映画「突入せよ!「あさま山荘」事件」


役所広司                    「あさま山荘」のセット

今回は原田眞人監督2002年製作「突入せよ!「あさま山荘」事件」最悪作品賞をピックアップする。
本作は佐々淳行氏の「連合赤軍「あさま山荘」事件」を映画化したものだが、製作委員会に産経新聞が入っているだけあって体制迎合からの一方的状況劇に過ぎない内容だ。新左翼運動が日本社会の多くの人々からの支持を失った基点となったあさま山荘事件を何の考察もなしに描いている。これに怒った若松孝二監督が私財を投げ打って2007年に製作した「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」の方が映画として質が高い。製作費は、本作の方が10倍以上は掛かっているが、意味はない。あさま山荘事件の舞台は長野県軽井沢町だが、本作の撮影は新潟県中頸城郡板倉町(現:新潟県上越市板倉区)で行われたそうだ。


本作はパナソニックのHDカメラAJ-HDC27F[DVCPROHD](2001年11月発表)を使用している。撮影コマ数可変機能や、映画フィルム並みの階調再現域(ラチチュード)をビデオで可能にする“シネガンマ”機能を備えた業務用デジタルビデオカメラという能書きだが、センサーサイズが2/3インチであり、レンズマウントがB4という事を考えると、現在のデジタルシネマカメラと比べ大きく劣る。当時は新製品だったにせよ、著名な撮影監督の阪本尚善氏がイメージサークルの小さいAJ-HDC27Fを何故選択されたのか分からない。パナソニックに騙されたのでは?と思った。

※焦点距離50mmレンズを35mmフィルムで標準とすると3/1インチ、3/2インチのセンサーサイズのキャメラでは望遠になり、焦点距離12.5mmは標準向になる。広角はそれ以下なので必ずディストーション(歪み)が出る。まともなレンズの選択肢はないと言ってよい。

センサーvsフィルム


役所広司                       宇崎竜童

【あさま山荘事件】
1972年2月19日から2月28日にかけて長野県北佐久郡軽井沢町にある河合楽器の保養所「浅間山荘」において連合赤軍が人質をとって立てこもった事件である。日本の新左翼組織連合赤軍のメンバー5人が、浅間山荘の管理人の妻(当時31歳)を人質に立て籠り、山荘を包囲した警視庁機動隊及び長野県警察機動隊が人質救出作戦を行うが難航し、死者3名(機動隊員2名、民間人1名)重軽傷者27名(機動隊員26名、報道関係者1名))を出した。10日目の2月28日に部隊が強行突入し、人質を無事救出、犯人5名は全員逮捕された。人質は219時間監禁されており、警察が包囲する中での人質事件としては日本最長記録である。
事件が長期化した要因
・生け捕りの方針であったこと
・警察官が殺人罪で告発される懸念があったこと
・犯人が主張や要求をしなかったこと
・立て籠もり側に有利な地形であったこと
事件後の情勢
・連合赤軍の崩壊
・警察特殊部隊の創設
(ウィキペディア参照)


伊武雅刀                      天海祐希

【ストリー】
1972年2月19日、長野県南軽井沢のあさま山荘に、連合赤軍のメンバー5人が管理人の妻を人質に取り、立てこもった。警察庁長官・後藤田(藤田まこと)の特命により丸山参事官(串田和美)の補佐として現地へ向かった警備局付警務局監察官・佐々淳行(役所広司)は、ヘラクレスの選択=敢えて困難な道を歩かされる自分の運命を呪いながらも陣頭指揮にあたることになる。ところが、現場は弁当も凍る寒さ。しかも、面子に固執する警視庁と長野県警の対立や先の見えない戦況に業を煮やすマスコミ、全国から押し寄せる野次馬、現場を信頼しない警察庁上層部とトラブル山積。当初、2、3日で解決すると思われた事件は、人質の安否も分からぬまま一週間を超えてしまう。そんな中、遂に佐々は強行突入を決意。そして事件発生から10日後の2月28日、作戦は実行され、犯人全員を逮捕、人質も無事救出し、負傷者24名、殉職者2名、民間犠牲者1名を出したあさま山荘事件は終幕した。


機動隊員が食べていたカップヌードルが連日全国に映り、CM効果となって爆発的な売れ行きになった。

題名:突入せよ!「あさま山荘」事件
監督:原田眞人
企画:小玉滋彦、源孝志
製作:佐藤雅夫、谷徳彦、椎名保、熊坂光
原作:佐々淳行
脚本:原田眞人
撮影:阪本尚善
照明:大久保武志
録音:中村淳
音効:柴崎憲治
美術:部谷京子
装飾:湯澤幸夫
衣裳:千代田圭介
スタイリスト:宮本まさ江
記録:牧野千恵子
編集:上野聡一
音楽:村松崇継
アソシエイト・プロデューサー:山田俊輔
ラインプロデューサー:片岡公生、梶野祐司
VFテクニカルコーディネーター:根岸誠
Fレコ・プリント:東映化学
プロデュース:原正人
プロデューサー:鍋島壽夫、濱名一哉、鈴木基之
協力プロデューサー:貝原正行
製作担当:田中敏雄
助監督:城本俊治、村上秀晃
撮影補佐:小林元
スチール:加藤義一
出演: 役所広司、宇崎竜童、天海祐希、伊武雅刀、藤田まこと、遠藤憲一、串田和美、椎名桔平、篠原涼子、高橋和也、豊原功補、松尾スズキ
2002年日本/ビスタサイズ・カラー134分HDビデオ
突入せよ!「あさま山荘」事件-DVD-
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映画「陽はまた昇る」

