映画「尼寺マル秘物語」


「尼寺マル秘物語」藤純子

藤純子                       三田佳子、藤純子

今回は中島貞夫監督1968年製作「尼寺マル秘物語」をピックアップする。
本作は「大奥(秘)物語」「続・大奥(秘)物語」に続く第三弾である。「昭和10年頃の京都を舞台にベールに包まれた尼僧たちの夜と昼を、エロチシズムたっぷりに描いた」と言うが、全く描けていない。出演者が豪華であるだけだ。ヌードシーンがないエロチシズムを描いた秀作は、1964年に増村保造監督が製作した「卍(まんじ)」であると思う。


大原麗子                      若山富三郎

【ストリー】
琳光寺には門跡尼の万里小路秀英(三田佳子)をはじめ、恵照尼(荒木雅子)、浄真尼(藤純子)、法順尼(悠木千帆)、そして下女はな(大原麗子)の5人が住んでいた。ある日、秀英は本寺の宗務総長覚全(若山富三郎)に、白蟻に喰い荒された本堂の修理を頼んだ。しかし、覚全はその費用に不満で引受けようとしなかった。秀英はこの一件を、執事として手腕のある浄真尼に任せることにした。浄真尼は本寺と交渉を始めたが、それにつけ込んだ覚全に無理やり手ごめにされてしまった。初めて男を知った浄真尼は、それ以来、本能を抑えようと苦悩しつづけるのだった。そんな時、琳光寺にキク(津川雅彦)という若い男が寺男としてやってきた。彼に心を燃やしたはなは自ら進んでキクの前に身体を投げ出した。はなは、本能を抑えようとする戒律に縛られてはいなかったからだ。浄真尼はそんなはなの態度を羨ましく思い、また、はなが愛しているキクにも好意を感じた。だが、浄真尼はその後も度々、覚全に身体を奪われていたのだ。慣例の儀式の費用、そして、本堂修理の費用は、寺院後援者の寄付に頼らざるを得なくなり、その橋渡しを顔のきく覚全に頼むより仕方なかったのである。覚全はそんな自分の立場を、最大限に利用する男だった。ところが、キクと浄真尼が親しいのを誤解したはなが、多額の寄付をしてくれた長尾の家宝を壊し、責任を浄真尼にかぶせた。はなの企みはすぐにバレたが、浄真尼はこれを機会にこの寺を去る決心を固めた。浄真尼は、覚全が自分の肉体だけを目的に利用していたことや、役職を利用して使い込んでいた多額の金の埋め合せに、琳光寺の宝物を盗ませようとしたことから、激しい憎しみを抱いていた。そして覚全を殺して寺を去ろうと決心したのだった。だが、それを察したキクが、一足先に覚全を殺していた。浄真尼は寺を去って行ったが、彼女の腹には、覚全の子が宿されていた。


津川雅彦                  ミヤコ蝶々、桑原幸子、曽我廼家明蝶

「尼寺マル秘物語」藤純子

「尼寺マル秘物語」大原麗子

題名:尼寺マル秘物語
監督:中島貞夫
企画:岡田茂、翁長孝雄、三村敬三
脚本:西澤裕子
撮影:赤塚滋
照明:和多田弘
録音:荒川輝彦
美術:鈴木孝俊
装置:上田正直
装飾:松原邦四郎
美粧:佐々木義一
結髪:橋本明子
衣装:豊中健
考証:伊藤清子
記録:矢部はつ子
編集:神田忠男
音楽:鏑木創
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
製作主任:福井良春
助監督:牧口雄二
スチール:諸角義雄
出演:藤純子(富司純子)、津川雅彦、大原麗子、三田佳子、若山富三郎、悠木千帆(樹木希林)、荒木雅子、丹阿弥谷津子、沢村貞子、桑原幸子、曽我廼家明蝶、ミヤコ蝶々、芦屋雁之助
1968年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー89分35mmフィルム
尼寺マル秘物語 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


沢村貞子、丹阿弥谷津子             若山富三郎、芦屋雁之助

「尼寺マル秘物語」三田佳子

映画「あばよダチ公」


松田優作                  大門正明、松田優作、河原崎建三

今回は澤田幸弘監督1974年製作「あばよダチ公」をピックアップする。
本作は、松田優作さんの映画初主演作品である。日活がロマンポルノと並行して製作した一般映画で、アウトロー青春アクションものであるが、脚本が良くないのである。この種の内容は、ストリーや整合性に無理があっても気にならないものだが、粗ばかりが浮き出る印象だった。


