映画「海潮音」

海潮音海潮音
池部良                         荻野目慶子
海潮音海潮音
山口果林                        泉谷しげる

今回は橋浦方人監督1980年製作「海潮音」をピックアップする。
本作は北陸の海沿いの町のとある旧家を舞台に、行き倒れて記憶を失った女をめぐる大人たちの葛藤を、思春期の少女の視線で描いたATG作品だ。撮影は「砂の女(監督:勅使河原宏/1963年)」「軍旗はためく下に(監督:深作欣二/1971年)」の瀬川浩氏が担当され、照明は「羅生門(監督:黒澤明 撮影:宮川一夫/1951年)」「雨月物語(監督:溝口健二 撮影:宮川一夫/1953年)」「雁の寺(監督:川島雄三 撮影:村井博/1962年)」などを担当された岡本健一氏、美術は「陽炎座(監督:鈴木清順/1981年)」「帝都物語(監督:実相寺昭雄/1988年)」などを担当され、私がコダイでお世話になった池谷仙克氏である。スタッフ、キャストは実力派の布陣である。

海潮音海潮音
浦辺粂子、荻野目慶子                 烏丸せつこ

【ストリー】
北陸の海沿いのある町。実業家で町の実力者でもある旧家、宇島家の主人、理一郎(池部良)は、ある朝、海辺でずぶ濡れになって倒れている記憶を失った女(山口果林)を助けた。このひとりの不思議な女を迎え、宇島家の人々の心は様々に揺れる。一人娘の伊代(荻野目慶子)も少女らしいとまどいと興味を抱いた。女手ひとつでこの家を守ってきた祖母の図世(浦辺粂子)は、息子の嫁を早く失ったこともあり、女を家に置こうとする理一郎に異議を唱えず彼女を看病する。理一郎は次第に女に魅せられていき、伊代は幼い頃の母の記憶に胸を痛めながら、大人たちの成り行きを見守る。ある日、理一郎の亡妻の弟、伊代の叔父にあたる征夫(泉谷しげる)が都会の生活を捨てて、この町に帰ってきた。征夫は理一郎に仕事の世話をしてもらっていたが女を家にとじこめる理一郎に批判的で、やがて二人は対立する。征夫は姉と理一郎の結婚に深い傷痕を残していたのだ。だが、征夫は家を守る男の自信と尊厳のある理一郎にかなうはずもなく、思いを寄せるさちこ(烏丸せつこ)と別れ、ひとり町を去っていく。しばらくして、女に記憶が蘇った。心中したが、男(吉澤健)だけ死に、自分は生き残ってしまった。理一郎の望み通り、この家に留るには辛すぎる記憶。だが、理一郎の女に対する感情は極まっていた。謎の女の出現で、大人たちの未知なる世界に直面した伊代は、幼い体に宿る激しい感受性ゆえに、父や女に殺意も覚えるのだった。

海潮音海潮音
近藤宏、上月左知子                 ひし美ゆり子

題名:海潮音
監督:橋浦方人
企画:多賀祥介
製作:佐々木史朗
脚本:橋浦方人
撮影:瀬川浩
照明:岡本健一
録音:本田孜
音効:福島幸雄 МA:東京テレビセンター
美術:池谷仙克
美粧:小堺なな、古川典子
記録:宮瀬淳子
編集:荒井真琴 ネガ編集:菅野洋子
音楽:深町純
撮影機材:ナック
照明機材:日本照明
現像:東洋現像所 合成:デン・フィルムエフェクト
プロデューサー:佐々木啓
製作担当:熊田雅彦
製作進行:須藤穣、増田信示
助監督:矢野広成
監督助手:榎戸耕史、平山陽之
応援撮影:山田達郎
撮影助手:石倉隆二、永田鉄男、近藤稔
応援助手:下平元己、吉田真二、塩谷真
照明助手:前田基男、淡路俊之、西池彰、石井和男、吉村泰三、吉田幸充
録音助手:高樹勝義
美術助手:細石照美、矢野穀
方言指導:若杜奏身、冨地扶喜子
車両:鈴木文人
脚本協力:福間健二
ロケ協力:門前町(石川県)、穴水町、門前町黒島町旧角海家住宅
スチール:野上哲夫、竹内健二
出演:池部良、荻野目慶子、山口果林、泉谷しげる、上月左知子、烏丸せつこ、浦辺粂子、近藤宏、ひし美ゆり子、吉澤健、野上祐二、弓恵子、早川雄三、木村元、亜湖
1980年日本・シネマハウト+ATG/ビスタサイズ・カラー127分35mmフィルム
海潮音 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

海潮音海潮音
池部良、山口果林                    吉澤健
海潮音海潮音
泉谷しげる、荻野目慶子                荻野目慶子

映画「渡世人列伝」


鶴田浩二                        高倉健

今回は小沢茂弘監督1969年製作「渡世人列伝」をピックアップする。
プログラムピクチャーの一作である本作は、東映任侠映画の飽和状態を打破する様な豪華配役と一捻りあるストリーに製作姿勢と当時の熱気を感じる作品である。


