映画「いいかげん馬鹿」


ハナ肇                                  岩下志麻

今回は山田洋次監督1964年製作「いいかげん馬鹿」をピックアップする。
本作はハナ肇さん主演による”馬鹿シリーズ”第2作である。
ハナ肇さんの人情味、清楚で美しい岩下志麻さんが描かれている。
私はシリーズ3作中、本作が一番好きな作品だ。

1963年「馬鹿まるだし」共演:桑野みゆき
1964年「いいかげん馬鹿」共演:岩下志麻
1964年「馬鹿が戦車でやって来る」共演:岩下志麻


花澤徳衛                               川村禾門

【ストリー】
捨て子の安吉(ハナ肇)は源太爺(花澤徳衛)さんに拾われ、瀬戸内海の平和な島で自由気ままに育った。そのころ疎開してきた少女弓子(岩下志麻)は、安吉にとって近づき難いアイドルであった。ある日安吉は弓子に海の底の魚をみせてくれとせがまれ、二人は海に小舟をのりだした。しかし舟は沖に流され、やっとの思いで救け出されたものの、安吉は源太爺さんにこっぴどく怒られたことから島を逃げ出した。それから10年、弓子は岡山大学に通学し、安吉はすっかり調子のいい男になっていて、島の文化に貢献するという触れ込みで三流楽団を連れて帰ってきた。しかしインチキ楽団といかがわしいショウですっかり信用をおとした。おりもおり源太爺さんの弟茂平(桑山正一)がブラジルで成功して帰ってきた。安吉はそれに便乗し、ブラジルへ行くことを宣伝したが、捨て子の彼には戸籍が無いため渡航は出来なかった。引込みがつかなくなった安吉は、密航を企てたが失敗した。町は、安吉の馬鹿さかげんを笑うことで話題が賑った。それから一年、安吉は小説家舟山(松村達雄)を連れて帰って来た。村長はこの機会に島を大々的に紹介してもらおうと、連日大サービス。しかし舟山は偽物とわかり、安吉はまた借金をしょいこんでしまった。だが舟山が書いたドラマに島が紹介されたため島はレジャーブームでわきかえった。勢いづいた安吉は底をガラス張りにした観光船をつくったがそれが沈んでしまい、またまた島を逃げ出した。時が流れ、島には沈まない水中観覧船が出現し島は安手な観光地に変っていった。小学校の先生となった弓子は修学旅行で大阪に行き、水中メガネを売る安吉の姿をみつけた。弓子の声に振りかえった安吉の首にはいつか贈った赤いスカーフがまかれていた。


水科慶子、岩下志麻                          殿山泰司

題名:いいかげん馬鹿
監督:山田洋次
製作:脇田茂
脚本:山田洋次、熊谷勲、大嶺俊順
撮影:高羽哲夫
照明:戸井田康国
録音:松本隆司
調音:吉田庄太郎
美術:浜田辰雄
装置:清水勝太郎
編集:浦岡敬一
音楽:池田正義
渉外事務:池田善徳
製作進行:峰順一
助監督:熊谷勲
スチール:長谷川宗平
出演:ハナ肇、岩下志麻、花澤徳衛、殿山泰司、水科慶子、犬塚弘、渡辺篤、松村達雄、桑山正一、川村禾門、土紀洋児
1964年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー86分35mmフィルム
いいかげん馬鹿 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


岩下志麻                              いいかげん馬鹿

映画「赤ひげ」


三船敏郎                        加山雄三

今回は黒澤明監督1965年製作「赤ひげ」をピックアップする。
本作の撮影は、世田谷区砧にある東宝撮影所に近い30,000平方メートルの敷地に、表門、役人詰所、病棟、賄所に至る30数棟、延べ3,000平方メートルを越す広さで「小石川養生所」のセットが建てられた。その現場に、当時アメリカからピーター・オトゥール、シドニー・ポワチエ、カーク・ダグラスなどハリウッド映画人がセットを視察に来たそうだ。黒澤明監督が「日本映画の危機が叫ばれているが、それを救うものは映画を創る人々の情熱と誠実以外にはない。私は、この『赤ひげ』という作品の中にスタッフ全員の力をギリギリまで絞り出してもらう。そして映画の可能性をギリギリまで追ってみる」という熱意を込めて、シナリオ執筆に2年、撮影に1年半もの期間をかけたのだった。

