映画「必殺仕掛人」


田宮二郎                      高橋幸治、田宮二郎、山村聰

今回は渡邊祐介監督1973年製作「必殺仕掛人」をピックアップする。
本作は、1972年9月から1973年4月まで朝日放送と松竹京都撮影所で制作された人気テレビ映画(16mm)「必殺仕掛人(全33話)」を映画化したものだ。藤枝梅安役は、テレビ版の緒形拳さんから田宮二郎さんが映画第1作で演じている。その後1973年に映画版「必殺仕掛人 梅安蟻地獄」1974年「必殺仕掛人 春雪仕掛針」で再び藤枝梅安役を緒形拳さんが演じている。


川地民夫、野際陽子                    森次晃嗣

【ストリー】
鍼医者・藤枝梅安(田宮二郎)は、仕掛人の元締・音羽屋半右衛門(山村聡)から前金二十五両と引換えに日本橋蝋燭問屋・辻屋文吉の後添いお照(川崎あかね)を殺した。お照は、盗っ人稼業駿府の音蔵の娘で、音蔵が乾分の徳次郎(浜田寅彦)に殺された後は、孫八(川地民夫)と組んで悪事を重ねていた。その上、老い先短い文吉(穂積隆信)をたぶらかして後妻に入り込み辻屋の身代を狙っていた。文吉がお照の仕掛を依頼したのもそのためであった。翌日、梅安は血の匂いを消すため、今では梅安の助っ人となっている徳次郎を連れて甲州へ旅立った。二人の後を、梅安のお照殺しを目撃していた孫八が尾けていた。その夜、徳次郎は裏切者として孫八に殺された。仕掛人西村左内(高橋幸治)は研師を稼業としていたが、その喧嘩さばきを買われて、八丁堀同心峯山又十郎(室田日出男)から町方同心になることをすすめられていた。ただし、与力、組頭への手土産として三十両が必要だという。だが、それは又十郎の地位利用のユスリタカリだった。街はずれの私娼宿の女将・お吉(野際陽子)は、上野界隈を縄張りとする香具師・三の松の平十(河村憲一郎)の妾だが、今では平十の乾分になっている孫八とも深い仲であった。やがて、病弱な平十は、度々難癖つけてユスっていた又十郎の殺しを音羽屋に依頼して息を引き取った。平十の弟分・聖天の大五郎(三津田健)もあらためて又十郎殺しと、そしてお吉の仕掛を依頼した。音羽屋は、又十郎を左内に、お吉の仕掛を梅安に命じた。左内の大刀が一閃した。又十郎は愛妾の絶叫を聞きながら死んでいった。一方、梅安は、お吉と孫八が情欲の後、熟睡している時を狙って殺した。平十の遺児・為吉(森次晃嗣)は、お吉、孫八、又十郎と邪魔者が亡くなって平十の縄張りを継いだ。ところが、大五郎はかねてからの計画通りに、為吉を殺し、縄張りを手中にした。だが、大五郎に利用されたと知った音羽屋は、大五郎を許さなかった。音羽屋の白扇の柄からスッと抜かれた細い刃が一閃した……。数日後、音羽屋、梅安、左内が酒を交わしていた。そして、梅安が淋しそうに言った。「あのお吉の目が、おふくろの目にそっくりだったんですよ……。」


野際陽子                                                                  浜田寅彦

題名:必殺仕掛人
監督:渡邊祐介
製作:織田明
原作:池波正太郎
脚本:安倍徹郎、渡邊祐介
撮影:小杉正雄
照明:佐久間丈彦
録音:中村寛
調音:小尾幸魚
美術:森田郷平、佐藤之俊
装置:小島勝男
装飾:宗田八郎
衣裳:松竹衣装
かつら:八木かつら店
刺青:北島一男
擬斗:湯浅謙太郎
編集:寺田昭光
音楽:鏑木創 主題曲「荒野の果てに」
現像:東映化学
製作主任:峰順一
製作進行:柴田忠
助監督:白木慶二
スチール:長谷川宗平
出演:田宮二郎、高橋幸治、山村聰、野際陽子、川地民夫、津坂匡章(秋野太作)、森次晃嗣、浜田寅彦、三津田健、室田日出男、谷村昌彦、穂積隆信、川崎あかね
1973年日本・松竹京都撮影所/シネスコサイズ・カラー87分35mmフィルム
必殺仕掛人 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


