映画「瘋癲老人日記」


「瘋癲老人日記」若尾文子

若尾文子                          山村聰

今回は木村恵吾監督1962年製作「瘋癲(ふうてん)老人日記」をピックアップする。
本作は、谷崎潤一郎氏の原作を映画化したものだが、足部に非常に強い誘惑を覚えるフット・フェティシズムとマゾヒズムを描いた濃密な演出に刺激を受ける。裸体そのものを映す事をしなくても、エロスを表現出来るのは、恐らく若尾文子さんの演技、表情、仕草が天性のものだからこそ成功しているのではないか?


川崎敬三                      東山千栄子、丹阿弥谷津子

【ストリー】
77歳の卯木督助(山村聰)は、軽い脳溢血で寝たり起きたりの日日を送っている。それに今では完全に不能である。が、--不能ニナッタ老人ニモ或ル種ノ性生活ハアルノダ--と思っている。そんな督助の性と食欲だけの楽しみを息子浄吉(川崎敬三)の嫁、颯子(若尾文子)は察している。ある日、老人がベッドでぼんやりしていると、突然浴室の戸が開き、颯子が顔を出した。「アタシ、シャワーノ時ダッテ、ココ閉メタコトナイノヨ」老人を信用しているからか、入って来いというのか、老いぼれの存在なぞ眼中にないのか、なんのためにそんなことを言うのだろう。夜になりシャワーの音がして来た。幸い誰もいない。老人は浴室へにじりよった。「入リタインデショ、早ク入ッテ……」。老人のあぶない足元が水に濡れてすべりそうになる。それでも颯子の足に取りすがる老人。「足ニ接吻スルクライ、オ許シガ出タッテヨサソウナモノダ」「ダメ! アタシソコハ弱イノヨ」--。「アアショウガナイ、ジャア、モ一度、ヒザカラ下ナラ許シテヤル!一度ダケヨ」その接吻の代償に老人は颯子に、従兄の春久(石井竜一)にバスを使わせることを承知させられた。颯子と春久は出来ているのだろうか?……。ある夜、また老人の部屋で颯子と二人になった。やにわに背後から抱きすくめ首筋へ接吻する老人。「オ爺チャン、イヤダッタラ、誰ガソンナコトシロト言ッタノヨ、ネッキングナンテ」いきなり床に手をつき三拝九拝する老人。「ジャ、ナンデモワタシノコトキク?」結局老人は300万もする猫眼石の指輪をせしめられてしまった。秋が来て、冷たい風が吹き始める。京都へ来て老人にひとつのアイデアが生まれた。自分の墓に仏足石を彫ろうというのだ。その足型は、颯子のものでなければならない。宿で老人はいやがる颯子の足の裏に朱墨を塗り、ちょうど魚拓を作るような足型をとった。何度も何度も良いものが出来るまで異常なまでに続けた。晩秋の卯木家でブルトーザーの唸りが騒々しい。庭の一角にプールを作ろうというのだ。それを見つめる老人の若々しい眼。「プール作ッテネ、ソシタラ、アタシ泳グノ見セテアゲル」。老人はたった一つのこの言葉を何度もくりかえしていた。


「瘋癲老人日記」若尾文子

「瘋癲老人日記」山村聰 ※この足は若尾文子さんではなく代役(パーツモデル)である。

題名:瘋癲老人日記
監督:木村恵吾
企画:藤井浩明
製作:永田雅一
原作:谷崎潤一郎
脚本:木村恵吾
撮影:宗川信夫
照明:柴田恒吉
録音:須田武雄
美術:柴田篤二
編集:鈴木東陽
音楽:小川寛興
現像:東京現像所
製作主任:松本賢夫
助監督:阿部志馬
スチール:宮崎忠郎
出演:若尾文子、山村聰、川崎敬三、東山千栄子、村田知栄子、丹阿弥谷津子、倉田マユミ、藤原礼子、石井竜一
1962年日本・大映/シネスコサイズ・カラー98分35mmフィルム
瘋癲老人日記 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


