった橘は、組長旭(嵐寛寿郎)のおとなしいのをいい事に、旭組の縄張りをもぎとろうと悪業の限りをつくす新興勢力安井(安部徹)に腹をたて、単身安井組になぐりこみ、安井を刺し大怪我をさせた。旭はそんな橘をかばい、そっと東京に逃がしてくれたのだ。橘にとって長崎は、そんなホロ苦い思い出のある町だったが、今も旭組は、横暴を極める安井組のために、仕事をとられ苦しい毎日が続いていた。そんな時に橘が帰ってきたのだ。今は中風を病んで力衰えた旭統一とその息子で、安井組に闇打ちされて負傷した猛(中谷一郎)、それに橘に想いをよせながら猛と結ばれたルミ子(桜町弘子)が、橘を喜び迎えた。そうしたある日旭組に、外国船の積荷を下ろす大掛りな仕事がまいこんだ。だが、この仕事は、短い時間内にやりとげねばならない難しい仕事だ。仕事を任された橘は、安井組の妨害で集らない人手を見越して、網走での仲間中田(田中邦衛)らを長崎に呼んだ。一方の安井組も、なんとかこの機に旭組を叩き潰そうと、用心棒に人斬り譲次(杉浦直樹)をやとい、街の愚連隊に旭組の仕事を妨害させた。しかしこの譲次が、組を思う橘の男気にホレて身をひき、旭組の仕事は無事終了した。だが、なおもあきらめきれない安井は、旭組が積荷を下ろした倉庫を爆破して、網走の前科者たちに罪をきせようとした。このため中田は殺され、これを知ってかけつけた病身の旭は重傷を負い、旭の片腕ともいうべき田所(砂塚秀夫)は殺された。橘は、この事件を目撃していた混血の娘エミー(林田マーガレット)から聞き、単身安井組になぐり込んだ。橘の怒りに燃えたすさまじい剣に、安井組は四散し、唯一人ふみどまって橘と相対した譲次も紅に染った。やっとのことで探しあてた母親のもとに帰る、エミーを見送る橘の顔は爽やかだった。


高倉健、田中邦衛                          杉浦直樹

題名:網走番外地 望郷編
監督:石井輝男
企画:植木照男
原作:伊藤一
脚本:石井輝男
撮影:稲田喜一
照明:大野忠三郎
録音:井上賢二
美術:藤田博
編集:鈴木寛
音楽:八木正生
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学工業
製作主任:白浜汎城
助監督:内藤誠
スチール:遠蔵努
出演:高倉健、待田京介、桜町弘子、杉浦直樹、田中邦衛、嵐寛寿郎、砂塚秀夫、中谷一郎、安部徹、由利徹、林田マーガレット、国景子、潮健児、東野英治郎、石橋蓮司
1965年日本・東映東京撮影所/シネスコサイズ・カラー88分35mmフィルム
網走番外地 望郷編 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


林田マーガレット、高倉健         「網走番外地 望郷編」ラストシーン