映画「夫が見た」

「女の小箱」より 夫が見た
若尾文子
「女の小箱」より 夫が見た「女の小箱」より 夫が見た
若尾文子                      若尾文子、川崎敬三

今回は増村保造監督1964年製作『「女の小箱」より 夫が見た』をピックアップした。
物語は、高度経済成長を背景に「男は野心に生き、女は愛に賭けた。男と女の生死を賭けた愛の闘争が激しく始まる」という内容だが、裸体の隠し方が実に上手い。工夫しているアングル、決めのポーズに技巧がある。ドラマも本質を突きピタッと完結しており、さすがは職人の映画だと思った。本作の題材は古くなったにせよ、質の高い脚本と俳優の名演技は、今のヌルい日本映画では観れない。

【追記・訃報】
川崎敬三(かわさき・けいぞう、本名=陶山恵司)さんが2015年7月21日に川崎市内の病院で死去した。1954年に大映のニューフェースに合格後「こんな奥様見たことない」で映画デビュー。若尾文子さん主演の「新婚」シリーズや山本富士子さん主演の「夜の河」などに出演、「サザエさん」「雑居時代」などテレビドラマにも出演し、テレビ朝日系の昼のワイドショー「アフタヌーンショー」の司会で人気を博した。同番組のリポーター山本耕一さんの口癖だった「そうなんですよ、川崎さん」は漫才コンビ「ザ・ぼんち」のネタにもなった。

「女の小箱」より 夫が見た「女の小箱」より 夫が見た
田宮二郎、岸田今日子               田宮二郎、江波杏子

【ストリー】
川代誠造(川崎敬三)は、敷島化工の株式課長だ。今、株の買占めに悩まされる敷島化工は、その防衛に必死で、川代も家をあける事もしばしば。妻の那美子(若尾文子)はそんな夫との生活に耐えられず、友人に誘われるまま、バー「2・3」で遊ぶようになった。バーの経営者石塚健一郎(田宮二郎)は事業欲が旺盛で敷島の乗取りを企てるつわもの。石塚は郡美子が川代の妻と承知の上で誘惑した。石塚は、美人秘書エミ(江波杏子)やバーのマダム洋子(岸田今日子)とも関係している。一方誠造も石塚の情報を得るためエミと関係した。株の買占めに洋子は、何かと手をつくしていた。那美子が誠造の情事を知った直後、エミは何者かによって殺害された。犯人は誠造であるとみなされた。那美子は一度は夫のアリバイ造りに偽証したものの石塚の苦境を知り、夫を裏ぎり石塚のアリバイを証言した。全てに失敗し会社の地位をも失った誠造は、那美子に身体を売って石塚に株の買占めから手をひくよう懇願してくれとたのんだ。意を決した那美は石塚との情事にふけった。石塚は株の代金二百万を、洋子との手切れ金にし、那美子との新しい生活に入ろうとした。が、那美子が洋子の家でみたのは石塚の冷たいなきがらであった。

「女の小箱」より 夫が見た「女の小箱」より 夫が見た
川崎敬三                       田宮二郎

題名:「女の小箱」より 夫が見た
監督:増村保造
企画:塚口一雄、三熊将暉
原作:黒岩重吾
脚本:高岩肇 野上龍雄
撮影:秋野友宏
照明:伊藤幸夫
録音:飛田喜美雄
美術:渡辺竹三郎
編集:中静達治
音楽:山内正
現像:東京現像所
助監督:崎山周
スチール:沓掛恒一
出演:若尾文子、田宮二郎、川崎敬三、小沢栄太郎、 江波杏子、岸田今日子、早川雄三、中条静夫、見明凡太朗、千波丈太郎、町田博子
1964年日本・大映/シネスコサイズ・カラー92分35mmフィルム
女の小箱より「夫が見た」 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

