映画「遙かなる山の呼び声」


高倉健                        倍賞千恵子

今回は山田洋次監督1980年製作「遙かなる山の呼び声」をピックアップする。
本作は「男はつらいよ」シリーズの山田組スタッフ、キャストが高倉健さんを迎えて警察に追われる男と、牧場を切り回す母子の出会いと別れを、北海道の大自然を背景に描いた作品だ。ハリウッド西部劇「シェーン(SHANE/ジョージ・スティーヴンス監督1953年)」から着想を得たそうだが、民子の心の軌跡が薄く、全体に冗長だった。これは俳優ではなく脚本に問題があると私は思う。


吉岡秀隆

【ストリー】
北海道東部に広がる根釧原野にある酪農の町、中標津で、風見民子(倍賞千恵子)は一人息子の武志(吉岡秀隆)を育てながら亡夫の残した土地で牛飼いをしている。激しい雨の降るある春の夜、一人の男が民子の家を訪れ、納屋に泊めてもらった。その晩、牛のお産があり、男はそれを手伝うと、翌朝、去っていった。夏のある日、その男がまたやってきて、働かせてくれという。隣家の娘ひとみ(大竹恵)が手伝ってくれるが、男手のない民子はその男を雇うことにする。田島耕作(高倉健)と名乗る男はその日から納屋に寝泊まりして働きだした。武志は耕作にすぐになついていった。近所で北海料理店を経営する虻田(ハナ肇)は、民子に惚れていて、ある日、力ずくで彼女をモノにしようとして耕作に止められた。怒った虻田は兄弟を集めて、耕作に決闘を挑むが、簡単にやられてしまい、それからは、耕作を兄貴と慕うようになる。民子が腰痛を訴え、入院することになった。武志はさみしさから、耕作と一緒に納屋に寝るようになった。民子が退院して間もなく、従弟の勝男(武田鉄矢)が新婚旅行で新妻の佳代子(木ノ葉のこ)を連れてやって来た。数日後、耕作の兄の駿一郎(鈴木瑞穂)がやってきた。彼は耕作が起こした事件で教職を追われていたが、耕作の行く末を心配していた。その夜、兄の持ってきたコーヒーを飲みながら耕作は民子にここにとどまってもいいと胸の内を明かした。季節は秋に変り、土地の人達が待ちこがれる草競馬の時期となった。耕作も民子の馬で出場、見事、一着でゴールイン。興奮する民子、武志、観客たち。その中に、刑事の姿があった。刑事の質問にシラを切った耕作だが、その夜、民子にすべてを打ち明けた。耕作は二年前、妻が高利の金を貸りて自殺、それを悪し様に言う高利貸を殺し、逃げ回っていたのだ。家を出ていくという耕作に民子は止めるすべもない。夜更けに耕作が民子の家の戸をたたいた。ある決意をもって戸を開けた民子。だが、耕作は牛のぐあいが悪くなったと知らせにきたのだ。徹夜で牛の看病をした翌朝、耕作は家の前にとまったパトカーへ自分から歩いていった。冬、網走に向う列車の中に4年の刑を言い渡された耕作の姿があった。美幌の駅で耕作は虻田と民子の姿を見た。民子が町に出て、耕作の出所を待つために武志と新しい生活を始めたことを告げる虻田。夕焼けに染った雄大な雪原を耕作を乗せた列車が行く……。


ハナ肇                      武田鉄矢、木ノ葉のこ

高倉健、鈴木瑞穂                   渥美清

題名:遙かなる山の呼び声
監督:山田洋次
製作:島津清
脚本:山田洋次、朝間義隆
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
録音:中村寛
調音:松本隆司
美術:出川三男
装置:小島勝男
装飾:町田武
衣装:松竹衣装
編集:石井巌
音楽:佐藤勝
現像:東洋現像所
製作主任:峰純一
製作補佐:小坂一雄
製作進行:玉生久宗
録音補佐:原田真一
助監督:五十嵐敬司
スチール:長谷川宗平
出演:高倉健、倍賞千恵子、吉岡秀隆、武田鉄矢、木ノ葉のこ、鈴木瑞穂、杉山とく子、下川辰平、ハナ肇、渥美清、畑正憲、大竹恵
1980年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー124分35mmフィルム
遙かなる山の呼び声 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


遙かなる山の呼び声

映画「幸福の黄色いハンカチ」

幸福の黄色いハンカチ幸福の黄色いハンカチ
高倉健                        倍賞千恵子

今回は山田洋次監督1977年製作「幸福の黄色いハンカチ」をピックアップした。
本作はピート・ハミル「黄色いリボン」を映画化したもので、北海道を舞台に刑務所帰りの中年男と偶然出会った若い男女が、それぞれの愛を見つけるまでを描いたロードムービーだ。国内の映画賞を独占した山田洋次監督の代表作でもある。

