映画「人間魚雷回天」


木村功                                岡田英次

今回は松林宗恵監督1955年製作「人間魚雷回天」をピックアップする。
本作は、人間魚雷という非人道的な兵器の実情が分かり、自ら海軍で出兵経験のある松林宗恵監督と須崎勝弥脚本にしか成し得ない作品になっている。特撮はズッコケルが、脚本と芝居で内容をカバーしている。


宇津井健                              沼田曜一

【ストリー】
戦争末期、大津島の日本海軍基地では戦局挽回のために、水中時攻艇回天の猛訓練が行われていた。隊員の大半は学校出身の予備士官だった。多くの犠牲者を出し、また同期生岡田(和田孝)が命を失ったことから、彼等はこの作戦に対し、懐疑的になっていた。学校士官関屋中尉(沼田曜一)は彼等を理解し、大野上水(殿山泰司)、田辺一水(加藤嘉)等は彼等に同情したが、隊長陣之内大尉(原保美)は軍人精神で押切っていた。出撃した村瀬少尉(宇津井健)と、北村兵曹(佃田博)が生還した。玉井少尉(木村功)等は喜んだが、同輩に罵倒された北村は一人悩んでいた。出撃を前に訓練は激しくなり、北村は疲労と、母親恋しさから精神錯乱を起し、自殺した。出撃命令が下りた。川村少尉(高原駿雄)は自分の回天に珠数をかけて祈り、ある者は碇荘で酒と女に我を志れた。玉井は碇荘の一室で、恋人早智子(津島恵子)と最後の逢瀬を楽しんだ。朝倉少尉(岡田英次)は一人宿舎に残り、田辺一水と語り明かした。関屋、朝倉、村瀬、玉井等を乗せた潜水艦が出発した後、早智子はひかれるように海に身を投じた。潜氷艦が赤道直下に至る頃、敵の駆逐艦に会い危くなった。関屋は回天に乗り、駆逐艦に体当りをした。艦隊司令から帰投命令をうけた時、敵艦隊の出港をキャッチした。朝倉、玉井、村瀬等は最後の別れを告げ回天に乗った。故障して海底に横たわる朝倉、早智子の写真を見つめて突っ込む玉井、必死に目標を追い突撃する村瀬。潜水艦は成功の喜こびに湧いたが、爆撃を受け浮上不能となり、回天に続いて自爆した。


加藤嘉、殿山泰司                        人間魚雷回天

津島恵子

題名:人間魚雷回天
監督:松林宗恵
企画:廣川聰
原作:津村敏行、齋藤寛
脚本:須崎勝彌
撮影:西垣六郎
照明:傍土延雄
録音:中井喜八郎
美術:進藤誠吾
特殊技術:新東宝特殊技術
編集:後藤敏男
音楽:飯田信夫
製作主任:前田晃利
助監督:瀬川昌治
出演:木村功、岡田英次、津島恵子、宇津井健 和田孝、國方傳、沼田曜一、加藤嘉、西村晃、高原駿雄、神田隆、横山運平、殿山泰司、丹波哲郎、原保美、佃田博
1955年日本・新東宝/スタンダードサイズ・モノクロ87分35mmフィルム
人間魚雷回天 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


人間魚雷回天

人間魚雷回天

映画「男はつらいよ・寅次郎真実一路」


渥美清、桜井センリ                大原麗子(マドンナ役)

今回は山田洋次監督1984年製作「男はつらいよ・寅次郎真実一路」をピックアップする。
第34作となる本作のロケ地は、鹿児島県枕崎市、指宿市、頴娃町、桜島、さつま湖、伊作駅、茨城県牛久沼(現:つくば市森の里付近)などで行われ、封切り時の観客動員は144万8,000人、配給収入は12億7,000万円だったそうだ。当時のロードショー入場料金は1,500円、併映は「ねずみ小僧怪盗伝(監督:野村芳太郎 出演:小川真由美、中村雅俊、松坂慶子、中条きよし、和由布子)」であった。大原麗子さんが「噂の寅次郎(第22作/1978年)」編から再びマドンナ役(別キャラクター)を演じている。
冒頭の寅次郎の夢のシーンは、松竹製作の怪獣映画「宇宙大怪獣ギララ」が登場する。本作での登場シーンは全て本編より流用されている。またラストシーンは1984年に廃線となった鹿児島交通枕崎線「伊作」駅である。