佐藤蛾次郎、松田優作                 加藤小夜子

初井言栄、悠木千帆                   山本麟一

【ストリー】
3年ぶりに刑務所から帰って来た夏木(松田優作)。かつての漁村も、今では見る影もない。コンビナート群の威容、汚れた海。その死んだ海で釣をしている頭の少々弱い若者、梅(佐藤蛾次郎)。トラックの運転手でシャレ者の雅(河原崎建三)、パチプロの竜(大門正明)、夏木の仲間たちである。3年ぶりの再会で元気の出た4人は、出所祝いと称して乱痴気騒ぎの末、警察のお世話になってしまった。翌日釈放されてからも、4人は目的のない欲望のみで行動する毎日が続く。そんなある日、竜の親戚で家出娘のシン子(加藤小夜子)が訪ねて来た。彼女の父親が補償金つりあげのためにダム工事立ち退きを拒否してたてこもっており、その補償を合法的に奪いたい、というのである。相談の結果、夏木がシン子の婿養子となり、一同シン子の実家へ。ダイナマイトを腰に巻き着けて籠城している父、源太郎(山本麟一)に夏木とシン子は結婚を報告、そして源太郎を小屋から追い出した。夏木とシン子の初夜、むさぼりあう全裸の二人。だが、竜、雅、梅たちは悶々として寝つけない。刺激のない毎日が続き、竜、雅、梅のいらだちは、日増しに高まっていった。そんなある日、猟に来ていたハンターから夏木が銃を奪い取った。この事がきっかけで水源開発公団がようやく動き出した。町の暴力団半田(郷鍈治)に5人を叩き出す事を条件に、ダム工事の下請けを優先的に依頼するというのだった。半田の5人への挑発が始った。配下の鉄砲玉とホステスとのセックスによる挑発。それはセックスに飢えている竜たちには効果満点だった。おさまらない3人の為に夏木はホステス3人を強引に連れて来た。小屋の中はまるでセックスの饗宴である。だが数日後、そのホステスに梅が呼び出され半田に捕われてしまった。4人がこの土地から出て行くのなら梅を帰すというのだ。梅の命にはかえられないと決心した夏木は、シン子と源太郎に補償金問題を託し、町を出ることにした。だが、歩き続けるうちに持ち前の野放図な陽気さが甦って来た4人は、反撃を決意。今度は半田建設へ殴り込み、半田を捕虜にたてこもった。廻りを取り巻く警官たち。飛び込んで来る催涙弾。次第に疲労と焦燥が4人を襲う。折角、半田から取り上げた金が奪われるのは目に見えている。4人は止むなくその日銀券を喰い始めた……。その時、建築用クレーンがまるで怪獣の首のように壁を崩し始めた。4人はクレーンに挑むかのように飛びつき、空中に吊り上げられた。そして何か喚き散らしながら次々と落下していくのだった……。


郷鍈治                            下川辰平

題名:あばよダチ公
監督:澤田幸弘
企画:栗林茂
製作:結城良煕
脚本:神波史男
撮影:山崎善弘
照明:高島正博
録音:紅谷愃一
美術:徳田博
擬斗:田畑善彦
編集:鈴木晄
音楽:月見里太一 演奏:コスモスファクトリー
現像:東洋現像所
製作担当:天野勝正
助監督:加島春海
色彩計測:鈴木耕一
スチール:目黒祐司
出演:松田優作、大門正明、河原崎建三、加藤小夜子、佐藤蛾次郎、悠木千帆(樹木希林)、初井言栄、下川辰平、砂塚秀夫、山本麟一、郷鍈治
1974年日本・日活/シネスコサイズ・カラー93分35mmフィルム
あばよダチ公 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


河原崎建三、松田優作、大門正明            あばよダチ公


「あばよダチ公」撮影風景 キャメラはカメフレックスCM3

映画「はなれ瞽女おりん」


岩下志麻                        原田芳雄

今回は篠田正浩監督1977年製作「はなれ瞽女おりん」をピックアップする。
本作は、水上勉氏の同名小説を映画化したものだが、瞽女(ごぜ)とは、盲目の女芸人の事を言い、その旅一座グループから離脱した者を”はなれ瞽女”と呼ぶ。
目を閉じて瞽女おりんを演じるにあって、繊細な心情と逞しさの芝居を淡々と美しく魅せた岩下志麻さんに感動する。
演出は実に堅実であり、巨匠宮川一夫氏の映像で素晴らしい作品に仕上がっている。

照明技師の佐野武治さんが、ラストの小浜で警察に密告する村人役で出演されている!
お世話になった丸山文雄さんが、照明部チーフでタイトルされていた。これにも驚いた。

本作を1月20日に、池袋の新文芸坐で行われた特集上映 “デビュー60年 女優・岩下志麻” で、35mmプリントで観て来たが、DVD映像では暗部が潰れていた。ポジテレシネしたものをキャプチャーし、MPEG2にしたのだから、フィルムのラチチュードを再現出来る訳ではないので、良い作品は劇場で観るべきだと再確認した。

