映画「新幹線大爆破」

新幹線大爆破
高倉健

今回は佐藤純彌監督1975年製作「新幹線大爆破」をピックアップした。
本作は東映が5億円の製作費を投じた大作だ。
「新幹線の乗客を人質にとった爆弾脅迫事件が発生し、爆弾は走行中の新幹線に仕掛けられ列車の速度が時速80キロ以下になると爆発する。」という設定は、1994年製作のアメリカ映画「スピード(SPEED/ヤン・デ・ボン監督)」の原形となったと言われている。

【追記・訃報】
本作に主演した高倉健さんが2014年11月10日に病気の為に亡くなった。1955年に東映ニューフェイス2期生としてスタート、1955年「電光空手打ち」で主演デビュー、205本の映画に出演し日本を代表する名優だった。スクリーンでもう見れないかと思うと寂しい。謹んでご冥福をお祈り致します。「敦煌」「人間の証明」などで知られる映画監督の佐藤純彌(さとう・じゅんや)さんが2019年2月9日午後11時、多臓器不全による衰弱のため東京都内の自宅で死去した。86歳。東京都出身。17日に告別式を済ませた家族が映画会社を通して発表した。後日、お別れの会が営まれる予定。
2019年2月17日 13:50 スポニチアネックス

 佐藤純彌監督

新幹線大爆破新幹線大爆破
新幹線総合指令所のセット          0系新幹線車内のセット

映画の内容と題名で国鉄(現:JR)から撮影協力は得られなかったので、新幹線総合指令所や新幹線車内、新幹線走行外景(ミニュチュア)などは東映大泉撮影所で撮影されている。
実景カットもあるがダマテンかアリネガであろう。

新幹線大爆破新幹線大爆破
高倉健                      宇津井健

出演者は日本が誇る高倉健を始めとする錚々たる俳優陣だが、国内でヒットはしなかった。しかし海外で、特にフランスで大ヒットした。そしてフランス語吹き替え版が逆輸入され日本で凱旋公開した作品となった。

新幹線大爆破新幹線大爆破
千葉真一                    山本圭

【ストリー】
約1500人の乗客を乗せたひかり109号、博多行は9時48分に定刻どうり東京駅19番ホームを発車した。列車が相模原付近にさしかかった頃、国鉄本社公安本部に109号に爆弾を仕掛けたという電話が入った。特殊装置を施したこの爆弾はスピードが80キロ以下に減速されると自動的に爆発するというのだ。さらに、この犯人は、このことを立証するために札幌近郊の貨物列車を爆破する。これらの完璧な爆破計画は、不況で倒産した精密機械工場の元経営者・沖田哲男(高倉健)、工員の大城浩(織田あきら)、そして元過激派の闘士・古賀勝(山本圭)によるものであった。そして沖田は500万ドルを国鉄本社に要求した。運転指令長の倉持(宇津井健)は、運転士の青木(千葉真一)に事件発生を連絡するとともに警察庁の須永刑事部長、公安本部長の宮下を招集、対策本部を設定した。やがて国鉄側が沖田の要求に応じたために、大城が500万ドルを受け取りに向ったが、パトカーの執拗な追跡に事故死してしまった。仲間を失った沖田は単身、捜査本部と虚々実々の掛け引きを展開し、沖田は巧妙な手口を駆使してついに500万ドルを手に入れた。しかし古賀は、貨物爆破の現場に残したタバコから身許が割れ、沖田を逃すために自爆した。沖田は、捜査本部に爆弾除却方法を記した図面が喫茶店サンプラザのレジにあることを知らせ、変装、偽名を使って海外旅行団の一員として羽田に向った。ところが、その喫茶店が火事になって、図面が焼失してしまったのだ。捜査本部はTVで必死に沖田に呼びかけたが、反応はなかった。緊迫した捜査本部に、制限速度ぎりぎりで走る109号を外から撮影したフィルムが届けられた。そのフィルムから爆弾装置の箇所が判明された。早速、爆弾の仕掛けられた位置の床を焼き切るために109号と並行して別の新幹線を走らせ、酸素ボンベと溶接器を運び入れ、見事、爆弾除去に成功した。一方、沖田は羽田国際空港で張り込む刑事たちの目を逃れて搭乗しようとしたが、刑事たちが連れて来ていた息子の賢一が沖田に声をかけたために見破られてしまった。沖田は必死に逃走するが、追って来た刑事たちに射殺された。

