映画「カポネ大いに泣く」


「カポネ大いに泣く」萩原健一

萩原健一                         沢田研二

今回は鈴木清順監督1985年製作「カポネ大いに泣く」をピックアップする。
本作は、全編の8割を占めるアメリカ・サンフランシスコのシーンを全て国内撮影、主に横浜で撮影した鈴木清順監督第45作になる。主演は、惜しくも2019年3月26日に急逝した萩原健一さん。サンフランシスコの見立てには無理があるものの、美術センスは素晴らしい作品である。


「カポネ大いに泣く」田中裕子

田中裕子                        加藤治子

【ストリー】
昭和初期、芸者の小染(田中裕子)は、旅回りの役者の順之助、のちの桃中軒海右衛門(萩原健一)と出会い、深い仲になる。小染は、昔、旦那の目を盗んで浮気をしたことがバレ、背中に蛸の刺青を彫られてしまった。順之助は浪花節語りの桃中軒雲右衛門(柄本明)に憧れ、一座を逃げ出したのだ。小染の旦那が監獄から出ることになり、一方、一座も順之助を連れ戻しに来たので、二人はサンフランシスコに逃げた。浪花節で日本人移民を慰問するという気宇壮大な出発だったが、口入れ屋にだまされ、有り金は底をつき、小染のアクセサリーも賭博で取られ、小染は女郎に、海右衛門は乞食になる。そんな時、二人は大西鉄五郎(沢田研二)<通称ガン鉄>と出会う。ガン鉄は横浜ハウスに巣喰う快男児で、街頭で狼花節をうなる海右衛門を見かねて、高級ナイトクラブに連れていさ、浪花節は通用しないと、新しいショーを見せた。そこで踊っていたダンサーのリリアン(ローリー・ベリス)が和服の海右衛門をサムライ!と一目惚れしてしまう。その頃のサンフランシスコは中国人、日本人など様々な人種が入り乱れる欲望の街で、シカゴのギャング、カポネ(チャック・ウィルソン)も西部進出を狙い、弟のフランク・カポネ(ランディ・レイス)を派遣して来た。フランクはサンフランシスコの密造酒を独占しようとし、一方、ガン鉄、海右衛門、小染たちも、つくり酒屋の息子だった海右衛門に“シスコ正宗”を作らせて対抗する。三人はシカゴに行ったりするが、だんだんと追いつめられていく。そんな中で、小染は自動車事故で死んでしまう。さらにガン鉄もフグを食べて中毒死。海右衛門はリリアンに介錯させ切腹するのだった。


「カポネ大いに泣く」田中裕子

樹木希林、柄本明                      梅宮辰夫、萩原健一

チャック・ウィルソン                    萩原健一、田中裕子

題名:カポネ大いに泣く
監督:鈴木清順
企画:奥山和由、C.C.J
製作:櫻井五郎
原作:梶山季之「カポネ大いに泣く」
脚本:大和屋竺、木村威夫、鈴木岬一
撮影:藤沢順一、高田昭
照明:大西美津男
特機:NK特機
録音:福島信雅
音効:酒井三郎
美術:木村威夫
装飾:安田彰一
大道具:佐藤信昭
衣裳:坂下英明、佐藤貞子
結髪:中村さき
美粧:中村恭子
化粧:山口和子、竹島綾子
ヘアー・メイク:高原宏
ボディ・メイク:小林照子
擬斗:岡田勝
カースタント:高橋義浩、前川広一
特殊効果:芳賀真人
記録:内田絢子
編集:鈴木晄 ネガ編集:荒川鎮雄
フィルム:富士フィルム(報映産業)
撮影機材:日本映樹
照明機材:日本照明
現像:東洋現像所
音楽:井上尭之
プロデューサー:中村賢一
アシスタントプロデューサー:莟宣次
コウ・プロデューサー:内田誠、三上祥一、森田亜男
プロダクションマネージャー:今井博彦
製作主任:高橋文雄
製作進行:福島聰司、山川元
助監督:高橋正治
監督助手:渡辺孝好、中井俊夫、滝坂裕二、藤嘉行
撮影助手:栢野直樹、佐藤和人、有田勝美
照明助手:鈴木豊、落合文雄、松島五也、奥村誠、鈴木喜三郎
録音助手:斎藤道夫、小高勲、阿部茂
美術補佐:丸山裕司、池田育代
装飾補佐:松下照夫、桜井陽一、嵩村裕司、藤木光次
編集補佐:村山勇二
企画協力:角川春樹事務所
製作事務:吉田弘美
演技事務:碓井義徳
制作作宣伝:大久保信雄
撮影スタジオ:にっかつ撮影所
浪曲監修:芝清之 浪曲指導:東家菊燕
三味線指導:東家栄子
河内音頭指導:目崎明美
方言指導:大原穣子、東隆明
英語通訳:松原由利子、ロイド・ハント
キャスティング・コーディネーター:アット・ワーク
ロケ協力:横浜ドリームランド、日光ウエスタン村、他
スチール:金田正
出演:萩原健一、沢田研二、田中裕子、チャック・ウィルソン、ローリー・ベリス、柄本明、平田満、加藤治子、樹木希林、梅宮辰夫、峰岸徹、牧伸二、苅谷俊介、常田富士男、ランディ・レイス、高倉美貴、たこ八郎、阿藤海、ベンガル
1985年日本・ケイエンタープライズ/ビスタサイズ・カラー130分35mmフィルム
カポネ大いに泣く -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