幸福の黄色いハンカチ幸福の黄色いハンカチ
武田鉄矢、桃井かおり

【ストリー】
欽也(武田鉄矢)が島勇作(高倉健)と逢ったのは、春の陽差しの強い網走の海岸であった。欽也は自分の車で、北海道の広い道をカッコイイ女の子を乗せて、ドライブするのが高校時代からの夢で、嫌な仕事も無理をして勤め、金をためて新車を買い求めた。東京からフェリーで釧路港へ、そして、あざやかな緑の根釧原野を欽也の赤い車は、ラジオの軽快なリズムに合わせて、ひた走った。欽也は網走の駅前で、一人でふらりと旅に出た朱実(桃井かおり)と知り合う。朱実は列車食堂の売り子で、同僚から誤解を受けて、やけくそになって旅に出たのだった。朱実は欽也の車に乗せてもらったものの、海岸で不意に欽也からキスを求められて、車から飛び出した。逃げ出した朱実をかばい、鋭い目付で欽也を睨んだ男、それが島勇作であった。欽也から見た勇作は、なんともいえない、いい男だった。しかし、欽也は啖呵を切った行きがかり上、勇作に挑むが、軽くあしらわれてしまう。そんなことがきっかけで、三人の旅は始まった。欽也が勇作に行く先を尋ねると、彼は暫らく考え、「夕張」と答えるだけだった。その夜、三人で泊まった宿で、欽也は、勇作が眠ったのを見定め、朱実の寝床に忍び込む。朱実は必死に抵抗し、大声で泣き出したため、目をさました勇作に、欽也は一喝を喰わされてしまった。翌日、欽也は毛ガニを買いこみ、一人で二匹もたいらげたことから、腹をこわしてしまう。車を運転していても、便所のあるところを見つけてはかけこむ始末である。そんなことで、十勝平野の美しい風景も欽也には共感が湧いてこなかった。大雪山が見える狩勝峠で、強盗犯人が逃亡したことから一斉検問が行なわれていた。欽也は免許証を見せるだけで済んだが、警官は勇作を不審に思い質問すると、一昨日刑期を終え、網走刑務所を出所したと彼は答えた。朱実と欽也は驚きのあまり、語る言葉もなかった。三人はパトカーで連行されるが、勇作が六年前、傷害事件をおこした際立合った温厚な渡辺課長(渥美清)の取りはからいで、何もなく富良野署から釈放される。走る車の中で勇作は重い口を開いて、朱実と欽也に過去を語り出した。--勇作は若い頃、九州に住んでいたが、三十歳を過ぎて考えを変え、夕張の炭抗で働らき始めた。その頃、町のスーパー・マーケットで働いていた光枝と恋をして結婚した。それから数年は幸福な日が続いた。そして光枝は妊娠するが、折角出来た赤ちゃんを流産してしまった。その夜、勇作は飲み屋で酔っぱらったチンピラに因縁をつけられる。あまりのしつこさに勇作は腹をたて、相手を殴ると、チンピラはそのまま死んでしまう。勇作は六年間、刑務所で過すが、光枝の面影は、勇作の心から離れなかった。刑期を終える直前、勇作は光枝に手紙を書いた。「俺は、お前が良い男と再婚して、幸せになっていることを望んでいる。この手紙がつく頃、俺は夕張に行くが、もしも、お前が今でも独りで暮しているなら、庭先の鯉のぼりの竿の先に黄色いハンカチをつけておいてくれ。そのハンカチを見たら俺は家に帰る。でもハンカチがなかったら、俺はそのまま夕張を去っていく」と。--その話を聞いた朱実と欽也は声をふるわせて泣いた。車は赤平、歌志内、砂川を過ぎて一直線に夕張に向かう。朱実と欽也の祈りをこめて、車は夕張の町に近づいた。しかし、勇作は引返そうと言い出す。陸橋を越え、車は大きくカーブを描き、街の坂を登っていった。その時、欽也と朱実の眼に映ったものは、角の家の狭い庭先に、不釣合いな高い旗竿の上から下まで並んだ何十枚もの黄色いハンカチであった。欽也と朱実は手と手を固く握りしめる。黄色いハンカチのなびく家から、光枝は出てきた。語りきれない愛の言葉を胸に秘め、静かで温かな勇作の眼は、じっと光枝を見つめている。六年の歳月も、二人を離すことはできなかったのだった。

幸福の黄色いハンカチ幸福の黄色いハンカチ
渥美清                      武田鉄矢、桃井かおり

題名:幸福の黄色いハンカチ
監督:山田洋次
製作:名島徹
原作:ピート・ハミル「黄色いリボン」
脚本:山田洋次、朝間義隆
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
録音:中村寛、松本隆司
美術:出川三男
装置 :小島勝男
装飾 :町田武
衣裳 :松竹衣裳
編集:石井巌
音楽:佐藤勝
現像:東洋現像所
製作主任:峰順一
製作進行:玉生久宗
監督助手:五十嵐敬司
スチール:長谷川宗平
出演:高倉健、倍賞千恵子、桃井かおり、武田鉄矢、渥美清、太宰久雄、三崎千恵子、たこ八郎、小野泰次郎、谷よしの、岡本茉利、赤塚真人
1977年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー108分35mmフィルム
幸福の黄色いハンカチ -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

