映画「万引き家族」


リリー・フランキー                      安藤サクラ、樹木希林

今回は、2018年6月8日に全国公開(329館)された是枝裕和監督2018年製作「万引き家族」を25日にTOHOシネマズ府中スクリーン1で観て来た。カンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞した事もあり、劇場は混んでいた。
是枝監督作品は「幻の光」しか観た事はないが、本作に限らず国内外で高い評価を得ている事を承知している。
監督の言う「血の繋がりについて、社会について、正義について、10年間考え続けてきた事」全てを込めた本作は、年金不正受給問題、育児放棄、子供への虐待、ギャンブル依存症、雇い止め、労災事故=自己責任 等々、現代日本社会が抱え、見え隠れする問題を凝縮したプロットで構成され、祖母の年金を頼りに、足りないものを万引きで賄っている一家が、実親から虐待を受ける少女を迎え入れた事を契機に、この疑似家族は離散するといった鋭い内容だ。
本作のテーマ、演出、配役、角川大映スタジオにセットを組んだ美術も大変素晴らしいものになっているが「青という色を印象的に組み込んで行きたい」という監督のオーダーが、フィルムで撮影しているにも係わらずデジタルシネマカメラ特有の貧弱なトーンに寄って見えたのが残念だ。私は、映像が死んでいる様に見えた。
作品自体は上質の芝居で救われているが、画はとても「幻の光」には及ばない。
しかしながら是枝監督は「映画がかつて、国益や国策と一体化し、大きな不幸を招いた過去の反省に立つならば、大げさな様ですが、この様な平時においても公権力(保守でもリベラルでも)とは潔く距離を保つというのが正しい振る舞いなのではないかと考えています」と現政権のエセ祝意を拒否した事は、絶対に支持したい。
また本作が文化庁の製作助成金を受けている事から矛盾する等と言う批判は、全く当たらない。
現政権に迎合して助成を貰った訳ではない。加計学園じゃないんだよ!
かつて世界が認めた日本映画、今の惨憺たる日本映画での超希少な文化的価値からであり、私たちの税金が、有効に正当に使われた事に他ならない。


松岡茉優                                                                   城桧吏

【追記・訃報】
女優の樹木希林(きき・きりん、本名・内田啓子=うちだけいこ)さんが、2018年9月15日、午前2時45分、東京都渋谷区の自宅で死去したことがわかった。75歳。東京都出身。樹木さんは、1961年に文学座付属演劇研究所に入り、「悠木千帆」名義で女優活動をスタート。1964年に森繁久彌さん主演のテレビドラマ「七人の孫」にレギュラー出演し、一躍人気を集めた。個性派女優として多くのドラマ、映画、舞台に出演。74年に放送されたドラマ「寺内貫太郎一家」(TBS系)で小林亜星が演じた主役の貫太郎の実母を演じるなど20代から老人の役を演じ、出演するドラマ、映画などでは、その老け役が当たり役となった。
[2018年9月16日 16:49 配信スポニチアネックス]

【ストリー】
再開発が進む東京の下町のなか、ポツンと残された古い住宅街に暮らす一家。日雇い労働者の父・治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)は、生活のために“親子”ならではの連係プレーで万引きに励んでいた。その帰り、団地の廊下で凍えている幼い女の子を見つける。思わず家に連れて帰ってきた治に、妻・信代(安藤サクラ)は腹を立てるが、ゆり(佐々木みゆ)の体が傷だらけなことから境遇を察し、面倒を見ることにする。祖母・初枝(樹木希林)の年金を頼りに暮らす一家は、JK見学店でバイトをしている信代の妹・亜紀(松岡茉)、新しい家族のゆりも加わり、貧しいながらも幸せに暮らしていたが……。


松岡茉優、佐々木みゆ                                      安藤サクラ、佐々木みゆ

題名:万引き家族
監督:是枝裕和
製作:石原隆、依田巽、中江康人
脚本:是枝裕和
撮影:近藤龍人
照明:藤井勇
録音:冨田和彦
音効:岡瀬晶彦
美術:三ツ松けいこ
装飾:松葉明子
衣装:黒澤和子
化粧:酒井夢月
配役:田端利江
編集:是枝裕和
音楽:細野晴臣
プロデューサー:松崎薫、代情明彦、田口聖
アソシエイトプロデューサー:大澤恵、小竹里美
ラインプロデューサー:熊谷悠
製作担当:後藤一郎
助監督:森本晶一
撮影助手:小林拓、大和太、和田笑美加、熊﨑杏奈
撮影機材:ARRICAM ST,ALEXA Mini (三和映材社)
レンズ:Leica Summicron-C
フイルム:イーストマンコダック ( VISION3 500T,5219)
現像:イマジカウェスト  スキャニング:CINE VIVO
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林、城桧吏、佐々木みゆ、池松壮亮、緒形直人、森口瑤子、山田裕貴、片山萌美、高良健吾、池脇千鶴、柄本明
2018年第71回カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞。
第36回ミュンヘン国際映画祭シネマスターズ・コンペティション部門ARRI/OSRAM賞(外国語映画賞)を受賞。
2019年第44回セザール賞外国映画賞を受賞(フランス)