新幹線大爆破
1/20スケールの0系新幹線と実写のマスク合成カット

特撮シーンは特殊技術の成田亨氏によるもので、新幹線などのミニチュアは長らく映画・TVの特撮作品で金属模型を手掛けた郡司製作所が担当したそうだ。ミニチュアといっても1両の長さは1メートル近くあり、撮影用に2編成・計24両を製作している。東映大泉撮影所の裏手に全長150メートルほどの縦長のオープンセットを組み、微妙な傾斜をつけて新幹線のミニチュアを走らせたという(自走式では無かった)。その後この新幹線のミニチュアは、後にTV映画「ウルトラマン80」でも使用されたそうだ。

新幹線大爆破新幹線大爆破
シュノーケルカメラによるローアングル

背景の都市はミニチュアではなく、ビルのモノクロ写真を引き伸ばして、パネルに貼り付けて着色したそうだ。これは成田氏の発案で、限られた予算内で撮るためのアイデアの一つだった。この特撮の為に当時最新鋭だったシュノーケル・カメラをNACからレンタルしたが、1日のレンタル料が当時で100万円という破格なものだったそうだ。(参照:ウィキペディア)

新幹線大爆破
Arriflex35 ⅡC と Eclair16 NPR

「高速度撮影カメラ」で0系の床下部を撮影するくだりがあるが、その様なキャメラは出て来ない。
写真左の2台はARRIFLEX35 ⅡC、ARRIFLEX16 ST、正面はECLAIR 16 NPR(24/fps同時録音カメラ)であり、東映にあったキャメラを動員した様だが、ARRIFLEX35 HSタイプだとしても72/fpsなので高速度の解析は出来ない。35mmならPHOTOSONIC 4E、16mmならMILLIKEN DBM55やPHOTOSONIC ACTIONMASTERなど500/fpsのコマ速度は必要だ。(筆者解説)

新幹線大爆破新幹線大爆破
小林稔侍、千葉真一                 竜雷太

題名:新幹線大爆破
監督:佐藤純彌
企画:天尾完次、坂上順
原案:加藤阿礼
脚本:小野竜之助、佐藤純弥
撮影:飯村雅彦
特撮:小西昌三
特技:成田亨
照明:川崎保之丞
美術:中村修一郎
録音:井上賢三
編集:田中修
音楽:青山八郎
現像:東映化学
出演:高倉健、千葉真一、宇津井健、山本圭、田中邦衛、織田あきら、郷えい治、小林稔侍、志村喬、川地民夫、竜雷太、宇津宮雅代、丹波哲郎、藤田弓子、岩城滉一
1975年日本・東映/シネスコサイズ・フジカラー152分35mmフィルム
新幹線大爆破 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

新幹線大爆破新幹線大爆破
渡辺文雄                    川地民夫、田中邦衛

映画「どぶ鼠作戦」

どぶ鼠作戦どぶ鼠作戦

今回は岡本喜八監督1962年製作「どぶ鼠作戦」をピックアップする。
本作は”独立愚連隊”シリーズの最終作になるそうだが、「独立愚連隊」「独立愚連隊西へ」「どぶ鼠作戦」に関連性はない。御殿場ロケで中国大陸とする無理と中国人役を日本人俳優が演ずる無理が重なって見えた。黒澤明監督「「隠し砦の三悪人」のオマージュとして一部で評価されている様だが、私には分からない。史実を無視したアクションコメディとして楽しめる方もいるかもしれない。