山村聰                       若尾文子、山村聰

映画「忍びの者」

忍びの者忍びの者
市川雷蔵                       伊藤雄之助

今回は山本薩夫監督1962年製作「忍びの者」をピックアップする。
これまで荒唐無稽だった忍者映画にリアリズムと醜い権力争いの犠牲者という視点を取り入れた内容で、本作のヒットにより市川雷蔵さん主演でシリーズ化された。

1962年「忍びの者(監督:山本薩夫)」
1963年「続・忍びの者(監督:山本薩夫)」
1963年「新・忍びの者(監督:森一生)」
1964年「忍びの者 霧隠才蔵(監督:田中徳三)」
1964年「忍びの者 続・霧隠才蔵(監督:池広一夫)」
1965年「忍びの者 伊賀屋敷(監督:森一生)」
1966年「忍びの者 新・霧隠才蔵(監督:森一生)」
1966年「新書・忍びの者(監督:池広一夫)」

忍びの者忍びの者
加藤嘉                         藤村志保

【ストリー】
戦国末期。伊賀の国には高技術を誇る忍者が輩出した。その中に石川村の五右衛門(市川雷蔵)がいた。彼は三太夫(伊藤雄之助)の配下に属する下忍(最下級の忍者)だった。その頃、全国制覇の野望に燃える織田信長(若山富三郎)は宗門め掃討を続けた。そんな信長に対し、天台、真言修験僧の流れをくむ忍者の頭領、三太夫は激しい敵意を持ち下忍達に信長暗殺を命じた。一方、三太夫と対立中の藤林長門守も信長暗殺を命令していた。その頃、五右衛門は何故か信長暗殺を命ぜられず三太夫の妻、イノネ(岸田今日子)と砦にいた。彼女の爛熟した体は若い五右衛門に燃え上り、彼らはもつれた。が、三太夫は女中のハタに二人を監視させていた。五右衛門はその気配を覚りハタを追ったが、その間にイノネは三太夫に殺された。が、五右衛門は三太夫に信長を暗殺すれば罪を許すとささやかれた。五右衛門は京に出て信長を狙ったが、その都度、織田信雄(小林勝彦)、木下藤吉郎(丹羽又三郎)らに阻まれた。信長を追って堺に来た五右衛門は一軒の妓楼でマキ(藤村志保)という遊女と知り合い、彼女の純心さに惹かれていった。ある日、五右衛門はハタ(藤原礼子)にめぐり合い、イノネが三太夫に殺されたことを知り、全てが彼の策略だったことを知った。怒りにもえた五右衛門は急拠伊賀へ帰り三太夫を面罵したが、彼は逃げ去った。五右衛門はマキと一緒に山中の小屋で日々を送った。ある日、突然三太夫が現われマキを人質にした。五右衛門は愛する者のため三太夫の命に従い安土へ走った。その頃、信長は豪壮な安土城を築き得意の絶頂にあった。折りからの築城祝いに乗じ信長の寝所の上に忍び込んだ五右衛門だが、信長毒殺は失敗に帰した。信長は急拠伊賀攻めを敢行した。三太夫の砦はすぐに包囲され、建物は炎上していた。が、忍者達は必死に戦った。信雄の采配が一閃した。と、一団となって砦になだれ込む兵達--。瞬間、五右衛門も砦へとび込み三太夫を探したが、情婦と共に死んでいる三太夫を見て愕然とした。何と長門守と同一人物だったのだ。山道へ走り出た五右衛門の顔ははればれと明かるかった。

忍びの者忍びの者
岸田今日子                     加藤嘉、市川雷蔵

題名:忍びの者
監督:山本薩夫
企画:伊藤武郎、土井逸雄
製作:永田雅一
原作:村山知義
脚本:高岩肇
撮影:竹村康和
照明:加藤博也
録音:奥村雅弘
美術:内藤昭
記録:藤岡輝夫
編集:宮田味津三
音楽:渡辺宙明
スチール:藤岡輝夫
出演:市川雷蔵、藤村志保、伊藤雄之助、若山富三郎、小林勝彦、城健三郎、岸田今日子、浦路洋子、藤原礼子、真城千都世、西村晃、加藤嘉
1962年日本・大映京都/モノクロ・シネスコサイズ104分35mmフィルム
忍びの者 [DVD]
2016年10月現在、DVDレンタルはありません。