2018年日本・AOI Pro.(葵プロモーション)/ビスタサイズ・カラー120分35mmフィルム
万引き家族 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


リリー・フランキー、安藤サクラ                                   万引き家族

映画「64-ロクヨン-」


64-ロクヨン- (前編) 佐藤浩市             永瀬正敏

今回は瀬々敬久監督2016年製作「64-ロクヨン- 」をピックアップする。
本作は横山秀夫氏の同名ベストセラーを映画化したもので、昭和天皇の崩御により僅か7日間しかなかった昭和64年に発生し、未だ未解決となっている少女誘拐殺人事件の解明に挑む刑事と彼を取り巻く人々の物語だ。公開当時、劇場に足を運ぼうかどうか思案した作品だったが、DVDで前後編を見終わって「とても3,600円(1,800X2)を出して見る映画」ではないと思った。俳優の芝居は総じて良いのだが、テレビドラマ寄りで冗長な物語の展開と長すぎる尺(240分)に閉口する。私はこの脚本で長尺にする意味が分からない。それも前後編で入場料二重取りだ。監督は1986年に獅子プロダクションで助監督からスタートし、僅か3年の経験でピンク映画監督デビューをした瀬々敬久氏で、本作の興行収入は前後編で36.8億円だったそうだ。キャッチコピーに「映画史に残る傑作の誕生。慟哭の結末を見逃すな。」とあるが、私は「ふざけるな!」と言いたい。


64-ロクヨン- (前編) 鶴田真由            夏川結衣、佐藤浩市

64-ロクヨン- (前編) 奥田瑛二              瑛太

【ストリー】
[前編:121分]
7日間で幕を閉じた昭和最後の年、昭和64年。そのわずかな間に少女誘拐殺人事件が発生。それは刑事部で“ロクヨン”と呼ばれ、少女の死亡、未解決のままという県警最大の汚点を残し14年が過ぎ去った……。時効まであと1年と迫る平成14年。当時“ロクヨン”の捜査にあたった刑事・三上義信(佐藤浩市)は、警務部広報室に広報官として異動する。三上は時効が迫ったロクヨン解決のために動き出すが、そこに巨大な壁が立ちはだかる。記者クラブとの確執、キャリア上司との対立、刑事部と警務部の軋轢……。そんななか、ロクヨンをなぞるような新たな誘拐事件が発生する……。
[後編:119分]
昭和最後の年、昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件は刑事部で“ロクヨン”と呼ばれ、被害者が死亡し未解決のままという県警最大の汚点となっている。その事件から14年が過ぎ、時効が近づいていた平成14年、“ロクヨン” の捜査にもあたった敏腕刑事・三上義信(佐藤浩市)は、警務部広報室に広報官として異動する。記者クラブとの確執、キャリア上司との闘い、刑事部と警務部の対立のさなか、ロクヨンをなぞるような新たな誘拐事件が発生する。そして三上の一人娘の行方は……。


佐藤浩市64-ロクヨン- (後編)                緒形直人

題名:64-ロクヨン- (前編・後編)
監督:瀬々敬久
企画:越智貞夫
製作:木村理津、大原真人、渡邉敬介、浅野博貴、伊藤正昭
原作:横山秀夫
脚本:瀬々敬久、久松真一
撮影:斉藤幸一
照明:豊見山明長
録音:高田伸也
音効:北田雅也
美術:磯見俊裕
装飾:柳澤武
衣装:纐纈春樹
結髪:那須野詞
記録:江口由紀子
編集:早野亮
音楽:村松崇継 主題歌:小田和正「風は止んだ」
エグゼクティブプロデューサー:平野隆
ラインプロデューサー:武石宏登
共同プロデューサー:藤井和史
VFXスーパーバイザー:立石勝
製作担当:篠宮隆浩
助監督:海野敦
助成:文化庁文化振興費補助金
出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、緒形直人、窪田正孝、坂口健太郎、筒井道隆、鶴田真由、赤井英和、菅田俊、烏丸せつこ、小澤征悦、金井勇太、芳根京子、菅原大吉、柄本佑、椎名桔平、滝藤賢一、奥田瑛二、仲村トオル、吉岡秀隆、瑛太、永瀬正敏、三浦友和
2016年日本・コブラピクチャーズ/シネスコサイズ・カラー121分(前編)119分(後編)デジタルシネマ
64-ロクヨン- (前編・後編) -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


