映画「肉体の門」


宍戸錠                         野川由美子

今回は鈴木清順監督1964年製作「肉体の門」をピックアップする。
本作は5度も映画化された田村泰次郎氏の同名原作を、鈴木清順監督が映画化したものだ。
以前、五社英雄監督1988年東映制作「肉体の門」を紹介したが、本作は、調布の日活撮影所内の煙突を臨む焼跡のオープンセットを始めとする木村威夫氏の美術が秀悦であり、清順ワールドで構築された「肉体の門」になった優れた作品である。

【肉体の門】
1948年 監督:マキノ正博、出演:轟夕起子、制作:太泉スタジオ(後の東映)
1964年 監督:豊田四郎、出演:団令子、制作:東宝
1977年 監督:西村昭五郎、出演:加山麗子、制作:日活
1988年 監督:五社英雄、出演:かたせ梨乃、制作:東映
※五社英雄監督1988年製作「肉体の門


肉体の門

和田浩治、河西都子                  富永美沙子

【ストリー】
敗戦に虚脱し、疲れきった男たちの間に、毒々しい悪夢の花を咲かせる女たち。17歳のマヤ(野川由美子)が、関東小政のおせん(河西都子)のグループに仲間入りしたのも、たった一人の兄をボルネオで亡くし、米兵に肌を奪われてからだ。焼ビルの地下には、ジープのお美乃(松尾嘉代)、ふうてんお六(石井富子)、町子(富永美沙子)と、皆暗い過去を背負った女たちがたむろしていた。今日も闇市では、仲間の掟を破った夜の女が、激しいリンチをうけていた。彼女らの中には、よその女に縄張りを荒させない、ただで男と寝ないという掟が生きていた。一方関東小政の刺青をもつ、おせんは、進駐軍の兵隊を半殺しにした復員姿の新太郎(宍戸錠)を助けた。すさんだ生活をしていても、小政たちもやはり女だ。たくましい男を見て、彼女らの中に愛に、似た感情が湧いて来た。そんな時、町子が小笠原(江角英明)というなじみの客と、結婚を約束して代償なしに身体を与えていることがバレてしまった。怒り狂った小政、マヤらは、地下室に町子を宙吊りにすると、リンチを加えた。途中、新太郎にさえぎられたものの、すさまじいリンチは、マヤの身体に忘れていた女の生理をよみがえらせた。そして新太郎に強烈にひきつけられていった。一方、新太郎は、進駐軍のペニシリンをもっていた。小政の口ききで新太郎は阿部(和田浩治)と兄貴分の石井(野呂圭介)にそれを売り、莫大なお金を受けとった。祝い酒に酔った新太郎は、焼跡に絡がれた牛を地下室にひっぱって来ると久しぶりの牛肉にありつき乱痴気さわぎがつづいた。飲み食い、ひもじさから解放されたマヤは、新太郎を廃船につれこむと、愛撫を求めた。彼も激情にかられ、マヤを抱くと、「新しい生活へのスタートをきろうと約束した」しかし、かげでこれを聞いた小政は、マヤに激しいリンチを加えるのだった。けれど、希望に満ちたマヤの瞳は美しかった。一方、新太郎は小政に、ペニシリンがインチキだと密告され、石井らの一団とMP、警官に追われた。新太郎は必死に逃げたが、MPの弾丸が容赦なく新太郎の身体に食いこんでいった。何も知らないマヤは新太郎の約束の場所に急いでゆくのだった。


「肉体の門」江角英明、富永美沙子

松尾嘉代                        石井富子 

肉体の門

題名:肉体の門
監督:鈴木清順
企画:岩井金男
原作:田村泰次郎
脚本:棚田吾郎
撮影:峰重義
照明:河野愛三
録音:米津次男
美術:木村威夫
編集:鈴木晄
音楽:山本直純
現像:東洋現像所
製作主任:薮内善明
色彩計測:森勝
助監督:葛生雅美
スチール:目黒祐司
出演:宍戸錠、和田浩治、河西都子、野川由美子、石井富子、松尾嘉代、富永美沙子、玉川伊佐男、野呂圭介、チコ・ローランド、若葉めぐみ、堺美紀子
1964年日本・日活/シネスコサイズ・カラー90分35mmフィルム
肉体の門 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