どぶ鼠作戦どぶ鼠作戦
加山雄三

【ストリー】
北支最前線の三元守備隊は完全に孤立の状態だった。師団司令部から派遣された新任の参謀関大尉は、三元より約二五粁西の元頭で作戦を指導中、八路の大軍に襲われて行方不明となった。師団長は大尉救出隊の編成を急いだ。その隊長に、特務隊長の白虎が選ばれた。そして白虎が選んだのは、脱走常習犯の林一等兵、食事を盗んだ兵を撲殺した空手三段の三好炊事軍曹、その軍曹を仇と狙って炊事場へ手榴弾を投げこんだ穴山上等兵、忍術研究中の佐々木二等兵の四人だった。救出隊五騎は、関隊が全滅した老頭に行った。そこには敵の密偵隊長の無双が白虎を待ちうけていた。白虎と無双は時々情報を交換してお互に利用しあっていたのである。無双は関大尉が師団長の息子で、百万元の身代金がかかっていることを知り、白虎は関大尉が捕えられて四風の野戦病院に、いることを知った。白虎隊は、八路軍が散在している五十里向うの四風に、ある時は無双隊を名乗り、ある時は敵兵に変装してたどりついた。折しも、四風は陣中結婚式ににぎわっていた。一同はその中にまぎれこんだ。日本機の爆撃があり、三好軍曹は重傷をおった。そのすきに無双は関大尉をうばって逃げたが白虎に追われ、対決の末に射殺された。白虎隊は関大尉をつれて逃げる途中八路軍の追撃をうけどぶ鼠のように逃げた。重傷の三好軍曹は仲間を助けるために敵軍と単身戦って死んだ。一方、日本軍は作戦を変更し三元を撤退することになった。正規軍とみとめられない白虎の手兵は死守部隊として三元に残された。やがて怒濤のようにおしよせて来た八路軍との間に激しい戦闘が始まった。一度捕虜になった身を今さら部隊に戻ることも出来ない関大尉を先頭とする六名はそれを知ると馬をとばして戦闘の中に飛びこんでいった。撤退中の元三元守備隊長正宗中尉も日本軍の非情に腹を立て、軍人廃業を宣言すると六名の後を追った。部隊の指揮を託された大森見習士官は落ち着きはらって部隊を戦闘隊形に直すと、軍の方針もあらばこそ、これもまた三元めがけて攻撃に向うのであった。

どぶ鼠作戦どぶ鼠作戦
水野久美

題名:どぶ鼠作戦
監督:岡本喜八
製作:田中友幸、角田健一郎
脚本:岡本喜八
撮影:逢沢譲
照明:猪原一郎
美術:育野重一
録音:伴利也
整音:下永尚
編集:黒岩義民
音楽:佐藤勝
現像:キヌタ・ラボラトリー
製作担当:鈴木政雄
助監督:山本迪夫
スチール:荒木五一
出演:加山雄三、佐藤允、夏木陽介、中谷一郎、 中丸忠雄、田中邦衛、砂塚秀夫、江原達怡、藤田進、水野久美、田村奈己、ミッキー・カーチス
1962年日本・東宝/シネスコサイズ・モノクロ102分35mmフィルム
どぶ鼠作戦 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

どぶ鼠作戦どぶ鼠作戦

 

映画「肉弾」

今回は岡本喜八監督1968年製作「肉弾」をピックアップする。
企画当初は映画会社が制作費を出さず、監督の夫人の岡本みね子氏がプロデューサーとなって二人三脚で地道に制作費を集め、制作にこぎつけたというエピソードがあったそうだ。また本作は大谷直子さんのデビュー作でもある。撮影は名匠村井博氏。
特攻隊員となった若者が作戦遂行直前に与えられた一日だけの休日に体験した瑞々しい出来事を通して戦争の愚かさとそれによって踏みにじられた幾多の青春へ の思いをコミカルなタッチで痛切に描く内容だが、DVDでは悪いプリント状態からのポジテレシネで画質は最悪だったので劇場で見たい優秀作品だ。

