映画「若者よ挑戦せよ」

若者よ挑戦せよ若者よ挑戦せよ
小林桂樹                        小沢昭一

今回は千葉泰樹監督1968年製作「若者よ挑戦せよ」をピックアップする。
本作は高度経済成長を背景に、大手電機メーカー東芝を大芝電機に見立て、代々就職した或る社員家族三代を描いたものだが、劇中ではタイアップで当時の人気オーディオ機器「ボストン」をフィチャーしている。そのイベントに東芝レコードから加山雄三さんと黛ジュンさんが歌を披露している力の入れ様だ。しかし東芝は、1990年代初めに経営方針転換により、オーディオの自主開発を中止している。現在、経営再建中の東芝を大企業礼賛に終始している本作は、昭和元禄と呼ばれた時代を映し出している事は間違いない。

若者よ挑戦せよ若者よ挑戦せよ
森光子                         白川由美

【ストリー】
明治の末。波川順平(小林桂樹)は、自分の人力車に、大芝電機の社長や技師長を乗せた縁で刺激され、電気を猛勉強し、この道の成功者になった。そして今、順平の一人息子新太郎(小沢昭一)は、大芝電機の工場長、孫の順一(船戸順)、勇吉(竜雷太)も大芝電機に勤め、智子(大空真弓)も元気で、順平には何不足なしの心境だった。だが、皆が仕事熱心のあまり一家団欒の機会がないことを、寂しく思うようになった。順平が妻ふさ(白川由美)の法事を営んでも、新太郎と嫁の藤子(森光子)しか揃わなかった。そんな折、勇吉が東京へ転勤になった。順平は、孫たちの身を固めさせようと、早速動きだした。だが、心に決めた相手のある三人は、耳を傾けようともしなかった。そんな順平の脳裡をかすめたのは亡き妻のことだった。今でこそ、順平と新太郎は和気あいあいの親子だが、かつては女工だった藤子との結婚問題で対立し、新太郎が家出をしたこともあった。その件をとりもったふさを想い出しながら、順平は苦笑するのだった。勇吉は、彼を追って上京した給仕の絵美子(内藤洋子)の協力を得て、仕事に熱中していた。再び波川家に波風が立った。新型ステレオの大量生産をめぐって論争が起きたのだ。新太郎は、長年の経験からという理由で、勇吉の主張を斥けるのだった。勇吉は、早速社長(島田正吾)に詳細なデータを提示すると、工場長新太郎の交替を厳しく迫った。社長は、勇吉が新太郎の息子であることを知り、積極的なその熱意に動かされた。しかしこれは、今まで夫や順平に従順だった藤子の計画によるものだった。新製品“ボストン”の売れゆきは好調だった。波川家に一家団欒の夜が訪れた。その時、藤子が息子や娘のそれぞれの相手を伴なって二人の前に現われた。その姿は、順平の目には、ふさのように思われた。藤子はその場で、自分の結婚は自らが決め将来の自分の責任を負うのがこの家の伝統だ、と二人を説得した。この言葉に、若者たちの顔は輝いた。悠々自適の隠居生活を送りながら、なんとなく憂鬱を隠せなかった順平は、この晩はじめて幸福に酔うのだった。

若者よ挑戦せよ若者よ挑戦せよ
竜雷太                         大空真弓

題名:若者よ挑戦せよ
監督:千葉泰樹
製作:安達英三郎
脚本:笠原良三
撮影:西垣六郎
照明:西川鶴三
録音:藤好昌生
整音:下永尚
美術:本多好文
衣裳:鮫島喜子、亀岡昭
音楽:伊福部昭
記録:小林孝子
編集:黒岩義民
現像:東京現像所 合成:三瓶一信
製作担当者:橋本利明
監督助手:渡辺邦彦
スチール:秦大三
出演:小林桂樹、竜雷太、黒沢年雄、池内淳子、内藤洋子、白川由美、大空真弓、船戸順、藤木悠、平田昭彦、田崎潤、小沢昭一、森光子、島田正吾、加山雄三、黛ジュン
1968年日本・東宝/シネスコサイズ・カラー88分35mmフィルム

若者よ挑戦せよ若者よ挑戦せよ
内藤洋子                         黒沢年雄
若者よ挑戦せよ若者よ挑戦せよ
池内淳子                         船戸順
若者よ挑戦せよ若者よ挑戦せよ
加山雄三                         黛ジュン

映画「乱れる」


高峰秀子                                    加山雄三

今回は成瀬巳喜男監督1963年製作「乱れる」をピックアップする。
本作の内容は、未亡人と義弟の許されない愛を描いたもので、難しい設定ではあるが、礼子(高峰秀子)の心の軌跡、切ない思いの描き方、演技は秀逸だと思う。その後の「乱れ雲」と共に素敵な作品である。