幸福の黄色いハンカチ幸福の黄色いハンカチ
高倉健

映画「刑事物語」

刑事物語刑事物語
武田鉄矢                     有賀久代
刑事物語刑事物語
西田敏行、武田鉄矢

今回は渡邊祐介監督1982年製作「刑事物語」をピックアップする。
本作は1982年から1987年までに全5作が映画製作初のキネマ旬報社によって作られた第一作である。原作と脚本は主演の武田鉄矢さん(ペンネーム:片山蒼)だ。公開当時に劇場で観て印象に残っていた作品だったが、ソープランドをトルコ風呂と呼んでいた時代だったとは。

刑事物語刑事物語
田中邦衛                       樹木希林

【ストリー】
7月、山笠祭りの暑い夜、博多署はあるトルコ風呂(ソープランド)を管理売春の容疑で不意打ち捜査した。刑事の片山元(武田鉄矢)はそこで聾唖者の風俗嬢三沢ひさ子(有賀久代)と出会った。翌朝、ガサ入れ失敗をマスコミは書きたてた。そのとばっちりが片山にまわってきて、沼津転勤が決まった。東京行きのブルートレインに片山とひさ子が乗っていた。ひさ子の悲惨な過去に同情した片山が身柄を引き取ったのだ。二人は兄妹ということで、市内の花園荘に住むことになった。そんな二人をじっと見ている二人がいた。村上努(田中邦衛)と秋吉一人(草薙幸二郎)だった。片山は早速、南沼津署に出勤し、連続殺人事件班に組み入れられた。ある日、信用金庫で強盗事件が起きた。片山は得意の蟷螂拳で犯人を取り押さえ、その男が連続殺人事件と繋がっていることをつきとめた。男は女性を売春組織に送り込む周旋屋だったのだ。さらに片山は九州時代の知り合いの老ヤクザ工藤(花澤徳衛)からソープランドを根城にした大がかりな売春ルートの情報を入手、捜査班はソープランド「徳川」への強制捜査に踏み切った。だが、片山はそこで、重要参考人のクリーニング店「白美社」の店員を死亡させるというミスを犯してしまった。ひさ子の様子が変わったのはその頃だった。片山の問いに彼女は「スキナヒトガイル」と答えた。ひさ子に指一本ふれていない片山はショックだった。ある夜、片山は正体不明の三人組に襲われ、工藤の勧めで沢木と共にひさ子の身辺を見張ることにした。二日目、「白美社」の車が花園荘に近づき、ひさ子を連れ去った。売春組織の元締めである「白美社」が口封じのため、不要になった女たちを次々に殺していった。それが連続殺人事件の真相だった。怒った片山は組織の巣窟である「白美社」に乗り込み、一味の黒幕・秋吉と対峙、大乱闘の末一味全員を逮捕した。翌日、刑事課の喜びとは別に、威嚇とはいえ秋吉相手に実弾六発を射った片山はまたも転勤を命じられた。今度は青森である。片山と入れ替えに、北海道から三上刑事(高倉健)が沼津署にやってきた。表に出た片山を待っていたのは、ひさ子と村上努という、ひさ子と同じ境遇の工員だった。奈落から救ってくれた片山に感謝しつつも、懸命に逆境に生きる村上を愛さずにはいられなかったのだ。村上は、ひさ子を倖せにすると約束し、片山に許しをこうのだった。数日後、上野駅から一人淋しく青森行きの夜行列車に乗り込む片山の姿があった。

刑事物語刑事物語
武田鉄矢                     カメオ出演:高倉健

題名:刑事物語
監督:渡邊祐介
製作総指揮:黒井和男
製作:藤倉博、黒木照美
原作:片山蒼
脚本:渡邊祐介、武田鉄矢
撮影:矢田行男
照明:大西美津男
録音:本田孜
音効:知久長五郎
美術:秋森直美
アクション指導:松田隆智
スタント:タカハシレーシング
技斗:渡辺安章
記録:桜木光子
編集:小川信夫
音楽:青木望 主題歌:吉田拓郎、海援隊 音楽プロデューサー:三坂洋
現像:東京現像所
監督補佐:杉村六郎
スチール:金子浩
出演:武田鉄矢、有賀久代、田中邦衛、 草薙幸二郎、仲谷昇、北村和夫、岡本富士太、小林昭二、樹木希林、初井言栄、西田敏行、三上真一郎、梅津栄、高倉健
1982年日本・キネマ旬報社/ビスタサイズ・カラー110分35mmフィルム
刑事物語-DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

ひ刑事物語
有賀久代、田中邦衛

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