「カポネ大いに泣く」萩原健一

峰岸徹                       カポネ大いに泣く

映画「股旅」


萩原健一、尾藤イサオ、小倉一郎             萩原健一

今回は市川崑監督1973年製作「股旅」をピックアップする。
本作は、他の時代劇映画とは違う作り方をしている。主演の三人の渡世人は、東映時代劇の様にスマートではない。
仁義を長々切る台詞や、心得を持たない刀を振り廻す殺傷シーンは、時代考証によるリアルと共に陳腐に描かれている。
この時代、夜間の屋内でのキーライトは、行灯である。それを忠実にライティングした画は、この時代の人は、何て暗い中で生活してたのだろうとリアルが突き付けられる。「水戸黄門」などのビデオで撮ったテレビ時代劇は、何て明るいのだろう!!
本作は、これらを背景に閉塞した時代と若者像が反映されたモチーフになっている。巨匠市川崑監督の初めてのATG作品でもある。

【追記・訃報】
ドラマ「太陽にほえろ!」「傷だらけの天使」「前略おふくろ様」など数々の作品で知られる俳優で、グループサウンズ「ザ・テンプターズ」のボーカルも務めた萩原健一(はぎわら・けんいち、本名・敬三=けいぞう)さんが2019年3月26日午前10時30分、GIST(消化管間質腫瘍)のため都内の病院で死去したことが28日、分かった。68歳。埼玉県出身。所属事務所が発表した。「ショーケン」の愛称で親しまれ、一時代を築いた。
2019年3/28(木) 22:07配信 スポニチアネックス


小倉一郎                        尾藤イサオ

【ストリー】
灰色の空、霜でぬかったあぜ道を、よれよれの道中合羽に身をつつんだ若い男が三人、空っ腹をかかえて歩いている。生まれ故郷を飛び出し、渡世人の世界に入った源太(小倉一郎)、信太(尾藤イサオ)、黙太郎(萩原健一)である。彼等の望みは金と力のある大親分の盃をもらい、ひとかどの渡世人になることだった。流れ流れて三人は、二井宿・番亀一家に草鞋をぬいだ。源太はここで偶然、何年も前に母と自分を置き去りにして家出した父・安吉(大宮敏充)と再会した。夜、源太は安吉の家に行く途中、百姓・又作(加藤嘉)の家の井戸端で、若い女房のお汲(井上れい子)が髪を洗っているのをみた。白い肌が闇の中に浮んでいる。背後からお汲に組みついた源太は、あばれるお汲を納屋につれこんだ。翌日、安吉が、番亀(二見忠男)の仇敵の赤湯一家と意を通じ、壷振り(和田文夫)と組んでイカサマをやり、番亀一家の評判をおとそうとしたのがばれた。憤怒した番亀は、渡世人の掟を破った親父の首を持ってこいと源太に命じた。親父を斬ることはない、と引止める黙太郎と信太に「義理は義理だ」と源太は飛び出したが、安吉は留守。気抜けした源太は、お汲の家に行き「俺と逃げないか」と声をかけた。源太を見つめていたお汲はコクンとうなずいた。二人はその場で抱き合った。やがて安吉の家へ引返した源太は、長脇差を抜き放ち、驚く親父に斬りかかった……。揺れ動く貧しい灯が、蒲団の上に寝かされている安吉の死顔を照らしている。源太の頬には涙が流れている。やがて、源太は僅かな草鞋銭を渡され、番亀を追い出された。黙太郎、信太、そしてお汲も一緒だった。道中をつづける四人。途中で信太が竹の切株で足を傷つけ熱を出した。四人が夜を明かした祠の前に人の気配がした。追手がかかったと一同緊張するが、お汲の亭主の息子の平右衛門(神太郎)だった。お汲をつれ戻しに来たのである。素直に帰ると見せかけたお汲は、背後から鎌で平右衛門に襲いかかり、殺害してしまった。呆然とみつめる源太と黙太郎。兇状持の上にまた殺人、事態はますます悪化した。源太はどうしても家に帰りたくないというお汲を飯盛女に売ることにした。その頃、祠の中で信太は息をひきとっていた。残った源太と黙太郎は飯岡の助五郎のもとへと道中を急いだ。途中、立寄った飯岡一家の野手の半兵衛が(美山晋八)、笹川一家へ寝返る、という話を小耳にはさんだ黙太郎は、半兵衛の首を持って飯岡へ行けば盃が貰えるといい、源太は一宿一飯の恩義があると意見が対立した。折しも半兵衛が笹川へ出かけたのを知った二人は半兵衛を追った。「出世の糸口を!」「渡世の義理を!」半兵衛を追う黙太郎に源太が斬りつけた。そして、隙を見てかけ出した黙太郎を追った源太は崖に転落してしまった……。そうとも知らない黙太郎は、半兵衛を見失ない、戻って来るが源太の姿は何処にも見えない。「源太ァ源太ァ」いつまでも黙太郎は源太の名を呼び続けるのだった。


