映画「喜劇 初詣列車」


渥美清                                 佐久間良子

今回は瀬川昌治監督1967年製作「喜劇 初詣列車」をピックアップする。
本作は、東映が1967年に東宝や松竹の喜劇映画に対抗し、国鉄の全面協力で製作した喜劇列車シリーズの第3作(最終作)だ。翌年からスタートする松竹の「男はつらいよシリーズ」の渥美清さんが、寅さんを演じる前に撮られたシリーズである。尚、前作は「喜劇 急行列車」「喜劇 団体列車」である。


城野ゆき                             楠トシエ、中村玉緒

川崎敬三                              小松政夫、渥美清

【ストリー】
国鉄の車掌の新作(渥美清)は、妻幸江(中村玉緒)と、平凡だが幸せな毎日を送っていた。ある日、列車の中で幼な馴染みの美和子(佐久間良子)と会った新作は、何故か沈みがちな彼女を元気づけた。幼い頃から新作の憧れの的だった美和子は、新潟地震で父母を失い、芸者になりながら、行方不明になった弟の研吉(小松政夫)を探しているということだった。新作はそんな美和子のために、何かと相談相手になってやるのだった。ところが、事情を知らない幸江は、そんな新作を見て、浮気をしているのではないかと疑い出したのである。新作はそれに構わず、研吉を探すために四方八方を駆けずり回った。彼は、研吉とは恋仲で、行方知れずになった研吉を探している房子(城野ゆき)と会った。房子の言葉から、研吉が平凡な生活に愛想をつかしてフーテンになったらしいと知った新作は、前衛芸術家の溜り場、ソープランド、深夜スナックなどを探し歩いた。ある日、彼はついにフーテン姿の研吉を探しあてた。根の正直な新作は、フーテンの心理は理解出来なかったが、ともかくも普通の平凡な生活にこそ、本当の幸せがあるのだと熱心に説き、はては自らフーテン姿になって、研吉の心を理解しようと努めるのだった。一方、幸江は新作が女にもてるはずはない、と思いながらも、やはり心おだやかではなく、新作の弟夏男(川崎敬三)に頼んで、夫の行状を調べてもらったりした。そんな時、研吉を連れた新作が、フーテンの飲むクスリを飲み、フラフラになって家に帰ってきた。新作の姿に驚いた幸江は、気が狂ったのではないかと泣いたり、医者を呼んだり、大騒ぎを演じた。そこへ新作から、研吉発見の知らせを受け取った美和子がやってきた。美和子から事情を聞いた幸江は、すっかり今までの誤解をといた。研吉も、新作の尽力で鉄道弘済会に勤めることが決った。やがて正月が来た。春に式を挙げることに決った研吉と房子を伴ない、新作夫婦はお伊勢参りに出発した。ちょうど彼らの乗った新幹線の列車の窓からは、二見ケ浦から昇る新年の太陽が望まれた。


若水ヤエ子、西村晃                     左卜全、渥美清

題名:喜劇 初詣列車
監督:瀬川昌治
企画:秋田亨、加茂秀男
製作:大川博
脚本:舟橋和郎
撮影:西川庄衛
照明:元持秀雄
録音:井上賢三
美術:北川弘
編集:祖田富美夫
音楽:河辺公一
フィルム:富士フィルム
現像:東映化学
進行主任:伊藤源郎
助監督:高桑信
スチール:丸川忠士
出演:渥美清、中村玉緒、佐久間良子、川崎敬三、小松政夫、城野ゆき、楠トシエ、西村晃、財津一郎、若水ヤエ子、財津一郎、左卜全
1967年日本・東映/シネスコサイズ・カラー91分35mmフィルム
喜劇 初詣列車 -DVD-
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城野ゆき、小松政夫                          国鉄165系電車

映画「しなの川」


由美かおる                           岡田裕介

今回は野村芳太郎監督1973年製作「しなの川」をピックアップする。
由美かおるさんの瑞々しいヌードは話題になった本作は、昭和初期の信濃川を舞台に、名家の娘の波乱に満ちた愛の遍歴と彼女に思いを寄せる丁稚青年の心情を綴った内容だ。