高橋幸治、室田日出                   必殺仕掛人

映画「風の慕情」


「風の慕情」吉永小百合

吉永小百合                       石坂浩二

今回は中村登監督1970年製作「風の慕情」をピックアップする。
本作は、テレビドラマの著名脚本家である橋田寿賀子氏が書かれた台本を元にオーストラリア、フィリピン・マニラでロケーションを行ったサスペンスもどきの作品で、吉永小百合さんの松竹での初主演映画である。
内容は、安手の2時間テレビビデオドラマと似通る内容だが、1970年当時の為替は固定相場制であり、1ドル=360円(1949~1971年)であった事を考えると、製作費はそこそこ掛かっている。
現地スタッフ、キャストの手配など未だコーディネーター会社などなかった時代であり、機材も持ち込んだものとみられる。
また飛行機内、レストランの乱闘シーンなど、”装置”がタイトルされている事からして大船撮影所でセット撮影されている。
この時代、同じ様に少人数先鋭で過酷な海外ロケを敢行して作り上げた吉田喜重監督の「さらば夏の光」は優秀な作品であるが、製作費は本作の方が、倍以上掛かっている事は間違いない。


森次浩司(森次晃嗣)                   香山美子

【ストリー】
長谷由布子(吉永小百合)は一年ほど交際した大森源吉(入川保則)から求婚された。胸のときめくような興奮も感激もなかった。由布子にはオーストラリアに血を分けた実の姉(香山美子)がいた。しかし、時折り文通があるだけで、顔も知らない姉だった。由布子は一生の大事をきめる前に姉に会おうと思った。しかし、シドニー空港には頼る姉の姿はなく、さすがに心細くなった由布子を慰め勇気づけてくれたのは留学生くずれの西条直紀(石坂浩二)だった。彼の心遣いは次第に由布子の警戒心を解き、姉の消息探究と観光の日程が交錯する毎日が始った。そのころ旅中隣席だった商社マン郷田(森次浩司)が由布子の前に現われ、姉の手紙の代筆者が直紀であること、直紀こそ姉の消息についての謎を握る男であり、これ以上直紀と行動をともにするのは危険だと忠告した。しかし、由布子の気持は直紀に強く動いており直紀に愛を求めたが、なぜか直紀はそれを受け入れなかった。由布子は傷ついた。豪華なナイトクラブでの直紀との最後の晩餐、その時、由布子は美しい貴婦人然とした日本の女性を見た。彼女の名はゆき。直紀のかつての愛人であり、由布子の姉なのだ。この姉は、はるばる訪ねてきた妹にも会えぬ境遇に絶望していた。直紀はゆきを今でも愛していたが、そのうえ、妹の由布子まで好きになってしまっていた。由布子は再びゆきに会った。さりげない会話を交しながら、由布子は心の中で“もしや姉では”と叫んでいた。この日ゆきが失踪した。ギャングのボスの手が八方にゆきを追った。ゆきはマニラに行ったと直感した直紀は由布子とともにあとを追った。警察から水死体発見の知らせがあった。悲しい予感が的中した。ひとにぎりの愛さえ知らずに死んだ姉。由布子は夕陽が真紅に染めるマニラ湾に向って花束を投げながら、耐えていた悲しみが憤き上げてくるのを感じた。


尾崎奈々                         入川保則

渚まゆみ                     石坂浩二、吉永小百合

題名:風の慕情
監督:中村登
製作:樋口清
脚本:橋田寿賀子
撮影:竹村博
照明:飯島博
録音:田中俊夫
調音:松本隆司
美術:横山豊
装置:川添善治
衣裳:東京衣装 衣装デザイン(吉永小百合):春日潤子
編集:浦岡敬一
音楽:いずみたく
現像:東洋現像所
製作主任:沼尾鈞
監督助手:広瀬穣
制作協力:フィリピン航空
スチール:久保哲男
出演:吉永小百合、石坂浩二、森次浩司(森次晃嗣)、渚まゆみ、入川保則、尾崎奈々、香山美子
1970年日本・松竹大船撮影所/シネスコサイズ・カラー93分35mmフィルム
風の慕情 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


石坂浩二、吉永小百合