映画「火宅の人」

火宅の人火宅の人
緒形拳                        原田美枝子
火宅の人火宅の人
いしだあゆみ                     松坂慶子

今回は深作欣二監督1986年製作「火宅の人」をピックアップする。
本作は、檀一雄氏原作の同名小説を映画化したもので、妻と5人の子を持ちながら、新劇女優を愛人にして、通俗小説を量産しながら放浪を続けた自由奔放な作者自身の生き方を曝け出す事によって、倫理や因襲、思惑の中で生きる現代人に、人間とは何ものかと問いかける内容だ。煩悩に身を焦がし、不安の絶えないさまを火災にあった家にたとえて「火宅」という。桂一雄の母親を演じている檀ふみさんは、檀一雄氏の実娘である。

火宅の人
檀ふみ                       緒形拳、真田広之、岡田裕介

【ストリー】
作家、桂一雄(緒形拳)は、最初の妻リツ子に死なれ、後妻としてヨリ子(いしだあゆみ)をもらった。ヨリ子は腹ちがいの一郎(利根川龍二)をはじめ、次郎(一柳信之)、弥太(大熊敏志)、フミ子(米沢由香)、サト子(岡村真美)と5人の子供を育ててきた。1956年夏、一雄は新劇女優、矢島恵子(原田美枝子)と事をおこした。8年前の秋、彼女が知人の紹介状を持って訪ねて来て以来、その率直さに心魅かれていたのだ。恵子はその後、一雄の忙しい時に原稿の清書を手伝ったりしていた。26年に「長恨歌」で直木賞を受けた一雄は、受賞の喜びよりも恵子の嬉しげな笑顔の方が、心に残る。だが、指一本触れたことがなかった。そんな時、一雄の身辺に凶事が重なった。一昨年の夏は、奥秩父で落石に遭い助骨3本を骨折。昨年の夏は、次郎が日本脳炎にかかり、言葉も手足も麻痺してしまう。そして今年の夏。一雄は太宰治の文学碑の除幕式に参列するための青森行に、恵子を誘ってしまった。ヨリ子は次郎の事があってから、怪しげな宗教の力にすがるようになっていた。一雄はある局面に向って走り出した。40年前、一雄の母(檀ふみ)は、神経衰弱の父(石橋蓮司)と幼い妹二人を残して、年下の大学生と駆けおちしたのである。青森から帰った一雄から、全てを打ち明けられたヨリ子は、翌日家出した。一週間すぎても連絡はない。一雄は若々しい恵子との情事のとりこになっていった。ある嵐の夜、ヨリ子は一生、次郎と子供たちのために生きる覚悟を決めたと戻ってきた。入れ替わりに一雄は家を出、浅草の小さなアパートで恵子と新しい生活をはじめる。一郎がそのアパートに空巣に入るという騒ぎ、恵子が某怪人物に溺愛されているとの噂に、嫉妬に狂った一雄が京都公演中におしかける事件などの後、恵子が妊娠した。堕胎を決意した彼女は、一雄に同行を求めるが、彼にはそんな時間の余裕はなかった。その夜、二人は派手な喧嘩をした。逃げるように東京を離れた一雄は、五島列島行の連絡船にとび乗った。彼はそこで、京都で怪我をした時に介抱してくれた女性、葉子(松坂慶子)に再会した。義父(山谷初男)に犯された暗い過去を持つ彼女は、10年ぶりに里帰りしたのだ。葉子は、あてのない一雄の旅の道連れとなったが、クリスマスの夜、求婚されていた華僑への返事を、これ以上のばせないと一人で旅立って行った。東京へ戻り、久々に正月を家族と過ごすことになった一雄のもとに、次郎の死が知らされる。次郎の葬儀の日、恵子から一雄の荷物が届けられた。

火宅の人
「火宅の人」緒形拳、原田美枝子
火宅の人
「火宅の人」緒形拳、原田美枝子
火宅の人
「火宅の人」緒形拳、松坂慶子
火宅の人火宅の人
原田美枝子、緒形拳                  いしだあゆみ、緒形拳

