映画「バージンブルース」


秋吉久美子                      清水里絵

今回は藤田敏八監督1974年製作「バージンブルース」をピックアップする。
撮影は1974年10月7日~11月9日に行われ11月19日に東洋現像所(現イマジカ)で初号試写、22日から「あばよダチ公」との併映で、全国日活系劇場で公開された。


秋吉久美子、長門裕之                 高岡健二

【ストリー】
お茶の水予備校女子寮生たちは灰色の浪人生活のうっ憤を晴らすため、時折徒党を組んで万引きをやっていた。が、四谷のスーパーマーケットで発覚し、畑まみ(秋吉久美子)と小林ちあき(清水理絵)だけが逃げのびた。寮に帰れず新宿界隈をうろついていた二人に声をかけたのは中年男の平田(長門裕之)だった。彼は脱サラを試みてラーメン屋を始めており、一年前スナックでちあきと知り合い関係を持ったことがあった。平田は二人をラブ・ホテルに誘ったが、バージンのまみが嫌がり、結局は諦めた。やがて二人は寮の近くの中華料理店の店員、橋本誠(高岡健二)の下宿にころがり込んだ後、二人の実家がある岡山に帰る事にした。旅費を平田から借りようとすると、まみの若い魅力に惹かれている平田も一緒に着いていくと言い出した。岡山駅前でまみとちあきは別れたが、平田は照れながらまみに着いて行った。しかしまみの実家にも警察の手が廻っており、やむなく二人は倉敷に行った。倉敷でまみはアングラ劇団をしている幼な友達の秋山正次(林ゆたか)に会った。まみと平田が宿なしだと聞いた正次は、合宿に合流させることにした。まみたちは「禁酒、禁煙、禁交」をモットーとするこの劇団の下働きをすることになった。まみを仲間に入れた正次には魂胆があった。劇場の小屋主は正次が若い女を沢山動かしているのを利用して、やがてストリップをやらせようとしているのだが、正次はそれを逆手に取って魅力あるまみを使い小屋主たちを誘惑し、小屋を乗っ取ろうと企んだのだ。これを知った平田は憤然となり、「俺にはバージンを守る義務があるんだ!」と叫び正次を殴り倒すと飛び出して行った。まみは脱兎の如く平田の後を追った。それから二人だけの旅が始った。そして、海辺のホテルで二人は激しく求めあった。翌朝、平田が目を覚ますとまみの姿が無い。寝巻がキチンとたたまれていた。まみの美しい肌が波打ちぎわで光っている。やがて、その影はまっすぐに、波に逆って沖に向っていく。「まみー」平田の叫ぶ声に、まみがニッコリと片手を上げた。平田の顔が安堵と不安にゆがんだ。波とたわむれるまみ。波打ちぎわを歩く平田……。


秋吉久美子、林ゆたか                  野坂昭如

題名:バージンブルース
監督:藤田敏八
企画:栗林茂
製作:伊藤亮爾
脚本:内田栄一
撮影:安藤庄平
照明:松下文雄
録音:紅谷愃一
美術:横尾嘉良
擬斗:田畑善彦
編集:井上治
音楽:武川行秀、ミッキー吉野 主題歌:野坂昭如「バージンブルース」
現像:東洋現像所
製作担当:青木勝彦
助監督:八巻晶彦
色彩計測:田村輝行
スチール:井上俊康
出演:秋吉久美子、長門裕之、清水里絵、高岡健二、林ゆたか、赤座美代子、多々良純、加藤嘉、吉井亜樹子、田中筆子、白石奈緒美、松井康子、野坂昭如
1974年日本・日活/シネスコサイズ・カラー99分35mmフィルム
バージンブルース -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


藤田敏八監督(中央)                  秋吉久美子

映画「東京戦争戦後秘話」


後藤和夫                                岩崎恵美

今回は大島渚監督1970年製作「東京戦争戦後秘話」をピックアップする。
本作は、実際の自主映画制作集団”グループポジポジ”のメンバーを起用した作品で、映画製作運動に没頭していた主人公=元木象一が、沖縄デー(1969年4月28日)の闘争記録を撮影する最中に、ボレックスカメラを私服刑事に奪われてしまう。元木は追いかけるが、突然の幻想に取り憑かれる。身近かな仲間の一人が、何かを撮影し、そのフィルムを遺書に残してビルの屋上から自殺してしまったという幻想。その16mmフィルムで撮った遺書は”風景映画”だったという内容だ。
あいつ=自分という主体と客体が、重ね合わせる事で、現実と過去の風景を追い詰めるという事なのだろうか?