米倉斉加年               下條正巳、倍賞千恵子、太宰久雄、美保純

【ストリー】
秋のある日、とらやでは一騒動が持ち上がっていた。裏のタコ社長(太宰久雄)の娘・あけみ(美保純)が、夕食のおかずのことで夫婦ゲンカして実家へ舞い戻ってきたのだ。そんな騒ぎの中、旅から寅次郎(渥美清)が戻ってき、たらまちタコ社長といつもの大ゲンカになってしまう。とらやを飛び出した寅次郎は、上野近くの焼き鳥屋へ行き、そこで知り合った富永健吉(米倉斉加年)にごちそうになる。富永は証券会社に勤めるサラリーマンだった。ごちそうになりっぱなしじゃ申し訳ないと、後日、寅次郎は彼の会社を訪ねた。その晩も二人は例の焼き鳥屋で一杯飲んで、すっかり意気投合。酔った寅次郎は茨城県牛久沼の健吉の家にやっかいになる。翌日、彼が目を覚ました時は、もうすっかり日が高くなっていた。寅次郎が壁にかかった北原白秋の色紙をボンヤリ眺めていると、後ろで健吉の妻・ふじ子(大原麗子)の声がし、その清楚な美しさに、彼は見惚れてしまった。健吉は七時半から会議だといって、朝六時に出て行ったという。数日後、寅次郎は再び牛久沼を訪ねた。が、ふじ子の様子がおかしい。健吉が先週の金曜に家を出たっきり帰ってこないと言うのだ。何かあったらすぐ連絡しろよと言い残し、寅次郎は牛久沼を後にした。とらやに戻った寅次郎は、占いで健吉が北海道にいると出たから、探しに行くためにお金を借してくれとまた騒動を起こす。ふじ子が息子の隆を連れてとらやを訪ねて来た。二人を慰めようとする寅次郎の考えだった。とらやの人々に囲まれて、久しぶりにふじ子に笑顔が戻った。ふじ子と隆を送って行く道すがら、これからも相談相手になってほしいと言われた寅次郎は、有頂天になり、頼もしげにうなずくのだった。ある日、健吉を彼の故郷・鹿児島で見た、と耳にしたふじ子は東京を発った。それを知った寅次郎も後を追う。二人は健吉の行きそうな所をあたるが、見つけることはできなかった。柴又に戻った寅次郎は、ふじ子に恋をしている自分に気づき思い悩んでいた。もし健吉が戻らなければ、ふじ子と夫婦になれるかもとまで考え、自分の醜さに耐えきれず旅に出る決心をする。そこに不精ヒゲをはやした健吉が現れた。寅次郎は彼を叱咤し、牛久沼に連れて行く。そして、いつ帰るとも知れない旅に出た。


前田吟、太宰久雄、三崎千恵子、倍賞千恵子    吉岡秀隆、美保純、下條正巳

題名:男はつらいよ・寅次郎真実一路
監督:山田洋次
企画:小林俊一
製作:島津清、中川滋弘
原作:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
録音:鈴木功
調音:松本隆司
美術:出川三男
編集:石井巌
音楽:山本直純 主題歌・唄:渥美清
撮影機材:パナビジョン
フィルム:富士フィルム
現像:東京現像所
製作主任:峰順一
製作進行:玉生久宗
助監督:五十嵐敬司
スチール:長谷川宗平
出演:渥美清、大原麗子、倍賞千恵子、前田吟、三崎千恵子、太宰久雄、笠智衆、美保純、佐藤蛾次郎、下條正巳、吉岡秀隆、美保純、米倉斉加年、桜井センリ、津島恵子、風見章子、辰巳柳太郎
1984年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー107分35mmフィルム
松竹創業90周年記念作品
公式サイト
男はつらいよ・寅次郎真実一路 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。




大原麗子


大原麗子

映画「お茶漬の味」

お茶漬の味お茶漬の味
佐分利信                      木暮実千代

今回は巨匠小津安二郎監督1952年製作「お茶漬の味」をピックアップした。
本作は倦怠期の夫婦の心模様を、一杯のお茶漬を通してユーモラスに描いた作品で、昭和20年代の東京ドームになる前の後楽園球場、未だ連合軍の管理下にあった羽田空港、パンアメリカン航空のプロペラ機、手動式パチンコなど、当時の風俗、風景を随所に盛り込んでいるのに注目する。

作品リスト

お茶漬の味お茶漬の味
鶴田浩二                      津島恵子

【ストリー】
妙子が佐竹茂吉と結婚してからもう7、8年になる。信州の田舎出身の茂吉と上流階級の洗練された雰囲気で育った妙子は、初めから生活態度や趣味の点でぴったりしないまま今日に至り、そうした生活の所在なさがそろそろ耐えられなくなっていた。妙子は学校時代の友達、雨宮アヤや黒田高子、長兄の娘節子などと、茂吉に内緒で修善寺などへ出かけて遊ぶことで、何となく鬱憤を晴らしていた。茂吉はそんな妻の遊びにも一向に無関心な顔をして、相変わらず妙子の嫌いな「朝日」を吸い、三等車に乗り、ご飯にお汁をかけて食べるような習慣を改めようとはしなかった。たまたま節子が見合いの席から逃げ出したことを妙子が叱った時、無理に結婚させても自分たちのような夫婦がもう一組できるだけだ、と言った茂吉の言葉が、大いに妙子の心を傷つけた。それ以来二人は口も利かず、そのあげく妙子は神戸の同窓生の所へ遊びに行ってしまった。その留守に茂吉は飛行機の都合で急に海外出張が決まり、電報を打っても妙子が帰ってこないまま、知人に送られて発ってしまった。その後で妙子は家に帰ってきたが、茂吉のいない家が彼女には初めて虚しく思われた。しかしその夜更け、思いがけなく茂吉が帰ってきた。飛行機が故障で途中から引き返し、出発が翌朝に延びたというのであった。夜更けた台所で、二人はお茶漬を食べた。この気安い、体裁のない感じに、妙子は初めて夫婦というものの味をかみしめるのだった。その翌朝妙子一人が茂吉の出発を見送った。
茂吉の顔も妙子の顔も、別れの淋しさよりも何かほのぼのとした明るさに輝いているようだった。

お茶漬の味お茶漬の味
笠智衆                       淡島千景

題名:お茶漬の味
監督:小津安二郎
製作:山本武
脚本:野田高梧、小津安二郎
撮影:厚田雄春
照明:高下逸男
録音:妹尾芳三郎
美術:浜田辰雄
装置:山本金太郎
装飾:守谷節太郎
衣裳:齋藤耐三
編集:浜村義康
音楽:斉藤一郎
監督助手:山本浩三
撮影助手:川又昂
出演:佐分利信、木暮実千代、鶴田浩二、淡島千景、津島恵子、三宅邦子、柳永二郎、望月優子、笠智衆、設楽幸嗣
1952年日本・松竹/スタンダードサイズ・モノクロ115分35mmフィルム
お茶漬の味 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

お茶漬の味お茶漬の味
お茶漬の味お茶漬の味

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