本作を担当したキヌタ・ラボラトリーという現像所があった。
名前は聞いた事があるが使った事がないので調べてみる。

1934年12月に現像所が完成し最初は東宝現像所としてスタートする。
1936年7月に現像所に2階を増築しモノクロ時代の東宝作品を一手に引き受けていた。
1959年11月にキヌタ・ラボラトリーと改名し1973年11月まで稼働していた。
キヌタとは世田谷区砧町のことだ。
その後現像業務を取止めて撮影機材会社(光映新社)になったそうだ。
1973年・・・どおりで知らない訳だ。

円谷プロダクションのTV特撮映画はキヌタ・ラボラトリーで現像された。
いずれも初期の白黒作品。1966年 「ウルトラQ」「ウルトラマン」「快獣ブースカ」
1967年 「殺人狂時代」「ウルトラセブン」「マイティジャック」「怪奇大作戦」

【岡本喜八監督主な作品】
1959年「独立愚連隊」
1964年「ああ爆弾」
1967年「日本のいちばん長い日」
1968年「斬る」
1977年「姿三四郎」
1979年「英霊たちの応援歌 最後の早慶戦」
1981年「近頃なぜかチャールストン」
1986年「ジャズ大名」
1968年「肉弾」
1991年「大誘拐 RAINBOW KIDS」
1995年「EAST MEETS WEST」
2001年「助太刀屋助六」
※岡本喜八監督は2005年2月に他界された。享年81歳

女優 大谷直子のデビュー作品「肉弾」

【ストリー】
昭和二十年の盛夏。魚雷を脇に抱えたドラム岳が、太平洋に漂流していた。この乗組員、工兵特別甲種幹部候補生のあいつは、まだ終戦を知らなかった。あいつ が、ここまで来るには可笑しくも悲しい青春があった。演習場のあいつ。候補生たちは、みな飢えていた。あいつは、めしと死以外を考える余裕はなかった。乾 パンを盗んで裸にむかれたこともあった。それから、広島に原爆が落ち、ソ連が参戦した。そして予備士は解散され、あいつら候補生は特攻隊員にされた。
一日 だけの外出を許されたあいつは、無性に活字が恋しくなって古本屋へ行った。
だが、活字で埋った本は、電話帳だけだった。そこには、B29に両腕をもがれた 爺さんと観音さまのような婆さんがわびしく暮していた。あいつは、やりきれなくて焼跡の中の女郎屋に飛込んだ。けばけばしい女たちの中で、因数分解の勉強 をしているおさげ髪の少女が、あいつに清々しく映った。だが、あいつの前に現われたのは、前掛けのおばさんだった。再び雨の中へ飛出したあいつは、参考書 を待った少女に出会った。なぜか少女はついて来た。やがて二人は防空壕の中で結ばれた。翌日のあいつは、対戦車地雷を抱えて砂丘にいた。少女、古本屋の老 夫婦、前掛けのおばさん、そして砂丘で知りあった小さな兄弟とモンペ姿の小母さん。あいつが死を賭けて守る祖国ができた。その夜の空襲で少女が死んだ。そ れから、作戦が変更されあいつは魚雷と共に太平洋に出た。あいつは、少女を殺した敵をじっと待ったが、敵機の機銃掃射を受けて、彼のメガネは飛び散ってし まった。日本は敗けた。だがあいつはある朝、大型空母を発見した。あいつは執念をこめて九三式魚雷を発射したが、魚雷は泡をたてて沈んでしまった。
それか ら間もなくあいつは、空母と錯覚したし尿処理船に助けられ、終戦を聞かされた。それから二十年余、海水浴客で賑わう同じ海に、ドラム岳が浮いていた。
その 中で、あいつは、いまだに怒号していた。

題名:肉弾
監督:岡本喜八
製作:馬場和夫
脚本:岡本喜八
撮影・照明:村井博
録音:渡会伸
記録:土屋テル子
美術:阿久根厳
編集:阿良木佳弘
音楽:佐藤勝
現像:キヌタ・ラボラトリー
出演:寺田農、大谷直子、天本英世、笠智衆、北林谷栄、田中邦衛、小沢昭一、三橋規子、今福正雄、Na:仲代達矢
1968年日本・ATG/スタンダードサイズ・モノクロ116分35mmフィルム
肉弾 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

肉弾

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