映画「大病人」


三國連太郎                       宮本信子

今回は伊丹十三監督1993年製作「大病人」をピックアップする。
本作は、今までの伊丹監督作品と違い、死をテーマにしている。ガンを宣告された俳優が、死を前にしてそれまでを如何に生きていくかを描いている。コメディ要素を入れる事で、死への緊張感に緩急をつけて病名告知や延命治療といった現代医療に疑問を呈しているが、当時の最新CGで臨死体験を描いたシーンは、頂けないと思ったが、冒頭を始めとする映画撮影の現場シーンは、長年映画業界にいらした伊丹監督だけあって、描き方は的確であり無駄がない。

【伊丹十三監督作品】
1984年「お葬式
1985年「タンポポ
1987年「マルサの女
1988年「マルサの女2
1990年「あげまん
1992年「ミンボーの女
1993年「大病人」
1995年「静かな生活
1996年「スーパーの女
1997年「マルタイの女
※各作品のリンクは、予約投稿で表示しないページがありますが、後日表示されます。


津川雅彦                  三國連太郎、宮本信子、津川雅彦、木内みどり

【ストリー】
俳優兼映画監督の向井武平(三國連太郎)は、癌で余命いくばくもないオーケストラの指揮者が最後のコンサートに挑むという映画を自ら監督・主演していたが、撮影中に倒れて病院に運ばれる。妻・万里子(宮本信子)の大学時代の友人でもある医師の緒方洪一郎(津川雅彦)が担当医となるが、向井の体はあともって1年という癌に冒されていた。緒方は向井に病名を偽り手術を施すが、暫くすると向井はまた倒れてしまう。映画の共演者であり愛人である神島彩(高瀬春奈)を病室に密かに呼び出し情事を行うなど、何かと問題患者の向井に怒った緒方はつい軽率な発言をしてしまい、向井はショックのあまり自殺を図る。一命を取りとめた向井は緒方に真実を告げてくれと訴え、いがみあっていた二人は協力して死を迎えることになった。向井の映画の最後のクライマックス、彼の指揮するカンタータ『般若心経』のシーンも無事撮り終えた。向井は万里子や緒方、映画のスタッフたちが見守る中、最後の日々を満足して生き、死を迎えられたことを喜びつつ息をひきとるのだった。


高瀬春奈                          左時枝

題名:大病人
監督:伊丹十三
製作:玉置泰
脚本:伊丹十三
撮影:前田米造
照明:矢部一男
特機:落合保雄
録音:小野寺修
音効:渡部健一 (東洋音響カモメ) リーレコ:中村洋
美術:中村州志
装飾:山崎輝、豊島隆、小林聖樹
背景:島倉二千六
小道具:山浦克己、荒井雄樹、松本周子
衣裳:小合恵美子、岩崎文雄、鈴木智子、三浦みち子、石涼啓子
化粧:吉野節子、石川雅代(アートメイク・トキ)
特殊メイク:江川悦子、宗理起也、寺田まゆみ、神田文裕
デジタル合成:島村達雄(白組)、山崎貴(白組)
水中撮影:中村宏治 (日本水中映像)
技斗:高瀬将嗣、森聖二
配役:田中忠雄
記録:石山久美子
編集:鈴木晄 ネガ編集:高橋孝一
音楽:本多俊之 音楽監督:立川直樹
現像:イマジカ タイミング:小椋俊一
撮影機材:パナビジョン(三和映材社)
フィルム:富士フィルム
製作担当:鎌田賢一
製作進行:森太郎、尾崎友康、後藤弘樹
演技事務:城戸史郎
助監督:中嶋竹彦
監督助手:蝶野博、中村隆彦、遠藤秀一郎
撮影助手:栗山修司、石山稔、斎藤圭祐、神村志宏
特機助手:松田弘志
照明助手:赤井淳一、関野高弘、関根謙一、中村和也、加藤耕史、森川知
美術助手:山崎秀満、金勝浩一、深川絵美、新田隆之
録音助手:桜井敬悟、白取真、石井ますみ、大塚学
編集助手:米山幹一
医療指導:三崎晴嘉 医療コーディネーター:竹内廣徳
看護婦指導:長島美和子
指揮指導:鈴木行一 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱:東京混声合唱団 お経:真言宗冨山派不二会
記憶合金の花:渡辺裕子
フード・スタイリスト:石森いずみ
湯気効果:谷口承
ヴイック制作:アデランス
エクゼクティブ・プロデューサー:竹中行雄
コ・エクゼクティブ・プロデューサー:NIDEL SINCLAIR
プロデューサー:細越省吾 製作協力:細越省吾事務所
プロデューサー補:川崎隆
カンタータ般若心経作曲・指揮:黛敏郎
スタジオ:にっかつ撮影所
ロケ協力:東十条病院、倉本記念病院(現:セコメディック病院)、横浜総合病院、東京都立松沢病院
グラフテック・デザイン:佐村憲一
製作デスク:吉川次郎
製作宣伝:早乙女明子、モーションプロ
スチール:瀬古正二、岩崎輝義
出演:三國連太郎、津川雅彦、宮本信子、木内みどり、高瀬春奈、熊谷真実、田中明夫、三谷昇、高橋長英、左時枝、南美希子、清水よし子、渡辺哲、田中明夫、村田雄浩
1993年日本・伊丹フィルムズ/ビスタサイズ・カラー116分35mmフィルム
大病人 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


