映画「婉という女」


岩下志麻                         緒形拳

今回は今井正監督1971年製作「婉という女」をピックアップする。
本作は、封建制度下の土佐藩で40年もの間、幽閉された婉(えん)の実話を記した大原富枝氏の同名小説を映画化したもので、岩下志麻さんが好演している。しかし、狭いスタジオに配置された家屋のセットに感じた圧迫感は、狙いなのか?独立プロダクションでの低予算の為に用意出来なかったのか?分からなかった。


中村賀津雄                       北大路欣也

岸田今日子                       北林谷栄

【ストリー】
土佐藩家老野中兼山が失脚して死ぬと、藩政を握った政敵たちは、当時わずか四歳であった婉たち兼山の遺族を宿毛へ閉じ込めた。外界と完全に接触を断たれた婉は、せまい獄舎をそれ程苦しいとは思わなかったが、娘として成熟するにつれ、獄舎はせまくなり、自由ではなくなってきた。異腹の兄弟とはいえ、せまい一つの世界での男であり女である。「他人に会いたい!」くずれるような婉を学問が支えた。婉が二六歳になった時、奇蹟が訪れた。亡き父兼山を敬慕する青年学者谷秦山が幽居を訪ねてきたのである。獄吏に遮られ対面こそできなかったが、許された年に一、二度のそれも学問上の質疑に限られた秦山との文通は、婉の中の女の生命の炎を烈しく燃やした。そして四〇年ぶりに触れる新しい世界、岩石をくだき、白い飛沫をあげる川の流れ……。互の存在を知りあって実に二〇年ぶりの初対面。別れしな、婉の手をつつむように握った秦山の手のぬくもりは、いつまでも消えることはなかった。だが外界も婉ののぞんだような自由な世界ではなかった。世間の好奇な眼があり、妻子ある秦山と会う事は思うにまかせず、いぜんとして文通でしか心は通じあえなかった。世間という漠としてとらえがたい障害、しかも秦山はその力に抗じがたいものを見、婉から遠ざかろうとしている。秦山に想いを寄せる婉の気持とは逆に、秦山は婉に婚姻をすすめた。やがて思いがけぬ悲運が婉を見舞った。土佐藩の継続問題がもとで、秦山が幽居を命ぜられたのである。婉と秦山の立場が逆転した。「幽居にはじめて訪れたただ一人の人。こんどは私が会わずば気がすまぬ」。婉は駕篭を駆った。途中城代、山内主馬の行列とぶつかった。婉は侍たちをキッと見上げた。「元家老、兼山の娘、婉、邪魔だちは許しませぬぞ!」。婉の体内に政治へのすさまじい抵抗がみなぎっていた。

題名:婉という女
監督:今井正
企画:本田延三郎、高島幸夫、鈴木尚之、今井正
製作:内山義重
原作:大原富枝
脚本:鈴木尚之
撮影:中尾駿一郎
照明:平田光治
録音:安恵重遠
音効:福島幸雄
美術:川島泰三、平川透徹
装飾:荒川大
衣装:上野芳生
美粧:川口裕弘
技髪:川口義弘
考証:林美一
着付:橋本潔
記録:吉田栄子
編集:丹治睦夫
音楽:間宮芳生
製作主任:小山孝和
助監督:長井博
撮影助手:豊田収
照明助手:本橋俊男
美術助手:永沼宗夫
装飾助手:安田彰一
録音助手:中山義広
編集助手:丹治光代
スチール:木庭鴻志
現像:東洋現像所
出演:岩下志麻、中村賀津雄、緒形拳、江原真二郎、河原崎長一郎、北大路欣也、山本学、岸田今日子、加藤嘉、長山藍子、北林谷栄、織本順吉、田代美恵子、佐々木すみ江
1971年日本・ほるぷ映画/シネスコサイズ・カラー123分 35mmフィルム
婉という女 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


婉という女

映画「遊星王子」


遊星王子(梅宮辰夫)                                梅宮辰夫

今回は若林栄二郎監督1959年製作「遊星王子」「遊星王子 恐怖の宇宙船」をピックアップする。
本作は、1958年から1959年に日本テレビ系列で放映された「遊星王子(制作:宣弘社)」の劇場版である。私は「遊星王子」をテレビで見た記憶がないのだが、前シリーズの「月光仮面」は憶えている。1950年代の特撮ものは「プラン9・フロム・アウタースペース」をどうしても思い起こしてしまう。本作と同年に作られた作品だが、”クールなチープさ”が、双方良いのである。俳優陣は理不尽な物語を大真面目で演じている。それがまた良い味になっている。それにしても梅宮辰夫さんが主演とは驚いた。