三益愛子、草笛光子                   白川由美、草笛光子

【ストリー】
礼子(高峰秀子)は戦争中学徒動員で清水に派遣された際、しず(三益愛子)に見染められて森田屋酒店に嫁いだ。子供も出来ないまま、夫に先だたれ、嫁ぎ先とはいえ、他人の中で礼子は森田家をきりもりしていた。森田家の次男幸司(加山雄三)は、最近、東京の会社をやめ、清水に帰っていた。何が原因か、女遊びや、パチンコ喧嘩と、その無軌道ぶりは手をつけられない程だ。そんな幸司をいつも、優しくむかえるのは、義姉の礼子だった。再婚話しも断り、18年この家にいたのも、次男の幸司が成長する迄と思えばこそであった。ある日見知らぬ女(浜美枝)との、交際で口喧嘩となった礼子に幸司は、今までわだかまっていた胸の内をはきすてるように言った。馬鹿と言われようが、卑怯者といわれようが、僕は義姉さんの側にいたい」義姉への慕情が純粋であるだけに苦しみ続けた幸司だったのだ。それからの幸司は真剣に店をきりもりした。社長を幸司にしてスーパーマーケットにする話がもちあがった日、礼子は家族を集め『せっかくの良い計画も、私が邪魔しているからです、私がこの店から手をひいて、幸司さんに先頭に立ってスーパーマーケットをやって欲しい。私も元の貝塚礼子に戻って新しい人生に出発します私にも隠していましたが、好きな人が郷里にいるのです』とうちあけた。荷造りをする礼子に、幸司は「義姉さんは何故自分ばっかり傷つけるんだ」と責めた。『私は死んだ夫を今でも愛してる、この気持は貴君には分からない』礼子の出発の日、動き出した車の中に、思いがげない幸司の姿があった。『送っていきたいんだ!!いいだろ』幸司の眼も美しく澄んでいた。


浜美枝                        加山雄三、高峰秀子

題名:乱れる
監督:成瀬巳喜男
製作:藤本真澄、成瀬巳喜男
脚本:松山善三
撮影:安本淳
照明:石井長四郎
録音:藤好昌生
整音:下永尚
美術:中古智
編集:大井英史
音楽:斎藤一郎
現像:キヌタ・ラボラトリー
製作担当者:黒田達雄
監督助手:川西正純
スチール:秦大三
出演:高峰秀子、加山雄三、三益愛子、草笛光子、浜美枝、白川由美、藤木悠、十朱久雄、北村和夫、坂部紀子、柳谷寛、中北千枝子
1963年日本・東宝/シネスコサイズ・モノクロ98分35mmフィルム
乱れる -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


高峰秀子                                    乱れる

映画「兄貴の恋人」


「兄貴の恋人」酒井和歌子

加山雄三                           酒井和歌子

今回は森谷司郎監督1968年製作「兄貴の恋人」をピックアップする。
私の好きな女優である酒井和歌子さんが、ヒロインという理由だけで観た作品だ。
監督は巨匠なのに深みがない内容だった。翌年から東宝は、加山雄三さん主演の若大将シリーズを開始するが、本作はパイロット版的位置付けに思える。


「兄貴の恋人」内藤洋子

内藤洋子                              中山麻理

【ストリー】
女子大生の節子(内藤洋子)は、兄の鉄平(加山雄三)のことになると箸の上げ下しにまで口を出す。だから、鉄平に縁談がおきると、本人よりも目の色を変え、結局、相手に散々ケチをつけてぶちこわしてしまうのだった。そんなある日、商事会社に勤める鉄平は、辞職する女子社員の和子(酒井和歌子)の送別会に、プレゼントのブローチを買ったのだが、麻雀に誘われて和子に手渡すのを忘れてしまった。和子の代りに転属されてきた久美(岡田可愛)は節子の友だちで、節子は鉄平の動静を逐一、知ることができた。酔っばらいにからまれていたのを鉄平が救った美人、京子(豊浦美子)のことも、鉄平を好いているバーのマダム玲子(白川由美)のことも、節子には筒抜けだった。しかし、彼女は兄との仲が急速に進んでいる女性、緑(中山麻理)のことは知らなかった。偶然、プールで仲良く泳ぐ鉄平と緑を見た節子は、緑に対して初めて女の嫉妬を感じた。一方、鉄平の方は金持ちで美人の緑を結婚の対象に考え始めていたが、急に和子のことを思い出した。そして、月並みなブローチを高価なハンドバッグに代えて、和子に贈った。そのころ、彼にアメリカ行きの話が持ち上った。その時になって、鉄平は和子に求婚したが和子はそれを断った。母も、もちろん節子もこの結婚に反対だったので、鉄平は一応は諦めはしたものの、やはり和子のことが心に残る。彼は再び求婚したが、和子はかたくなに鉄平の申し出を断るのだった。そんな鉄平を見ていた節子は、鉄平が真剣になっていることを知った。そして妹として初めて兄のために尽くそうと決心したのだ。鉄平が出発する直前まで、節子は和子に会い、鉄平と結婚するよう説得し、とうとう承諾させたのだった。


岡田可愛、内藤洋子                          悠木千帆(樹木希林)

沢村貞子                       酒井和歌子

題名:兄貴の恋人
監督:森谷司郎
製作:藤本真澄、大森幹彦
脚本:井手俊郎
撮影:斎藤孝雄
照明:小島正七
美術:村木忍
録音:吉岡昇
整音:下永尚
編集:岩下広一
音楽:佐藤勝 主題歌:加山雄三「雲の果てまで」
現像:東洋現像所 合成:三瓶一信
製作担当:森本朴
助監督:石田勝心
スチール:中尾孝
出演:加山雄三、酒井和歌子、内藤洋子、宮口精二、沢村貞子、白川由美、江原達怡、岡田可愛、ロミ山田、中山麻理、悠木千帆(樹木希林)、豊浦美子、人見明
1968年日本・東宝/シネスコサイズ・カラー84分35mmフィルム
兄貴の恋人 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


加山雄三、酒井和歌子                    内藤洋子、酒井和歌子

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