仲雅美、由美かおる                    仲谷昇

【ストリー】
昭和3年、信濃川上流の山間集落に小作人の倅として育った朝田竜吉(仲雅美)は、十日町の高野家に丁稚奉公することになった。17歳の時だった。気苦労の多い丁稚生活の中で、竜吉の安らぎは、高野家の一人娘で女学校3年の雪絵(由美かおる)の美しい存在だった。ある日、雪絵は母(岩崎加根子)が13年前、番頭と駆落ちしたということを知った。問いつめても黙っている父(仲谷昇)に業を煮やした雪絵は、衝動的に竜吉を土蔵に引き入れ激しいキスを交わした。番頭の辰之助(山本豊三)の進言で、雪絵は長岡の女学校に転校することになった。雪絵は出発前に自分のすべてを竜吉に与えようとして二人は土蔵に入った、が、一足先に土蔵に入った竜吉は、中で雪絵の父と辰之助が男同志で抱き合っている姿を見た。雪絵が入ろうとするのを止めた竜吉は、雪絵には口が裂けても、このことは言うまいと誓うのだった。昭和5年、転校した雪絵は、情熱的な左翼シンパの国語教師・沖島雄介(岡田裕介)に急速に接近した。校長に呼び出された父は、雪絵を十日町へ連れ帰った。沖島は、結婚を申し込みに十日町まで来たが、父は即座に拒否した。沖島と雪絵は駆落ちした。その二人の姿を遠くで見ていた竜吉は、雪絵との思い出の写真を信濃川に捨てた。沖島と雪絵は刑事に捕わり、沖島は父のいる伊豆へ、雪絵は十日町へと強引に帰らせられた。途中、再び逃げた雪絵は伊豆へ行った。激情の中で抱き合う二人、雪絵は処女を捧げた。しかし、雪絵は何故か、沖島から離れて行く自分を感じていた。何事もなかったかのように十日町に帰って来た雪絵は、高野家が金融恐慌のため莫大な借金を背負っていることを知った。夏祭りの夜、雪絵と竜吉は再会した。「死にたい」雪絵が呟いた。「お嬢さんが死ぬなら私も死にます……」雪絵の頬に涙が流れ、二人は信濃川に身を投げた。が、幸か不幸か助けられた……。雪絵の青春は終りかけていた。塩沢の大きな買いつぎ店に政略結婚同様に嫁いだ。彼女の花嫁行列を、じっと見送る一人の青年がいた。単身満州へ渡ろうとする旅姿の竜吉だった。


岩崎加根子                          由美かおる、岡田裕介

題名:しなの川
監督:野村芳太郎
企画:西野皓三
製作:樋口清
原作:岡崎英夫、上村一夫
脚本:ジェームス三木、野村芳太郎
撮影:川又昂
照明:小林松太郎
録音:栗田周十郎
調音:松本隆司
美術:重田重盛
装置:川添膳治
装飾:印南昇
衣装:松竹衣装
衣装考証:柳生悦子
編集:太田和夫
音楽:富田勲 主題歌:由美かおる「しなの川」
現像:東洋現像所
製作主任:吉岡博史
製作進行:柴田忠
助監督:大江英夫
スチール:長谷川宗平
出演:由美かおる、仲雅美、岡田裕介、仲谷昇、岩崎加根子、加藤嘉、財津一郎、穂積隆信、山本豊三、浦辺粂子、進千賀子、佐々木孝丸
1973年日本・松竹/シネスコサイズ・カラー91分35mmフィルム
しなの川 -あの頃映画 the BEST 松竹ブルーレイ・コレクション-
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由美かおる                              しなの川

映画「キネマの天地」


有森也実                        中井貴一

今回は山田洋次監督1986年製作「キネマの天地」をピックアップする。
本作は、1982年に深作欣二監督が角川映画(松竹配給)で「蒲田行進曲」を東映京都撮影所で撮り、大ヒットし(興行収入17億6,300万円)、それに奮起した松竹のスタッフが、松竹大船撮影所50周年記念作品として作られた経緯がある。

松竹が撮影所を大船に移転する直前の1934年頃の松竹蒲田撮影所(城戸四郎所長)を舞台に、若き日の斎藤寅次郎、島津保次郎、小津安二郎、清水宏ら気鋭の監督たちが腕を競い、田中絹代(本作のモデル)がスターへの階段を上りかけた映画黄金期(サイレントからトーキー)時代を背景にしている。

今とは違い、映画会社がキャスト(俳優部)、スタッフ(演出部、脚本部、撮影部、照明部、録音部、美術部、編集部など)を抱え、一丸となって映画創りに勤しんでいた時代である。

本作に出てくるサイレント映画キャメラのクランクによる手動スプリング駆動は、実機を用いて撮られているが、同時録音シーンのNCミッチェルのプリンプは、ハリボテではないかと思う。

サイレント映画キャメラのクランクによる手動スプリング駆動は、ジャイロが付いているとはいえ、3コマ落ちると1ステップ、8コマ落ちると1ストップの露光オーバーになる。手動で定速コマ数を維持するのは職人技である。ちなみにトーキーは今日でも24コマ/秒であるが、サイレントは16コマ/秒であった。

蒲田撮影所時代を経験し小津安二郎監督作品の撮影技師である厚田雄春氏は、「蒲田行進曲」「キネマの天地」のどちらも蒲田撮影所の当時の雰囲気が出ておらず、それは無理もないとしながらも、やっぱり物足りないと評している。

私はCF作品で有森也実さんを撮影した事がある。その現場の印象は、大作の主演女優を果たした側面は一切見せず、真摯にテーマである商品を引き立てる芝居に懸命だったと記憶する。
中井貴一さんは、私が撮影チーフ助手最後の作品でフランスロケに行った時にご一緒させて戴いた事があるが、気さくな方であった。

