映画「女咲かせます」
松坂慶子 役所広司
今回は森崎東監督1987年製作「女咲かせます」をピックアップする。
本作は、結城昌治氏の原作「白昼堂々」を映画化したものであるが、同じ松竹で野村芳太郎監督が、1968年に「白昼堂々」を制作している。本作はそのリメイク版であるが、原作から着想を得ているだけで全くの別物になっている。
川谷拓三 名古屋章、平田満、田中邦衛
【ストリー】
石山豊代(松坂慶子)は年の頃なら30歳前後、目の醒めるような美人だが、その正体は泥棒--万引きの常習犯で前科2犯だった。亡き父も大泥棒だったが、その薫陶を受けて豊代の仕事ぶりはいつも鮮やか。決してヘマはしない。ところが、ある日同じ下宿屋に住む貧乏音楽家・三枝高志(役所広司)に恋をし、そろそろ足を洗う気になった。しかし、そのためには最後の大仕事をしてガッポリお金を稼いでおく必要があった。そんな豊代をずっと追っている大耳清十郎(川谷拓三)という刑事がいたが、彼は惚れた弱みでいつも温情をかけてしまう。が、豊代は大耳の説教を聞きながらも、ついつい手は財布へと伸びるのだった。晩秋、豊代は長崎の高島炭坑を訪ね、大仕事のため昔の父の仲間のワタ勝(田中邦衛)、タケ(平田満)さんらに助っ人を頼むが、あっさりと断わられた。しかし、三枝に恋心を抱く豊代は彼が欲しがっている最高級の楽器をプレゼントするためにも、今回の仕事は成功させなければならないと思った。あるとき三枝の部屋を若い女が訪ね、豊代は嫉妬したが、実は妹(山本理沙)で母(佐々木すみ江)と一緒に上京してきているのだった。ある日、豊代はデパートで万引きをしていたところ珍しくドジを踏んで保安室に連行されてしまった。が、そこの保安員はなんとかつての父の泥棒仲間・富田銀三(名古屋章)だった。見逃がしてもらったあげく、豊代は銀三にも仕事を持ちかけるのだった。豊代の計画とはデパートの売上げ金強奪で、年末には10数億円もの金額になることがわかっていた。長崎からはワタ勝らも上京し、本格的に準備も進められていった。しかし、いよいよ決行の日が近づいたというときどこからか計画が大耳にもれてしまい、豊代たちは予定を早めて前日に実行に移した。工事夫を装いマンホールを固めエレベーターを使って侵入。まんまと金を奪いジュラルミンのトランクに詰めて逃走したが、大耳も警官を動員して出口を張っていた。デパートの中は大騒動。豊代らはダスター・シュートから金を運び出し、仕事はまんまと成功した。一方、豊代の素性など知らない三枝はコンサートを控え、練習に励んでいた。田舎からは母と妹が上京してきている。豊代は東京駅のホームにネッカチーフとサングラスで顔を隠して潜んでいたが、偶然、三枝の家族に見つかり、大耳にもバレてしまった。豊代は大耳に「三枝と話があるから少し時間を欲しい」という。ホームのベンチで豊代は自分の生い立ちからすべてのことを涙ながらに話した。黙って聞いている三枝。横では大耳ももらい泣きしている。話し終わると豊代はおとなしく大耳に捕まった。刑務所に面会に来た三枝は「自分の気持ちは変わらない。いつまでも待っている」と気持ちを伝えた。数年後、豊代は出所、迎えに来た仲間たちと、隠してあった金を取り出し、山分けにした。
山本理沙、佐々木すみ江 松坂慶子、役所広司
題名:女咲かせます
製作:杉崎重美
プロデューサー:中川滋弘
原作:結城昌治「白昼堂々」
脚本:梶浦政男、森崎東
監督:森崎東
撮影:坂本典隆
照明:八亀実
録音:原田真一
調音:小尾幸魚
美術:森田郷平
装置:渡辺英雄
装飾:剣持政司
美粧:吉野桂子
ヘアーメイク:アートメイクトキ
スタイリスト:小田島弘枝
衣裳:松竹衣装
音楽:佐藤勝
編集:太田和夫
現像:イマジカ
製作担当:小松譲
製作進行:土田真樹
監督助手:梶浦政男
ロケ協力:内田忠男
スチール:赤井博且
出演:松坂慶子、役所広司、川谷拓三、平田満、名古屋章、田中邦衛、清川虹子、柄本明、草野大悟、梅津栄、山本理沙、浦田賢一、佐々木すみ江、あき竹城
1987年日本・松竹/ビスタサイズ・カラー94分
浦田賢一、田中邦衛、松坂慶子、平田満 松坂慶子