「肉体の門」野川由美子

河西都子、富永美沙子               宍戸錠、河西都子

「肉体の門」富永美沙子

映画「紅蓮華」

紅蓮華紅蓮華
秋吉久美子                      役所広司

今回は渡辺護監督1993年製作「紅蓮華」をピックアップする。
本作はピンク映画界の大御所である渡辺護監督が「冷血(1984年)」)以来の2作目の一般映画である。
田中うめの氏「梅一輪」の原作を映画化したもので、昭和から平成へと一人の女が時代に翻弄されながら理想の愛を追い求めて逞しく生きていった姿を、濡れ場シーンは1カットもなく描いたものだ。同じくピンク映画界の大御所である向井寛監督が1983年に製作した「四畳半色の濡衣」もそうであったが、撮影所のスタジオ・セットを使って構図・美術・照明を無駄なく使っている。

紅蓮華紅蓮華
武田久美子                     河内桃子

【ストリー】
昭和32年冬、中田さくら(秋吉久美子)はいとこの中田健造(役所広司)に求婚した。戦時中、軍人との不幸な結婚をしたが夫は戦死、戦後の動乱をどうにか生き抜き、成長した息子も高校受験の年頃になった今、改めて理想の結婚を求めていた。だが、いとこだったら子供を作らずに愛情ある生活ができると考えたさくらに対し、健造は愛人・洋子(武田久美子)との関係を捨て切れずにいた。新婚早々さくらは結核で倒れるが、それをきっかけに洋子が二人の新婚家庭に闖入してくる。耐え切れなくなったさくらは、健造の弟で言語障害をもつ勇造(倉崎青児)と洋子との結婚を持ちかけるが、健造は彼らの結婚後も洋子との関係を続けた。だがやがて勇造と洋子の間に子供が生まれ、ようやく愛人関係は終わるが、相変わらず健造はさくらに指一本触れようとしないまま17年の月日が過ぎていく。そんな時、健造の心のよりどころだった母・よしの(河内桃子)が死ぬ。自暴自棄になった健造はさくらへの愛に目覚めながらも、自らの死を選んだ。そして昭和が終わり、さくらの母も亡くなった今、さくらは改めて夫・健造のことや自分の生きてきた人生を振り返るのだった。

紅蓮華紅蓮華
役所広司、秋吉久美子                秋吉久美子

題名:紅蓮華
監督:渡辺護
製作:正木誠一
企画:さく良企画
原作:田中うめの「梅一輪」
脚本:沖島勲、佐伯俊道
撮影:鈴木史郎
照明:加藤松作
特機:NK特機
録音:細井正治
音効:渡部健一 リーレコ:中村洋
美術:菊川芳江
装飾:佐々木敬
組付:服部昌織
衣裳:川村優子
スタイリスト:鈴木智子
化粧:内山いほ子、藤原美保、小田久枝
記録:宮本依子
編集:田中修
音楽:渡辺俊幸 主題歌:松原のぶえ「紅蓮華」「愛冠岬のいのり」
撮影機材:日本映樹
現像:東映化学
プロデューサー:半沢浩、尾形充洸
製作担当:市村智保
製作進行:西島豊、益田隆時、森田良彦、中村和夫
演技事務:宮前寿美子
助監督:桜田繁
監督助手:成瀬活雄、桧山剛、広松靖智
色彩計測:阿部喜久雄
撮影助手:渡辺純一、御木茂則、田宮健彦
照明助手:鈴木達也、林信一、、原春男、井上愉斗志、鈴木正義、片桐正史
録音助手:楠本龍巳、横野一氏工、下野溜之
美術助手:吉見邦弘、大浦千鶴子
装飾助手:有村治、高島寿生、阿部智恵、小西和行
編集助手:田中昌江
撮影スタジオ:にっかつ撮影所
製作協力:フィルム・シティ
スチール:竹内健二、田部井満
出演:秋吉久美子、役所広司、武田久美子、倉崎青児、河内桃子、小倉一郎、小松方正、石井富子、岡田秀樹、逗子とんぼ、稲野和子、吹田明日香
1993年日本・三協映画/ビスタサイズ・カラー119分35mmフィルム
紅蓮華 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

紅蓮華紅蓮華
秋吉久美子                         紅蓮華

 

映画「まむしと青大将」


菅原文太                        川地民夫

今回は中島貞夫監督1975年製作「まむしと青大将」をピックアップする。
まむしの兄弟シリース”は、東映京都撮影所で1971年から1975年にかけて9作品が、菅原文太さんと川地民夫さん主演で制作された。本作は最終第9作になる。