三國連太郎                  田中明夫、宮本信子、熊谷真実

映画「女衒 ZEGEN」


緒形拳                         倍賞美津子

今回は今村昌平監督1987年製作「女衒 ZEGEN」をピックアップする。
本作の構想は20年、香港、マカオ、台湾、マレーシアで大規模なロケ-ションを敢行し、明治後期から昭和初期にかけて東南アジアを舞台に活躍した女衒・村岡伊平治の半生を描いている。制作期間は2年にもわたったそうだ。1983年に東映で「楢山節考」が国際映画賞を齎した事から、本作は8億円の製作費を獲得した。撮影は1986年9月2日に香港からクランクインして1987年2月に最後の北海道ロケが行われクランクアップしたそうだ。内容は、これまでの今村監督作風と違い、大河ドラマ的冗長な展開で、面白味はなかった。興行的にも振るわなかったそうだ。


緒形拳、倍賞美津子                    小西博之

三木のり平、殿山泰司                   河原崎長一郎

【ストリー】
村岡伊平治(緒形拳)が大志を抱いて故郷・島原を捨ててから早や8年が経っていた。伊平治が長太(深水三章)、源吉(杉本哲太)と香港の港に降り立ったときの格好は髪は長くボサボサ、服はボロボロでまるでルンペン。もちろん金もなければ家もない。しかたなく大日本帝国領事館へ駆け込んだ。明治35年正月のことである。伊平治はそこで上原大尉(小西博之)から満州密偵としての役をもらい、シベリア大雪原へ向かった。やがて彼は奉天の女郎屋でトメ(池波志乃)という島原の女と出会い、幼馴染みのしほ(倍賞美津子)がシンガポールに奉公に出ていることを知った。香港へ戻った伊平治は越前屋の朝長(三木のり平)という知り合いを訪ねたが、なんと、しほは朝長の女房となっていた。朝長がシンガポールで身受けしてきたのだ。愛しいしほを買い戻した伊平治は、香港の海賊に捕まっている日本人の娘たちを助け出したのが縁で女衒を始めることになった。オナゴの貿易は国のためと張り切る伊平治は、南洋の島々に渡っては商売に励んだ。一方、しほはかつて海賊で今は英領マラヤのポートセッテンハムに力をもつ王(柯俊雄)に掛け合い、この地に女郎屋を開くことを許可させた。明治37年2月、対露宣戦布告の頃には伊平治は多くの子分を抱え、商売も繁盛、四つの娼館を経営するまでになった。明治45年、夏、伊平治は天皇の逝去に際し、切腹を試みたか失敗した。すぐに立ち直った伊平治は再び仕事に精を出すが、次第に反日感情が強くなり日本娼館も苦しい立場に立たされた。大正8年6月の廃娼制度の誕生は伊平治に決定的な打撃を与えた。世の中は大きく変わろうとしていた。多くの女たちは日本に帰ることを希望し、しほは王と愛し合うようになり伊平治の元を去った。このような時制に、王は伊平治の持つ娼館のすべてとしほを20万ドルで手に入れたのである。昭和16年12月、大平洋戦争が始まる頃、伊平治もすでに70歳に達していたが、彼の女衒根性はそう簡単に消えるものではなかった。日の丸を先頭に上陸してくる日本軍の隊列に向かって伊平治は「兵隊しゃーん、オナゴのことは俺に任しんしゃーい!」と叫んだのである。


