映画「蒲田行進曲」


「蒲田行進曲」松坂慶子

松坂慶子                        風間杜夫

今回は深作欣二監督1982年製作「蒲田行進曲」をピックアップする。
原作「蒲田行進曲」は松竹蒲田撮影所を舞台にしているが、本作では時代劇全盛期の東映京都撮影所を舞台にしている。本来なら太秦行進曲であろう。本作は、角川春樹氏が東映に提案した企画を、当時の東映社長の岡田茂氏が「当たらないから」と断った為に松竹との提携となり、異例の事態となった経緯がある。

松竹の名監督である野村芳太郎氏は、松竹映画の歴史を象徴する「蒲田行進曲」というタイトルの映画を東映出身の深作欣二監督に東映撮影所で撮られた事に憤り、4年後の1986年に自らプロデューサーとして「キネマの天地」を制作する。

蒲田撮影所時代を経験し小津安二郎監督作品の撮影技師である厚田雄春氏は、「蒲田行進曲」「キネマの天地」のどちらも蒲田撮影所の当時の雰囲気が出ておらず、それは無理もないとしながらも、やっぱり物足りないと評している。私には、分からない世界だ。


平田満                        原田大二郎

【ストリー】
ここは、時代劇のメッカ、東映京都撮影所。今、折りしも「新撰組」の撮影がたけなわである。さっそうと土方歳三に扮して登場したのは、その名も高い“銀ちゃん”こと倉岡銀四郎(風間杜夫)である。役者としての華もあり、人情家でもあるのだが、感情の落差が激しいのが玉にキズ。こんな銀ちゃんに憧れているのが大部屋俳優のヤス(平田満)。ヤスの目から見れば銀ちゃんは決して悪人ではない、人一倍、仕事、人生に自分なりの美学を持っているだけだ。ある日、ヤスのアパートに銀ちゃんが、女優の小夏(松坂慶子)を連れて来た。彼女は銀ちゃんの子供を身ごもっていて、スキャンダルになると困るのでヤスと一緒になり、ヤスの子供として育ててくれと言うのだ。ヤスは承諾した。やがて、小夏が妊娠中毒症で入院するが、ヤスは毎日看病に通った。その間、ヤスは、撮影所で金になる危険な役をすすんで引き受けた。小夏が退院して、ヤスのアパートに戻ってみると、新品の家具と電化製品がズラリと揃っていた。だが、それとひきかえにヤスのケガが目立つようになった。それまで銀ちゃん、銀ちゃんと自主性のないヤスを腹立たしく思っていた小夏の心が、しだいに動き始めた。そして、小夏はヤスと結婚する決意をし、ヤスの郷里への挨拶もすませ、式を挙げて新居にマンションも買った。そんなある日、銀ちゃんが二人の前に現われた。小夏と別れたのも朋子(高見知佳)という若い女に夢中になったためだが、彼女とも別れ、しかも仕事に行きづまっていて、かなり落ち込んでいるのだ。そんな銀ちゃんをヤスは「“階段落ち”をやりますから」と励ました。“階段落ち”とは、「新撰組」のクライマックスで、斬られた役者が数十メートルもの階段をころげ落ち、主役に花をもたす危険な撮影なのだ。ヤスは大部屋役者の心意気を見せて、なんとか銀ちゃんを励まそうと必死だった。“階段落ち”撮影決行の日が近づいてきた。ヤスの心に徐々に不安が広がるとともに、その表情には鬼気さえ感じるようになった。心の内を察して、小夏は精一杯つくすのだが、今のヤスには通じない。撮影の日、銀ちゃんは、いきすぎたヤスの態度に怒り、久しぶりに殴りつけた。その一発でヤスは我に帰った。撮影所の門の前で、心配で駆けつけた小夏が倒れた。“階段落ち”はヤスの一世一代の演技で終った。小夏がベッドの上で意識を取り戻したとき、傷だらけのヤスの腕の中に、女の子の赤ん坊が抱かれていた。


