映画「必殺仕掛人 春雪仕掛」


緒形拳                          岩下志麻

今回は貞永方久監督1974年製作「必殺仕掛人 春雪仕掛」をピックアップする。
本作は、仇役に岩下志麻さんを迎えて制作され、劇場版第3作にしてシリーズ最終作。原作「春雪仕掛針」の名を冠しているが、原作の内容とは全く違うオリジナルストーリーである。


林与一                                                                   竜崎勝

【ストリー】
正月の雪の降る夜、漆器問屋の一家が惨殺された。この事件は、半年前、ここに後妻に入ったお千代(岩下志麻)が盗賊の首領であり、彼女の手引きによるものだった。この真相を知っているのは、昔は盗っ人で今は堅気となっている、お千代を育てた小兵衛(花澤徳衛)だけだった。小兵衛は千代を立直らすには彼女の子分たち--勝四郎(夏八木勲)、三上(竜崎勝)、定六(地井武男)--を殺すしかないと考え、仕掛人音羽屋半右衛門(山村聡)に三人の始末を依頼した。半右衛門の命を受けた梅安は、まず、定六を風呂屋の中で殺した。そして、三上は小杉十五郎の剣に倒れた。次に勝四郎を狙った梅安は、勝四郎が千代の情夫であるのを知ると同時に、千代は、昔、自分が女にした女であることを知った。千代が次に目をつけたのは大阪屋で、そこの手代幸太郎(村井国夫)の誘惑に成功するが、幸太郎は勝四郎に殺されてしまった。そんなある日、千代は梅安を尋ね、勝四郎殺害を依頼した。だが、これは千代と勝四郎の罠で、梅安は捕えられ、定六たちの殺しの依頼者を聞き出そうとする勝四郎の拷問を受けた。その時、梅安を救いに、小兵衛が現われ、自分は殺されてしまった。ある雪の夜、大阪屋の金蔵を勝四郎一味が襲った。しかし、金蔵の中に入っていたのは半右衛門と小杉。一転して修羅場と化した蔵の中で、盗賊たち、そして勝四郎が次々と死んでいった。一味の帰りを待つ千代の前に、梅安が立った。「梅安さんのお内儀さんになりたかった」とすがるように言う千代のうなじに、梅安の殺し針が突き刺さった。


岩下志麻、花澤徳衛                   夏八木勲、高橋長英

題名:必殺仕掛人 春雪仕掛
監督:貞永方久
製作:織田明
原作:池波正太郎「春雪仕掛針」
脚本:安倍徹郎
撮影:丸川恵司
照明:三浦礼
録音:平松時夫
調音:松本隆司
美術:梅田千代夫
装置:川添善治
装飾:印南昇
擬斗:湯浅謙太郎
衣裳:松竹衣装
かつら:八木かつら店
編集:太田和夫
音楽:鏑木創 主題曲:平尾昌晃
現像:東京現像所
製作主任:内藤誠
製作進行:玉生久宗
助監督:熊谷勲
スチール:長谷川宗平
出演:緒形拳、岩下志麻、林与一、山村聡、夏八木勲、地井武男、花澤徳衛、竜崎勝、村井国夫、佐々木孝丸、高橋長英、相川圭子、荒砂ゆき
1974年日本・松竹京都撮影所/シネスコサイズ・カラー89分35mmフィルム
必殺仕掛人 春雪仕掛 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


緒形拳、林与一                   山村聡、緒形拳

映画「天使の恍惚」



吉澤健                        横山リエ

今回は待望の若松孝二監督1972年製作「天使の恍惚」をピックアップする。
私は本作を劇場で複数回観たが、時代を突破する世界観と秀逸な演出で創り上げた若松監督のエポックとなる作品だと思う。
本作は、1971年12月24日に新宿の追分派出所付近で爆弾が爆発して重軽傷者を出した”クリスマスツリー爆弾事件”から暫くして公開(’72年3月)された作品で、私はその生々しさに強い衝撃を受けた覚えがある。当時は、同様の爆弾事件がしばしばあったのだ。
そんな状況の中、ATGでの封切りが1週間で打ち切られ、若松監督を始めスタッフや女優の横山リエさんが、事件とは無関係なのに警察から取り調べを受けたそうだ。(監督談)
私は、この様な現在進行形の題材を扱うだけで、圧力が掛かかるという事が許される社会が正しいとは決して思わない。この頃は、スタッフもキャストも毅然と戦っていた。
いつからその姿勢が見られなくなったのだろうか?私は推移を傍観していただけだったのだろうか?先輩諸氏が残してくれた作品に、私は自問自答する。