藤純子                                   池部良

若山富三郎                              水野久美

【ストリー】
大正末期。浅草三社一家の三田政之助(内田朝雄)は、何者かに闇討ちされた。犯人は、背中に大蛇の刺青を彫った渡世人だという。三田の兄弟分、十勝重蔵(遠藤辰雄)の後押しで、若者頭の菊野仙三(大木実)が二代目を継いだ。そんな折、出所した三社一家の代貸稲垣長吉(鶴田浩二)は跡目を辞退する仙三を説き伏せ犯人を探しに旅に出た。長吉に心を寄せる芸者清香(藤純子)も、長吉の決意を知って悲しい運命に泣いた。清香から、料亭の女中芳江(水野久美)が、大蛇の刺青を彫った渡世人の亭主に身請けされ、郡山に行ったと聞いた長吉は、二人の後を追った。郡山の甲田一家に草鞋を脱いだ長吉は、大蛇の刺青の佃銀次郎(高倉健)に出会い、決闘を挑んだが、人違いだった。長吉は銀次郎から、5年前に別れた大蛇丸と異名をとる兄弟分・丸岡勇次(池部良)が同じ刺青をしている事を聞き、彼に詫びると再び旅に出た。そして、大蛇丸らしい男が女づれで硫黄鉱山に向ったと聞き、道中知合った飛っちょの三次(小池朝雄)と共に鉱山に潜り込んだ。大蛇丸夫妻は、鉱山を仕切る豪楽寺竜吉(天津敏)にかくまわれていた。病のため痩せ衰えた勇次は、自ら長吉に討たれようとしたが、命乞いする芳江に長吉の決意も鈍った。やがて、勇次が豪楽寺の子分を斬り、芳江と脱出した。長吉も、二人を助け、一緒に甲田一家にかくまわれた。豪楽寺一家の追求は厳しく、危いところを鉄次郎に救われた。勇次は長吉らにみとられて息を引き取った。勇次は、一宿一飯の義理から重蔵に命じられて政之助を斬った事が判明。重蔵は浅草のシマを掌中に収めようと政之助殺しを企んだのだった。長吉と銀次郎は東京に戻り、豪楽寺の知らせで待ち受ける十勝一家に乗り込んだ。怒り狂う二人は、子分たちをけ散らし、重蔵、豪楽寺を血祭りに上げた。


小池朝雄、鶴田浩二

題名:渡世人列伝
監督:小沢茂弘
企画:俊藤浩滋、橋本慶一
原案:斯波道男
脚本:志村正浩、鳥居元宏
撮影:吉田貞次
照明:増田悦章
録音:荒川輝彦
美術:鈴木孝俊
装置:吉岡茂一
装飾:宮川俊夫
美粧:佐藤宇之助
結髪:白鳥里子
衣装:岩逧保
技斗:谷明憲
記録:塚越恵江
編集:堀池幸三
音楽:津島利章 主題歌:鶴田浩二「無情のブルース」
製作主任:西村哲勇
助監督:清水彰
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
スチール:杉本昭三
出演:鶴田浩二、高倉健、若山富三郎、藤純子(富司純子)、池部良、水野久美、木暮実千代、大木実、遠藤辰雄、名和宏、小池朝雄、天津敏、川谷拓三、志賀勝
1969年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー99分35mmフィルム
渡世人列伝 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


渡世人列伝

渡世人列伝                                                         遠藤辰雄

映画「君よ憤怒の河を渉れ」


高倉健                       中野良子

今回は佐藤純彌監督1976年製作「君よ憤怒の河を渉れ」最悪作品賞をピックアップする。
本作は、大映社長だった永田雅一氏の大映倒産後に映画プロデューサーとしての復帰第一作目であると共に高倉健さんの東映退社後の第一作目でもある。また中華人民共和国で文化大革命後に初めて公開された外国映画になったそうだ。
内容は原作に忠実なのかどうか分からないが、かなり酷くストリーの整合性が全くない。突っ込み所は山ほどあるが、こんな台本に日本を代表する俳優陣は淡々と演技をこなして行く姿が無念だった。総製作費5億円、製作日数6ヶ月だそうだが、日本映画産業が衰退したのは、テレビの蔓延だけが理由ではないと思わせる作品だ。唯一、倍賞美津子さんが色艶ぽかったのが印象に残った。そうは言うものの、ジョン・ウー監督が香港・中国合作映画「MANHUNT(日本語タイトル未定)」で福山雅治さん主演でリメイクするそうだ。


