映画「狂った野獣」


渡瀬恒彦                              星野じゅん

今回は中島貞夫監督1976年製作「狂った野獣」をピックアップする。
本作の制作予算は2,000万円で、撮影用に購入した車がバス1台とパトカー8台。主演の渡瀬恒彦さんは、撮影の為に大型免許を取得し、バスの転倒シーンは自ら買って出てスタントマンは使わなかったそうだ。東映カーアクション路線は、本作と「暴走パニック 大激突」の2作だけで、共に興行は振るわずその後は続かなかった。

※バスが50万円で足回りのメンテナンスに100万円。
※パトカーは車検切れギリギリで10万円以下。
※俳優のギャラは100万円以上は渡瀬さんだけで、他の役者は極端に安かった。
(ウィキペディア参照)


川谷拓三                          片桐竜次、川谷拓三

【ストリー】
テストドライバーの速水(渡瀬恒彦)は、テスト中に事故を起こし会社をクビになってしまう。数日後、速水は友人の女性ドライバーの岩崎美代子(星野じゅん)を誘い、大阪の宝石店を襲い数千万円相当の宝石強奪に成功、警察の追手をくらますために別々に逃亡した。速水は宝石を持って府営バスに乗り込み、逃走は完全に成功したかのように思われた……。ところが、そのバスに、銀行強盗に失敗して警察に追われている谷村(川谷拓三)と桐野(片桐竜次)が乗り込み、バスを占拠してしまったのだ。愕然とする速水、バスの運転手で心筋梗塞を患う官本(白川浩二郎)、そして乗客たち--駆け出し女優の立花かおる、主婦の戸田政江(荒木雅子)、ホステスの小林ハルミ(中川三穂子)、大工の西勲(松本泰郎)、小学校教師の松原啓一(野口貴史)、その松原の教え子で彼と浮気を続ける河原文子(三浦徳子)、チンドン屋の極楽一郎(志賀勝)、良子(丸平峰子)、達たち、無職の老人・半田市次郎(野村鬼笑)、塾に通う小学生の加藤(細井伸悟)と田中(秋山克臣)、総勢13名である。谷村、桐野は乗客を人質にしたため、恐怖を感じた乗客たちは徐々にエゴをむき出し、車内のパニック状態はエスカレートしていく。やがて、速水は隙を見て脱出を試みるが、逆に宝石泥棒であることを見破られてしまう。警察は各国道沿に非常線を張るが、バスは次々と非常線を突破し、その後をパトカー、白バイが追った。一方、速水の乗ったバスがバスジャックされたと知った美代子も、オートバイでバスを追走した。やがてバスの運転手の宮本は持病の心筋梗塞で倒れたため、速水が運転することになったが、緊張のために眼は徐々にかすんでいった……。


挿入歌:三上寛「小便だらけの湖」

題名:狂った野獣
監督:中島貞夫
企画:奈村協、上阪久和
脚本:中島貞夫、大原清秀、関本郁夫
撮影:塚越堅二
照明:北口光三郎
美術:森田和雄
録音:溝口義正
装置:吉岡茂一
装飾:白石義明
美粧:枦川芳昭
結髪:中村美千代
衣装:高安彦司
擬斗:土井淳之祐
記録:森村幸子
編集:神田忠男
音楽:広瀬健次郎 挿入歌:三上寛「小便だらけの湖」
製作主任:長岡功
助監督:藤原敏之
演技事務:上田義一
スチール:木村武司
出演:渡瀬恒彦、星野じゅん、川谷拓三、片桐竜次、室田日出男、志賀勝、橘麻紀、中川三穂子、三浦徳子、荒木雅子、白川浩二郎、松本泰郎、野口貴史、丸平峰子、野村鬼笑、秋山克臣、細井伸悟、三上寛、笑福亭鶴瓶
1976年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー78分35mmフィルム
狂った野獣 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