作品リスト


荒砂ゆき                       天使の恍惚

【ストリー】
キャンドルライトが闇の中から湧き出た様に浮び、周囲の闇は深い拒絶を示している。女歌手の唄声……。人気のないナイトクラブで秘やかに祝杯があげられる。革命軍「四季協会」の秋軍団が首都総攻撃を期し、米軍基地襲撃、武器奪取作戦を敢行するのだ。
全裸の秋(荒砂ゆき)と十月(吉澤健)が抱き合う。激しく秋を攻める十月。恍惚のさなかで誓い合う革命天使二人。闘いの始まり。首都をもやしつくそうとする炎が、今、その炎の手を上げようとしている。
基地への突入隊は十月組隊長以下月曜から日曜までの八名の兵士。その半数が戦死し、リーダーの十月は弾薬の爆発で目を負傷する。別動隊の九月組は姿を見せず、女指揮官秋が現われ、アジトへの待機を指令する。過大の犠牲を払い手に入れた爆弾兵器は、冬軍団二月組によってクラブの歌手である金曜日(横山リエ)の部屋から徴収され、金曜日と月曜日(本田竜彦)はすまじいまでのリンチにたたきのめされてしまう。全裸の冬(吉田潔)に組み敷かれてしまう秋、あえぐ秋、冬の駆使するテクニックは凄い。冬に責め上げられて逆上してゆく秋の白い五体。冬軍団の爆弾闘争の成果が伝えられる中で、十月は失明、傷つき果てた十月組に、組を解体、秋軍団を解散した上で、冬軍団と統一し、連合冬軍を結成せよとの協会の指令が伝えられる。上部の予定されきった指令に月曜日(本田竜彦)は怒り、一匹狼として爆弾闘争を開始する。秋に籠絡された土曜日(小野川公三郎)は、冬との統合を十月に迫るが、十月と金曜日は十月組のオトシマエは自身の手でつけるべく、決意表明としてアジトを爆破、逆に土曜日に十月の兵士として決意を迫る。化粧ケースに爆弾をつめ、やりたいことをやると出かけてゆく金曜日、爆弾闘争をあくまで個的に持続させる月曜日、街へ飛び出す土曜日、パトカーの渦の中で爆弾をふりかざし駆けめぐる土曜日を秋の車が救い出す。金曜日の唄声が流れるクラブ。秋軍団の解散式。十月は来ない。じれる秋の背に金曜日の歌が突きささる。秋が絶叫する。本気で孤立出来る奴、自分の身体だけで闘える奴、個的な闘いを個的に闘える本気の奴らが十月組なんだ!孤立した精鋭こそが世界を換える。世界を創る。十月!私は今飛ぶわ、あなたと、あなた達と!秋におそいかかる数人の男たち、血か飛翔する。大爆発。月曜日が爆弾をかかえ野分けのように走る。金曜日が駆けめぐる。一本の華麗な火柱、十月の兵士の壮絶な爆死。爆弾を背負った土曜日が、そして盲目のリーダー十月が風景の中へ溶け込んでゆく。あとは、静かな戦場の風景が、風に吹かれているだけである。


天使の恍惚

題名:天使の恍惚
監督:若松孝二
企画・製作:葛井欣士郎、若松孝二
脚本:出口出(足立正生)
撮影:伊東英男
照明:磯貝一
録音:杉崎喬
音効:秋山実(福島効果グループ)
編集:田中始
音楽:山下洋輔
製作主任:岩淵進
製作進行:山田力
助監督:沖島勲
演出助手:川島義和、和光晴生
撮影助手:高間賢治、橘満
照明助手:前田基男、福井通夫
現像:東映化学工業
スチール:中平卓馬
出演:吉沢健、横山リエ、本田竜彦、荒砂ゆき、小野川公三郎、柴田秀勝、松島真一、吉田潔、小山田昭一、大泉友雄、三枝博之、足立正生、岩淵進、秋山ミチヲ、山下洋輔トリオ
1972年日本・日本ATG+若松プロダクション/スタンダードサイズ・パートカラー90分35mmフィルム
天使の恍惚 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