はなれ瞽女おりん」撮影エピソード 語り:岩下志麻さん
「私は暗闇恐怖症なので、盲目の女性の役がきたとき、暗闇に慣れるか不安でした。化粧をしたり、風呂に入ったりするときも目をつむり、暗闇になれることから始めました。実際に新潟で生存されておられる瞽女さんを訪ねると、夜8時でも真っ暗闇の中にいらっしゃり、私たち訪問者のために電気をつけてくれました。目が見えないというのはこういうことかと実感し、役に入っていけました。瞽女さんには、傘の差し方など色々ご指導いただき、とてもありがたかったです。
目をつむって何か月か生活しました。盲学校にも行きましたが、こんなにたくさんの方が、暗闇で生活されているのかと思うと、取材をする前に涙が止まらず大変でした。校長先生に目隠しされ、廊下をまっすぐ歩くように指示を受け、歩いてみたのですがどうしても左方向に歩いてしまうのです。人間は耳がいい方に歩いてしまうと聞き、演技するときも誰かがセリフを言ったときに耳を差し出すようにしました。瞽女が弾く三味線の稽古をするのも大変で、6か月間毎日通って習いました。いつも微笑みを浮かべているようなおりんでいたい。目が不自由でも否定的ではなく、いつも明るいおりんをイメージして演じました。私にとっては大変思い出深い、大好きな映画です。


奈良岡朋子                     岩下志麻、樹木希林

【ストリー】
大正7年、春まだ浅い山間の薄暮、おりん(岩下志麻)は、破れ阿弥陀堂で一人の大男・平太郎(原田芳雄)と出会った。翌日から、廃寺の縁の下や地蔵堂を泊り歩く二人の奇妙な旅が始まる。ある日、木賃宿の広間で、漂客や酔客相手におりんが「八百屋お七」を語っている時、大男はその客に酒を注いだり、投げ銭を拾い集めていた。またある夜には、料理屋の宴席で「口説き節」を唄うおりんの声を聞きながら、大男は勝手口で、下駄の鼻緒のすげかえをすることもあった。それからも大男は、大八車を買入れ、おりんと二人の所帯道具を積み込んで、旅を続ける。そんな時、柏崎の薬師寺で縁日が開かれた。露店が立ち並ぶ境内の一隅に、下駄を作る大男と、できあがった下駄をフクサで磨きあげるおりんの姿があった。しかし、札をもらわずに店をはったという理由で、大男は土地のヤクザに呼び出される。大男が店を留守にした間に、香具師仲間の一人である別所彦三郎(安部徹)に、おりんは松林で帯をとかれていた。松林の中で、すべてを見てしまった大男は逆上し、大八車の道具箱からノミを取り出すと、松原を走り去った。やがて、渚に座りこんだままのおりんの前に大男が現れ、「また一緒になるから、当分別れてくらそう。俺は若狭の方へ行く。」と言い残すと姿を消した。季節は秋に変り、おりんは黒川の六地蔵で出会ったはなれ瞽女のおたまと共に、南の若狭方面へと向っていた。そんな時、大男は別所殺しの殺人犯として、また福井県鯖江隊所局の脱走兵としても追われていた。残雪を残す若狭の山に春が訪れる。若狭の片手観音堂に来ていたおりんは、ある日、参詣人でにぎわう境内で、大男に呼びとめられた。その夜、うれしさにうちふるえながら、おりんは初めて、大男に抱かれた。翌日から二人はまた旅を始める。しかし、二人の背後に、憲兵中尉・袴田虎三(小林薫)の姿が迫っていた。


小林薫                       岩下志麻、安部徹

題名:はなれ瞽女おりん
監督:篠田正浩
製作:岩下清、飯泉征吉
原作:水上勉
脚本:長谷部慶治、篠田正浩 台詞:長谷部慶治
撮影:宮川一夫
照明:佐野武治
録音:西崎英雄
効果:本間明
美術:栗津潔
衣裳:新井喜一 (京都衣裳)
結髪:中村さき
美粧:境厚子
考証:市川信次、市川信夫
編集:山地早智子 ネガ編集:南とめ
音楽:武満徹
現像:東洋現像所
製作補:三島巌
製作宣伝:市川しげ子
製作進行:星野常一郎
助監督:永井正夫
監督助手:岡田敏宏、鯉渕優
撮影助手:藤井秀男、榊原勝巳、川口徹也
照明助手:丸山文雄、井上富夫、佐野誠
録音助手:徳永誠
美術助手:平賀俊一、伊藤保恵、市村隆
編集助手:渋谷英子、原裕子
衣装助手:京野ツエ
撮影機材:ナック
照明機材:三和照明
録音所:アオイスタジオ
スチール:山崎博
出演:岩下志麻、原田芳雄、奈良岡朋子、樹木希林、 小林薫、安部徹、横山リエ、西田敏行、山谷初男、加藤嘉、殿山泰司、浜村純、桑山正一、不破万作、原泉、神保共子、宮沢亜古、中村恵子、嶺川貴子
1977年日本・表現社/スタンダードサイズ・カラー117分35mmフィルム
はなれ瞽女おりん -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


浜村純                       佐野武治氏(照明技師) 

原田芳雄                        岩下志麻、小林薫

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