映画「武器なき斗い」

武器なき斗い武器なき斗い
下元勉                      渡辺美佐子、下元勉

今回は山本薩夫監督1960年製作「武器なき斗い」をピックアップする。
原作は西口克己氏の小説「山宣」を映画化したもので、山宣とは、右翼の凶刃に倒れた労働農民党の代議士・山本宣治氏の事だ。本作は、西口克己氏の講演会の後で、大阪市電の勤務者が映画化を提案したのを契機に企画され、製作資金の募金は大阪市交通局の労組、私鉄の労組、大阪総評傘下の労働者が呼びかけて始まった。没後30周年を記念する映画として、関西在住の3,000人が発起人になり、”山宣映画化実行委員会”を結成し、700万円のカンパが集められた。撮影にあたっては、延べ3,700人にのぼるエキストラが動員されたそうだ。

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中谷一郎                      宇野重吉

【ストリー】
大正12年、関東大震災が日本の経済に大打撃をあたえた直後。時の政府・資本家たちは治安維持法を制定してプロレタリア弾圧にのりだしていた。京都同志社大学で教壇にたって生物学者山本宣治は、その頃新しい考えかたによる性教育の必要を痛感して、教室で講義をしたり労組の集りで産児制限の講演をおこなったりしていた。だが、大学当局や政府筋は彼の行動を妨害した。大正14年。ソヴェト労組代表が来日し、これを機会に政府は多くの自由主義的な学生や労勧者を検束した。宣治も同志社を追放され、労働党の運動に加わった。佐山村農民組合争議の惨状を目のあたりにして、彼は自分の生物学者としての考えかたを世に徹底させるためには、まず政治を改めねばならぬのを知った。妻千代や三人の息子は彼のよさ理解者であった。生家である料亭花屋敷を経営する父亀松、母多年も、考えかたこそ異れ、息子を信頼していた。佐山村争議で宣治は小作人さき・清母子や共産党員本田、彼に好意をよせる娘のぶなどを知った。やがて金融恐慌がやってきて、支配階級は侵略戦争を起した。昭和3年、普選に労働党から立候補した宣治は、苦しい選挙干渉と弾圧をしりぞけて代議士に当選した。3月15日の全国的労農階級弾圧一斉検挙を迎えて、宣治は断固支配階級とたたかった。が、彼の身体は激しい日々の連続によって病魔におかされていた。政府は治安維持法をさらに改悪しようとした。宣治は一人、本会議場でこれの反対演説をおこなう決心をした。しかしその日を目前にひかえた夜、彼は神田の光来館で右翼の兇刃に倒れた。日本の暗い時代はますます重くるしく、ひろがっていこうとしていた。
--昭和4年のその日から年月が経て、侵略戦争は敗戦によって終止符をうった。はじめて赤旗に囲まれ、おこなわれた山宣の命日に、改めて人々は彼の姿を胸によるがえらせるのだった。

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多々良純                       小沢昭一

題名:武器なき斗い
監督:山本薩夫
企画:山宣映画化実行委員会
製作:角正太郎、伊藤武郎
原作:西口克己「山宣」
脚本:依田義賢、山形雄策
撮影:前田実
照明:田畑正一
録音:安恵重遠
美術:久保一雄
編集:河野秋和
音楽:林光
現像:東洋現像所
協力監督:今井正、小坂哲人
出演:下元勉、中谷一郎、渡辺美佐子、宇野重吉、東野英治郎、山本學、河原崎長十郎、小沢栄太郎、三島雅夫、多々良純、利根はる恵
1960年日本・大東映画/シネスコサイズ・パートカラー140分35mmフィルム
武器なき斗い [DVD]
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