清川虹子                     蟹江敬三、佐藤晟也

高見知佳                     松坂慶子、岡本麗

題名:蒲田行進曲
監督:深作欣二
企画:松竹映像
製作総指揮:角川春樹
製作:佐藤雅夫(東映)、斎藤一重(東映)、小坂一雄(松竹映像)
原作・脚本:つかこうへい
撮影:北坂清
照明:海地栄
録音:平井清重
整音:荒川輝彦
美術:高橋章
装置:三浦公久
装飾:長尾康久
背景:西村三郎
美粧・結髪:東和美粧
衣裳:黒木宗幸
スタイリスト:葛西充子
ヘアーメイク:アートメイク・トキ
技斗:菅原俊夫、上野隆三、三好郁夫
記録:田中美佐江
編集:市田勇
音楽:甲斐正人 主題歌:松坂慶子・風間杜夫・平田満「蒲田行進曲」挿入歌:中村雅俊「恋人も濡れる街角」
現像:東洋現像所
進行主任:山本吉應
助監督:比嘉一郎
演技事務:寺内文夫
スタント指導:西本良治郎 スタント:猿渡幸太郎(J.A.C)
方言指導:落合智子
題字:和田誠
制作協力:東映京都撮影所
スチール:金井謹治
出演:松坂慶子、風間杜夫、平田満、高見知佳、蟹江敬三、原田大二郎、清川虹子、千葉真一、真田広之、志穂美悦子、岡本麗、汐路章、石丸謙二郎、萩原流行、酒井敏也、佐藤晟也、清水昭博、榎木兵衛、高野嗣郎
1982年日本・角川春樹事務所+松竹/ビスタサイズ・カラー109分35mmフィルム
蒲田行進曲 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


「蒲田行進曲」松坂慶子

東映京都撮影所                   蒲田行進曲

蒲田行進曲                      松坂慶子

平田満                       蒲田行進曲

映画「黒い賭博師」

黒い賭博師
冨士眞奈美
黒い賭博師黒い賭博師
小林旭                     小林旭、冨士眞奈美

今回は中平康監督1965年製作「黒い賭博師」をピックアップする。
東映のリアルな賭博ものと違いおしゃれな娯楽作品になっている本作はシリーズ化され、小林旭さん主演で「黒い賭博師・ダイスで殺せ(1965年監督:江崎実生)」「黒い賭博師・悪魔の左手(1966年監督:中平康)」が製作された。私は本作の冨士眞奈美さんが美しいのに衝撃を受けた。

黒い賭博師黒い賭博師
小林旭、横山道代                 高橋昌也、冨士眞奈美

【ストリー】
東京に舞いもどった氷室浩次(小林旭)は、以前、氷室が色々世話になったバー“トト”のママ時子(横山道代)のところに身を奇せていた。そんな時、スベニア王国大使館でレセプションが開かれ、氷室も招待客の一人として参加した。ところがこの催しは、レセプションとは名だけで、高倉商事社長、高倉(玉川伊佐男)やその子分でカード師の異名をもつ犬丸(小池朝雄)、その愛人玲子(冨士眞奈美)らが加わった大賭博会であった。氷室と犬丸の勝負は氷室の一方的な勝利に終った。その後、氷室の後を玲子が影のようにつきまとうようになった。そんなある日氷室は、賭けに負け国際賭博団マルコムの団員楊に狙われている女ニーナ(シェーリー・ヘレン)を助け、その場で楊に復讐戦を挑んだ。しかし氷室は楊のイカサマを見破れず敗れた。それ以来氷室は、楊(高橋昌也)との再戦を誓って資金集めに賭場を渡り歩く一方、相棒一六に楊の身辺を洗わせた。だが数日後、昔なじみの花田刑事が一六の死を知らせてきた。その夜氷室は再び楊と対決し、見事にイカサマを見破ったその足で氷室はニーナのホテルに向い、楊からとりかえした金を渡した。が、意外にも氷室はニーナがマルコムの情婦であり、さらに横浜に着く国際観光団にマルコムの団員がまぎれこみホテルで大賭博が催されることを知った。だが氷室を恐れる犬丸は、氷室を襲い、彼の左手を痛めつけた。当日氷室は傷ついた左手をかかえて賭場にのりこみ、見事な腕の冴えを見せた。マルコムは氷室たちを始末しようとするが、そこに花田刑事(谷村昌彦)が乗り込んできたことによりなんとかマルコムたちを撃退する。警察に連行されるマルコムたち。が、その警察は実はマルコム団の変装だったのだ。氷室は東京を離れまたあてどない旅に出ていくのだった。

黒い賭博師黒い賭博師
小池朝雄                     小林旭、冨士眞奈美

題名:黒い賭博師
監督:中平康
企画:児井英生
原作:野村敏雄
脚本:小川英、中西隆三
撮影:山崎善弘
照明:高島正博
録音:古山恒夫
美術:大鶴泰弘
特技:金田啓治
記録:堀北昌子
編集:辻井正則
音楽:伊部晴美
現像:東洋現像所
製作主任:栗橋正利
助監督:村田啓三
色彩計測:金田啓治
スチール:浅石靖
出演:小林旭、冨士眞奈美、横山道代、小池朝雄、高橋昌也、野呂圭介、益田喜頓、谷村昌彦、榎木兵衛、柳瀬志郎、玉川伊佐男、シェーリー・ヘレン
1965年日本・日活/シネスコサイズ・カラー86分35mmフィルム
黒い賭博師-DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

黒い賭博師黒い賭博師
小林旭、野呂圭介、益田喜頓、谷村昌彦、冨士眞奈美