井上れい子                     小倉一郎、萩原健一

題名:股旅
監督:市川崑
製作:葛井欣士郎、富澤幸男、大岡弘光
脚本:谷川俊太郎、市川崑
撮影:小林節雄
照明:塩野昌弘
録音:大橋鉄矢
音効:東洋音響
美術:西岡善信、加門良一
装飾:中道正信
衣裳:福富英治
衣裳考証:上野芳生
床山:明石悦男
殺陣:美山晋八
記録:土屋テル子
編集:平野三郎兵衛、長田千鶴子
音楽:久里子亭(市川崑夫妻)、浅見幸雄
現像:東洋現像所
製作主任:藤田光男
製作進行:中村賢一
助監督:安室修、永井正夫、富永昭憲
撮影助手:竹澤信行、横山吉文
照明助手:佐藤勝彦、山口武
録音助手:北村泰彦
車両:福田悠一、水上一郎、山口和義、渡辺隆之
スチール:小泉尭史
出演:小倉一郎、尾藤イサオ、萩原健一、井上れい子、常田富士男、加藤嘉、野村昭子、大宮敏充、夏木章、神太郎、二見忠男、和田文夫、坂本長利、美山晋八
1973年日本・崑プロダクション+ATG/スタンダードサイズ・カラー95分35mmフィルム
股旅 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


股旅

映画「いつかギラギラする日」


萩原健一                      木村一八

今回は深作欣二監督1992年製作「いつかギラギラする日」をピックアップする。
本作は北海道を舞台に、爆破・カーチェイスを詰め込んだアクション・クライム作品で、ハリウッド映画に比べると物足りないが、製作費の掛け方は、他の日本映画よりも濃く反映されている。撮影当時、時期はずれの台風に見舞われ、北海道の他に神奈川県三崎漁港や木更津市でも撮影されたそうだ。問題は、当初3億円の予算だったのが、深作監督の粘りで4億8,000万円となり、さらにラストのパトカーを何十台も並べて壊すシーンが、車輌を買い取る事になってその他も含め最終的に約11億円の製作費に至った。結果として劇場興行は惨敗に終わり、制作会社の1社が倒産してしまったのだ。こうした事から、日本映画のアクション作品のスタッフ、とりわけスタント、カースタント、ガンエフェクト、火薬効果などの後継者が育つ経験の機会が失われる事を危惧してしまう。

【追記・訃報】
ドラマ「太陽にほえろ!」「傷だらけの天使」「前略おふくろ様」など数々の作品で知られる俳優で、グループサウンズ「ザ・テンプターズ」のボーカルも務めた萩原健一(はぎわら・けんいち、本名・敬三=けいぞう)さんが2019年3月26日午前10時30分、GIST(消化管間質腫瘍)のため都内の病院で死去したことが28日、分かった。68歳。埼玉県出身。所属事務所が発表した。「ショーケン」の愛称で親しまれ、一時代を築いた。
2019年3/28(木) 22:07配信 スポニチアネックス


