映画「帰ってきた若大将」


アグネス・ラム、加山雄三               坂口良子

今回は小谷承靖監督1981年製作「帰ってきた若大将」をピックアップする。
加山雄三さんのデビュー20周年を記念して作られた本作は、若大将シリーズの第18作で最終作である。
クライマックスシーンの舞台は、1980年に行われた実際のニューヨークシティマラソンで行われ、3班体制で撮影されたそうだ。余談になるが、私が、撮影助手だった本作公開後の翌年(1982年)に初めてハワイ・ロケに行った。それは、日清カップヌードル(出演:ザ・タイガース[復活結成])のCF撮影だったが、現地撮影コーディネーター・スタッフにアグネス・ラムさんが参加していたので驚いたのを思い出す。しばらくコーディネーターを続けていたそうだ。

※ザ・タイガースは1971年に解散しているが、1982年~1983年まで「ザ・タイガース同窓会」として岸部一徳、森本太郎、加橋かつみ、沢田研二、岸部シローの5名で再結成した。


「帰ってきた若大将」坂口良子

田中邦衛                        萬田久子

中真千子、有島一郎                 松崎真、樹木希林

【ストリー】
西太平洋、サザンクロス諸島上空をヘリコプターで取材していたTVプロデューサー皆川純子(坂口良子)が機内から放り出された。そこへ、セスナ機から一人の男がスカイ・ダイビング、純子を捉えパラシュートで降下。その男こそ、御存知若大将、田沼雄一(加山雄三)。今、サザンクロス島の大統領の片腕、自治政府顧問になっている。その島は近く平和国家としてアメリカから独立しようとしていた。東京に戻った純子は取材したフィルムにクレームがつき、スポンサーである三丸商事副社長、石山新二(田中邦衛)こと青大将に抗議に出かけた。そこは青大将、純子を見るなり、クレームを撤回、デートに誘った。その晩、青大将が純子にキスしようとしたとき、そこへ若大将が通りかかった。若大将に飛びつく純子、青大将はガックリ。雄一はおばあちゃんの七回忌の法事で帰国していたのだ。法事を済ませた夜、大統領から雄一に国際電話が入り、島からアメリカに向かう使節団の目的が達成するようニューヨークで外務書記官のフローラ(アグネス・ラム)と打ち合せをするようにとのことだった。ニューヨークへ飛ぶ雄一。一方、青大将は石油買付けのために書いた中東宛の手紙を、アメリカのメジャー系石油会社のリーガン社長に出してしまった。手紙を取り戻そうと、青大将もニューヨークへ向かう。郵便車を追う青大将は、途中で強盗に会い、身ぐるみ、車を盗まれてしまう。若大将はフローラと会ったが大統領補佐官シュナイダーと連絡がとれず、仕事は難行。そこへ青大将の捜索を頼まれた。ニューヨーク・シティマラソンの取材に来ていた純子は、ホテルで仲の良い雄一とフローラに出会い、嫉妬し、ホテルを出てヨットで暮し始めた。青大将は何とかリーガン社長の別荘に辿りつき、手紙を取り戻すが、パトカーに追われ、偶然、純子のヨットに逃げ込んだ。雄一はシュナイダーがシティマランンに参加すると聞き、セントラルパークで練習中のところを接近した。そこで雄一はマラソンに勝てば使節団の意向を大統領に伝えると、シュナイダーに約束させた。一万数千人が参加するマラソンで、雄一は見事にシュナイダーを破るのだった。


「帰ってきた若大将」坂口良子

賀原夏子                     田中邦衛、田崎潤

題名:帰ってきた若大将
監督:小谷承靖
製作総指揮:渡辺晋
製作:田中壽一、恩田光
脚本:田波靖男
撮影:上田正治
照明:望月英樹
特機:福田喜平、高原定
録音:田中信行
音効:東宝効果集団
整音:東宝録音センター
美術:薩谷和夫
大道具:小川峰雄
装置:高橋儀三
小道具:佐々木庄次
電飾: 田村正弘
衣裳:川崎健二
結髪:中尾さかゑ
化粧:藤田初美
記録:小林孝子
編集:池田美千子
音楽:弾厚作、森岡賢一郎 主題歌:加山雄三「この愛いつまでも」
撮影機材:パナビジョン
現像:東洋現像所
エクゼクティブ・プロデューサー:池瑞直亮(加山雄三)
アシスタントプロデューサー:田久保正之、中沢敏明
製作担当:橋本利明
製作進行:林茂里穂
助監督:岡田文亮
監督助手:米田興弘
撮影助手:古山正、五十畑幸勇、山田健一
照明助手:中村和夫、斉藤薫、蝶谷幸士、入口正平、南仁、大澤暉男
録音助手:斉藤禎一、近田進、膳師豊
美術助手:櫻木晶
大道具助手:鈴木栄二
製作宣伝:奥田和之
演技事務:橘田捷成
スチール:橋山直己
出演:加山雄三、坂口良子、田中邦衛、アグネス・ラム、有島一郎、江原達怡、中真千子、田崎潤、萬田久子、樹木希林、賀原夏子、なべおさみ、山本紀彦、松崎真
1981年日本・加山プロモーション+東宝/ビスタサイズ・カラー99分35mmフィルム
帰ってきた若大将 -DVD-
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帰ってきた若大将                     田中邦衛

