映画「悪名波止場」

悪名波止場悪名波止場
勝新太郎                      藤原礼子、田宮二郎

今回は森一生監督1963年製作「悪名波止場」をピックアップする。
全15作が製作された勝新太郎さんと 田宮二郎さんのコンビが冴える”悪名シリーズ”の第7作になる。
前作「悪名市場」のラスト・シーンから始まる本作は、広島の瀬戸内海沿岸を舞台に、朝吉と清次は四国からの帰りの船中、清次そっくりな男・三郎(藤田まこと)に出会った。目の前でイカサマ賭博をはじめた三郎に清次は激怒。「かわいそうな妹のためや」と泣いて謝る三郎に、朝吉はつい侠気を出し、物語が展開する。 歌手の青山ミチさん、水原弘さんが出演している。
悪名シリーズは第1作「悪名」と2作「続・悪名」が戦前編、3作「新・悪名」と4作「続・新悪名」からは戦後編になっている。

悪名シリーズ

悪名波止場悪名波止場
滝瑛子                       水原弘、紺野ユカ
悪名波止場悪名波止場
藤田まこと、田宮二郎、勝新太郎          ミス・ワカサ、清川虹子、弓恵子

【ストリー】
おなじみ朝吉(勝新太郎)・清次(田宮二郎)の二人は四国からの帰りの船中で清次と名乗る三郎(藤田まこと)にであった。怒る清次の前で、これも妹のためと謝る三郎に、朝吉は力になってやることにした。三郎に連れていかれた薄汚い小屋には、悦子(滝瑛子)という女と三郎の妹おとし(紺野ユカ)がいた。おとしは麻薬中毒の症状を呈していた。三郎は鬼瓦(吉田義夫)の乾分であるが、朝吉を案内したまま鬼瓦組の金をもってドロンしてしまった。おとしの体からその金を払わせようとする鬼瓦に、朝吉と清次は出迎えのお照(藤原礼子)を金策に大阪へやり、その間人質として鬼瓦の経営する三ツ鯛運輸で働くことになった。鬼瓦たちは、副業として麻薬の密売をやっており、入手先は、おなご舟から手に入れていた。しかし、朝吉、清次たちを知ったおとしが先頭になって、おなご舟の連中は麻薬運びを拒否した。怒つた鬼瓦は、おとしのヒモ、仙太郎(水原弘)を使ってみせしめのためにおとしを殺させた。一部始終をみた悦子はこの仲間から足を洗おうとするが、その機会は仲々なかった。抜けめのない清次は、託児所から渡血少女マリ(ジニー・マリッチ)をおとしの娘として、チャッカリ慰謝料をまきあげてしまった。マリは悦子の実子であったため悦子は半狂乱になって怒った。その半狂乱の状態から、悦子がおとし殺しの実状を知っているらしいと狙らんだ鬼瓦は、マリを罠に悦子を殺害しようとした。九死に一生を得た悦子はすべてを朝吉に告げた。八尾の朝吉として、朝吉の立つ時がついにやってきた。朝吉、清次の後には、おなご舟の連中も立った。呆然とする鬼瓦一味は、正の鉄拳の前に次々とのされていくのだった。

悪名波止場悪名波止場
青山ミチ、田宮二郎                  悪名波止場

題名:悪名波止場
監督:森一生
企画:財前定生
原作:今東光
脚本:依田義賢
撮影:本多省三
照明:伊藤貞一
録音:林土太郎
音効:倉島暢
美術:太田誠一
装置:城修
擬斗:宮内昌平
編集:谷口孝司
現像:東洋現像所
製作主任:大菅実
助監督:大洲斉
音楽:斎藤一郎 挿入歌:青山ミチ「淋しいときには」「ひとりぼっちで思うこと 」
スチール:三浦康寛
出演:勝新太郎、田宮二郎、滝瑛子、水原弘、藤原礼子、藤田まこと、紺野ユカ、弓恵子、青山ミチ、清川虹子、吉田義夫、伊達三郎、毛利郁子、真城千都世、杉狂児、島ひろし、ミス・ワカサ、ジニー・マリッチ
1963年日本・大映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー92分35mmフィルム
悪名波止場 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

悪名波止場悪名波止場
勝新太郎、田宮二郎                ジニー・マリッチ、滝瑛子
悪名波止場

映画「清作の妻」


若尾文子                      田村高廣

今回は増村保造監督1965年製作「清作の妻」をピックアップする。
本作は吉田絃二郎氏の同名小説を新藤兼人監督が脚色したものを映画化したもので、日本が軍国主義に突入した日露戦争当時、貧しい農村の娘が村の模範青年と結ばれるが、戦争に奪われる夫との別離に耐えかねて発作的に夫の両目を刺し潰すという激しくも哀しい純粋な女の姿を描いたものだ。