荻野目慶子                    多岐川裕美、萩原健一

【ストリー】
うらぶれた産婦人科から出て来た女・美里の肩を抱いた神崎(萩原健一)は、10年来の愛人である美里(多岐川裕美)に「また仕事を始める」とつぶやいた。昔の仲間で現在うつ病で入院中の井村(石橋蓮司)に話を持ちかけ、2人そろってこれも昔の仲間である北海道の柴(千葉真一)のもとへ飛んだ。待ち受けていた柴は30歳年下の麻衣(荻野目慶子)と同棲しており、2人がよく出掛けるディスコのマネージャー、角町(木村一八)が今度の仕事の仕掛け人だった。角町は自分のライヴハウスを持つために5千万円を必要としていたのだ。計画は洞爺湖の温泉ホテルの売上金2億円を運ぶ現金輸送車を襲うというもので、角町が加わることに神崎は難色を示したが、計画は実行され成功、4人は廃屋になっているレストラン跡にたどり着いた。しかし2億円入っているはずのジュラルミンケースにあったのは、たった5千万の現金だけだった。イラつく角町、失望の井村をよそに神崎がそれを4等分し始めたとき、切羽詰まった井村が血迷い、銃を片手に狂ったように札束をかき集め始めた。そんな井村を神崎が諭した瞬間、角町が銃を発射、井村は即死し、柴も重傷を負った。柴を背負いからくも逃れた神崎は、身を案じて廃屋へやってきた美里の車で現場を離れた。柴は計画を知る麻衣を角町が襲うのではないかと案じたが、実は麻衣は柴を裏切り角町と組んでいたのだった。麻衣は角町が現金を独り占めするため彼女を襲いに来るのを察知し、逆に角町から現金を奪う。その頃札幌に戻った神崎は、角町の周辺を調べるうち、角町が室蘭のヤミ金融から多額の借金があることもわかった。突然、神崎のもとに麻衣から5千万を返すとの電話があり、指定の場所に出掛けたが、麻衣はショットガンを向けてきた。角町までもが銃を乱射しながら車で襲って来る。罠にはまった神崎は海中へ沈み、なんとか一命だけは取りとめアジトへ戻るが、重傷だった柴はついに帰らぬ人となった。そして函館のライヴハウスのオープンの日、怒りを押し殺した表情の神崎、ヤミ金融のヤクザ連中と殺し屋の野地が見つめる中、浮かれる角町と麻衣が現れた。神崎はライヴハウス前の路上に爆発物を仕掛け、付近を混乱に陥れる。警察をも巻き込み、神崎、角町、麻衣、野地(原田芳雄)らのカーチェイスが始まった。途中、角町はバスをジャックするなどエスカレート、麻衣はマシンガンを乱射するが、野地の凶弾に倒れ、野地も角町に倒される。ついに神崎と角町の一騎打ちとなり、夜の波止場で角町の車が横転、観念するふりをして神崎を倒そうとするが、逆に神崎の逆襲に遭いその若き命を散らした。そして取り囲むパトカーの群を乗り越えようとした神崎も車もろとも海に沈んだ。後日、金融街を走るバスの中には次の標的をさぐる神崎と美里の姿があるのだった。


千葉真一                    萩原健一、八名信夫

樹木希林                     石橋蓮司

題名:いつかギラギラする日
監督:深作欣二
企画:中川好久
製作総指揮:奥山和由
製作:杉崎重美、鍋島壽夫、斉藤立太
脚本:丸山昇一
撮影:浜田毅
照明:渡辺孝一
録音:信岡実
整音:紅谷愃一
美術:今村力
特殊メイク:織田尚、山木綾子
アクションコーディネーター:二家本辰巳
スタント&アクション:アーバンアクターズ、ジャパンアクションクラブ
カースタント:カースタントTA・KA
ガンエフェクト:BIGSHOT
火薬効果:テイクワン
記録:小山三樹子
編集:川島章正
音楽:菱田吉美 音楽プロデューサー:佐々木麻美子
撮影機材:ナック
照明機材:日本照明
フィルム:富士フィルム
現像:東京現像所
製作管理:片岡毅允生、木村博人
助監督:初山恭洋
制作協力:堤康二
スチール:金田正
出演:萩原健一、木村一八、荻野目慶子、多岐川裕美、石橋蓮司、八名信夫、野口貴史、真木洋子、安岡力也、原田芳雄、樹木希林、千葉真一
1992年日本/ビスタサイズ・カラー108分35mmフィルム
いつかギラギラする日 -DVD-
2017年6月現在、DVDレンタルはありません。


原田芳雄                     多岐川裕美、萩原健一

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