渡瀬恒彦、川谷拓三                      狂った野獣


狂った野獣

映画「尼寺マル秘物語」


「尼寺マル秘物語」藤純子

藤純子                       三田佳子、藤純子

今回は中島貞夫監督1968年製作「尼寺マル秘物語」をピックアップする。
本作は「大奥(秘)物語」「続・大奥(秘)物語」に続く第三弾である。「昭和10年頃の京都を舞台にベールに包まれた尼僧たちの夜と昼を、エロチシズムたっぷりに描いた」と言うが、全く描けていない。出演者が豪華であるだけだ。ヌードシーンがないエロチシズムを描いた秀作は、1964年に増村保造監督が製作した「卍(まんじ)」であると思う。


大原麗子                      若山富三郎

【ストリー】
琳光寺には門跡尼の万里小路秀英(三田佳子)をはじめ、恵照尼(荒木雅子)、浄真尼(藤純子)、法順尼(悠木千帆)、そして下女はな(大原麗子)の5人が住んでいた。ある日、秀英は本寺の宗務総長覚全(若山富三郎)に、白蟻に喰い荒された本堂の修理を頼んだ。しかし、覚全はその費用に不満で引受けようとしなかった。秀英はこの一件を、執事として手腕のある浄真尼に任せることにした。浄真尼は本寺と交渉を始めたが、それにつけ込んだ覚全に無理やり手ごめにされてしまった。初めて男を知った浄真尼は、それ以来、本能を抑えようと苦悩しつづけるのだった。そんな時、琳光寺にキク(津川雅彦)という若い男が寺男としてやってきた。彼に心を燃やしたはなは自ら進んでキクの前に身体を投げ出した。はなは、本能を抑えようとする戒律に縛られてはいなかったからだ。浄真尼はそんなはなの態度を羨ましく思い、また、はなが愛しているキクにも好意を感じた。だが、浄真尼はその後も度々、覚全に身体を奪われていたのだ。慣例の儀式の費用、そして、本堂修理の費用は、寺院後援者の寄付に頼らざるを得なくなり、その橋渡しを顔のきく覚全に頼むより仕方なかったのである。覚全はそんな自分の立場を、最大限に利用する男だった。ところが、キクと浄真尼が親しいのを誤解したはなが、多額の寄付をしてくれた長尾の家宝を壊し、責任を浄真尼にかぶせた。はなの企みはすぐにバレたが、浄真尼はこれを機会にこの寺を去る決心を固めた。浄真尼は、覚全が自分の肉体だけを目的に利用していたことや、役職を利用して使い込んでいた多額の金の埋め合せに、琳光寺の宝物を盗ませようとしたことから、激しい憎しみを抱いていた。そして覚全を殺して寺を去ろうと決心したのだった。だが、それを察したキクが、一足先に覚全を殺していた。浄真尼は寺を去って行ったが、彼女の腹には、覚全の子が宿されていた。


津川雅彦                  ミヤコ蝶々、桑原幸子、曽我廼家明蝶

「尼寺マル秘物語」藤純子

「尼寺マル秘物語」大原麗子

題名:尼寺マル秘物語
監督:中島貞夫
企画:岡田茂、翁長孝雄、三村敬三
脚本:西澤裕子
撮影:赤塚滋
照明:和多田弘
録音:荒川輝彦
美術:鈴木孝俊
装置:上田正直
装飾:松原邦四郎
美粧:佐々木義一
結髪:橋本明子
衣装:豊中健
考証:伊藤清子
記録:矢部はつ子
編集:神田忠男
音楽:鏑木創
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
製作主任:福井良春
助監督:牧口雄二
スチール:諸角義雄
出演:藤純子(富司純子)、津川雅彦、大原麗子、三田佳子、若山富三郎、悠木千帆(樹木希林)、荒木雅子、丹阿弥谷津子、沢村貞子、桑原幸子、曽我廼家明蝶、ミヤコ蝶々、芦屋雁之助
1968年日本・東映京都撮影所/シネスコサイズ・カラー89分35mmフィルム
尼寺マル秘物語 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


沢村貞子、丹阿弥谷津子             若山富三郎、芦屋雁之助

「尼寺マル秘物語」三田佳子

映画「哥(うた)」

哥(うた)哥(うた)
岸田森                      篠田三郎

今回は実相寺昭雄監督1972年製作「哥(うた)」高評価作品sをピックアップした。
本作は実相寺監督の「無常」「曼陀羅」に続き観念的テーマに挑んだ長編第3作だ。
撮影はコダイ・グループを主宰される中堀正夫氏、前作に続き極めて高度に作られた撮影設計に圧倒される。特にライティングが素晴らしい。