“風景映画”とは、映画評論家の松田政男氏と脚本家の足立正生氏、本作の脚本を担当された佐々木守氏が中心になって作った映画「略称連続射殺魔(1969年)」=永山則夫が見たであろう風景を撮り続けた一人称ドキュメンタリー映画が語源だ。

大島渚監督作品としては、実験的要素が多く興味深い作品である。しかし巨匠・成島東一郎氏が撮影監督を担当されているので、モノクロに映し出される光と影は美しかった。

作品リスト

本作公開から48年後、この作品に出演した堀越一哉さんが主宰し、後藤和夫さん、福田健一さん、菊地恵子さん達が、2018年4月7日にシネマハウス大塚をオープンさせた。「破壊と創造・大島渚の世界」など映画作家の作品を特集して上映する常設館(スペース)だ。是非、今度伺おうと思っている。


大島ともよ                        後藤和夫、岩崎恵美

【ストリー】
元木象一(後藤和夫)は映画製作運動に没頭していた。沖縄デーの闘争記録を撮影に行った象一はカメラを奪った私服刑事を追いかけるが、突然一つの幻想にとりつかれた。それは、自分の身近かな友人の一人が、自分から借りていったカメラで、何かを撮影しつつ、そのフィルムを遺書に残してビルの屋上から自殺してしまったという幻想である。仲間の松村(福田健一)や谷沢(福岡杉夫)はこの馬鹿げた話に苦笑するだけだった。しかし、あいつが自殺したと思いこんでいる象一は、自分の恋人泰子(岩崎恵美子)をも「あいつの恋人」だと思いこみ、強姦同然に泰子を犯してしまった。象一は幻想の中で「あいつ」の遺書の映画を見た。その映画というのは、ありふれた風景の積み重ねだけの訳のわからないものだった。「あいつ」は何を考えていたのか、自分で自分の幻想の世界がわからなくなった象一は、「あいつ」は単なる幻想だったと自分を納得させようとしたが、「あいつの恋人」にされてしまった泰子は、そのままでは済まなかった。彼女は象一にあくまで、「あいつの恋人」としてふるまい、「まぼろしのあいつ」との愛と性の生活について語り続けた。幻想を断ち切ろうと、象一は「あいつ」の撮影した風景の中にうごめく「あいつ」の影を追って東京の街をさすらうが、やがて「あいつ」の影が最後に消えた家が、象一の生家であることを発見した。いまや「あいつ」と闘うことは、自分と闘うことになった。象一は「あいつ」と同じ風景を撮影して、「あいつ」の作品をこえる映画を作ろうとするが、「あいつ」と象一の関係に気づいた泰子は、象一のカメラの前に立って、風景を変えてしまおうとした。そのため現実にはさまざまの不都合なことが起こった。そしてついに、泰子はビルの屋上にまで追いつめられ自分の自殺体まで見てしまった。泰子は象一に「あいつ」に勝ったと語るが、象一はこの世に風景がある限り、「あいつ」はどこにでもいるし、そのことがわかった時どこにもいないのだと気づいた。今や、風景なんて何だって同じである。象一のカメラはでたらめにそこらの街角でまわりはじめた。やがて、松村たちがカメラを奪い返そうと追ってきた。象一は、「あいつ」の影に誘われるようにビルの屋上にのぼり、そこから身を投げた。


東京戦争戦後秘話

東京戦争戦後秘話

題名:東京戦争戦後秘話
監督:大島渚
製作:山口卓治
主題:大島渚、田村孟
脚本:原正孝(原将人)、佐々木守
撮影:成島東一郎
照明:水村富雄
美術:戸田重昌
録音:西崎英雄
音効:本間明
MA:アオイスタジオ
編集:浦岡敬一
技術:キャビネットオブエヌ [※成島東一郎氏の事務所]
音楽:武満徹
現像:東洋現像所
助監督:山崎祐次、佐々木文一、永井憲二、川島和雄
撮影助手:兼松?太郎、倉田文彦、榊原勝己
照明助手:小宮山安夫
録音助手:高井唯夫、小笠原清
編集助手:高橋司圭子
製作進行:吉田眞樹宣、小池弘
スチール:佐藤元洋
出演:後藤和夫、岩崎恵美子、福岡杉夫、大島ともよ、福田健一、磯貝浩、橋本和夫、堀越一哉、白石奈緒美、吉野憲司、椎谷健治、津野哲郎、津路清子
1970年日本・創造社+ATG/スタンダードサイズ・モノクロ94分35mmフィルム
東京戦争戦後秘話 -DVD-
2018年11月現在、DVDレンタルはありません。


東京戦争戦後秘話

東京戦争戦後秘話

【出演者】
元木象一:後藤和夫(グループポジポジ)
泰子:岩崎恵美子
谷沢:福岡杉夫(グループポジポジ)
晶子:大島ともよ
松村:福田健一(グループポジポジ)
坂本:磯貝浩(グループポジポジ)
高木:橋本和夫(グループポジポジ)
沿道:堀越一哉(グループポジポジ)