映画「殺し屋人別帳」


「殺し屋人別帳」渡瀬恒彦

渡瀬恒彦                     賀川雪絵、吉田輝雄

今回は石井輝男監督1969年製作「殺し屋人別帳」をピックアップする。
本作は、当時の岡田茂東映企画製作本部長がスカウトした渡瀬恒彦さんの肝煎りのデビュー作である。渡瀬さん演じる主人公の名前は「網走番外地シリーズ」で、高倉健さん演じた主人公の名前と同じ橘真一である事も破格の待遇だった。
本作は、1970年1月に公開し、二作目「監獄人別帳」を4月に公開したが、三作目「悪党人別帳」は製作されなかったそうだ。
本作のラストである黒岩組と竜神一家の銃撃戦で、これほど撮影所内スタジオ棟を倉庫街に無理に見立てたシーンも見た事がない。東撮作品(東映大泉)では、No,11ステージ前の坂などを見かける事は多々あるが、特に大きな装飾もせず、倉庫街として映し出したのは、よほど時間がなかったのだろうか?


伊吹吾郎                     佐藤允、渡瀬恒彦

【ストリー】
浦波興業会頭・浦波(沢彰謙)は殺し屋の黒岩(田崎潤)と宇野木(小池朝雄)に金を積んで組長を消し、北九州一帯の組を傘下に修めた。目的を達した浦波は用済みの二人を消そうとして逆に射殺された。強欲な黒岩は相棒の宇野木をも殺し、浦波の縄張りを手中におさめ黒岩組と改称した。流れ者の真一(渡瀬恒彦)が長崎に現われたのは、黒岩組が竜神一家を潰そうとこの地に乗り込んで来たおりだった。ある日、真一は長崎港の岸壁で車に接触して転倒した松葉杖の娘ナオミ(太田ナオミ)を介抱した。この光景に感動した黒岩の娘ミッチー(小川ローザ)の世話で、真一は黒岩組の客分になった。鉄(佐藤允)が組に草鞋を脱いだのもその頃だった。やがて、黒岩は竜神一家の荷上げ作業妨害作戦に出た。苦境に立つ竜神統一(吉田輝雄)は、その暴挙を責め、黒岩は一切を賽の目で勝負をしようと持ちかけた。統一は勝負に敗けた。統一の妻久美(藤田佳子)は、自分の体を賭けて夫を黒岩に挑戦させた。統一は勝負に勝ったものの、彼のために細工をした壷振りの美枝(英美枝)は竜神一家の木口(中谷一郎)とともに斬殺されてしまった。ナオミも現場を目撃したことから黒岩組に捕われたが、彼女の面倒をみていた寅さんこと八人殺しの鬼寅(嵐寛寿郎)の機転で助けられた。黒岩は事の決着を急ぎ、竜神一家に喧嘩状を叩きつけ、凄絶な死闘が始った。統一は苦闘する竜神一家に加担し、黒岩の銃弾が黒岩を倒した。すべてが終った時、黒岩の客分鉄が真一に向った。二人の銃口は同時に火を吐き、弾丸は真一の脇腹と鉄の心臓に命中した。正義漢・鉄が勝ちを真一に譲った一瞬であった。


賀川雪絵                                                                       佐藤允、

小川ローザ
1969年、丸善石油のハイオクガソリンのCMに出演。猛スピードで走る自動車が巻き起こした風で小川のミニスカートがまくりあがり、「Oh! モーレツ」と叫ぶ内容で一世を風靡し、幼児の間でも「Oh! モーレチュ」と言い、スカートめくりが流行するほど社会現象にまでなった。
(ウィキペディア参照)