映画「太秦ライムライト」

太秦ライムライト
山本千尋
太秦ライムライト太秦ライムライト
福本清三

今回は落合賢監督2013年製作「太秦ライムライト」をピックアップする。
本作は”5万回斬られた男”の異名を持つベテラン時代劇俳優福本清三さんを主役に、京都太秦撮影所の時代劇を創る人々の視点で、時代の推移を外す事なく描いた作品だ。テレビ時代劇が16mmフィルムからビデオになって久しいが、劇中でも正しく、特にテレビディレクターのくだりは、ウイットに包みながら現実を描いている。またクライマックスの中島貞夫監督登場は、本編=映画という設定で、キャメラに35mm(ARRI535)を使用しているというのが憎い。
落合賢監督は、32歳(1983年生れ)なのでフィルムを知らない世代だ。なのに京都太秦の映画人を見事に描いたという事は、想像力だけで出来るものではない。補佐をした先輩映画人が趣旨に賛同し、惜しみない協力をしたに違いない。これは出演俳優陣を見ても分かる事だが。
私も遠い昔に仕出し(エキストラ)経験があるので本田博太郎さんの俳優部のシーンに、一番リアリティを感じた。撮影部とか照明部などの技術部が描かれていないのは残念だが、久々に良い日本映画を観た。

太秦ライムライト太秦ライムライト
松方弘樹                        萬田久子

【ストリー】
かつて日本のハリウッドと呼ばれた京都・太秦。香美山清一(福本清三)は、太秦の日映撮影所に所属する斬られ役一筋の大部屋俳優だ。ある日、半世紀近く続いたテレビ時代劇ドラマ「江戸桜風雲録」が、突如打ち切られた。後続番組の若者向けネオ時代劇「オダノブ」に映画職人たちの出番はない。大御所時代劇のスターの尾上清十郎(松方弘樹)は、「また、いつか斬らせてくれ」と香美山に声をかけ、撮影所を去っていく。そんなおり、香美山は、京都の駆け出しの女優・伊賀さつき(山本千尋)と出会い、かつての「太秦城のお姫様」の面影を感じる。さつきも、時代劇が減っても志を失わない香美山の生き方に惹かれ、やがて二人はともに殺陣の稽古をする師弟関係となる。香美山の指導の御陰で、さつきはチャンスをつかみ、スター女優への階段を歩むべく、東京に旅立った。対照的に、香美山には老いが忍び寄り、ついに引退の日を迎える。…時が経ち、さつきが主演を演じる、大作時代劇の話が持ち上がった。久しぶりの京都に胸躍らせたさつきだったが、撮影所には、香美山の姿もなく、お世話になった人が皆引退してしまったことを知り、いつしか大切なものを見失っていたことに気づく。今風の時代劇を作ろうとする川島プロデューサー(合田雅吏)に対して、さつきも、大御所スター尾上清十郎(松方弘樹)も、香美山に出演して欲しいと思っていた。
体調を崩して引退して故郷で余生を送っていた香美山のもとを、さつきは訪れて復帰を懇願する。かたくなに復帰を拒否する香美山。だが、どうしても侍の血が騒ぐ…。
一ヶ月後、香美山は撮影所にいた。最期に尾上と刀を交わすために。
そして、最愛の弟子さつきに斬られるために…。

太秦ライムライト太秦ライムライト
中島貞夫監督(左側)

題名:太秦ライムライト
監督:落合賢
製作:コウ・モリ、佐野昇平
脚本:大野裕之
撮影:クリス・フライリク
照明:山中秋男
録音:林基継
整音:カルロス・サンチェス
美術:吉田孝
装飾:籠尾和人
殺陣:清家三彦(東映剣会)
衣裳:大本猛、古賀博隆、鈴木澄子
編集:洲崎千恵子
音楽:戸田信子
監督助手:中野広之
助監督:中川裕介
スチール:日浦麻子
プロダクション統括:竹村寧人
プロデューサー:大野裕之、コウ・モリ、佐野昇平
協力プロデューサー:浜野高宏
制作プロデューサー:増田悟司
ポストプロダクションスーパーバイザー:デイヴ・ボイル
ラインプロデューサー:森洋亮
協力:東映京都撮影所
出演:福本清三、山本千尋、合田雅吏、萬田久子、松方弘樹、小林稔侍、峰蘭太郎、柴田善行、多井一晃、中島ボイル、川嶋杏奈、中島貞夫監督(本人役)、風間トオル(本人役)
第13回ニューヨーク・アジア映画祭: 最優秀観客賞、第18回ファンタジア国際映画祭: シュバル・ノワール賞、最優秀主演男優賞(福本清三、最年長受賞)
2013年日本・イレブンアーツ/ビスタサイズ・カラー104分デジタルシネマ
太秦ライムライト [DVD]
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

太秦ライムライト太秦ライムライト
山本千尋                      福本清三