若尾文子、殿山泰司                若尾文子、田村高廣

【ストリー】
お兼(若尾文子)は病身の父を抱えた一家の生計を支えるため、60を越えた隠居(殿山泰司)に囲われた。今その隠居も千円の財産をお兼に残すと他界した。そしてお兼の父も時を同じくして死んだ。大金を手にした母お牧(清川玉枝)は、かつて逃げるようにして離れた村に喜々として帰った。気のすすまぬまま母に従ったお兼は、ものうい放心した日を送っていた。村一番の模範青年清作(田村高廣)の除隊は、お祭り騒ぎの内に迎えられたが、村八分同様のお兼らには関知せざることであった。清作は軍隊で貯えた金で鐘を作り、村人を堕眠から覚ます警鐘を鳴らし、村人からは英雄視されていた。そんな清作とお兼が愛しあうようになったのは、お牧の急病で、清作が医者のもとへ走ってからであった。お牧の野辺送りも清作の尽力で無事終った。二人の結婚は村人の敵視の中で行われ、清作は家を捨ててお兼の家に入った。お兼の性格は一変し、野良仕事に精を出す毎日は、甘く充ち足りた日々であった。だが日露戦争の勃発は、二人の上にも暗い影を落した。清作は召集され、お兼は孤独と冷やかな周囲の目の中で過した。ある日、清作は名誉の負傷を受けて送還された。英雄となった清作に、お兼は殊更村人から疎外された。だが二人の愛情は、周囲の反撥にもめげず高まっていった。やがて傷が癒えて、戦場に帰る時が来た。村人たちは今度は清作が英雄から神になることを期待し、清作も軍国の模範青年たることを疑わなかった。出発の時間が迫り、お兼と清作が二人になった時、お兼は五寸釘で清作の両眼を刺した。突差の出来事に呆然とする村人の中で、お兼は半狂乱であった。清作が虚飾に満ちた自分の過去を悟り、お兼の愛の深さを知ったのは、日露戦争も終った頃であった。


成田三樹夫                    田村高廣、若尾文子

題名:清作の妻
監督:増村保造
企画:伊藤武郎
製作:永田雅一
原作:吉田絃二郎
脚本:新藤兼人
撮影:秋野友宏
照明:伊藤幸夫
録音:渡辺利一
美術:下河原友雄
編集:中静達治
音楽:山内正
製作主任:上嶋博明
助監督:岡崎明
スチール:椎名勇
出演:若尾文子、田村高廣、紺野ユカ、殿山泰司、小沢昭一、成田三樹夫、清川玉枝
1965年日本・大映/シネスコサイズ・モノクロ93分35mmフィルム
清作の妻 -DVD-
2018年3月現在、DVDレンタルはありません。


小沢昭一、田村高廣                 若尾文子

映画「痴人の愛」

痴人の愛
小沢昭一、大楠道代(安田道代)
痴人の愛痴人の愛
小沢昭一

今回は増村保造監督1967年製作「痴人の愛」をピックアップする。
谷崎潤一郎氏原作の「痴人の愛」は、木村恵吾監督が1949年(出演:京マチ子、宇野重吉)と1960年(出演:叶順子、船越英二)に作られ、本作が3回目の映画化で時代設定を1967年にしている。名優・小沢昭一さんがナオミに溺れた哀しい男を類例のないキャラクターで好演している。当時としては生唾ものだったに違いないナオミを色っぽく演じた大楠道代さんは、翌年、増村監督と組んだ「セックス・チェック 第二の性」へと磨きをかける。

痴人の愛痴人の愛
痴人の愛
痴人の愛痴人の愛

【ストリー】
精油所の技師河合譲治(小沢昭一)は酒も煙草も麻雀もやらず、上役や同僚から無類の竪物と思われているが、実は秘かにナオミ(大楠道代)という女を飼育していた。ナオミはまだ少女の面影を残しているが、譲治は理想の女を作りあげようと奇妙な執念をナオミにそそぎ、そして、ナオミと結婚した。譲治はナオミに教養をつけさせようと、ピアノやイタリア語を習わせたが、ナオミは学生の浜田(田村正和)や熊谷(倉石功)らのボーイフレンドと遊びまわり、勉強はそっちのけだった。そのうえ、ナオミがボーイフレンドの誰彼の見境もなく身を任せているという噂がたった。譲治はナオミを問いつめた。がナオミは巧みにその鉾先をそらし、かえって豊かにみがきあげられたあでやかな肉体を誇示し、譲治はその魅力に屈服するありさまだった。それは、肉欲の前にひざまずく、あさましい人間の姿でもあったが、それだけに譲治はなんとしてもナオミを自分ひとりのものにしたいと思っていたのだった。ある日、彼女の行動になお、不安と疑惑を拭いきれない譲治は、隣家の花村医師(内田朝雄)にナオミの監視を依頼した。その結果、ナオミは浜田とも熊谷とも関係あることがわかった。口論の末ナオミは家を出た。譲治には、うつうつとして愉しまない日が続いたが、譲治はナオミに関する日記と写真を焼き、キッパリとナオミと縁を切ることを決心した。その後、ナオミについて、譲治はとかくのスキャンダルを耳にしたが、もはや心を動かされなかった。ある日、うらぶれたナオミが、衣類を取りに来たことを口実に帰って来た。譲治の決心は、ナオミを目の前にするとまたぐらつきはじめた。惜し気もなく肌をあらわにして着かえるナオミは、最後の別れに襟足を剃って、ついでに腋の下もと譲治に甘えた。いつしか譲治はあえぎはじめ、もう二度と行かないでくれ、お前の言うことはなんでもきく、馬にもなる、と狂おしくナオミに抱きついていくのだった。

痴人の愛痴人の愛
小沢昭一、田村正和                小沢昭一、内田朝雄

題名:痴人の愛
監督:増村保造
企画:久保寺生郎
原作:谷崎潤一郎
脚本:池田一朗
撮影:小林節雄
照明:柴田恒吉
録音:渡辺利一
美術:間野重雄
衣装考証:真木小太郎
編集:中静達治
音楽:山本直純
現像:東京現像所
製作主任:林秀樹
助監督:岡崎明
スチール:大葉博一
出演:大楠道代、小沢昭一、田村正和、倉石功、村瀬幸子、内田朝雄、穂高のり子、紺野ユカ、早川雄三、森矢雄二、渡辺鉄弥
1967年日本・大映東京撮影所/シネスコサイズ・カラー92分35mmフィルム
痴人の愛 -DVD-
2016年8月現在、DVDレンタルはありません。

痴人の愛痴人の愛
痴人の愛
痴人の愛
大楠道代

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