原田芳雄                      池部良

下川辰平、田中邦衛                 大滝秀治

【ストリー】
東京地検検事・杜丘冬人(高倉健)は、ある日、新宿の雑踏の中で、見知らぬ女から「強盗殺人犯」と騒がれた。水沢恵子と名乗る彼女は、なおも「現金20万円とダイヤの指輪を盗まれ、強姦された」と叫んだ。その場で緊急逮捕された杜丘を、別の男寺田俊明が「この男にカメラを盗まれた」と供述した。勿論、杜丘には身に覚えのないことだったが、証拠が揃いすぎていた。完壁な罠だ。杜丘は、家宅捜査の隙をみて逃亡した。新聞は“現職検事が凶悪犯”“社丘検事即日免職”と書きたてた。杜丘は水沢恵子を捜しに彼女の郷里、能登へ向かった。恵子は本名を横路加代(伊佐山ひろ子)といい、寺田は彼女の夫の横路敬二(田中邦衛)と判明した。だが、その時にはすでに加代は殺されていた。杜丘は、加代あての手紙から、横路敬二が、北海道の様似に居ることを知り、北海道に飛んだ。杜丘の逮捕状は「強盗犯」から「横路加代殺人容疑」にきりかえられた。その頃、警視庁捜査一課の矢村警部(原田芳雄)は、横路の経歴を洗い、彼がモルモットやハツカネズミを飼育し、製薬会社の実験用に売りさばいていたことをつきとめたが、杜丘との関係はでてこなかった。北海道様似で、杜丘は横路の家を見つけたが、そこには刑事が待ちうけており、杜丘は警察の手を逃れて、日高山中の林の中に逃げ込んだ。だが、その杜丘を、散弾銃を待った二人の男が追って来た。逃げる杜丘はある事件を回想した--。
ホテルのレストランから飛び降り、即死した朝倉代議士。証人である政界の黒幕・長岡了介は飛び降り自殺だと言い、矢村警部は自殺説を主張し、杜丘は他殺説をとった。あの日、杜丘は朝倉の妾が経営している新宿の小料理屋に聞き込みに行った。そして、横路加代がいきなり--。矢村の追跡は執拗だった。その非常線を突破して、深い森の中に入り込んだ杜丘は、獣の罠に仕掛けてあった銃をとりはずした。その時、巨大な熊が、若く美しい女にいましも襲いかかろうとしていた。熊めがけて発砲した杜丘だが、その瞬間、銃も杜丘もはねとばされ、激流に落ちた。翌日、杜丘は、遠波牧場の寝室のベッドで目を覚ました。昨日、熊に襲われそうになった牧場の娘、真由美(中野良子)が、今度は杜丘を救ったのだった。真由美の父、遠波善紀(大滝秀治)は北海道知事選に立候補中だったので、一人娘が杜丘に好意をよせているのに困惑していた。が、彼の秘書の中山(岩崎信忠)が警察に通報した。真由美は杜丘を奥深い山の中の小屋にかくまった。しかし、食料を運ぶところを矢村に尾けられ、杜丘は逮捕された。その時、いつかの熊が三人を襲い、矢村が負傷した。杜丘と真由美は矢村を介抱したが、気がついた矢村がなおも杜丘を逮捕しようとしたので、杜丘は再び逃げた。岩場の穴に逃げ込んだ杜丘と真由美は二人の愛を誓い合った。一方、遠波は、娘のために知事選をあきらめ、杜丘を逃がす決心をした。牧場の周囲は警察が包囲しているため、自家用セスナ機を杜丘に提供した。操縦のできない杜丘だが、命を賭けた。止めるようにと絶叫する真由美を後にセスナは本州へと飛びたった。セスナは東京付近の海岸に着水し、杜丘は、警察の裏をかいて東京に潜入した。その頃、真由美も牧場の仕事で東京に来ており、杜丘が新宿で警察に包囲されていた時、馬を暴走させ杜丘を救出した。やがて、杜丘は横路が何者かに強制収容された精神病院に患者を偽って潜入。長岡了介が院長・堂塔に命じて、秘かに新薬の生体実験をしているのをつきとめた。やがて院長は自殺。今では杜丘に協力している矢村とともに杜丘は、長岡を射ち殺した。そして、検事に復職するように、と言う伊藤検事正に「二度と人を追う立ち場にはなりたくない」といって断わり、真由美とともに去って行くのだった。


岡田英次                      倍賞美津子

題名:君よ憤怒の河を渉れ
監督:佐藤純彌
企画:宮古とく子、並河敏
製作:永田雅一
原作:西村寿行
脚本:田坂啓、佐藤純彌
撮影:小林節雄
照明:高橋彪夫
録音:大橋鉄矢
美術:今井高司、間野重雄
記録:原益子
編集:諏訪三千男
音楽:青山八郎
フィルム:富士フィルム
現像:東京現像所
製作主任:桜井勉
助監督:葛井克亮
製作協力:徳間康快
スチール:柳沢英雄
出演:高倉健、中野良子、原田芳雄、池部良、大滝秀治、倍賞美津子、内藤武敏、岡田英次、西村晃、大和田伸也、下川辰平、伊佐山ひろ子、田中邦衛、岩崎信忠
1976年日本・松竹+永田プロ+大映/シネスコサイズ・カラー151分35mmフィルム
君よ憤怒の河を渉れ -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


西村晃                   大和田伸也、高倉健、原田芳雄

1 2 3 5