緒形拳、寺田農                  緒形拳、倍賞美津子、柯俊雄

題名:女衒 ZEGEN
監督:今村昌平
企画:三堀篤、滝田五郎
製作:杉山義彦、武重邦夫、大庭二郎
脚本:今村昌平、岡部耕大
撮影:栃沢正夫
照明:岩木保夫
録音:紅谷愃一
音効:小島良雄 リーレコ:河野競司
美術:横尾嘉良
装飾:神田明良、沖村国男、高村裕司
造形:杉森憲之
化粧:井川成子、山崎邦夫
結髪:宮島孝子、丸山澄江
記録:石山久美子
編集:岡安肇 ネガ編集:岡安和子
音楽:池辺晋一郎
フィルム:アグファ(日本アグファ・ゲバルト)
現像:東映化学
撮影機材:三和映材社
製作担当:松田康史
製作主任:田上純司
製作補佐:室岡信明
製作進行:飯野久、椎井由紀子、今村広介
製作事務:仲主敏子
助監督:佐藤武光
監督助手:月野木隆、三池崇史
撮影助手:金沢裕、岡雅一、内田良一
照明助手:木村定広、三浦勇次郎、森下徹
録音助手:北村峰晴、塚本達朗
美術助手:稲垣尚夫、竹内公一
編集助手:小島俊彦、中葉由美子
邦楽指導:本條秀太朗
製作宣伝:滝島留一
宣伝プロデューサー:福永邦昭
スチール:加藤光男
出演:緒形拳、倍賞美津子、柯俊雄、三木のり平、小西博之、河原崎長一郎、池波志乃、風間舞子、熊谷真実、殿山泰司、寺田農、常田富士男、深水三章、杉本哲太、石井光三、柯俊雄、趙方豪、吉宮君子、神田紅、レオナルド熊
1987年日本・今村プロダクション+東映/ビスタサイズ・カラー124分35mmフィルム
女衒 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


緒形拳                                女衒 ZEGEN

映画「陽暉楼」


緒形拳                       池上季実子

今回は五社英雄監督1983年製作「陽暉楼」をピックアップする。
本作は宮尾登美子氏の同名小説が原作で脚本の高田宏治氏がストーリーを大きく改変した。西日本一を誇る土佐の高知随一の遊興、社交の場、陽暉楼を舞台に、そこでくり拡げられる様々な人間模様を描いている。


