映画「愛のコリーダ」

愛のコリーダ愛のコリーダ
松田英子                         藤竜也

今回は大島渚監督1976年製作「愛のコリーダ(L’EMPIRE DES SENS)」をピックアップする。
題名の「コリーダ」はスペイン語で闘牛を意味する本作は、1936年(昭和11年)に起きた“阿部定事件”を題材に大島渚監督が、撮影を京都で行ない、フランスで現像・編集を行った作品である。劇場公開時に性描写などに多くの修正と一部のシーンにカットが施されたが、2000年のリバイバル時に修正を減らたノーカット版「愛のコリーダ2000」として公開された。私は1976年10月に劇場公開されてから数年後にグアムロケに行った際、ノーカット版を現地映画館で観た記憶がある。
主演の松田英子さんは、1968年から寺山修司氏主宰の劇団「天井桟敷」に市川魔胡として活躍し、1970年に「野良猫ロック マシン・アニマル」で映画デビュー、東映京都作品のほか、ATG作品「聖母観音大菩薩」や、日活ロマンポルノ、東映大泉などの数本の映画に出演。1982年のフランス映画「Cinq et la peau」への出演を最後に引退し、2011年に病死している(合掌)。

愛のコリーダ愛のコリーダ
愛のコリーダ(L’EMPIRE DES SENS)

【ストリー】
昭和11年2月1日、東京は中野の料亭「吉田屋」に、30過ぎの女が、女中として住み込んだ。名は阿部定(松田英子)と言ったが、店では、加代と名付けられた。定は神田で繁昌している畳屋の末娘だったが、15歳の時に大学生に犯されて以来、不良となり、18歳で芸者に出され、以後娼妓、私娼、妾などの生活を転々としてきたのだった。しかし、最近彼女のパトロンになった名古屋の商業高校の校長(九重京司)は、定が浮草のような生活を止めて、真面目になるなら小料理屋を出してくれることになり、修業のために定は女中奉公に出たのだった。だが、定は吉田屋の主人吉蔵(藤竜也)に一目惚れしてしまった。吉蔵も、水商売の歳月を重ねてきた定の小粋な姿に惹きつけられた。二人は夜更けの応接間や、早朝の離れ座敷などで密会を重ねていくうちに、ついに吉蔵の妻(中島葵)に知れてしまった。そして、その翌日、二人は駆け落ちした。最初は一日か二日のつもりで家を出て来た吉蔵も、いつしか定の情熱に引きずられていった。やがて金のなくなった定は、吉蔵に自分の赤い長襦袢を着せて部屋に閉じ込め、自分は名古屋のパトロンのもとへ金策に行った。その離れている時間の切なさ。再会した二人は、さらに待合を転々として愛欲の世界に浸り込んでいくのだった。二人が駈け落ちしてから二週間経った。吉蔵は「二人が末長く楽しむために」どうしても一度家へ戻って処理しなければならないことがある、と言った。定はいやいや承知した。互いに想いを慕らせた二人が再会したのは5日目の5月11日だった。二人は待合の一室に篭ったまま果てしない愛欲の生活にのめり込んでいった。定は戯れに「今度、別れようとしたら殺してやる!」と叫んで出刃包丁をふりかざすのだった。5月16日夜、戯れに吉蔵の首を締めていた定の手に力が入りすぎ、吉蔵の顔は赤く腫れあがってしまった。定は懸命に介抱するが直らず、吉歳は一旦、家へ帰って養生する結論を出した。しかし、定は前に別れていた時の切なさを思い出し、吉蔵を自分一人のものにするため、吉蔵を殺す決意をした。定は疲れ果ててまどろむ吉蔵の首に腰紐を巻きつけ、力を込めた。しばし死んだ吉蔵に添寝していた定は、吉蔵への愛絶ちがたく、その陰部を出刃包丁で切り取り、肌身につけるのだった。

愛のコリーダ愛のコリーダ
愛のコリーダ(L’EMPIRE DES SENS)

題名:愛のコリーダ
仏題:L’EMPIRE DES SENS
監督:大島渚
製作総指揮:アナトール・ドーマン
製作:若松孝二
脚本:大島渚
撮影:伊東英男
照明:岡本健一
録音:安田哲男
美術:戸田重昌
装置:下石坂成典
装飾:荒川大
衣裳:加藤昌廣
美粧:竹村幸二
結髪:大沢菊江
編集:浦岡敬一
音楽:三木稔
音楽演奏:日本音楽集団
フィルム:イーストマンコダック
現像:L.T.C(フランス)
助監督:崔洋一
合作調整:フランス映画社
スチール:小山田幸生
出演:松田英子、藤竜也、中島葵、芹明香、阿部マリ子、松井康子、殿山泰司、小山明子、白石奈緒美、松廼家喜久平、富山加津江、九重京司
1976年日本・フランス(アルゴス・フィルム=オセアニック=大島渚プロ)/ビスタサイズ・カラー104分35mmフィルム
愛のコリーダ -DVD-
2018年8月現在、DVDレンタルはありません。