「女の小箱」より 夫が見た「女の小箱」より 夫が見た
若尾文子                    田宮二郎、岸田今日子

映画「悪名」

悪名悪名
勝新太郎                   田宮二郎、勝新太郎

今回は田中徳三監督1961年製作「悪名」をピックアップした。
本作は今東光氏の同名小説を原作にした勝新太郎主演の人気シリーズ第1作だ。
勝新太郎の「座頭市」以前の最初のヒット作で、後に全15作が大映京都撮影所で作られた。
撮影は巨匠宮川一夫氏が担当されている。

悪名シリーズ

悪名悪名
水谷良重                    勝新太郎

【ストリー】
河内の百姓の伜朝吉(勝新太郎 )は無類の暴れ者で“肝っ玉に毛の生えた奴”と恐れられていたが、盆踊の晩、隣村の人妻お千代(水谷良重)と知りあって有馬温泉へ駆落した。しかし働きに出るお千代を、ゴロゴロ待っている朝吉は次第に退屈し、彼女が酔客と戯れているのを見たのをシオに大阪に帰った。彼はそこで幼馴染の青年達にあい、そのまま松島遊廓にくりこんだ。琴糸という源氏名の女は朝吉にぞっこん惚れ込んだ。その晩連れの青年が酔った勢いで土地の暴れん坊、モートルの貞(田宮二郎)と悶着を起し、彼らと貞は翌朝対決する羽目になった。しかし機敏な朝吉の働きで貞は散々に打ちのめされた。この時現れた貞の親分吉岡の客分として一家に身を預けた朝吉は、喧嘩やバクチ場で無類の強さを示し、貞も次第に彼にひかれた。そんな時、朝吉と馴染を重ねていた琴糸が逃げて来た。松島一家を恐れて匿うことを渋った吉岡の薄情さを怒った貞は、杯を叩き返し朝吉を親分と立て、一家を去った。琴糸は吉岡の隣のお絹の家に匿われていたが、松島一家に捕えられて因島へ売られてしまった。朝吉と貞は対策を練るが、その夜かねてから朝吉を好いていたお絹(中村玉緒)は“妻にする”という証文をかかせて身を任せた。二、三日お絹と甘い生活を送っていた朝吉は、貞の仕入れたピストルと軍資金を得て因島にのりこんだ。そして、わざと別の宿をとった貞は、毎晩琴糸のいる大和楼に、素姓を隠した大尽遊びを続けて手筈をつけ、琴糸をうまく朝吉に渡した。船で沖へ出た朝吉は潮に流されてまた港へ戻されてしまった。万事休した彼は度胸をきめて琴糸と貞と三人、旅館の大広間に立籠った。その時、この島の王様シルクハットの親分が、子分大勢をひきつれて琴糸を渡せと迫って来た。さすがの朝吉も顔面蒼白となり、ピストルで親分の心臓を狙った。そこへこの旅館の主で、子分二千人を持つ島の女王麻生イト(浪花千栄子)がでてきた。自分の持ち家に筋を通さずのりこんできたシルクハットの無礼をなじり、仲裁をかって出た。仲裁の儀も滞りなく成立し、自由になった琴糸を中に、朝吉と貞はイト等に見送られて港を離れた。

悪名悪名
中村玉緒                   勝新太郎、田宮二郎

題名:悪名
監督:田中徳三
企画:鈴木晰成
製作:小沢宏
原作:今東光
脚本:依田義賢
撮影:宮川一夫
照明:岡本健一
録音:大谷巖
美術:内藤昭
編集:菅沼完二
音楽:伊福部昭
現像:東洋現像所
スチール:西地正満
出演:勝新太郎、田宮二郎、、中村玉緒、中田康子、山茶花究、水谷良重、藤原礼子、浪花千栄子、須賀不二男、伊達三郎
1961年日本・大映/シネスコサイズ・カラー94分35mmフィルム
悪名 DVD-BOX
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

悪名悪名
勝新太郎                     中村玉緒、水谷良重

 