小川ローザ「丸善石油ハイオクガソリンCM」  「殺し屋人別帳」小川ローザ

藤田佳子                       太田ナオミ 

田崎潤、由利徹                    荒木一郎

題名:殺し屋人別帳
監督:石井輝男
企画:岡田茂、天尾完次
脚本:石井輝男、掛札昌裕
撮影:古谷伸
照明:長谷川武夫
録音:中山茂二
美術:矢田精治
装置:米沢勝
装飾:清水悦夫
美粧:鳥居清一
結髪:横山三佳代
衣裳:豊中健
擬斗:三好郁夫
記録:石田照
編集:神田忠男
音楽:鏑木創 主題歌:渡瀬恒彦「さすらい人別帳」
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
進行主任:武久芳三
監督補佐:荒井美三雄
助監督:依田智臣
スチール:藤本武
出演:渡瀬恒彦、吉田輝雄、伊吹吾郎、佐藤允、田崎潤、中谷一郎、賀川雪絵、嵐寛寿郎、太田ナオミ、小川ローザ、藤田佳子、荒木一郎、英美枝、三笠れい子、葵三津子、小池朝雄、由利徹、水島道太郎、沢彰謙
1969年日本・東映/シネスコサイズ・カラー93分35mmフィルム
殺し屋人別帳 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


小池朝雄                          吉田輝雄、英美枝、田崎潤

中谷一郎                       嵐寛寿郎

映画「帰ってきた若大将」


アグネス・ラム、加山雄三               坂口良子

今回は小谷承靖監督1981年製作「帰ってきた若大将」をピックアップする。
加山雄三さんのデビュー20周年を記念して作られた本作は、若大将シリーズの第18作で最終作である。
クライマックスシーンの舞台は、1980年に行われた実際のニューヨークシティマラソンで行われ、3班体制で撮影されたそうだ。余談になるが、私が、撮影助手だった本作公開後の翌年(1982年)に初めてハワイ・ロケに行った。それは、日清カップヌードル(出演:ザ・タイガース[復活結成])のCF撮影だったが、現地撮影コーディネーター・スタッフにアグネス・ラムさんが参加していたので驚いたのを思い出す。しばらくコーディネーターを続けていたそうだ。

※ザ・タイガースは1971年に解散しているが、1982年~1983年まで「ザ・タイガース同窓会」として岸部一徳、森本太郎、加橋かつみ、沢田研二、岸部シローの5名で再結成した。


「帰ってきた若大将」坂口良子

田中邦衛                        萬田久子

中真千子、有島一郎                 松崎真、樹木希林

【ストリー】
西太平洋、サザンクロス諸島上空をヘリコプターで取材していたTVプロデューサー皆川純子(坂口良子)が機内から放り出された。そこへ、セスナ機から一人の男がスカイ・ダイビング、純子を捉えパラシュートで降下。その男こそ、御存知若大将、田沼雄一(加山雄三)。今、サザンクロス島の大統領の片腕、自治政府顧問になっている。その島は近く平和国家としてアメリカから独立しようとしていた。東京に戻った純子は取材したフィルムにクレームがつき、スポンサーである三丸商事副社長、石山新二(田中邦衛)こと青大将に抗議に出かけた。そこは青大将、純子を見るなり、クレームを撤回、デートに誘った。その晩、青大将が純子にキスしようとしたとき、そこへ若大将が通りかかった。若大将に飛びつく純子、青大将はガックリ。雄一はおばあちゃんの七回忌の法事で帰国していたのだ。法事を済ませた夜、大統領から雄一に国際電話が入り、島からアメリカに向かう使節団の目的が達成するようニューヨークで外務書記官のフローラ(アグネス・ラム)と打ち合せをするようにとのことだった。ニューヨークへ飛ぶ雄一。一方、青大将は石油買付けのために書いた中東宛の手紙を、アメリカのメジャー系石油会社のリーガン社長に出してしまった。手紙を取り戻そうと、青大将もニューヨークへ向かう。郵便車を追う青大将は、途中で強盗に会い、身ぐるみ、車を盗まれてしまう。若大将はフローラと会ったが大統領補佐官シュナイダーと連絡がとれず、仕事は難行。そこへ青大将の捜索を頼まれた。ニューヨーク・シティマラソンの取材に来ていた純子は、ホテルで仲の良い雄一とフローラに出会い、嫉妬し、ホテルを出てヨットで暮し始めた。青大将は何とかリーガン社長の別荘に辿りつき、手紙を取り戻すが、パトカーに追われ、偶然、純子のヨットに逃げ込んだ。雄一はシュナイダーがシティマランンに参加すると聞き、セントラルパークで練習中のところを接近した。そこで雄一はマラソンに勝てば使節団の意向を大統領に伝えると、シュナイダーに約束させた。一万数千人が参加するマラソンで、雄一は見事にシュナイダーを破るのだった。