浅野温子                      倍賞美津子

【ストリー】
大正元年冬、太田勝造(緒形拳)と駆け落ちした豊竹呂鶴(池上季実子)は追手の手にかかり死亡。20年後、二人の間に生まれた房子(池上季実子)は、陽暉楼の芸妓・桃若として大変な売れっ子になっていた。陽暉楼の女将・お袖(倍賞美津子)は、呂鶴と勝造を張り合った勝気な女だったが、呂鶴の娘をあえて預り高知一の芸妓に仕上げ、自分のあとを継がせるつもりでいる。勝造は「芸妓紹介業」の看板を出し、今では“女衒の大勝”と呼ばれる存在になっていた。家には後添いのお峯(園佳也子)と、実子で盲目の忠(玉野叔史、井田國彦)がいたが、最近、大阪に珠子(浅野温子)という女を囲っている。珠子は、勝造の心の中の呂鶴の影に悩み、自ら陽暉楼に身を売ろうとしたが、お袖に断わられた。その時、陽暉楼で会った桃若に呂鶴の面影を見、嫉妬にかられた珠子は遊廓・玉水の明日楼に身を売る。ある日、大阪・稲宗一家の賭場で勝造は、丸子(佳那晃子)という芸者に出会う。以前から高知進出を企てていた稲宗(小池朝雄)は、丸子を陽暉楼に送り込み、主人・山岡を篭絡し抱きこもうと画策していた。稲宗の指し金で、丸子は山岡(北村和夫)を誘い込み陽暉楼の芸妓となる。四国一の大ダンスホールに商工会々頭・前田(丹波哲郎)、南海銀行副頭取・佐賀野井(田村連)らとやって来た陽暉楼の面々は、珠子ら玉水の娼婦たちと居あわせる。やがて、珠子と桃若の間に険悪な空気が走った。佐賀野井から誘いをうけ約束の場所に駆けつけた桃若は、珠子との凄まじい決闘の結果、髪は乱れ、体中水びたしであった。そんな彼女を佐賀野井は抱きしめ、桃若は初めて愛の歓びを知る。その頃、陽暉楼を守るため、動きまわる勝造を稲宗一家の者が襲った。やがて、稲宗の手は珠子にまでのび、珠子は高知から大阪・飛田へと鞍替えさせられた。一命をとりとめた勝造は、お袖から稲宗の策略でピンチに立たされていること、桃若の妊娠を知らされる。桃若の相手は、パトロンの四国銀行協会々長・堀川(曽我廼家明蝶)でなく別の男だという。そして、お袖は道後温泉に遊ぶ山岡、丸子のもとに行き、力ずくで丸子を追い払う。一方、勝造は珠子をとり戻し、その足で稲宗の代貸し、三好(成田三樹夫)のところに行き、山岡の博打の借金をたたき返し、稲宗一家との縁をたち切った。桃若は、前田から佐賀野井が三年間ヨーロッパへ行ったことを知らされショックをうけるが、子供を生もうと決心し、悩んだ末、堀川に子供は彼の子でないと打ち明けた。そんなことは承知で子供は認知しようと考えていた堀川は、自分の気持ちを踏みにじられたことに激怒し、縁切りを言い渡す。珠子は、勝造の希望通り秀次(風間杜夫)と一緒になり、高知に店を出すことになった。そして、桃若は女の子を生み弘子と名づける。桃若は、子供のために懸命に働くが、ある日、稽古の最中、突然倒れた。結核で身を蝕ばまれていたのだ。病院に見舞った珠子は、弘子を治るまであずかると言うが、芸妓の世界の習いとして、すでに弘子はお袖の世話で里子に出ていた。お袖は、弘子を返してくれとの勝蔵の頼みに、桃若の勝手な振舞をののしる。桃若の容態は悪化し、臨終の枕もとに弘子を伴って駆けつける勝造。その夜、秀次・珠子の店を勝造が訪れ桃若の死を告げた。その時、稲宗の手下が店を襲い、ドスに倒れて秀次は死んでいった。そして、大阪駅・三等待合室。勝造は切符を二枚珠子に渡し、用事が済むまでここで待つよう言い残し出て行く。勝造は床屋にいる稲宗、三好らを射殺するが、逃げる途中、追手に刺され絶命した。深夜の駅では、いつまでも勝造を待ち続ける珠子の姿があった。


小池朝雄、荒勢、成田三樹夫

陽暉楼

題名:陽暉楼
監督:五社英雄
企画:佐藤正之、日下部五朗
製作:奈村協、遠藤武志
原作:宮尾登美子
脚本:高田宏治
撮影:森田富士郎
照明:増田悦章
録音:平井清重
整音:荒川輝彦
美術:西岡善信、山下謙爾
装置:野尻裕
装飾:渡辺源三
背景:西村三郎
衣装:森譲、豊中健
美粧・結髪:東和美粧
技斗:土井淳之祐
記録:田中美佐江
編集:市田勇
音楽:佐藤勝
製作主任:山本吉應
監督補佐:清水彰
舞踏振付:藤間勘五郎
スチール:中山健司
出演:緒形拳、池上季実子、浅野温子、倍賞美津子、佳那晃子、風間杜夫、二宮さよ子、小池朝雄、成田三樹夫、熊谷真実、仙道敦子、西川峰子、市毛良枝、北村和夫、園佳也子、丹波哲郎、田村連、曽我廼家明蝶、内藤武敏、小林稔侍、玉野叔史、井田國彦
1983年日本・東映+俳優座映画放送/ビスタサイズ・カラー144分35mmフィルム
陽暉楼 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


浅野温子                     北村和夫、佳那晃子