映画「五人の突撃隊」

五人の突撃隊五人の突撃隊
山村聰                    大坂志郎

今回は井上梅次監督1961年製作「五人の突撃隊」をピックアップした。
舞台はビルマ最前線の英国軍対日本軍だが、英軍戦車がアメリカ軍のM-24で出てくる。
これは当時陸上自衛隊の協力を得て撮影され米軍から譲渡されたM-24を劇用で使用出来たと推測する。設定も英国軍から戦車を奪うという事なので、この戦車を車体にシールを貼ってドイツ軍戦車だとする様な設定に比べればましだった。しかし海外ロケは行われておらず御殿場あたりをビルマ最前線とするのは無国籍ティストがある。それらを差し引いてもテンポの良いプログラムピクチャーである。さすが井上梅次監督の職人技だ。

五人の突撃隊五人の突撃隊
川口浩                    藤巻潤、本郷功次郎

【ストリー】
昭和19年5月、ビルマ最前線の日本軍は、インパール攻撃を目前に控えていたが、すでに弾薬はつき、食糧はなく、その上恐しい雨季が迫ってきていた。野上大隊長は、旅団司令部に物資の補給を要請した。事情を知った曽根旅団長は、作戦会議で撤退を主張したが、かえって第一線の指揮を命ぜられた。曽根は、副官に野上少尉を任命し、野上大隊へ赴任した。士官学校を出たばかりの野上は、父の野上大隊長が優柔不断なため進撃をためらっているという噂を聞き、不満に思っていた。橋本上等兵と杉江一等兵は上官を上官とも思わないような兵隊だった。曽根は、胸中、撤退を決意した。だが、そのことを敵に知られてはならない。敵前衛部隊への攻撃、地雷原の爆破作業と小さな攻撃が続けられた。橋本上等兵が、前の戦闘でかく座させた敵戦車を迎え撃つという計画が進められ、野上少尉、橋本上等兵、杉江一等兵の他、庄司一等兵と小林一等兵が選ばれ戦車の修理作業にかかった。作業中、野上と杉江の間に険悪な対立が続いた。戦車はほんの少し動いただけだった。撤退命令が下った。曽根旅団長の独断で行なわれた命令だった。時を同じくして、敵の攻撃が開始された。大隊の撤退が完了するまで、その攻撃をくい止め、最後に橋を爆破するために誰かが残らねばならない。敵のくる道筋にすえられた戦車の中に、野上、橋本、杉江、庄司、小林の五人が残って敵を迎え撃った。敵戦車が近づいた。この機に、橋の爆破をしなければ、敵の進撃をくいとめることができない。橋本と杉江が爆破作業にとりかかった。爆破装置が完了し、スイッチが入った。点火装置に故障があるのか爆発が起らない。杉江が橋上に躍りあがった。その上に敵戦車がのしかかる。その瞬間、橋は爆破した。その頃、大隊本部では曽根が自決していた。生き残った野上と橋本が、僚友たちの遺体を埋葬しているのを、対岸の狙撃兵が見つけた。野上が倒れた。「俺だけを残すな」と橋本が絶叫する。その橋本の背を激しい雨がたたきつけた。遂に雨季がやってきたのだ。

五人の突撃隊五人の突撃隊
M-24戦車(米軍から譲渡された陸上自衛隊戦車)

題名:五人の突撃隊
監督:井上梅次
企画:原田光夫
製作:永田雅一
脚本:舟橋和郎、星川清司
撮影:中川芳久
照明:渡辺長治
特撮:築地米三郎
録音:飛田喜美雄
美術:高橋康一
音楽:鏑木創
スチール:沓掛恒一
出演:本郷功次郎、藤巻潤、山村聰、大坂志郎、川崎敬三、大辻伺郎、田宮二郎、川口浩、浜田ゆう子、安部徹
1961年日本・大映/シネスコサイズ・モノクロ119分35mmフィルム
五人の突撃隊 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

五人の突撃隊五人の突撃隊

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