山下洋輔トリオ                    天使の恍惚

天使の恍惚

【出演】
十月:吉澤健
月曜日:本田竜彦
火曜日:大泉友雄
水曜日:三枝博之
木曜日:小山田昭一
金曜日:横山リエ
土曜日:小野川公三郎
日曜日:和島真介
秋:荒砂ゆき
九月:松島真一
十一月:柴田秀勝
冬:吉田潔
二月:岩淵進
二月軍団1:足立正生
二月軍団2:布川徹郎
二月軍団3:渡辺亜人
二月軍団4:古旗吾郎
少女1:神野ジーナ
少女2:大橋真理
米兵1:ゲーリー・ドレーン
米兵2:ダーロー・エヴァンス
男1:山下洋輔
男2:森山威男
男3:中村誠一
ギターリスト:秋山ミチヲ

 

映画「女囚さそり 第41雑居房」

女囚さそり 第41雑居房
梶芽衣子

今回は伊藤俊也監督1972年製作「女囚さそり 第41雑居房」をピックアップする。
“女囚さそり “シリーズは、伊藤俊也監督第一回作品「女囚701号さそり(1972年)」「女囚さそり けもの部屋(1973年)」を紹介したが、第二作の本作は、梶芽衣子さんが最も美しく撮られており、劇画の側面よりイメージフィルムに近い内容となっている。羽仁進監督「初恋・地獄篇(1968年)」で主演した石井くに子さんが出演しているのも嬉しかった。

クエンティン・タランティーノ監督2004年製作「キル・ビルVol.2(KILL BILL:VOL.2)」
でも使用された主題歌「怨み節 」歌:梶芽衣子

女囚さそり 第41雑居房女囚さそり 第41雑居房
梶芽衣子                     渡辺文雄、室田日出男

【ストリー】
法務省の巡閲官の面前で松島ナミ(梶芽衣子)は刑務所長郷田(渡辺文雄)の隻眼めがけナイフを突き刺す。郷田は辛くも失明をまぬがれ、ナミに対する憎悪はいっそう燃えた。石切場での苦役、輪姦。さすがにナミも半死半生となる。しかし、不死鳥の如くナミは、看主を殺し、女囚のボス、大場(白石加代子)らと共に脱走に成功。やがて、とある山小屋に閉じ籠った。女囚の一人、及川(荒砂ゆき)が、我子恋しさのあまり独り抜けだし、我が家に戻ったところを網を張っていた看守たちに捕われ、取り引きをさせられる。やがて及川は看守を連れ小屋に戻った、が、ナミに感ずかれ、看守は女囚たちに惨殺されてしまった。再び逃亡。女囚たちは観光バスを乗っ取り、街道を突っ走る。しかし、行手に郷田と警官たちがいるのを知った大場らはナミを囮として突き落す。逮捕されてしまうナミ。ところが郷田はそのナミに、女囚たちが人質たちと籠る倉庫の中の様子を捜るように命令する。ナミは素直に郷田の言に従い、大場の持っているライフルに残弾はなく、人質は既に殺されていると報告する。警官たちは突撃した。だが、大場のライフルは火を吹き銃撃戦となる……。女囚側は大場一人が辛じて生き残り、人質は全て殺されてしまった。郷田のナミに対する憤りは凄じく腹心の部下に、秘かにナミ殺害を命じ、自分は本省に栄転していった。だが、瀕死の大場の助けでナミは危機をまぬがれ、二人の看守を殺して逃亡に成功。郷田は東京管区長のポストに納まり、エリート官僚ぶりを発揮していたが、真紅なパンタロンスーツに身を固めたナミは、今までの復讐と怨念を込めたドスを深々と郷田の腹に突きさした……。

女囚さそり 第41雑居房

題名:女囚さそり 第41雑居房
監督:伊藤俊也
企画:吉峰甲子夫
原作:篠原とおる
脚本:松田寛夫、神波史男、伊藤俊也
撮影:清水政郎
照明:桑名史郎
美術:桑名忠之
録音:広上益弘
殺陣:日尾孝司
記録:高津省子
編集:田中修
現像:東映化学
音楽:菊池俊輔
助監督:馬場昭格
スチール:藤井善男
出演:梶芽衣子、白石加代子、賀川雪絵、荒砂ゆき、伊佐山ひろ子、八並映子、石井くに子、渡辺文雄、室田日出男、戸浦六宏、小松方正
1972年日本・東映/シネスコサイズ・カラー89分35mmフィルム
女囚さそり 第41雑居房 [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

女囚さそり 第41雑居房女囚さそり 第41雑居房
女囚さそり 第41雑居房女囚さそり 第41雑居房