作品リスト

哥(うた)哥(うた)
八並映子                  桜井浩子

【追記・訃報】
2017年1月14日に女優の八並映子さんが亡くなられた。享年68歳だった。
帯盛迪彦監督1970年「高校生ブルース」湯浅憲明監督1971年「成熟」伊藤俊也監督1972年「女囚さそり 第41雑居房」実相寺昭雄監督1972年「(うた)」など当ブログでも紹介させて戴いた。ご冥福をお祈りいたします。

【ストリー】
丹波篠山の山あいに豪荘な邸宅を構える森山家は、時価百億といわれる山林を所有するこの地方きっての旧家である。当主伊兵衛は七十歳を過ぎ妻ヒサノと此家 に古くから使えている召使浜とひっそりと暮していた。伊兵衛には三人の息子がいる。長男康は、本家を離れて独立、法律事務所を開業している。妻夏子は二十 七歳。結婚後数年になるが、康の無力のため毎夜欲求不満に落ちいっていた。次男徹は、かつて将来を嘱望された新進の画家であったが、挫折、出奔、以来消息 を絶ってしまった。三男淳は、実は伊兵衛と浜の子供であるが、この秘密は守られ伊兵衛夫婦、浜そして淳自身しか知らない。淳は、浜から森山家を守るよう言 われており、康の家に書生見習として住み込み、忠実に働いていた。康の家には他に、司法官試験に合格することを夢みる青年和田と肉感的な女中藤野が同居し ている。二人は、日夜、主人の目を盗んで愛欲におぼれていた。ある夜、夏子はいつものように夜廻りをしている淳の懐中電灯に照し出された、和田と藤野の情 交の現場を目撃してしまった。
昂奮におののく夏子は、熱く燃えさかる肉体を淳に投げかけ抱いてくれなければ他に男をつくると哀願する。森山家の恥になることはさせられぬと、淳は夏子の愛撫に静かに目をとじるのだった。
秘めやかに夏子と淳の情事は続いていった。しかし、やがて康の知るところとなり、康は夏子をなじり、京都に転居することにする。その頃、突如、消息を断っ ていた徹が現れた。森山家はわれわれの代で滅びる、生きている間に財産を使ってしまうというのだった。秋、もの狂おしい秋である--康夫婦は京都に転居 し、徹は淳を下僕に、日夜放埓な生活をつづけていた。しかし淳の忠実さが、目ざわりになった徹は、淳に食事をするな、と命令する。日毎に幽鬼のようになる 淳。年も新まった冬の夜--。
衰弱した淳を前に、財産分配で対決する三人。山を売るのは止めて欲しいと哀願する淳に、「売られてバラバラになってゆくのは、うちの山林だけではない、日本中がそうなのだ」と鋭く反発する徹。
「森山家の土地こそ日本の最後の砦でなければならないのです」と云う淳。徹は、森山家の守護神は、守護神らしく亡びてゆけと、衰弱した淳を家より引きずり出しへ森山家の墓にたたきつける。
淳はもう動かない。康、夏子、徹の三人の乗る車が山道を走る。突然、淳が岩かげから現われ、両手をかざして車に突進した。車は、谷底に墜落し炎上する。翌 朝、森山家の表。淳が朝日の中に息絶えているのが発見された。しかし目は見開いたまま、森山家の門にそそがれているのだった。

哥(うた)哥(うた)哥(うた)哥(うた)
哥(うた)哥(うた)哥(うた)哥(うた)

題名:哥(うた)
監督:実相寺昭雄
企画:葛井欣士郎
脚本:石堂淑朗
製作:東條あきら
撮影:中堀正夫、猪瀬雅久
照明:木村辰五郎
美術:鳥居塚誠一
録音:奥山秀夫、広瀬浩一
編集:浦岡敬一
助監督:篠原勇、原夏郎、下村善二
スチール:小山田幸生
音楽:冬木透
出演:篠田三郎、岸田森、八並映子、田村亮、桜井浩子、嵐寛寿郎、荒木雅子、内田良平
1972年日本・ATG/シネスコサイズ・モノクロ119分35mmフィルム
哥(うた) [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。