「帰ってきた若大将」坂口良子

賀原夏子                     田中邦衛、田崎潤

題名:帰ってきた若大将
監督:小谷承靖
製作総指揮:渡辺晋
製作:田中壽一、恩田光
脚本:田波靖男
撮影:上田正治
照明:望月英樹
特機:福田喜平、高原定
録音:田中信行
音効:東宝効果集団
整音:東宝録音センター
美術:薩谷和夫
大道具:小川峰雄
装置:高橋儀三
小道具:佐々木庄次
電飾: 田村正弘
衣裳:川崎健二
結髪:中尾さかゑ
化粧:藤田初美
記録:小林孝子
編集:池田美千子
音楽:弾厚作、森岡賢一郎 主題歌:加山雄三「この愛いつまでも」
撮影機材:パナビジョン
現像:東洋現像所
エクゼクティブ・プロデューサー:池瑞直亮(加山雄三)
アシスタントプロデューサー:田久保正之、中沢敏明
製作担当:橋本利明
製作進行:林茂里穂
助監督:岡田文亮
監督助手:米田興弘
撮影助手:古山正、五十畑幸勇、山田健一
照明助手:中村和夫、斉藤薫、蝶谷幸士、入口正平、南仁、大澤暉男
録音助手:斉藤禎一、近田進、膳師豊
美術助手:櫻木晶
大道具助手:鈴木栄二
製作宣伝:奥田和之
演技事務:橘田捷成
スチール:橋山直己
出演:加山雄三、坂口良子、田中邦衛、アグネス・ラム、有島一郎、江原達怡、中真千子、田崎潤、萬田久子、樹木希林、賀原夏子、なべおさみ、山本紀彦、松崎真
1981年日本・加山プロモーション+東宝/ビスタサイズ・カラー99分35mmフィルム
帰ってきた若大将 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


帰ってきた若大将                     田中邦衛

映画「八甲田山」


「八甲田山」高倉健

高倉健                          北大路欣也

今回は森谷司郎監督1977年製作「八甲田山」をピックアップする。
本作は、実際に真冬の八甲田山でロケを敢行し、日本映画史上類を見ない過酷なロケとして有名になった。遭難現場は八甲田山北東斜面だが、ロケは八甲田山北西の寒水沢、酸ヶ湯温泉付近や岩城山の長平、奥入瀬などでも行われたそうだ。徳島大尉が案内人たちに「八甲田で見たことは一切口外してはならん」と言うシーンは、劇場版「八甲田山(169分)」ではカットされたが、それを追加した「八甲田山完全版(171分)」は、映画の公開から5年後に再編集された。


三國連太郎                        緒形拳

【デジタル修復について】
2018年に東京現像所が4K解像度によるデジタル修復を行った。木村大作氏が監修を務め、スキャニングによる高解像度マスターの取得、デジタル補修として傷の消去、光量の補正や空撮シーンの揺れをスタビライザーによる抑制などの改善が行われた。東京現像所によると「35mmフィルムには6K程度の情報量が眠っていると言われ、もともとネガフィルムに記録された情報量が多い為にその情報を十分に発揮出来る」との事だ。昭和52年(1977年)の公開当時、大ヒットした事で、各地の映画館に送るフィルムを何度も焼き付けた為、オリジナルネガに傷も多かった。その傷を物理的に修復した後、各コマを約24万枚のデジタルデータに変換した。