峰博子                      まぼろし大使(岡譲司)

【ストリー】
銀星から宇宙船でやってきたまぼろし大使(岡譲司)は、テレビを使って日本中に、自分の意図を妨害せぬよう警告した。警官隊や自衛隊の防衛陣は、まぼろし大使が宇宙船から発射する火焔によって、ひとたまりもなく消えてしまった。その時、流星のように飛んできた円盤に乗って現れたのが、日本の平和を愛する遊星王子(梅宮辰夫)だった。日本人の真城博士(明石潮)が発明したロケット燃料を奪おうとするまぼろし大使と、遊星王子の死闘がはじまった。真城博士の息子一郎君(朝見朗)と、その親友で靴みがきのワクさん(梅宮辰夫)に育てられる誠君(小森甲二)と君子ちゃん(都築みどり)の三人は、遊星王子に応援した。王子は一郎君に、もしもの時はボタンを押すように言って小箱をあずけた。ロケット燃料研究を助けている芝崎(成瀬昌彦)という男が、まぼろし大使のロボットにされて妹の幸子さん(峰博子)を悲しませ、そのうえ燃料の秘密書類を盗み出そうとした。またまた大使と遊星王子の死闘がはじまった。だが大使は、博士のロケットに逃げこみ、ロケットは大爆発してしまった。一郎君や誠君の呼び声をあとに、遊星王子の円盤は、平和になった地球を去っていった。

題名:遊星王子
監督:若林栄二郎
企画:園田実彦
原作:伊上勝
脚本:森田新
撮影:飯村雅彦
特撮 : 宝来正三
照明:銀屋謙蔵
録音:広上庄三
美術:中村修一郎
音楽:服部克久 主題歌:大江洋一「遊星王子の歌」
編集:長沢嘉樹
製作主任:西井剛
助監督:佐藤肇
出演:梅宮辰夫、峰博子、神田隆、明石潮、長谷部健、増田順司、岡譲司、山本麟一、織本順吉、都築みどり、朝見朗、小森甲二
1959年日本・東映東京撮影所/シネスコサイズ・モノクロ57分35mmフィルム
遊星王子/第1部 遊星王子篇 [3巻セット] [DVD]
2018年6月現在、DVDレンタルはありません。


遊星王子 恐怖の宇宙船

遊星王子(梅宮辰夫)                         まぼろし大使(岡譲司)


ノースアメリカン F-86F セイバー(実機)     都築みどり、梅宮辰夫、小森甲二

【ストリー】
真城博士(明石潮)をはじめとする地球の一流科学者たちを銀星の奇巖城にさらったまぼろし大使(岡譲司)は、彼等を通じて地球に降服を要求してきた。だが地球には、平和と正義を愛する遊星王子(梅宮辰夫)がいた。王子は、いつもはワクさんという靴みがきの姿をして普通の日本人として生活していた。そしてワクさんの姿でいる時には、威力を発揮できないのだった。それを知ったまぼろし大使はワクさんを追った。必死に逃れた彼は、遊星王子に姿をかえて円盤に乗り、ラケット号で逃げようとする大使を追跡した。星雲の間をぬって奇巖城に逃れたまぼろし大使は、巨人(山本麟一)を王子にたち向わせた。巨人を倒し、なおも迫る王子や科学者たちを、大使は鋼鉄室にとじこめた。王子は奇巖城の動力源を射光銃でこわして科学者たちをつれ、ブラケット号で脱出した。奇巖城は一瞬にしてふき飛んでしまった。王子と科学者たちは無事に地球にかえりつくことができた。一郎君(朝見朗)、誠君(小森甲二)、君子ちゃん(都築みどり)たちが一行を迎えた。行方不明になっていたワクさんも、ひょっこりみんなの前に現れるのだった。