【まむしの兄弟シリース】
1971年「懲役太郎 まむしの兄弟」監督:中島貞夫
1971年「まむしの兄弟 お礼参り」監督:本田達男
1972年「まむしの兄弟 懲役十三回」監督:中島貞夫
1972年「まむしの兄弟 傷害恐喝十八犯」監督:中島貞夫
1973年「まむしの兄弟 刑務所暮し四年半」監督:山下耕作
1973年「まむしの兄弟 恐喝三億円」監督:鈴木則文
1974年「まむしの兄弟 二人合わせて30犯」監督:工藤栄一
1974年「極道VSまむし」監督:中島貞夫 主演:若山富三郎 ※コラボ作品
1975年「まむしと青大将」監督:中島貞夫
※各作品のリンクは、予約投稿で表示しないページがありますが、後日表示されます。


「まむしと青大将」緑魔子

荒木一郎                     川谷拓三、佐藤蛾次郎

菅原文太、悠木千帆(樹木希林)、川谷拓三         安部徹、室田日出男、志賀勝

【ストリー】
日本全国の刑務所を寝城としているまむしのゴロ政(菅原文太)が久々にシャバに出て来た。一方、政の弟分・不死身の勝(川地民夫)は、大阪で政神会という一家の親分になっていた。政はすぐにでも勝に会いたかったが、手土産の一つも欲しい。そこで土地の暴力団抗争に眼をつけ、抗争相手の組長殺しを引き受けるが、その組長に200万円で命乞いされる。その金でソープランドに行き刑務所のアカを落した政は、欣一(川谷拓三)というチンピラにマージャンに誘われ、欣一の兄貴分でイカサマ師の健(荒木一郎)らと麻雀に興じるが、たちまちトラの子の200万円を取られてしまった。だが、イカサマを見破った政は、健の持ち金数百万円を無理矢理奪い取った。しかし気のいい政はその金も、麻雀気違いで生活費もスッてしまった電気商の坊本(金子信雄)に泣き落されて全額くれてやった。再び無一文になった政は、一億円を貯め込んでいるという風俗嬢・沙織(緑魔子)に目をつけた。早速、政は彼女を麻雀に誘うが、健ともども負けてしまう。実は沙織もイカサマ師だったのだ。健と沙織の仲が密接になり、二人は近く大阪で行なわれる全日本麻雀大会に出場することにした。一方、政は欣一を連れて大阪の勝を訪ねた。勝は暴力団と抗争を続けながら縄張りを拡大していたが、政神会は、会長・元村(安部徹)が引きいる大阪東邦連合会に面倒をみてもらっているため勝手な行動はできなかった。数日後、政は健と沙織に会ったが、沙織は株の失敗で一億円を失っていた。健は沙織に惚れている政を利用して政に資金調達を頼む。政は勝と組んで東邦連合会から3,000万円を横取りし、政神会は東邦連合会から脱会した。全日本麻雀大会の日、健と沙織は3,000万円を持って出場した。その頃、政と健は東邦連合会に捕われ私刑を受けるが、玄竜会々長・藤山(渡辺文雄)を殺せば勝の命を救けると言われた政は、可愛い弟分のために決意した。その藤山は健、沙織の麻雀の相手で、政がその会場に殴り込んだ時、丁度、健、沙織のイカサマが見破れた瞬間だった。政は藤山から一億円を奪い沙織と逃げだし、その金を手渡した。しかしその直後、沙織が連合会に捕われた。政は勝を連れて、東邦連合会に殴り込んだ……。


坊屋三郎                       三島ゆり子

金子信雄、石井富子                 渡辺文雄

志賀勝、菅原文太                     緑魔子

題名:まむしと青大将
監督:中島貞夫
企画:橋本慶一、佐藤雅夫
脚本:高田宏治
撮影:赤塚滋
照明:北口光三郎
録音:荒川輝彦
美術:吉村晃
装置:温井弘司
装飾:柴田澄臣
背景:西村三郎
美粧・結髪:東和美粧
衣装:岩谷保
擬斗:三好郁夫
記録:梅津泰子
編集:市田勇
音楽:広瀬健次郎
進行主任:長岡功
助監督:篠塚正秀
演技事務:上田義一
麻雀指導:小島武夫
スチール:中山健司
出演:菅原文太、川地民夫、緑魔子、荒木一郎、悠木千帆(樹木希林)、室田日出男、川谷拓三、三島ゆり子、橘麻紀、名和宏、坊屋三郎、潤ますみ、汐路章、佐藤蛾次郎、安部徹、金子信雄、石井富子、渡辺文雄、志賀勝、林彰太郎、成瀬正孝
1975年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー91分35mmフィルム
まむしと青大将 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


菅原文太、川地民夫

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