※「蒲田行進曲」は時代劇全盛の東映京都撮影所が舞台。
※大船撮影所については「太陽の墓場」で記述してます。
※本作でサイレント映画のキャメラはミッチェルスタンダード、シンクレア等が使われている。

松竹蒲田撮影所 1920年6月~1936年1月15日 閉鎖
日本映画黎明期をリードする撮影所として一時代を築いた。小津安二郎や成瀬巳喜男、田中絹代、高峰秀子等の映画人を輩出し、国産初の本格的トーキー映画を生み出したのも同撮影所である。

松竹大船撮影所 1936年1月15日~2000年6月30日 閉鎖
それまで松竹は東京市蒲田区(現・東京都大田区)の蒲田撮影所で撮影をしていたが、町工場の多い蒲田では騒音がトーキーの撮影に差し障るという理由から神奈川県鎌倉市大船に移転した。


渥美清、前田吟、倍賞千恵子                油井昌由樹、すまけい、中井貴一

【ストリー】
浅草の活動小屋で売り子をしていた田中小春(有森也実)が、松竹キネマの小倉監督(すまけい)に見出され、蒲田撮影所の大部屋に入ったのは昭和8年の春だった。小春は大震災で母親を失い、若い頃旅回り一座の人気者だったという病弱の父・喜八(渥美清)と長屋でのふたり暮らしだ。蒲田撮影所での体験は何もかもが新鮮だった。ある日、守衛(桜井センリ)に案内されて小倉組の撮影見学をしていた小春はエキストラとして映画出演することになった。だが素人の小春にうまく演じられる訳がなく、小倉に怒鳴られた小春は泣き泣き家に帰り、女優になることをあきらめた。長屋に戻って近所の奥さんにことのいきさつを話している小春を、小倉組の助監督島田健二郎(中井貴一)が迎えにきた。「女優になりたがる娘はいっぱいいるけど、女優にしたい娘はそんなにいるもんじゃない」。健二郎の言葉で、小春は再び女優への道を歩み始めた。やがて健二郎と小春はひと眼を盗んでデートする間柄になった。小春は幸福だった。しかし時がたつにつれ、映画のことにしか興味をしめさない健二郎に少しずつ物足りなさを覚えるようになった。小春の長屋の住人たちは不況下の失業にあえいでいた。そんな中で、唯一の希望はスクリーンに登場する小春だった。夏もすぎ秋になって、小春はプレイボーイとして有名な二枚目スター、井川時彦(田中健)と親しくつき合うようになった。師走に入って、健二郎は、労働運動で警察から追われている大学時代の先輩(平田満)をかくまったとして、留置所に入れられてしまう。その留置所生活で得たのは、かつてなかった映画作りに対する情熱だった。年が明けて、小春が大作の主演に大抜擢された。主演のトップスター川島澄江(松坂慶子)が愛の失踪事件を起こしたため、その代打に起用されたのだ。しかしその大作「浮草」で演技の壁にぶつかって、小春は苦悩した。その小春を、喜八はかつて旅回り一座の看板女優だった母と一座の二枚目俳優のロマンスを語り励ました。実は小春の本当の父親はその二枚目であることも--。「浮草」は成功した。人があふれる浅草の映画館でゆきと「浮草」を見に行った喜八は、映画を見ながら静かに息をひきとった。


松本幸四郎                         田中健

題名:キネマの天地
監督:山田洋次
製作総指揮:奥山融
製作:野村芳太郎、杉崎重美、升本喜年、島津清
脚本:井上ひさし、山田太一、朝間義隆、山田洋次
撮影:高羽哲夫
照明:青木好文
録音:鈴木功
調音:松本隆司
美術:出川三男
装置:小島勝男
装飾:町田武
美粧:宮沢兼子、吉野桂子
床山:八木かつら
衣裳:松竹衣装
編集:石井巌
音楽:山本直純
現像:イマジカ
撮影機材:パナビジョン
製作主任:新井重美
製作進行:副田稔、玉生久宗
助監督:五十嵐敬司
プロダクション・コーディネーター:内藤誠、田中康義
風俗考証:林美一、結城一朗
スチール:赤井博且
出演:中井貴一、有森也実、渥美清、松坂慶子、倍賞千恵子、美保純、笠智衆、桃井かおり、田中健、すまけい、岸部一徳、堺正章、柄本明、油井昌由樹、山本晋也、なべおさみ、大和田伸也、広岡瞬、レオナルド熊、石倉三郎、山城新伍、木の実ナナ、下條正巳、三崎千恵子、平田満、財津一郎、ハナ肇、桜井センリ、佐藤蛾次郎、人見明、関敬六、前田吟、吉岡秀隆、笹野高史、藤山寛美、松本幸四郎(9代目)
1986年日本・松竹/ビスタサイズ・カラー135分35mmフィルム
キネマの天地 -DVD-
本作はゲオ宅配レンタルでご覧になれます。


笹野高史、渥美清                     有森也実

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