忍びの者忍びの者
藤村志保、市川雷蔵

映画「悪名」

悪名悪名
勝新太郎                   田宮二郎、勝新太郎

今回は田中徳三監督1961年製作「悪名」をピックアップした。
本作は今東光氏の同名小説を原作にした勝新太郎主演の人気シリーズ第1作だ。
勝新太郎の「座頭市」以前の最初のヒット作で、後に全15作が大映京都撮影所で作られた。
撮影は巨匠宮川一夫氏が担当されている。

悪名シリーズ

悪名悪名
水谷良重                    勝新太郎

【ストリー】
河内の百姓の伜朝吉(勝新太郎 )は無類の暴れ者で“肝っ玉に毛の生えた奴”と恐れられていたが、盆踊の晩、隣村の人妻お千代(水谷良重)と知りあって有馬温泉へ駆落した。しかし働きに出るお千代を、ゴロゴロ待っている朝吉は次第に退屈し、彼女が酔客と戯れているのを見たのをシオに大阪に帰った。彼はそこで幼馴染の青年達にあい、そのまま松島遊廓にくりこんだ。琴糸という源氏名の女は朝吉にぞっこん惚れ込んだ。その晩連れの青年が酔った勢いで土地の暴れん坊、モートルの貞(田宮二郎)と悶着を起し、彼らと貞は翌朝対決する羽目になった。しかし機敏な朝吉の働きで貞は散々に打ちのめされた。この時現れた貞の親分吉岡の客分として一家に身を預けた朝吉は、喧嘩やバクチ場で無類の強さを示し、貞も次第に彼にひかれた。そんな時、朝吉と馴染を重ねていた琴糸が逃げて来た。松島一家を恐れて匿うことを渋った吉岡の薄情さを怒った貞は、杯を叩き返し朝吉を親分と立て、一家を去った。琴糸は吉岡の隣のお絹の家に匿われていたが、松島一家に捕えられて因島へ売られてしまった。朝吉と貞は対策を練るが、その夜かねてから朝吉を好いていたお絹(中村玉緒)は“妻にする”という証文をかかせて身を任せた。二、三日お絹と甘い生活を送っていた朝吉は、貞の仕入れたピストルと軍資金を得て因島にのりこんだ。そして、わざと別の宿をとった貞は、毎晩琴糸のいる大和楼に、素姓を隠した大尽遊びを続けて手筈をつけ、琴糸をうまく朝吉に渡した。船で沖へ出た朝吉は潮に流されてまた港へ戻されてしまった。万事休した彼は度胸をきめて琴糸と貞と三人、旅館の大広間に立籠った。その時、この島の王様シルクハットの親分が、子分大勢をひきつれて琴糸を渡せと迫って来た。さすがの朝吉も顔面蒼白となり、ピストルで親分の心臓を狙った。そこへこの旅館の主で、子分二千人を持つ島の女王麻生イト(浪花千栄子)がでてきた。自分の持ち家に筋を通さずのりこんできたシルクハットの無礼をなじり、仲裁をかって出た。仲裁の儀も滞りなく成立し、自由になった琴糸を中に、朝吉と貞はイト等に見送られて港を離れた。

悪名悪名
中村玉緒                   勝新太郎、田宮二郎

題名:悪名
監督:田中徳三
企画:鈴木晰成
製作:小沢宏
原作:今東光
脚本:依田義賢
撮影:宮川一夫
照明:岡本健一
録音:大谷巖
美術:内藤昭
編集:菅沼完二
音楽:伊福部昭
現像:東洋現像所
スチール:西地正満
出演:勝新太郎、田宮二郎、、中村玉緒、中田康子、山茶花究、水谷良重、藤原礼子、浪花千栄子、須賀不二男、伊達三郎
1961年日本・大映/シネスコサイズ・カラー94分35mmフィルム
悪名 DVD-BOX
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。

悪名悪名
勝新太郎                     中村玉緒、水谷良重

 

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