愛のコリーダ愛のコリーダ
愛のコリーダ(L’EMPIRE DES SENS)

映画「われに撃つ用意あり」


原田芳雄                        桃井かおり

今回は若松孝二監督1990年製作「われに撃つ用意あり(READY TO SHOOT)」をピックアップする。
本作は、全共闘で戦った主人公が、ヤクザから逃げる不法入国のベトナム女性を助ける事によって、全共闘世代の仲間達のその後が炙り出される。本作の一面で、あの時代の総括として訴求したと思うのは深読みなのか?初見の方は、60年代後半~70年代の若松孝二監督作品を観てから本作を観るべきである。

作品リスト


ルー・シュウリン                    蟹江敬三

【ストリー】
新宿・歌舞伎町。スナック“カシュカシュ”のマスター郷田克彦(原田芳雄)の前に、ヤクザに追われている女が現れる。女の名はヤン・メイラン(ルー・シュウリン)、ベトナム人である。その頃、外では桜道会系戸井田組々長が銃殺される事件が発生し、新宿署のマル暴刑事・軍司(蟹江敬三)が捜査を開始していた。殺人現場にはVHS-Cビデオのアダプターが残されていたが中身のテープはなかった。一方“カシュカシュ”では20年間続いたこの店の閉店パーティが行なわれており、克彦のかつての全共闘の同志である季律子(桃井かおり)、秋川(石橋蓮司)、三宅ら(小倉一郎)が集っていた。中にはメイランの姿も見え、実は彼女がベトナム難民であり、偽造パスポートを持つ密入国者であることが判明する。逃走のためのパスポートを取りに店を出たメイランは、戸井田組に追われるが克彦はそんな彼女を救出するのだった。一方、事件を追う軍司は、戸井田組がタイの女にパスポートをネタに売春させ、その女に組長が殺されたらしいことと、女がビデオテープを持っていることをつきとめた。時を同じくして香港ヤクザが戸井田組々員を殺害する事件が起り、そこで軍司はビデオテープを発見する。それは桜道会桜田のフィリピン女の殺人シーンだった。メイランは克彦と仲間に戸井田に脅され、犯されそうになった時、銃が暴発して戸井田を殺してしまったことを打ち明ける。そして対策を練っていた時、秋川が香港ヤクザに殺されてしまい、メイランもさらわれてしまう。克彦は一人でメイランを救出することを決意する。そんな克彦と行動を共にする季律子。リボルバーを手に香港ヤクザのいるフィリピンパブへ向う二人は、ヤクザと警察を向こうに激しい銃撃戦の末、メイランを無事逃がす。そして、負傷した二人は互いを支え合いながら薄れかける意識の中で笑い合うのだった。


麿赤児

題名:われに撃つ用意あり
英題:READY TO SHOOT
監督:若松孝二
企画・製作:若松孝二
製作:清水一夫
原作:佐々木譲「真夜中の遠い彼方」
脚本:丸内敏治
撮影:伊東英男、田中一成、佐久間栄一
照明:安河内央之
録音:栗林豊彦
美粧:大石聖子
編集:鈴木歓、遠山千秋
音楽:梅津和時 主題歌:原田芳雄「新宿心中」「魂の1/2」
フィルム:イーストマンコダック
撮影機材:ナック (Arriflex)
現像:東映化学 タイミング:新井喜久也
助監督:田代廣孝
製作協力:花田企画
モデルガン:BIG SHOT
スチール:佐々木美智子
出演:原田芳雄、桃井かおり、ルー・シュウリン、蟹江敬三、石橋蓮司、松田ケイジ、室田日出男、吉澤健、山口美也子、小倉一郎、西岡徳馬、佐野史郎、山谷初男、麿赤児、外波山文明、下元史朗、又野誠治
1990年日本・若松プロダクションシ+松竹/ビスタサイズ・カラー106分35mmフィルム
われに撃つ用意あり -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


石橋蓮司                                            松田ケイジ、桃井かおり、原田芳雄、ルー・シュウリン

われに撃つ用意あり」原田芳雄、桃井かおり 新宿歌舞伎町コマ劇場前(現在はありません)

映画「水のないプール」


「水のないプール」内田裕也 ※上の画はクリックすると別画面で拡大されます。

「水のないプール」中村れい子

内田裕也                       中村れい子

今回は若松孝二監督1981年製作「水のないプール」をピックアップする。
本作は「餌食(1979年)」に続いて東映系列館で公開されたものだが、内容はクロロホルムを部屋にまき散らし女性を眠らせた後、侵入して性的暴行を働く男が主人公の物語である。これは1980年に宮城県仙台市で実際に発生して世間を震撼させた事件に着想を得ているそうだ。主人公の男(内田裕也)は地下鉄の駅員の設定なので、東京メトロ東西線5000系(2007年3月引退)が登場したり、硬券に鋏を入れたりする貴重なシーンもある。