陽はまた昇る陽はまた昇る
渡辺謙、西田敏行                 西田敏行、真野響子

今回は佐々部清監督2002年製作「陽はまた昇る」をピックアップする。
本作は、家庭用ビデオテープ規格競争の最中、VHSの開発プロジェクトの実話を描いたものだが、日本ビクター、ソニー、松下電器産業(現:パナソニック)など実名会社が出て来る。特に松下電器産の松下幸之助氏のエピソードは興味深い。

陽はまた昇る陽はまた昇る
西田敏行、緒形直人                   渡辺謙

当時ソニーが開発したベータマックス(BETAMAX)と多数が占めるVHSがあったが、家庭用ビデオテープの規格はVHSが主流となり、ベータマックスの規格 は、ベーカム(BETACAM)として3~6倍の速度に上げてハイビジョン(HD)が登場するまで、放送用ENGカメラの主流となった。今は家庭用ビデオテープは姿を消し、DVDまたはBlu-rayが主流となり、日本発の映像規格は無くなった。

※DVDはVHSと同等の画質で133分の録画が可能となる4.7GB(片面一層)の容量が収まる。
※Blu-ray(ブルーレイ)は25GB(片面一層)の容量が収まり、DVDより画質は向上した。

【追記・訃報】
映画「陽はまた昇る」「半落ち」などで知られる、映画監督の佐々部清(ささべ・きよし)さんが、2020年3月31日に、山口県下関市で亡くなったことが分かった。山口県生まれの佐々部さんは、明大文学部演劇科を経て、84年から映画、テレビドラマの助監督を務め、キャリアを積んだ。崔洋一監督、杉田成道監督、降旗康男監督、和泉聖治監督らに師事した。高倉健さん主演の映画「鉄道員」「ホタル」の助監督も務めた。監督デビュー作、2002年「陽は-」で、日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎賞、日本アカデミー賞優秀作品賞に選ばれた。2004年「半落ち」で2度目の石原裕次郎賞に輝き、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した。「シネコンでは中高年が見られる作品が少ない」と、自らプロデューサーを務めて監督した。2007年「八重子のハミング」では、認知症を発症した妻と支える夫を描いた。資金集めから始め、全国各地での上映会を企画し評判は口コミで広がった。8館でスタートした作品は100館以上の規模で公開された。3/31(火)18:01配信 日刊スポーツ

陽はまた昇る陽はまた昇る
西田敏行、仲代達矢、渡辺謙

【ストリー】
1970年代前半、それまで右肩上がりだった日本経済が初めてマイナス成長に陥った。そんな中、家電メーカー業界8位の日本ビクター本社開発部門に勤める開発技師・加賀谷に、事業部長として赤字続きの非採算部門である横浜工場ビデオ事業部への異動と大幅な人員整理の厳命が下る。だが、人材こそ何よりの財産と考える加賀谷は、ひとりの解雇も出さないために極秘のプロジェクト・チームを結成。本社に悟られぬようにしながら、家庭用VTRVHSの開発に着手する。ところが数年後、家電メイカーの雄・ソニーがベータマックスを発表。足踏み状態の続くビデオ事業部は崖っぷちに立たされるが、それでも彼らはVHSに夢と希望を託し開発を続けた。そして、遂にベーターマックスを超える録画が可能な試作機が完成する。しかし、その時既にベータマックスは国内規格として採用されようとしていた。このままでは、自分たちの努力が水泡に帰してしまう。そこで加賀谷は大阪へ向かい、親会社である松下電器相談役・松下幸之助にVHS方式の採用を直訴。果たして、加賀谷の願いは聞き入れられ、その結果、ひとりの解雇者も出さずにVHS方式のプレイヤーの販売にこぎ着けることに成功するのだった。その後、加賀谷は脳梗塞で倒れた妻の世話のために、定年を前に退職を決めた。最後に彼が工場を訪れた時、従業員たちはVHSの人文字で彼を送った。

陽はまた昇る陽はまた昇る
緒形直人、篠原涼子                   夏八木勲

題名:陽はまた昇る
監督:佐々部清
企画:坂上順、西村元男
製作:高岩淡
原作:佐藤正明「映像メディアの世紀」
脚本:佐々部清、西岡琢也
撮影:木村大作
照明:礒野雅宏
録音:高野泰雄
音効:佐々木英世、西村洋一
美術:福澤勝広、新田隆之
装飾:若松孝市
衣裳:山田夏子
記録:石山久美子
編集:大畑英亮
音楽:大島ミチル 挿入歌:「わたしの彼は左きき」麻丘めぐみ
フィルム:イーストマンコダック
現像:東映化学
製作担当:林周治
助監督:瀧本智行
撮影効果:南好哲、渡辺孝
撮影応援:加藤雄大、佐々木原保志、林淳一郎
プロデューサー:厨子稔雄、小松茂明
ラインプロデューサー:菊池淳夫
音楽プロデューサー:北神行雄 、 津島玄一
スチール:阿部昌弘
出演:西田敏行、渡辺謙、緒形直人、真野響子、倍賞美津子、田山涼成、國村隼、津嘉山正種、仲代達矢、中村育二、石田法嗣、石丸謙二郎、石橋蓮司、新克利、樹音、篠原涼子、江守徹、蟹江一平、夏八木勲、加藤満、永倉大輔、井川比佐志、崔哲浩
2002年日本・東映/ビスタサイズ・イーストマンカラー108分35mmフィルム
陽はまた昇る [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

陽はまた昇る陽はまた昇る
倍賞美津子

陽はまた昇る陽はまた昇る
VHS第四次試作機                 撮影:木村大作氏