題名:火宅の人
監督:深作欣二
企画:高岩淡、佐藤雅夫
製作:豊島泉、中山正久
原作:檀一雄
脚本:神波史男、深作欣二
撮影:木村大作
照明:増田悦章
録音:平井清重
整音:荒川輝彦
美術:佐野義和
装置:稲田源兵衛、井筒恒雄
装飾:渡辺源三、山本重治、大西功
背景:西村三郎
衣裳:森譲、山崎武、古賀博隆
美粧:名執愛次郎
結髪:山田真左子
ヘアーメイク:福田高広(アートメイクトキ)
衣裳コーディネイト:加藤悦子
擬斗:菅原俊夫
配役:葛原隆康
記録:田中美佐江
編集:市田勇
音楽:井上尭之 音楽プロデューサー:高桑忠男 主題歌:嵯峨美子「火宅の人」
撮影機材:パナビジョン(三和映材社)
現像:東映化学、イマジカ
進行主任:長岡功
製作進行:天野和人
演技事務:寺内文夫
製作宣伝:丸国艦
助監督:藤原敏之
監督助手:長岡鉦司、鈴木清
撮影助手:信坂利文、山下弘之、田中勇二、清久素延
照明助手:伊藤昭、沢田敏夫、田畑功、花村浩、佐藤才輔、鹿野克己
美術助手:小林勝美、秋好泰海
録音助手:木村益夫、四方裕幸
編集助手:荒木健夫、小磯真佐美
方言指導:大矢敬典、徳永まゆみ
企画協力:檀太郎
スチール:大木茂
出演:緒形拳、いしだあゆみ、原田美枝子、松坂慶子、檀ふみ、真田広之、岡田裕介、石橋蓮司、蟹江敬三、山谷初男、宮内順子、荒井注、下元勉、井川比佐志、下絛アトム、相馬剛三、利根川龍二、一柳信之、大熊敏志、米沢由香、岡村真美
1986年日本・東映京都撮影所/ビスタサイズ・カラー132分35mmフィルム
火宅の人 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

火宅の人火宅の人
原田美枝子、緒形拳                 火宅の人

映画「蒲田行進曲」


「蒲田行進曲」松坂慶子

松坂慶子                        風間杜夫

今回は深作欣二監督1982年製作「蒲田行進曲」をピックアップする。
原作「蒲田行進曲」は松竹蒲田撮影所を舞台にしているが、本作では時代劇全盛期の東映京都撮影所を舞台にしている。本来なら太秦行進曲であろう。本作は、角川春樹氏が東映に提案した企画を、当時の東映社長の岡田茂氏が「当たらないから」と断った為に松竹との提携となり、異例の事態となった経緯がある。

松竹の名監督である野村芳太郎氏は、松竹映画の歴史を象徴する「蒲田行進曲」というタイトルの映画を東映出身の深作欣二監督に東映撮影所で撮られた事に憤り、4年後の1986年に自らプロデューサーとして「キネマの天地」を制作する。

蒲田撮影所時代を経験し小津安二郎監督作品の撮影技師である厚田雄春氏は、「蒲田行進曲」「キネマの天地」のどちらも蒲田撮影所の当時の雰囲気が出ておらず、それは無理もないとしながらも、やっぱり物足りないと評している。私には、分からない世界だ。


平田満                        原田大二郎

【ストリー】
ここは、時代劇のメッカ、東映京都撮影所。今、折りしも「新撰組」の撮影がたけなわである。さっそうと土方歳三に扮して登場したのは、その名も高い“銀ちゃん”こと倉岡銀四郎(風間杜夫)である。役者としての華もあり、人情家でもあるのだが、感情の落差が激しいのが玉にキズ。こんな銀ちゃんに憧れているのが大部屋俳優のヤス(平田満)。ヤスの目から見れば銀ちゃんは決して悪人ではない、人一倍、仕事、人生に自分なりの美学を持っているだけだ。ある日、ヤスのアパートに銀ちゃんが、女優の小夏(松坂慶子)を連れて来た。彼女は銀ちゃんの子供を身ごもっていて、スキャンダルになると困るのでヤスと一緒になり、ヤスの子供として育ててくれと言うのだ。ヤスは承諾した。やがて、小夏が妊娠中毒症で入院するが、ヤスは毎日看病に通った。その間、ヤスは、撮影所で金になる危険な役をすすんで引き受けた。小夏が退院して、ヤスのアパートに戻ってみると、新品の家具と電化製品がズラリと揃っていた。だが、それとひきかえにヤスのケガが目立つようになった。それまで銀ちゃん、銀ちゃんと自主性のないヤスを腹立たしく思っていた小夏の心が、しだいに動き始めた。そして、小夏はヤスと結婚する決意をし、ヤスの郷里への挨拶もすませ、式を挙げて新居にマンションも買った。そんなある日、銀ちゃんが二人の前に現われた。小夏と別れたのも朋子(高見知佳)という若い女に夢中になったためだが、彼女とも別れ、しかも仕事に行きづまっていて、かなり落ち込んでいるのだ。そんな銀ちゃんをヤスは「“階段落ち”をやりますから」と励ました。“階段落ち”とは、「新撰組」のクライマックスで、斬られた役者が数十メートルもの階段をころげ落ち、主役に花をもたす危険な撮影なのだ。ヤスは大部屋役者の心意気を見せて、なんとか銀ちゃんを励まそうと必死だった。“階段落ち”撮影決行の日が近づいてきた。ヤスの心に徐々に不安が広がるとともに、その表情には鬼気さえ感じるようになった。心の内を察して、小夏は精一杯つくすのだが、今のヤスには通じない。撮影の日、銀ちゃんは、いきすぎたヤスの態度に怒り、久しぶりに殴りつけた。その一発でヤスは我に帰った。撮影所の門の前で、心配で駆けつけた小夏が倒れた。“階段落ち”はヤスの一世一代の演技で終った。小夏がベッドの上で意識を取り戻したとき、傷だらけのヤスの腕の中に、女の子の赤ん坊が抱かれていた。