【追記・訃報】
ロック歌手で映画俳優としても活躍した内田裕也(うちだ・ゆうや、本名内田雄也)さんが2019年3月17日午前5時33分、肺炎のため東京都内の病院で死去した。79歳。兵庫県西宮市出身。2017年11月に脱水症状で倒れてから車椅子生活を余儀なくされていた。2018年9月15日に妻で女優の樹木希林さん(享年75)に先立たれ、喪失感が消えない中での死となった。都知事選出馬など常に話題を提供し続けたロック界のカリスマだった。
2019/3/19 08:05 スポニチアネックス配信

東京メトロ東京メトロ
営団地下鉄5000系
5000系は1964年から1981年に428両が製造されました。営団地下鉄初の20m級車両で、2007年3月17日までは東西線で現役でした。その後アルミ試作車3両固定編成でワンマン化され、千代田線北綾瀬支線(綾瀬~北綾瀬駅間)で2014年3月末まで運用されました。(東京の電車より)

本作は特別出演・友情出演が凄い。沢田研二さん、安岡力也さん、イラストレーターの黒田征太郎さん、漫画家の赤塚不二夫さん、タモリさん、原田芳雄さん、常田富士男さんといった貴重な面々が参加している。


MIE                       内田裕也、藤田弓子

【ストリー】
主人公の男(内田裕也)は地下鉄の駅員。家に帰れば口やかましい女房(藤田弓子)、仕事は毎日喧噪の中で無気力になっていて何かを変えようとしながらうまく行かない。勤め帰りに酒場に立ち寄り、酔っ払いとやくざの小ぜりあいにまき込まれて右手を怪我し、駅前の噴水で血を流っているとき不思議な少女みくが近寄って来た。みく(浅岡朱美)は男を水のないプールへ連れて来て裸になる。そのみくを置きざりにして、男はその足で数日前に暴漢から助けたじゅん(MIE)の部屋へ忍び込もうとするが気付かれ、戸締りをするように注意して出てゆく。夏休みのある日、男は息子の昆虫採集で使う注射器を見ていて、女を昆虫のように薬で眠らせることを思いつく。男はわざわざ遠くの薬局から大量のクロロホルムを手に入れ、侵入に必要な道具を買い揃えた。男はまず、じゅんのアパートで実験してみる。窓の隙間から注射器でクロロホルムを注入し、じゅんを眠らせた。この成功に味をしめて、かねてから目をつけていたフルーツパーラの店員ねりか(中村れい子)の部屋へ自分は昏倒しないように防塵マスクで身を堅めてねりかを犯す。犯した後で男は朝食の用意や洗濯までしてねりかの部屋を出た。男はポラロイドカメラを買い、犯した女を撮っていた。その写真を同僚に見られ、それをきっかけにして地下鉄をやめた。狂気のおもむくままに侵入と暴行をくり返し、男は生き生きとしていた。ねりかはうす気味悪い思いをしていたが男を待つようになる。ふと不安になり友だちに一緒に泊ってほしいと誘う。三人が寝ているねりかの部屋へ男はやはりクロロホルムを注入して侵入して来たが、そこにあったシャボン玉を吹こうとマスクをはずし、クロロホルムを吸って昏倒してしまう。目覚めた一人が男に気付いて警察へとどける。男の夢は終わったかに見えた。しかしねりかは告訴を取り下げ、男は再び水のないプールに立った。みくの吹くシャボン玉はふわふわと上っていった。


浅岡朱美                    中村れい子、内田裕也

沢田研二、安岡力也                  黒田征太郎

原田芳雄                       常田富士男

タモリ                       赤塚不二夫


「水のないプール」中村れい子

題名:水のないプール
英題:A POOL WITHOUT WATER
監督:若松孝二
製作:若松孝二、浅岡弘行、清水一夫
脚本:内田栄一
撮影:袴一喜
照明:磯貝一
録音:杉崎喬
美術:細石照美
美粧:小沼みどり
衣装:第一衣装
小道具:部谷京子
効果:秋山実
編集:中島照雄
音楽:大野克夫
撮影機材:KPNews
現像:東映化学
製作主任:磯村一路
監督助手:成田裕介、福岡芳穂、東山通
撮影助手:田中一成、西川哲
周明助手:石垣圭三郎、木下省三、石川整
スチール:五海祐治、中島俊雄
出演:内田裕也、中村れい子、MIE、藤田弓子、浅岡朱美、紗貴めぐみ、殿山泰司、安岡力也、常田富士男、赤塚不二夫、黒田征太郎、タモリ、沢田研二、原田芳雄
1981年日本・東映セントラルフィルム/ビスタサイズ・カラー103分35mmフィルム
水のないプール -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


「水のないプール」内田裕也

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