題名:遊星王子 恐怖の宇宙船
監督 : 若林栄二郎
企画 : 岡田実彦
脚本 : 森田新
原作 : 伊上勝
撮影 : 飯村雅彦

特撮 : 宝来正三
照明 : 銀屋謙蔵
録音 : 広上庄三
美術 : 中村修一郎
音楽 : 服部克久 主題歌:大江洋一「遊星王子の歌」
編集 : 長沢嘉樹
製作主任:西井剛
助監督 : 佐藤肇
出演:梅宮辰夫、峰博子、神田隆、明石潮、長谷部健、増田順司、岡譲司、織本順吉、山本麟一、都築みどり、朝見朗、小森甲二
1959年日本・東映東京撮影所シネスコサイズ・モノクロ64分35mmフィルム
遊星王子/第1部 遊星王子篇 [3巻セット] [DVD]
2018年6月現在、DVDレンタルはありません。


山本麟一                                                   遊星王子 恐怖の宇宙船

映画「五番町夕霧楼」



松坂慶子                                              奥田瑛二

今回は山根成之監督1980年製作「五番町夕霧楼」をピックアップする。
本作は、家族を養うために丹後からきた少女とその幼馴染である学生僧との悲恋を描いている。舞台は、1958年の売春防止法施行まで存在していた京都の五番町遊廓だ。ベタな展開の物語で、少々退屈するが、俳優陣の上質な芝居で成立している作品である。金閣寺炎上というキーワードで言うならば、市川崑監督が1958年に製作した「炎上」の方が印象に残る。


浜木綿子                         長門裕之

佐分利信                        奈良岡朋子

【ストリー】
与謝半島の突端にある樽泊で木樵をしている片桐三左衛門(佐野浅夫)の長女、夕子(松坂慶子)は肺病の母と三人の妹をかかえ、家族のために京都西陣の五番町夕霧楼で働くことになった。一年の歳月が流れ、西陣帯の織元・甚造(長門裕之)との水揚げも済み、夕子は五番町で一、二を争う売れっ妓になっていた。ある日、夕霧楼に夕子の幼友達で、京都で修業を積む青年僧正順(奥田瑛二)がやってきた。その日以来二人の逢瀬は続く。貧乏修業僧の正順にかわって、夕子が費用を払っていた。正順は夕子を訪ねると、歌を唄い、話をして、彼女に指一本触れずに帰っていく。しかし、その逢瀬にも終りがやってきた。夕子を妾にしようとしていた甚造が、正順が修業している鳳閣寺の慈州(佐分利信)に廓通い告げたのだ。夕子はその頃から体の不調を訴え、肺病を患い入院してしまう。一方、さい銭をもって豪遊する寺の長老たちの姿を見て、立派な僧になることを念じ続けてきた正順は失望していた。そして、慈州とぶつかり、寺を飛び出した。夕霧楼で、夕子の入院を聞いて正順は病院へ急いだ。寺以外に生きる場所のない正順の思いつめた姿に、夕子はただならぬものを感じた。正順は「復讐してやる!」と言うと夕子を抱いた。怒りと悲しみをぶつけるかのように夕子を抱く。正順に応えるかのように夕子もがむしゃらにしがみつく。激しく切なく燃える最初で最後の愛。鳳閣寺が炎上したのはその晩であった。怒りに震える手で寺に火をつけた正順は、仏像に体をくくりつけ夕子の名を叫びながら焼死していった。新聞で事件を知った夕子は、与謝へ帰り、正順を追って自ら生命を絶つのだった……


風吹ジュン                    根岸季衣、松坂慶子

佐野浅夫                         横内正

題名:五番町夕霧楼
監督:山根成之
製作:樋口清
原作:水上勉
脚本:中島丈博
撮影:坂本典隆
照明:八亀実
録音:平松時夫
調音:小尾幸魚
美術:横山豊
装置:森勇
装飾:剣持政司
衣裳:松竹衣装
考証:小泉清子(衣裳)
編集:石井巌
音楽:岸田智史、田辺信一 主題歌:岸田智史「五番町夕霧楼」
現像:東京現像所
製作補佐:中川完治
製作主任:峰順一
製作進行:中沢宣明、水島誉志次
助監督:長尾啓司
スチール:長谷川宗平
出演:松坂慶子、奥田瑛二、浜木綿子、長門裕之、奈良岡朋子、加藤嘉、佐分利信、佐野浅夫、横内正、風吹ジュン、根岸季衣、水島美奈子、宇佐美恵子、中島葵、中原早苗、織本順吉、山谷初男、林ゆたか、清水石あけみ、佐々木梨里、佐久田修
1980年日本・松竹/ビスタサイズ・カラー129分35mmフィルム
五番町夕霧楼 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


五番町夕霧楼

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