清川虹子                     蟹江敬三、佐藤晟也

高見知佳                     松坂慶子、岡本麗

題名:蒲田行進曲
監督:深作欣二
企画:松竹映像
製作総指揮:角川春樹
製作:佐藤雅夫(東映)、斎藤一重(東映)、小坂一雄(松竹映像)
原作・脚本:つかこうへい
撮影:北坂清
照明:海地栄
録音:平井清重
整音:荒川輝彦
美術:高橋章
装置:三浦公久
装飾:長尾康久
背景:西村三郎
美粧・結髪:東和美粧
衣裳:黒木宗幸
スタイリスト:葛西充子
ヘアーメイク:アートメイク・トキ
技斗:菅原俊夫、上野隆三、三好郁夫
記録:田中美佐江
編集:市田勇
音楽:甲斐正人 主題歌:松坂慶子・風間杜夫・平田満「蒲田行進曲」挿入歌:中村雅俊「恋人も濡れる街角」
現像:東洋現像所
進行主任:山本吉應
助監督:比嘉一郎
演技事務:寺内文夫
スタント指導:西本良治郎 スタント:猿渡幸太郎(J.A.C)
方言指導:落合智子
題字:和田誠
制作協力:東映京都撮影所
スチール:金井謹治
出演:松坂慶子、風間杜夫、平田満、高見知佳、蟹江敬三、原田大二郎、清川虹子、千葉真一、真田広之、志穂美悦子、岡本麗、汐路章、石丸謙二郎、萩原流行、酒井敏也、佐藤晟也、清水昭博、榎木兵衛、高野嗣郎
1982年日本・角川春樹事務所+松竹/ビスタサイズ・カラー109分35mmフィルム
蒲田行進曲 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


「蒲田行進曲」松坂慶子

東映京都撮影所                   蒲田行進曲

蒲田行進曲                      松坂慶子

平田満                       蒲田行進曲

映画「里見八犬伝」


「里見八犬伝」薬師丸ひろ子

真田広之、薬師丸ひろ子              夏木マリ、真田広之

今回は深作欣二監督1983年製作「里見八犬伝」をピックアップする。本作は里見家の一人娘・静姫(薬師丸ひろ子)を妖怪軍団から守るために立ち上がった八犬士の凄絶な闘いを描いた特撮時代劇で、当時のHDCG合成は陳腐に映るが、セット美術も含め、手作り感満載の作品である。しかし、夏木マリさんの怪演はズバ抜けて良かった。