小林桂樹、神山繁                    秋吉久美子

【ストリー】
「冬の八甲田山を歩いてみたいと思わないか」と友田旅団長(島田正吾)から声をかけられた二人の大尉、青森第五連隊の神田(北大路欣也)と弘前第三十一連隊の徳島(高倉健)は全身を硬直させた。日露戦争開戦を目前にした明治34年末。第四旅団指令部での会議で、露軍と戦うためには、雪、寒さについて寒地訓練が必要であると決り、冬の八甲田山がその場所に選ばれた。二人の大尉は責任の重さに慄然とした。雪中行軍は、双方が青森と弘前から出発、八甲田山ですれ違うという大筋で決った。年が明けて1月20日。徳島隊は、わずか27名の編成部隊で弘前を出発。行軍計画は、徳島の意見が全面的に採用され隊員はみな雪になれている者が選ばれた。出発の日、徳島は神田に手紙を書いた。それは、我が隊が危険な状態な場合はぜひ援助を……というものであった。一方、神田大尉も小数精鋭部隊の編成をもうし出たが、大隊長山田少佐(三國連太郎)に拒否され210名という大部隊で青森を出発。神田の用意した案内人を山田がことわり、いつのまにか随行のはずの山田に隊の実権は移っていた。神田の部隊は、低気圧に襲われ、磁石が用をなさなくなり、白い闇の中に方向を失い、次第に隊列は乱れ、狂死するものさえではじめた。一方徳島の部隊は、女案内人を先頭に風のリズムに合わせ、八甲田山に向って快調に進んでいた。体力があるうちに八甲田山へと先をいそいだ神田隊。耐寒訓練をしつつ八甲田山へ向った徳島隊。狂暴な自然を征服しようとする210名、自然と折り合いをつけながら進む27名。しかし八甲田山はそのどちらも拒否するかのように思われた。神田隊は次第にその人数が減りだし、辛うじて命を保った者は50名でしかなかった。しかし、この残った者に対しても雪はとどめなく襲った。神田は、薄れゆく意識の中で徳島に逢いたいと思った。27日、徳島隊はついに八甲田に入った。天と地が咆え狂う凄まじさの中で、神田大尉の従卒の遺体を発見。神田隊の遭難は疑う余地はなかった。徳島は、吹雪きの中で永遠の眠りにつく神田と再会。その唇から一筋の血。それは、気力をふりしぼって舌を噛んで果てたものと思われた。全身凍りつくような徳島隊の者もやっとのことで神田隊の救助隊に救われた。第五連隊の生存者は山田少佐以下12名。のちに山田少佐は拳銃自殺。徳島隊は全員生還。しかし、2年後の日露戦争で、全員が戦死。


栗原小巻                         八甲田山

題名:八甲田山
監督:森谷司郎
企画:吉成孝昌、佐藤正之、馬場和夫、川鍋兼男
製作:橋本忍、野村芳太郎、田中友幸
原作:新田次郎「八甲田山死の彷徨」
脚本:橋本忍
撮影:木村大作
照明:高島利雄(セット)、大澤暉男(ロケーション)
特機:三沢一義
録音:吉田庄太郎
美術:阿久根巖
装飾:滋野清美、大光寺康
大道具:西田忠光
衣裳:長島重夫
美粧:高橋勝三
記録:米山久江
編集:池田美千子、竹村重吾
音楽:芥川也寸志
現像:東洋現像所
撮影機材:パナビジョン
製作担当:小山孝和
製作進行:三島巌、久保井修
助監督:神山征二郎、橋本信吾、永井正夫、桃沢裕幸
撮影助手:加藤雄大、岸本正弘、信坂利文、野村俊祐
照明助手:小山勲
録音助手:田中進
美術助手:小方一男
編集助手:竹村重吾、糸賀美保
スチール:藤巻健二
出演:高倉健、北大路欣也、加山雄三、三國連太郎、緒形拳、丹波哲郎、栗原小巻、加賀まりこ、秋吉久美子、小林桂樹、島田正吾、大滝秀治、藤岡琢也、前田吟、神山繁、森田健作、東野英心、下絛アトム、加藤嘉、花澤徳衛、山谷初男、菅井きん、田崎潤、浜田晃、加藤健一、江幡連、高山浩平、安永憲司、樋浦勉、広瀬昌助、早田文次、吉村道夫、渡会洋幸、金尾鉄夫、古川義範、荒木貞一、芦沢洋三、山西道宏、蔵一彦、新克利、海原俊介、堀礼文、森川利一、浜田宏昭、玉川伊佐男、竜崎勝、江角英明、井上博一、佐久間宏則、伊藤敏孝、石井明人、船橋三郎、丹古母鬼馬二、青木卓、永妻旭、大竹まこと
1977年日本・橋本プロダクション+東宝映画+シナノ企画/シネスコサイズ・カラー公開版169分完全版171分35mmフィルム
八甲田山 特別愛蔵版 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


三國連太郎                        八甲田山


撮影:木村大作氏 監督:森谷司郎氏 脚本:橋本忍氏
八甲田山

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