三浦友和、佐藤浩市                64-ロクヨン- (後編)

映画「陽はまた昇る」

陽はまた昇る陽はまた昇る
渡辺謙、西田敏行                 西田敏行、真野響子

今回は佐々部清監督2002年製作「陽はまた昇る」をピックアップする。
本作は、家庭用ビデオテープ規格競争の最中、VHSの開発プロジェクトの実話を描いたものだが、日本ビクター、ソニー、松下電器産業(現:パナソニック)など実名会社が出て来る。特に松下電器産の松下幸之助氏のエピソードは興味深い。

陽はまた昇る陽はまた昇る
西田敏行、緒形直人                   渡辺謙

当時ソニーが開発したベータマックス(BETAMAX)と多数が占めるVHSがあったが、家庭用ビデオテープの規格はVHSが主流となり、ベータマックスの規格 は、ベーカム(BETACAM)として3~6倍の速度に上げてハイビジョン(HD)が登場するまで、放送用ENGカメラの主流となった。今は家庭用ビデオテープは姿を消し、DVDまたはBlu-rayが主流となり、日本発の映像規格は無くなった。

※DVDはVHSと同等の画質で133分の録画が可能となる4.7GB(片面一層)の容量が収まる。
※Blu-ray(ブルーレイ)は25GB(片面一層)の容量が収まり、DVDより画質は向上した。

陽はまた昇る陽はまた昇る
西田敏行、仲代達矢、渡辺謙

【ストリー】
1970年代前半、それまで右肩上がりだった日本経済が初めてマイナス成長に陥った。そんな中、家電メーカー業界8位の日本ビクター本社開発部門に勤める開発技師・加賀谷に、事業部長として赤字続きの非採算部門である横浜工場ビデオ事業部への異動と大幅な人員整理の厳命が下る。だが、人材こそ何よりの財産と考える加賀谷は、ひとりの解雇も出さないために極秘のプロジェクト・チームを結成。本社に悟られぬようにしながら、家庭用VTRVHSの開発に着手する。ところが数年後、家電メイカーの雄・ソニーがベータマックスを発表。足踏み状態の続くビデオ事業部は崖っぷちに立たされるが、それでも彼らはVHSに夢と希望を託し開発を続けた。そして、遂にベーターマックスを超える録画が可能な試作機が完成する。しかし、その時既にベータマックスは国内規格として採用されようとしていた。このままでは、自分たちの努力が水泡に帰してしまう。そこで加賀谷は大阪へ向かい、親会社である松下電器相談役・松下幸之助にVHS方式の採用を直訴。果たして、加賀谷の願いは聞き入れられ、その結果、ひとりの解雇者も出さずにVHS方式のプレイヤーの販売にこぎ着けることに成功するのだった。その後、加賀谷は脳梗塞で倒れた妻の世話のために、定年を前に退職を決めた。最後に彼が工場を訪れた時、従業員たちはVHSの人文字で彼を送った。

陽はまた昇る陽はまた昇る
緒形直人、篠原涼子                   夏八木勲

題名:陽はまた昇る
監督:佐々部清
企画:坂上順、西村元男
製作:高岩淡
原作:佐藤正明「映像メディアの世紀」
脚本:佐々部清、西岡琢也
撮影:木村大作
照明:礒野雅宏
録音:高野泰雄
音効:佐々木英世、西村洋一
美術:福澤勝広、新田隆之
装飾:若松孝市
衣裳:山田夏子
記録:石山久美子
編集:大畑英亮
音楽:大島ミチル 挿入歌:「わたしの彼は左きき」麻丘めぐみ
フィルム:イーストマンコダック
現像:東映化学
製作担当:林周治
助監督:瀧本智行
撮影効果:南好哲、渡辺孝
撮影応援:加藤雄大、佐々木原保志、林淳一郎
プロデューサー:厨子稔雄、小松茂明
ラインプロデューサー:菊池淳夫
音楽プロデューサー:北神行雄 、 津島玄一
スチール:阿部昌弘
出演:西田敏行、渡辺謙、緒形直人、真野響子、倍賞美津子、田山涼成、國村隼、津嘉山正種、仲代達矢、中村育二、石田法嗣、石丸謙二郎、石橋蓮司、新克利、樹音、篠原涼子、江守徹、蟹江一平、夏八木勲、加藤満、永倉大輔、井川比佐志、崔哲浩
2002年日本・東映/ビスタサイズ・イーストマンカラー108分35mmフィルム
陽はまた昇る [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

陽はまた昇る陽はまた昇る
倍賞美津子

陽はまた昇る陽はまた昇る
VHS第四次試作機                 撮影:木村大作氏

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