志穂美悦子                     千葉真一

【ストリー】
館山城主・里見成義の一人娘・静姫(薬師丸ひろ子)は叔父のもとへと逃避行を続けていた。突如、黒装束の騎馬侍達が前ぶれもなく城に攻め入り、成義以下を皆殺しにしたのだった。城を奪った男・蟇田素藤(目黒祐樹)は、かつて成義の父・義実が征伐した蟇田定包の子であり、その時死んだ筈の素藤と彼の母・毒婦玉梓(夏木マリ)は悪霊“御霊様”に仕えることによって、不死身の身体をもつ妖怪となって蘇ってきたのである。そして静姫の生き血を“御霊様”に捧げるべく、彼女の行方を血まなこになって探していた。静姫は炭焼小屋で親兵衛(真田広之)という若者と出会う。彼に追われた静姫は巡礼姿の二人連れに助けられた。二人は犬山道節(千葉真一)、犬村大角(寺田農)と名乗り、一巻の絵巻物を差し出した。それには、約百年前に里見義実が蟇田一族を滅したいきさつ、そして玉梓の呪いからか、義実の息女・伏姫が飼犬・八房に授けられ、懐妊した伏姫の胎内より白気と共に、仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌の各字を刻んだ霊玉が八方に飛散したことなどが記されていた。道節と大角はそれぞれの霊玉を静姫に見せ「一刻も早く霊玉を持つ他の六人を探し出し、静姫を奉じ素藤らと戦わねばならない」と説く。最初はそんな話を信じなかった静姫だが、一人、また一人と犬士が集まってくるうち、犬士達と共に戦うことを決意した。なおも残る犬士を探す旅が続くなか、突然、けもの罠にかかり静姫がさらわれた。犯人は静姫を城に連れてきた者は侍にしてやる、という素藤のおふれに野望を燃やす親兵衛だった。彼は静姫を素藤のもとへ連れていこうとするが、素藤の支配下となった安房国の荒廃と黒騎馬侍の人を人とも思わぬ殺戮を見て心の中に変化が起き始めた。そして、黒騎馬侍達に静姫が発見された時、親兵衛は彼女をかばい、二人は鐘乳洞に逃げ込んだ。そこには、新たに同志を加えた道節らがいた。親兵衛の心の善を信じはじめた静姫だったが、二人はここで別れなければならなかった。犬士達に放りだされた親兵衛は黒騎馬達に捕まり城に連れさられる。彼はそこで、腕にある赤いアザから玉梓の子の転生であるということを知らされた。そして“御霊様”に仕える司祭・幻人によって悪の化身とされてしまう。その時、素藤配下の侍大将・現八に変化が起きる。彼は仲間を倒し、気を失っている親兵衛を連れて城を脱出した。懐にはいつしか光る霊玉がありそれに導かれるように静姫のいる洞に着いた現八は、七人目の犬士として迎えられる。その時、親兵衛が目を覚まし、いきなり静姫に襲いかかった。姫を守ろうとする犬士達に「刀を引きなさい」と、静姫が命じた。静姫は心で親兵衛に対峙しようとしたのだ。その瞬間、白い閃光が親兵衛を一撃し、彼の身体は静姫の前に崩れ落ちた。新兵衛が再び眼を覚すと腕のアザが消えており、二人の間には光り輝く霊玉があった。喜びに満ちあふれる二人は愛し合う。が、突如、大蛇があらわれ、静姫を巻き玉梓の笑い声を残して消え去った。集結した八犬士のもとに伏姫の「この矢を“御霊様”に向って静姫に引かせなさい」という声が響いた。そして彼らは姫を救い出し“悪”を滅すために館山城に向った。一人、一人合い討ちながらも素藤一味を倒していく犬士達。だが、素藤、玉梓、静姫のいる大広間にたどりついたのは、親兵衛と道節のみだった。道節は自ら追手の盾となり、親兵衛は静姫のもとへ飛んだ。そして縛めをとかれた静姫は“御霊様”に向って矢を放った。玉梓らはミイラと化し、城は崩れ落ちた。親兵衛は静姫を叔父の城へと送り届け、二人に別れの時がきた。親兵衛は静姫を想いながら七犬士達の墓を祭っていると馬に乗った静姫がやってきた。


「里見八犬伝」夏木マリ

薬師丸ひろ子                    里見八犬伝

題名:里見八犬伝
監督:深作欣二
製作総指揮:角川春樹
製作:佐藤雅夫、豊島泉、菅原比呂志
原作:鎌田敏夫「新・里見八犬伝」
脚本:鎌田敏夫、深作欣二
撮影:仙元誠三
照明:渡辺三雄
録音:荒川輝彦
音効:永田稔
美術:今村力
装置:三浦公久
装飾:渡辺源三
背景:西村三郎
衣装:森譲
美粧:鳥居清一
結髪:白鳥里子
技斗:菅原俊夫
特撮監督:矢島信男
特撮:高橋政千
操演:鈴木昶
合成演出:佐川和夫
記録:田中美佐江
編集:市田勇
音楽:ジョーイ・カルボーン、リッチー・ジトー
主題歌:ジョン・オバニオン「里見八犬伝」「八剣士のテーマ (White Light)」
音楽プロデューサー:高桑忠男、石川光
撮影機材:パナビジョン(三和映材社)
現像:東洋現像所
アクションセッティング:中牟田了(ジャック・コマンド)
製作主任:長岡功
助監督:松永好訓
スチール:遠藤功成
出演:薬師丸ひろ子、真田広之、千葉真一、夏木マリ、志穂美悦子、岡田奈々、寺田農、京本政樹、目黒祐樹、萩原流行、苅谷俊介、大葉健二、福原時浩、浜田晃、汐路章、ヨネヤマママコ、成田三樹夫、殿山泰司
1983年日本・角川春樹事務所/ビスタサイズ・カラー136分35mmフィルム
里見八犬伝 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


真田広之、薬師丸ひろ子               里見八犬伝

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