当時、若大将シリーズで人気沸騰の加山雄三さんは、「ハワイの若大将」撮影後、黒澤組に1年間拘束された。このブランクで若大将シシリーズの中止は避けられないと考えられていたが、1965年に「海の若大将」が宝塚映画で制作され、前作を上回る興業成績を収めた。


加山雄三、田中絹代                加山雄三、土屋嘉男

【ストリー】
医員見習として小石川養生所へ住み込んだ保本登(加山雄三)は、出世を夢みて、長崎に遊学したその志が、古びて、貧乏の匂いがたちこめるこの養生所で、ついえていくのを、不満やるかたない思いで、過していた。赤っぽいひげが荒々しく生えた所長新出去定(三船敏郎)が精悍で厳しい面持で、「お前は今日からここに詰める」といった一言で、登の運命が決まった。人の心を見抜くような赤ひげの目に反撥する登はこの養生所の禁をすべて破って、養生所を出されることを頼みとしていた。薬草園の中にある座敷牢にいる美しい狂女は、赤ひげのみたてで先天性狂的躰質ということであった。登は、赤ひげのみたてが誤診であることを指摘したが、禁を侵して足しげく通った結果、登は、赤ひげのみたてが正しかったことを知った。毎日、貧乏人と接し、黙々と医術をほどこす赤ひげは、和蘭陀医学を学ばなければ解る筈のない大機里爾という言葉を使って、登に目をみはらせた。赤ひげは「病気の原因は社会の貧困と無知から来るものでこれに治療法はない」といつも口にしていた。こんな中で登は、貧しく死んでゆく人々の平凡な顔の中に、人生の不幸を耐えた美しさを見るようになった。登が赤ひげに共鳴して初めてお仕着せを着た日赤ひげは登を連れて岡場所に来た。そして幼い身体で客商売を強いられるおとよ(二木てるみ)を助けた。人を信じることを知らない薄幸なおとよが登の最初の患者であった。長崎帰りをひけらかし、遊学中に裏切ったちぐさ(藤山陽子)を責めた自分に嫌悪を感じた登は、おとよの看病に必死となった。やがておとよは、登に対しても他人に対してもあふれる愛情を示し始めた。そしてふとした盗みでおとよに救け出された長次(頭師佳孝)とおとよの間に、幼い恋が芽生えた頃、登はちぐさの妹まさえ(内藤洋子)と結婚の約束を取り交した。そして、名誉にも金にも縁遠くなっても、一生この養生所で、医術にいそしむことを誓った。


二木てるみ                         香川京子

頭師佳孝

題名:赤ひげ
監督:黒澤明
製作:田中友幸、菊島隆三
原作:山本周五郎「赤ひげ診療譚」
脚本:井手雅人、小国英雄、菊島隆三、黒澤明
撮影:中井朝一、斎藤孝雄
照明:森弘充
特機:関根義雄
録音:渡会伸
音効:三縄一郎
整音:下永尚
美術:村木与四郎
小道具:野島秋雄
結髪:松本好子
技髪:山田順二郎
衣裳:鮫島喜子
記録:野上照代
編集:黒澤明
音楽:佐藤勝
現像:キヌタ・ラボラトリー
製作担当:根津博
製作進行:木島繁
助監督:森谷司郎
監督助手:出目昌伸、松江陽一、大森健次郎
撮影助手:原一民
照明助手:原文良
録音助手:指田漸
美術助手:福迫望
編集助手:兼子玲子
製作宣伝:斉藤忠夫
スチール:副田正男
出演:三船敏郎、加山雄三、山崎努、団令子、桑野みゆき、香川京子、江原達怡、土屋嘉男、二木てるみ、頭師佳孝、根岸明美、東野英治郎、志村喬、笠智衆、杉村春子、田中絹代、藤山陽子、内藤洋子、野村昭子、藤原釜足、西村晃、常田富士男、菅井きん、風見章子、富田恵子、左卜全、渡辺篤
1965年第26回ヴェネチア国際映画祭男優賞(三船敏郎)、サン・ジョルジョ賞、ヴェネチア市賞、モスクワ国際映画祭映画労働組合賞受賞
1965年日本・黒澤プロダクション+東宝/東宝スコープ(シネスコサイズ)・モノクロ185分35mmフィルム
赤ひげ -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


加山雄三、三船敏郎                                                内藤洋子、加山雄三